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第2章
25,路地裏での実験
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小さな手の中で輝く三日月と太陽を象ったネックレス。
ランカスター魔道具店店主――ランカスターさんの豪快な笑い声が響く中でもその輝きは変わらない。
この美しくも力強い輝きを放つネックレスは魔道具だ。しかも通常の物とは異なる高性能な逸品だと言う。
吸収時の勢いも常人ではすぐにMPが枯渇してしまいかねないほどの物だったし、取り出す際の勢いもそうだ。これではMP量が少ない人では扱うことができない。
MP増加Lv10まで取得しているオレだったからよかったものの、MP増加系やステータス割り振りをしていない脳筋系だったらMP枯渇に陥って酷いことになっていただろう。
まったくこの爺さんは食えないやつだ。
まだ豪快に笑っているランカスターさんは放って置いて月陽のネックレスをつけてみる。
ネックレスをつけるのに邪魔だったので黒狼石の短剣はアルに預けておいた。
チェーンが途中で脱着できる普通のネックレスなのでこれなら簡単だろう。
……生前ではネックレスなんてつけたことなかったけどな!
しかしやってみるとこれが意外に難しかった。特に髪がこの長さではちょっと邪魔だった。纏めてもらっていても邪魔になってはいなかったのは基本的行動時においてだけだったようだ。
なのでなかなかうまくいかない。後ろが見れないのもあってなんかうまくいかない。器用増加はこの時ばかりは意味をなさないらしい。くそう。
「失礼致します」
「……ん。よろしく」
見かねたアルが代わってくれた。むしろ最初から頼めばよかったよ。
すると髪を一時的に束ねて、いつの間にか持っていた雑貨屋で購入したリボンを使ってまとめ始める。
流れるような手際で束ねられた髪は見えないけれど、アルのことだからきっと綺麗に出来ているんだろう。
ネックレスをつけるためだけに一時的に束ねるだけでも彼なら手抜きをするとは思えない。
チェーンを受け取り素早く首の後ろで付ける。やはり最初からアルに任せればよかったよ。
一瞬だよ、一瞬。
束ねていたリボンを解き櫛を使って束ねた部分を整えるように梳くと作業は終了したようだ。
さっそく買った物が役に立ってくれて嬉しいね。
「なかなか似合ってるぞ、嬢ちゃん」
「ワタリ様の美しさは何物にも勝る最上の物にございます」
アルのは何言ってんだかわからん。ネックレスと合わせたオレを褒めるべきじゃないのか? おまえのソレってオレのことを褒めてるだけじゃないのか? 馬鹿にしてんのか? あれ? でもそれでいいのか? よくわからなくなってきた。
まぁでも恭しく一礼している彼を見ると馬鹿にしているわけではないのは確かだ。アルがオレを馬鹿にするなんてことは天地がひっくり返ってもないとは思うけどな。
……っていうかネックレスつけて褒められるのを云々って……あぁだめだ、考えちゃいけない。深く考えたら負けだ!
2人に褒められていると背後のドアノブが回りドアが押し開かれた。
この店には新規の客はオレ達が来たのが久々だと言っていた。つまりは常連の人は久々ではない頻度で来るのだろう。
振り返ってみてみると、一言で言うと白い人が居た。しかもでかい。
何このでかさってくらいにでかい。確かにオレの今の身長は幼女のソレだ。
だがそれを無視してもでかい。アルより確実にでかいし、オレの身長の倍近く……いや倍はある。
単純な目測だけでも2mを遥かに超えているのだ。しかもその上の方についている物が可愛らしい女性のソレだ。そりゃ驚きもする。
「よう。頼まれてたやつはもう出来てるぜ」
「あ、はい……」
やはり顔見知りのようで彼女を見てからすぐにランカスターさんは奥に引っ込んでしまった。依頼の品でも取りにいったんだろう。
後に残ったのはチラチラとこちらを何度も見てくる白くてでかくて可愛らしい人。
……いや、純粋な人じゃなかった。チラチラ見てくるので頭が揺れてオレの倍ある身長でも頭の上の方が若干見えた。
そこにあったのは犬の耳。しかも髪が白い上にこれも白い。白いマントに白い髪で白い犬耳。
白い人という第一印象を揺るがさないレベルの白さだ。漂白剤も裸足で逃げ出すね。
何度もチラチラ見てくるので、とりあえずぺこりと会釈してみる。するとビクッと大げさにその大きな体を揺らして顔が真っ赤になってしまった。白いのに赤い。
なんだろう……ちょっと会釈しただけなのに……。
「待たせたな。ほれ確認してみろ」
「ぁ、は、はい」
何やら巨大な剣を担いでランカスターさんが戻ってきた。アレが頼んでいた物だろう。
ランカスターさんが重そうに両手で渡した大剣を彼女は軽々と片手で受け取るとすぐに真っ白な鞘から音もなく大剣を抜き放つ。その仕草は洗練されていて見ほれるほどに美しい。
引き抜かれた獲物も白い人の巨体に相応しい彼女の身長ほどもある巨大な大剣だ。刃幅も広く、柄も長い。それでいてその刃は磨きぬかれていて天井のランタンの灯りを反射してほんのりと赤く輝いている。
白くて赤い人の赤い刃の大剣。なんかよくわからなくなってきたな。
巨大な大剣を軽々と操るその腕は巨体通りの筋力のようだ。単純に体が大きければ力も強くなるのだろうが、ステータスの加算分もあるだろうからどこまでが地の力なのかはわからない。わかったところでどうだというのもあるが。
赤くなっていた顔はすでに元の白さを取り戻していて、そして可愛らしかったその造詣は引き締まった鋭さを見せている。
依頼した品の検分を入念に済ませると真っ白な鞘に戻して大きく頷く。犬耳がぴょこんと動いて可愛らしい。巨体に似合わぬ可愛らしい顔と可愛らしい犬耳が巨体が伴うはずの威圧感をほとんど相殺してしまっていて、むしろ可愛らしさに軍配が上がるほどだ。
「はい……残りのお代です」
「あいよ、確かに。またなんか用があったら遠慮するなよ?」
「……はい」
消え入りそうな声で話してはいるが、この店には今オレ達と彼女達しかいないので筒抜けだ。
ペコリとお辞儀をして大剣を大事に抱えてドアに向かう彼女。その途中でチラっとこっちを見たので、またペコリとお辞儀をすると可愛らしい顔がまた真っ赤になって小さく頭を下げると早足で出て行ってしまった。
なかなか弄り甲斐がありそうなお人だったな。
「すまねぇな。気を悪くしたなら代わって俺が謝る」
「いえ、可愛らしい人ですね」
「あぁ見えて腕は確かだ。そこらのヤツラよりは遥かに強い。
……ただ、人見知りが激しくてな。俺とまともに話せるようになったのも半年かかったからなぁ……」
「あー……確かに会釈したら顔真っ赤になってましたからねぇ」
「だがな、あいつの腕は俺が自信を持って保証できるほどだ。ギルドでも引く手数多だが、あの性格だ。基本的にソロばかりなんだよ。
嬢ちゃんも冒険者ギルドに登録してるんだろ? いつか機会があったら組んでやってくれ」
「はぁ、機会があったらということで」
「あぁ、それでいい。なんかあいつは実の娘のように世話を焼いちまうんだよ」
顎鬚を撫で擦りながら照れくさそうに苦笑している好々爺に頬が緩む。
でもあなたの外見からいって彼女くらいなら娘じゃなくて孫ですよね、とは口が裂けてもいえない。
ギルドに登録してるとは一言も言ってないと思うけど、オレの強さはある程度ばれている。当然登録して活動してると思っているんだろう。実際は登録だけしてまだ何も依頼を受けていない状態だけどね。
今度ギルドで見かけたら話しかけてみるとしよう。
「じゃぁそろそろ私達も行きますね」
「おう、そいつらを大事にしてくれよ」
「はい、わかりました。ありがとうございます」
「いいっていいって。必ずまた来るようになるからな、おまえさんなら」
「はは……」
ニヤリとあくどい笑みで顎鬚を撫でると好々爺はどこにいってしまったのか、そこには自分の作品を一片たりとも疑うことのない自信溢れる爺さんが居た。
最後にもう一度お辞儀をしてからアルが開いたドアを潜ると、そこは少し前にいた路地裏。
後ろを振り返ってみるとやはり廃屋一歩手前といった汚さの、店ともいえないようなボロ屋がある。
これがあの、美しくも荘厳に飾られていた魔道具達のお店とはとてもじゃないが思えない。
ふと気になっただけだったが、入って正解だった。すごそうな武器とMPタンクを無料でもらえたし。どうやらオレはついているようだ。
幸運の女神よ! ありがとう! 創造神おまえじゃねぇ座ってろ!
脳裏に浮かんだ幸運の女神を押しのけるように出てきた真っ白爺を蹴散らすと、アルに預かってもらっていた黒狼石の短剣をベルトに括り付ける。
短剣2本はいらないので銅の短剣はアイテムボックスに突っ込んでおく。
ついでに月陽のネックレスにMPを溜めておこうとステータスウィンドウを出すと、敏捷の欄が変化していた。
" 敏捷:65<+30> "
なんと敏捷が30も上がっている。普通に動いている時にはあまり敏捷のステータス変化はわからないが、走ったり攻撃したりするときなどの高速移動になるとよくわかる……のだが、30となると敏捷増加Lv5を超える上昇数だ。
追加表示の枠も違うし、これは装備による追加効果なのだろう。それにしてもすごい効果だ。
これは一体どれほどの速さになっているのか。
「アル、ちょっとそこで待機しててね?」
「畏まりました」
アルに待っててもらい、体感してみることにする。
幸いにもこの路地にはかなりの直線距離がある。木箱やゴミなんかが若干あるけれど大した問題じゃない。
足に力を入れて一気に大きく一歩を踏み出す。
するとたった一歩で10m以上の距離を詰めてしまった。これはやばい。さすがに制御がきつい……と思った瞬間にはゴミが足元にあった。しかしここからがすごかった。
まるで時間の流れが遅くなったかのように動きが遅くなる。思考が加速していることがはっきりとわかった。
ゴミをかわし、2歩目で地を軽く蹴り、路地の壁を3歩目で蹴るがほとんど無音だ。続いて4歩目で反対側の壁を同じく無音で蹴り、瞬く間に壁を三角飛びで登り上げた。
まるで本気を出していないというのに、あっという間に路地裏の3階建てクラスの高い屋根の上に移動したオレはあまりのすごさに打ち震えていた。
これはすごいなんてもんじゃない。
敏捷値が60を超えると半端じゃない。これを逆に敵にやられたら相手を視認することすら難しいんじゃないんだろうか。
自分が活用するための思考より、まず敵が使用するのを前提として考えてしまう思考が恨めしい。
だが、高い敏捷値による可能な行動という物を早くに知ることが出来たのは幸運だった。
対策も多少だが思いつく。オレは器用もそれなりに高い。あの速さを制御するには器用もそれなりに必要なのではないだろうか。
あまりにも危ないので実験はしたくないが、速さを身上とする相手には器用低下を使うのも自滅を誘えるいい手ではないだろうか。
単純に敏捷低下を使っただけでは速度を落とすだけだ。だが、器用低下を使えばあの速度で一時的とはいえ制御を乱すことができるのでは……。
あの速度で制御を乱されるのは相当なリスクを伴う。対策としては十分といえるかもしれない。
低下スキルか……意外なところで出てきたな。
しかし敏捷60でしかも割と軽く動いただけなのにこれだけの速さ……低下スキルをかけることが出来るのだろうか。低下スキルの射程や対象指定方法なんかが問題となる。
やはりリセットして色々試しておくべきだろうか……等としばらくの間色々と考察をしていると突然脳内にウィンドウが開いた。
【ワタリ様、現在地をお伺い致したき所存にございます】
【おっと、ごめんごめん。今そっちいく】
アルにとって見れば待っててとは言われたが、いきなり消えて全然戻ってこなかったんだ。いつも冷静な声が少し焦っていたのも頷ける。結構長考してたみたいだしな。
屋根から下を見てみるとアルがいる路地裏までは高さ的に10mはある。3階建てっぽい石造りの建物だったからな……。
ちょっと飛び降りるのは怖かったので単独転移で降りることにした。
「お帰りなさいませ、ワタリ様」
「うん、ただいま。なかなかすごいね、この短剣」
「それはようございました。ですが、出来ますれば傍を長く離れる場合には、その旨を一言仰って頂けますと嬉しく存じます」
「あーうん、ごめんなー。最初はまっすぐ走るつもりだったんだけど、なんか壁を蹴ったら思ったよりうまく出来ちゃったからさ。ちょっと上まで行ってきた。んでちょっとこの速さに対しての対策を考えてたわ」
「さすが我が主。このアル、感服致しました」
「いやぁオレがすごいんじゃないよ。この短剣の効果だな」
戻った時にアルは明らかに安堵の表情をしていた。そこまで心配かけたのか。というか心配しすぎのような……。
だが、どこに行くのかも告げずにいきなり消えて長いこと戻ってこなければそうなるかもしれない。今度からは気をつけようと謝るついでに心のメモ帳に刻んでおいた。
マントの上から腰の凶悪な短剣をぽんぽんと叩く。実際この効果は破格だ。装備しているだけで敏捷+30とはやばい以外の言葉が出てこない。
こんなすごいものが無料だなんて。今日はなんてついてるんだ! やばすぎて何か反動がありそうで怖いくらいだ。……反動なんていらないからな!
「あ、そういえば装備してるだけで効果があるってことは、どこまでが装備してる状態なんだろ?」
「装備している状態は、意識的な問題でございます。ワタリ様が装備していると思っている状態ならば物理的に無理がなければ、効果が持続致します」
「ほうほう、それはずいぶん適当な感じだなぁ。まぁ短剣を放した時点で効果が失われるようだとちょっとめんどくさいしな。
オレの考えなら放したくらいじゃ装備解除ってわけじゃないけど……一応試すか」
黒狼石の短剣を引き抜き、近くの壁に投げつけてみる。器用増加の影響を受けた完璧なコントロールで、スコッという音と共に短剣は壁にその刃を半ばまで縫い付ける。
ぞんざいに投げたようでいてその実、正確にコントロールできている。素晴らしきかな増加スキル。
ステータスを出して確認すると効果は持続している。問題はないようだ。
ステータスを確認した時にふと目に入ったスキルにより、あることを思い出した。
「鑑定あるのに全然使ってなかったわ……習慣になるくらい意識して使わないとあっさり忘れるなコレ……」
「ワタリ様ならば必ずや物に出来ると確信しております」
「……いや、うん……ソウダネ」
アルの相変わらずの確信っぷりになんとも言えない気持ちになったが、一先ず回収した短剣に鑑定を使ってみる。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□
黒狼石の短剣 [空] [空] [空] [空] [空]
武器種:短剣
黒狼石を全体に使用した短剣。
光を返さないほどの漆黒の刃は全ての物を飲み込み切り裂く。
意思を持ち所有者を自身で判断する。
選ばれた所有者に与えられる加護は絶大。
固有スキル:黒狼の加護
■□■□■□■□■□■□■□■□■□
「……おぉ、すげぇ……」
鑑定結果の詳細が書かれたウィンドウに目を通した瞬間口から自然と言葉が零れた。
空きスロットが5つ。
まだ他の武器を見たことはないが、5つもスロットが空いているなんて早々ないだろう。
書かれている効果は体感してわかったとおりの絶大な効果。
固有スキルの黒狼の加護がそれだろう。加護という名は伊達ではないようだ。
知識の収集にもこの鑑定は使える。
鑑定文には詳細というには十分とは言えないが簡単に説明がきちんと書かれている。
これはこの世界の知識がほとんどないオレにとっては重要な物だ。
まだまだ店を周る予定だしどんどん鑑定を使っていこうと思いながら路地裏の出口で振り返った時には、薄汚れた店ではなく廃屋がそこにあった。
ランカスター魔道具店店主――ランカスターさんの豪快な笑い声が響く中でもその輝きは変わらない。
この美しくも力強い輝きを放つネックレスは魔道具だ。しかも通常の物とは異なる高性能な逸品だと言う。
吸収時の勢いも常人ではすぐにMPが枯渇してしまいかねないほどの物だったし、取り出す際の勢いもそうだ。これではMP量が少ない人では扱うことができない。
MP増加Lv10まで取得しているオレだったからよかったものの、MP増加系やステータス割り振りをしていない脳筋系だったらMP枯渇に陥って酷いことになっていただろう。
まったくこの爺さんは食えないやつだ。
まだ豪快に笑っているランカスターさんは放って置いて月陽のネックレスをつけてみる。
ネックレスをつけるのに邪魔だったので黒狼石の短剣はアルに預けておいた。
チェーンが途中で脱着できる普通のネックレスなのでこれなら簡単だろう。
……生前ではネックレスなんてつけたことなかったけどな!
しかしやってみるとこれが意外に難しかった。特に髪がこの長さではちょっと邪魔だった。纏めてもらっていても邪魔になってはいなかったのは基本的行動時においてだけだったようだ。
なのでなかなかうまくいかない。後ろが見れないのもあってなんかうまくいかない。器用増加はこの時ばかりは意味をなさないらしい。くそう。
「失礼致します」
「……ん。よろしく」
見かねたアルが代わってくれた。むしろ最初から頼めばよかったよ。
すると髪を一時的に束ねて、いつの間にか持っていた雑貨屋で購入したリボンを使ってまとめ始める。
流れるような手際で束ねられた髪は見えないけれど、アルのことだからきっと綺麗に出来ているんだろう。
ネックレスをつけるためだけに一時的に束ねるだけでも彼なら手抜きをするとは思えない。
チェーンを受け取り素早く首の後ろで付ける。やはり最初からアルに任せればよかったよ。
一瞬だよ、一瞬。
束ねていたリボンを解き櫛を使って束ねた部分を整えるように梳くと作業は終了したようだ。
さっそく買った物が役に立ってくれて嬉しいね。
「なかなか似合ってるぞ、嬢ちゃん」
「ワタリ様の美しさは何物にも勝る最上の物にございます」
アルのは何言ってんだかわからん。ネックレスと合わせたオレを褒めるべきじゃないのか? おまえのソレってオレのことを褒めてるだけじゃないのか? 馬鹿にしてんのか? あれ? でもそれでいいのか? よくわからなくなってきた。
まぁでも恭しく一礼している彼を見ると馬鹿にしているわけではないのは確かだ。アルがオレを馬鹿にするなんてことは天地がひっくり返ってもないとは思うけどな。
……っていうかネックレスつけて褒められるのを云々って……あぁだめだ、考えちゃいけない。深く考えたら負けだ!
2人に褒められていると背後のドアノブが回りドアが押し開かれた。
この店には新規の客はオレ達が来たのが久々だと言っていた。つまりは常連の人は久々ではない頻度で来るのだろう。
振り返ってみてみると、一言で言うと白い人が居た。しかもでかい。
何このでかさってくらいにでかい。確かにオレの今の身長は幼女のソレだ。
だがそれを無視してもでかい。アルより確実にでかいし、オレの身長の倍近く……いや倍はある。
単純な目測だけでも2mを遥かに超えているのだ。しかもその上の方についている物が可愛らしい女性のソレだ。そりゃ驚きもする。
「よう。頼まれてたやつはもう出来てるぜ」
「あ、はい……」
やはり顔見知りのようで彼女を見てからすぐにランカスターさんは奥に引っ込んでしまった。依頼の品でも取りにいったんだろう。
後に残ったのはチラチラとこちらを何度も見てくる白くてでかくて可愛らしい人。
……いや、純粋な人じゃなかった。チラチラ見てくるので頭が揺れてオレの倍ある身長でも頭の上の方が若干見えた。
そこにあったのは犬の耳。しかも髪が白い上にこれも白い。白いマントに白い髪で白い犬耳。
白い人という第一印象を揺るがさないレベルの白さだ。漂白剤も裸足で逃げ出すね。
何度もチラチラ見てくるので、とりあえずぺこりと会釈してみる。するとビクッと大げさにその大きな体を揺らして顔が真っ赤になってしまった。白いのに赤い。
なんだろう……ちょっと会釈しただけなのに……。
「待たせたな。ほれ確認してみろ」
「ぁ、は、はい」
何やら巨大な剣を担いでランカスターさんが戻ってきた。アレが頼んでいた物だろう。
ランカスターさんが重そうに両手で渡した大剣を彼女は軽々と片手で受け取るとすぐに真っ白な鞘から音もなく大剣を抜き放つ。その仕草は洗練されていて見ほれるほどに美しい。
引き抜かれた獲物も白い人の巨体に相応しい彼女の身長ほどもある巨大な大剣だ。刃幅も広く、柄も長い。それでいてその刃は磨きぬかれていて天井のランタンの灯りを反射してほんのりと赤く輝いている。
白くて赤い人の赤い刃の大剣。なんかよくわからなくなってきたな。
巨大な大剣を軽々と操るその腕は巨体通りの筋力のようだ。単純に体が大きければ力も強くなるのだろうが、ステータスの加算分もあるだろうからどこまでが地の力なのかはわからない。わかったところでどうだというのもあるが。
赤くなっていた顔はすでに元の白さを取り戻していて、そして可愛らしかったその造詣は引き締まった鋭さを見せている。
依頼した品の検分を入念に済ませると真っ白な鞘に戻して大きく頷く。犬耳がぴょこんと動いて可愛らしい。巨体に似合わぬ可愛らしい顔と可愛らしい犬耳が巨体が伴うはずの威圧感をほとんど相殺してしまっていて、むしろ可愛らしさに軍配が上がるほどだ。
「はい……残りのお代です」
「あいよ、確かに。またなんか用があったら遠慮するなよ?」
「……はい」
消え入りそうな声で話してはいるが、この店には今オレ達と彼女達しかいないので筒抜けだ。
ペコリとお辞儀をして大剣を大事に抱えてドアに向かう彼女。その途中でチラっとこっちを見たので、またペコリとお辞儀をすると可愛らしい顔がまた真っ赤になって小さく頭を下げると早足で出て行ってしまった。
なかなか弄り甲斐がありそうなお人だったな。
「すまねぇな。気を悪くしたなら代わって俺が謝る」
「いえ、可愛らしい人ですね」
「あぁ見えて腕は確かだ。そこらのヤツラよりは遥かに強い。
……ただ、人見知りが激しくてな。俺とまともに話せるようになったのも半年かかったからなぁ……」
「あー……確かに会釈したら顔真っ赤になってましたからねぇ」
「だがな、あいつの腕は俺が自信を持って保証できるほどだ。ギルドでも引く手数多だが、あの性格だ。基本的にソロばかりなんだよ。
嬢ちゃんも冒険者ギルドに登録してるんだろ? いつか機会があったら組んでやってくれ」
「はぁ、機会があったらということで」
「あぁ、それでいい。なんかあいつは実の娘のように世話を焼いちまうんだよ」
顎鬚を撫で擦りながら照れくさそうに苦笑している好々爺に頬が緩む。
でもあなたの外見からいって彼女くらいなら娘じゃなくて孫ですよね、とは口が裂けてもいえない。
ギルドに登録してるとは一言も言ってないと思うけど、オレの強さはある程度ばれている。当然登録して活動してると思っているんだろう。実際は登録だけしてまだ何も依頼を受けていない状態だけどね。
今度ギルドで見かけたら話しかけてみるとしよう。
「じゃぁそろそろ私達も行きますね」
「おう、そいつらを大事にしてくれよ」
「はい、わかりました。ありがとうございます」
「いいっていいって。必ずまた来るようになるからな、おまえさんなら」
「はは……」
ニヤリとあくどい笑みで顎鬚を撫でると好々爺はどこにいってしまったのか、そこには自分の作品を一片たりとも疑うことのない自信溢れる爺さんが居た。
最後にもう一度お辞儀をしてからアルが開いたドアを潜ると、そこは少し前にいた路地裏。
後ろを振り返ってみるとやはり廃屋一歩手前といった汚さの、店ともいえないようなボロ屋がある。
これがあの、美しくも荘厳に飾られていた魔道具達のお店とはとてもじゃないが思えない。
ふと気になっただけだったが、入って正解だった。すごそうな武器とMPタンクを無料でもらえたし。どうやらオレはついているようだ。
幸運の女神よ! ありがとう! 創造神おまえじゃねぇ座ってろ!
脳裏に浮かんだ幸運の女神を押しのけるように出てきた真っ白爺を蹴散らすと、アルに預かってもらっていた黒狼石の短剣をベルトに括り付ける。
短剣2本はいらないので銅の短剣はアイテムボックスに突っ込んでおく。
ついでに月陽のネックレスにMPを溜めておこうとステータスウィンドウを出すと、敏捷の欄が変化していた。
" 敏捷:65<+30> "
なんと敏捷が30も上がっている。普通に動いている時にはあまり敏捷のステータス変化はわからないが、走ったり攻撃したりするときなどの高速移動になるとよくわかる……のだが、30となると敏捷増加Lv5を超える上昇数だ。
追加表示の枠も違うし、これは装備による追加効果なのだろう。それにしてもすごい効果だ。
これは一体どれほどの速さになっているのか。
「アル、ちょっとそこで待機しててね?」
「畏まりました」
アルに待っててもらい、体感してみることにする。
幸いにもこの路地にはかなりの直線距離がある。木箱やゴミなんかが若干あるけれど大した問題じゃない。
足に力を入れて一気に大きく一歩を踏み出す。
するとたった一歩で10m以上の距離を詰めてしまった。これはやばい。さすがに制御がきつい……と思った瞬間にはゴミが足元にあった。しかしここからがすごかった。
まるで時間の流れが遅くなったかのように動きが遅くなる。思考が加速していることがはっきりとわかった。
ゴミをかわし、2歩目で地を軽く蹴り、路地の壁を3歩目で蹴るがほとんど無音だ。続いて4歩目で反対側の壁を同じく無音で蹴り、瞬く間に壁を三角飛びで登り上げた。
まるで本気を出していないというのに、あっという間に路地裏の3階建てクラスの高い屋根の上に移動したオレはあまりのすごさに打ち震えていた。
これはすごいなんてもんじゃない。
敏捷値が60を超えると半端じゃない。これを逆に敵にやられたら相手を視認することすら難しいんじゃないんだろうか。
自分が活用するための思考より、まず敵が使用するのを前提として考えてしまう思考が恨めしい。
だが、高い敏捷値による可能な行動という物を早くに知ることが出来たのは幸運だった。
対策も多少だが思いつく。オレは器用もそれなりに高い。あの速さを制御するには器用もそれなりに必要なのではないだろうか。
あまりにも危ないので実験はしたくないが、速さを身上とする相手には器用低下を使うのも自滅を誘えるいい手ではないだろうか。
単純に敏捷低下を使っただけでは速度を落とすだけだ。だが、器用低下を使えばあの速度で一時的とはいえ制御を乱すことができるのでは……。
あの速度で制御を乱されるのは相当なリスクを伴う。対策としては十分といえるかもしれない。
低下スキルか……意外なところで出てきたな。
しかし敏捷60でしかも割と軽く動いただけなのにこれだけの速さ……低下スキルをかけることが出来るのだろうか。低下スキルの射程や対象指定方法なんかが問題となる。
やはりリセットして色々試しておくべきだろうか……等としばらくの間色々と考察をしていると突然脳内にウィンドウが開いた。
【ワタリ様、現在地をお伺い致したき所存にございます】
【おっと、ごめんごめん。今そっちいく】
アルにとって見れば待っててとは言われたが、いきなり消えて全然戻ってこなかったんだ。いつも冷静な声が少し焦っていたのも頷ける。結構長考してたみたいだしな。
屋根から下を見てみるとアルがいる路地裏までは高さ的に10mはある。3階建てっぽい石造りの建物だったからな……。
ちょっと飛び降りるのは怖かったので単独転移で降りることにした。
「お帰りなさいませ、ワタリ様」
「うん、ただいま。なかなかすごいね、この短剣」
「それはようございました。ですが、出来ますれば傍を長く離れる場合には、その旨を一言仰って頂けますと嬉しく存じます」
「あーうん、ごめんなー。最初はまっすぐ走るつもりだったんだけど、なんか壁を蹴ったら思ったよりうまく出来ちゃったからさ。ちょっと上まで行ってきた。んでちょっとこの速さに対しての対策を考えてたわ」
「さすが我が主。このアル、感服致しました」
「いやぁオレがすごいんじゃないよ。この短剣の効果だな」
戻った時にアルは明らかに安堵の表情をしていた。そこまで心配かけたのか。というか心配しすぎのような……。
だが、どこに行くのかも告げずにいきなり消えて長いこと戻ってこなければそうなるかもしれない。今度からは気をつけようと謝るついでに心のメモ帳に刻んでおいた。
マントの上から腰の凶悪な短剣をぽんぽんと叩く。実際この効果は破格だ。装備しているだけで敏捷+30とはやばい以外の言葉が出てこない。
こんなすごいものが無料だなんて。今日はなんてついてるんだ! やばすぎて何か反動がありそうで怖いくらいだ。……反動なんていらないからな!
「あ、そういえば装備してるだけで効果があるってことは、どこまでが装備してる状態なんだろ?」
「装備している状態は、意識的な問題でございます。ワタリ様が装備していると思っている状態ならば物理的に無理がなければ、効果が持続致します」
「ほうほう、それはずいぶん適当な感じだなぁ。まぁ短剣を放した時点で効果が失われるようだとちょっとめんどくさいしな。
オレの考えなら放したくらいじゃ装備解除ってわけじゃないけど……一応試すか」
黒狼石の短剣を引き抜き、近くの壁に投げつけてみる。器用増加の影響を受けた完璧なコントロールで、スコッという音と共に短剣は壁にその刃を半ばまで縫い付ける。
ぞんざいに投げたようでいてその実、正確にコントロールできている。素晴らしきかな増加スキル。
ステータスを出して確認すると効果は持続している。問題はないようだ。
ステータスを確認した時にふと目に入ったスキルにより、あることを思い出した。
「鑑定あるのに全然使ってなかったわ……習慣になるくらい意識して使わないとあっさり忘れるなコレ……」
「ワタリ様ならば必ずや物に出来ると確信しております」
「……いや、うん……ソウダネ」
アルの相変わらずの確信っぷりになんとも言えない気持ちになったが、一先ず回収した短剣に鑑定を使ってみる。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□
黒狼石の短剣 [空] [空] [空] [空] [空]
武器種:短剣
黒狼石を全体に使用した短剣。
光を返さないほどの漆黒の刃は全ての物を飲み込み切り裂く。
意思を持ち所有者を自身で判断する。
選ばれた所有者に与えられる加護は絶大。
固有スキル:黒狼の加護
■□■□■□■□■□■□■□■□■□
「……おぉ、すげぇ……」
鑑定結果の詳細が書かれたウィンドウに目を通した瞬間口から自然と言葉が零れた。
空きスロットが5つ。
まだ他の武器を見たことはないが、5つもスロットが空いているなんて早々ないだろう。
書かれている効果は体感してわかったとおりの絶大な効果。
固有スキルの黒狼の加護がそれだろう。加護という名は伊達ではないようだ。
知識の収集にもこの鑑定は使える。
鑑定文には詳細というには十分とは言えないが簡単に説明がきちんと書かれている。
これはこの世界の知識がほとんどないオレにとっては重要な物だ。
まだまだ店を周る予定だしどんどん鑑定を使っていこうと思いながら路地裏の出口で振り返った時には、薄汚れた店ではなく廃屋がそこにあった。
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記憶も曖昧なまま、絶望の淵に立たされた弓束。しかし、彼女が唯一失っていなかったもの――それは、現代日本で培った高度な医療知識と技術だった。
偶然出会った獣人冒険者の重度の骨折を、その知識で的確に応急処置したことで、弓束の運命は大きく動き出す。
彼女の異質な才能を見抜いたのは、誰もがその実力を認めながらも距離を置く、孤高の天才魔導医ギルベルトだった。
「お前、弟子になれ。俺の研究の、良い材料になりそうだ」
強引な天才に拾われた弓束は、魔法が存在するこの世界の「医療」が、自分の知るものとは全く違うことに驚愕する。
「菌?感染症?何の話だ?」
滅菌の概念すらない遅れた世界で、弓束の現代知識はまさにチート級!
しかし、そんな彼女の常識をさらに覆すのが、師ギルベルトの存在だった。彼が操る、生命の根幹『魔力回路』に干渉する神業のような治療魔法。その理論は、弓束が知る医学の歴史を遥かに超越していた。
規格外の弟子と、人外の師匠。
二人の出会いは、やがて異世界の医療を根底から覆し、多くの命を救う奇跡の始まりとなる。
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‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。
「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。
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