その「好き」はどこまで本気ですか?

沙夜

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華やかな嘘と本当の涙

答え合わせと本当の始まり

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旅行鞄を床に置いてアパートのソファにどさりと座る。夢のような三日間は終わり、私たちはまた現実に戻ってきた。
私の隣に座ったサイラスが真剣な声で問いかける。

「朱音。パーティーでのこと、ちゃんと話してくれないか。君がただ緊張していただけじゃないことくらい、俺にもわかる」

彼のまっすぐな視線から、もう逃げることはできなかった。この三日間で育まれた確かな絆が、私の背中をほんの少しだけ押してくれた。

「……あの、女優の、ジュリアさんのこと」
「ジュリア?」
「彼女と、どういう関係なのかなって。噂になってるし、パーティーの時もすごく仲が良さそうだったから……」

私がそこまで言うと、サイラスはきょとんと鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした。そして次の瞬間、全てを理解したように大きな安堵のため息をつく。

「……なんだ。そんなことか」
「そんなことって……」
「彼女はただの仕事仲間だ。恋愛感情なんて一ミリもない。パーティーでのあれはカメラマン向けのポーズだよ。まあ、俺の恋人が他の男とあんな写真を撮っていたら、俺は嫌だけどな」

恋人、という言葉に私の心臓が大きく跳ねる。
(恋人……そっか、私たち、恋人、なんだ)
ストン、と、今までずっと曖昧だった関係に、名前がついた瞬間だった。その事実に、胸の奥がきゅうっと甘く締め付けられるほどの幸福感がこみ上げる。嬉しい。ただ、ひたすらに。彼が私を、そう思っていてくれたことが。今まで一人で抱えていた不安が、全部、太陽の下に溶けていくような、そんな感覚だった。

「俺が君の立場だったら、恋人があんなことしてたら嫉妬する。……だから、君が様子がおかしかった理由が、それならいいなって少し思ってたんだ」

サイラスはまるで答え合わせをするように私の顔を覗き込む。その顔にはからかうような、そして愛おしいものを見るような優しい笑みが浮かんでいた。

「もしかして、嫉嫉してくれたの?」

その問いで、私の顔に熱が集まる。
けれど、もう沈黙で逃げるのはやめよう。私は意を決して、彼の目をまっすぐに見つめ返した。

「……うん。した。すごく、した」

はっきりと告げると、今度はサイラスが驚いたように目を丸くする。私は、震えそうな声を抑えて、続けた。

「ごめん、ちゃんと言いたい」

深呼吸を、一つ。

「サイラス。あなたのことが大好き。あなたの恋人でいさせてほしい」

私の告白に、サイラスは一瞬、時が止まったかのように固まった。やがて、その瞳から、ぽろり、と一筋の涙がこぼれ落ちる。

「……俺の方こそ。愛している、朱音」

彼はそう言って、泣きながら、今まで見たことがないくらい幸せそうに笑った。そして、私の不安を全て包み込むように、優しく、力強く抱きしめる。

「これからもずっと、俺の隣で笑っていてほしい」
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