148 / 183
第7章
147,超巨大迷宮カトルゼ Part,3
しおりを挟む
27階層の通路を進んでいると大分先の通路にチラッと光源が見えた。
魔物は光源を持っていないので冒険者だろう。別れ道もないし、すれ違うくらいなら別に問題ないだろうと思いそのまま進む事にした。
光源はオレ達が進んでいるから近くなってきているが、どうやら動いていないようだ。
相手が迷賊なりなんなりで不意打ちしてくるつもりなら光源をつけっぱなしの意味はないし、休憩するにもここは通路だ。光源外は暗闇が支配する空間となっているため、魔物がいつ出てくるかわかったものではない。
となると残っているのは戦闘中という選択肢。
近づくにつれてやはりその答えはあっていたようで、怒声と金属同士がかち合う音が聞こえてきた。
27階層には鉄の防具と武器で完全武装した二足歩行の山羊――アングリーゴートが大量に出てくる。
こいつらは防具を装備しているので結構強い。連携はあまり取れず、名前通りに怒り狂って怒涛の勢いで突撃してくる。
鉄の弾丸……というほど早くはないが数が多い上に鉄の防具で固めているのでなかなか対処に困る……らしい。
オレ達にとっては鉄の防具など大した意味もないのでまっすぐに突撃してくれるこの山羊達は他の魔物以上に楽勝だ。だが適正ランクの冒険者達にとっては手強い魔物なのだそうだ。
「アングリーゴートですかね?」
「恐らくはそうでしょうね。すでに乱戦にもつれこんでいるのではないでしょうか」
アングリーゴートは突撃から乱戦に持ち込んで数で押す戦法しか取らない。しかしこれがなかなか厳しいのも事実。
鉄の防具で固めているアングリーゴートに懐に入られ、数で押されるだけで壊滅していく冒険者PTは多い。
懐に入られ、連携を崩されると後衛を守る暇もなく押し切られる場合が多々あり、そうなると全滅が見えてくる。たとえアングリーゴートを退けられても後衛が大打撃を受けては次が危険だ。
そうやって捨て身の特攻しかしてこないアングリーゴートは冒険者から非常に嫌われている。
通路は斜めに曲がっているため光源は見えども冒険者や魔物の姿は見えない。だが光源から伸びる影は忙しなく動き回り、音と共に激しい戦闘の様子を伝えている。
別れ道もなく、別の道を行くには引き返すしかない。
戦闘が終わるのを待ってから追い越すのがよさそうだが、光源から伸びる影の様子と怒声と悲鳴から見て苦戦しているのはわかっている。
戦闘は勝利するだろう。だが被害はかなり大きそうだ。
そんな中を追い越していくのは何か嫌な予感がする。
「どうします?」
「戦闘終了後に進みましょう。このような場面を回避していてはこの先同じようなことがあるたびに回避しなければいけなくなってしまいますので」
「まぁそうですね」
レーネさんの言う事ももっともだ。
いちいち他の冒険者を回避していては攻略に時間がかかってしょうがない。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
しばらく待っていればやはり戦闘は冒険者達の勝利で幕を閉じたようだ。
しかしくぐもった呻き声や悪態を吐く声などが微かに聞こえる。
オレ達の光源も見える位置に来ているので、他のPTがいることはわかっているはずだ。
もう戦闘も終わっているし、さっさと追い越してしまおう。
通路を進み光源が見えてくるとボロボロの傷だらけになっている冒険者と床に倒れたまま動かなくなっている――恐らく死体――と、ほぼ無傷で傷だらけと死体の冒険者とは装備がまるで違う総勢15名ほどのPTが見えてくる。
【奴隷を矢面に立てているPTですかね?】
【そのようですね。しかしカトルゼの27階層であの装備では……】
【最初から捨て駒として使っていたんでしょうね】
奴隷を肉壁として迷宮を攻略するのはよくあることだ。
元ランクS冒険者『破滅の牙』のリオネットもそうやって150階層もの迷宮を攻略してみせ、ランクSとなったくらいだ。
お金にさえ糸目をつけなければ効率的ともいえるかもしれない。
しかもカトルゼのクリスタルの特徴としてPT単位で移動する事になるので、1PTに纏める必要がある。
大PTでの攻略は同じ階層でもランダムに飛ばされてしまうので効率がいいとはいえない。それどころか迷宮内で合流することすら出来ずに終わるのがオチだ。
しかし1PTには普通は6人までしか入れない。
普通ではない者――従者や奴隷――は5人で1人分という換算になるので、ソレらの者を使う場合は1PTに最大で26人まで詰め込む事も可能だ。
数は力。これはある程度このウイユベールでも共通している。
しかしオレやレーネさんのような一騎当千な存在も数多く存在することから完全ではない。
だがやはり一般的には十分な意味を成す。
目の前のPTもそういったPTなのだろう。
装備が違っていて無傷の冒険者達が主で、それ以外は奴隷か従者なのだろう。人数的にも15人もいるのだからそうなる。
オレ達が近づいてきた事から無傷の冒険者達は舌打ちしてこちらを睨み付けている。
しかしオレ達が3人、しかもうち2人は子供だと気づいてからは逆にニヤニヤし始めている辺り救い様がない。
【これは絡まれそうですねぇ】
【……そうなるかもしれません。奴隷がほとんど動けない状態ですし、回避しますか?】
【こんなところで捕縛しても意味ないですしね】
【では私が光球投げたら、複数転移をお願いします】
今回の回避は絡まれてこちらに被害が出る前にとっとと場所を移すという方法だ。
レーネさんが光球を投げるのは転移先の場所を確保するため。真っ暗だとターゲット出来ずに失敗してしまうのだ。
だがこれも絡まれたらの話で、絡まれなかったら普通に通って終わりだ。
だがやはりそんな甘い事はなかった。
というかオレの考えはさらに甘かったみたいだ。
せいぜいが何か言ってきて絡んでくる程度だと思っていたのだ。
いきなり襲い掛かってくるとは思ってもみなかった。
ボロボロの傷だらけの奴隷が一斉に通路の壁を利用して半円に包囲し、その後ろから無傷の冒険者達が下卑た笑い声と共に矢と魔法を放ってきた。
一瞬奴隷達の動きと矢と魔法に呆気に取られたが、アルによって全て弾かれ逸らされ、包囲している奴隷達へと流され数人が崩れ落ちる。
悪態と同時に怒声が響き渡り、包囲している奴隷達が押し寄せようと1歩を踏み出した時にはその半分の首が胴体と別れていた。
レーネさんの飛斬だ。
奴隷達もボロボロとはいえ防具を着込んでいる。
しかし鉄の防具で完全武装しているアングリーゴートをバターのようにさくさく斬ってしまうレーネさんの飛斬だ。ソレ以下の防具しか着ていない者が耐えられるわけがない。
首や肩から上――身長や体勢によりまちまちながらも――なくなった体から大量の血液が噴き出し、崩れ落ちる。
その様に一瞬動きが止まった残りの奴隷も同じ末路を辿っていた。
包囲が完全になくなり、残っているのは唖然としたままの無傷の冒険者のみ。
その頃にはオレも状況を理解し終わっていたので、無傷で残っていた冒険者3人の四肢に氷の矢を打ち込み終わっていた。
痛みにのた打ち回る冒険者3人。そのうちの立派そうな長剣を持っていた男が、腰から小さな試験管のような物を動かしづらくなった腕で取り出そうとしていたので、もう1発ずつ全員の手のひらに氷の矢を打ち込み地面に縫い付けておいた。
悲鳴と怨嗟の声を上げ、自分達の状況をまったく理解できていない冒険者に冷たい瞳を向けたレーネさんの腕がぶれる。
うるさいほどに響いていた声が止み、静寂が訪れた。
「なんというか、救い様がないやつらでしたね」
「はい。解体して先に進みましょう」
結局手を汚したのは全部レーネさんだったけれど、レーネさんの表情は別段曇ったりはしない。
騎士団に所属していた過去もあり、尚且つソロで冒険者をしていたレーネさんだ。こういうことは1度や2度ではなかったのかもしれない。
恐らくやつらはレーネさんを狙ったのだろう。レーネさん可愛いし。
あれ? でもレーネさんは人がいることがわかっていたからフードを深く被っていた。
……もしかして狙いはオレ? もしくはオレ達の装備や物資か?
どっちにしても糞野郎だったことには変わりないか。
あぁいう救い様がないやつらを助けてやるほど暇じゃない。
ここが街中だったら別だったかもしれないが、帰還用魔道具を持っていても騎士団の詰め所に突き出すのは面倒だ。
何よりここはカトルゼだ。ラッシュの街とは大分距離がある。突き出すならカトルゼの町の方になるだろう。
捕虜を引き連れて青いクリスタルを探すのはさすがに遠慮したいし、突き出しても貰える物は金貨1枚いくかどうかだろう。今更金貨1枚貰うくらいなら進んで魔物の素材をゲットした方が有用だ。
オレも大分こちらの世界に慣れてきたということだろうな。
まぁ奴隷の人達は気の毒だったと思わないでもないけれどね。
運が悪かったとしか言いようがない。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
人間も解体することが出来る。
解体すると装備品などと一緒にタグが残る。
これらを冒険者ギルドや商業ギルドに持っていくとお金が貰えたりする。
もちろんただ殺した場合は賞罰の記録が残ってしまうので街などに入る際につかまってしまう。
うまくやれば殺人で稼ぐ事も可能かもしれないが、もらえる額は大した額ではなくとてもじゃないが割には合わない。
もちろん今回は相手が先制しているので賞罰はつかない。
今回タグをギルドに届けるのは奴隷の分だけにする事にした。
主犯のゴミ達のタグはその場で破壊した。
タグは主成分が何なのかよくわからなかったが、グレートコーンでひと叩きしたら粉々になった。
奴隷達の分だけでもギルドに届ければ、遺族などが居たらそちらに渡ることになるだろう。
まぁ奴隷のタグなのでまず遺族に渡る事はないという話だけど。一応だ。
これもカトルゼの町の方に届ける必要があるので攻略が終わってからの話になるだろう。
それまでは仕方ないがアルのアイテムボックスの中で保管だ。
装備やアイテムボックスに保管されていたと思われるアイテムが床に散らばっていたが、それらも全て回収してある。
ポーターも数人混ざっていたようだが、生き残りはいないし、アルのアイテムボックスにはまだまだ余裕があるので問題ない。
むしろ着替えなどがあって、それらは明らかに悪臭を放っていたりしたので分けるのが面倒臭かった。
もちろん燃やしてやった。わざわざスキルを変更してから塵も残さず燃やしてやった。
ただっ広い迷宮なので多少燃やした程度では問題にもなりはしない。
悪臭も風を起こして散らしたので大丈夫。
回収作業も終わって要らない物は着替えなどと一緒に燃やしたので、もうほとんど何も残っていない。
あれだけ溢れていた血も解体すればなくなってしまうのだから不思議なものだ。
何もなくなった戦闘跡地を振り返ることなく、オレ達の迷宮攻略は続く。
魔物は光源を持っていないので冒険者だろう。別れ道もないし、すれ違うくらいなら別に問題ないだろうと思いそのまま進む事にした。
光源はオレ達が進んでいるから近くなってきているが、どうやら動いていないようだ。
相手が迷賊なりなんなりで不意打ちしてくるつもりなら光源をつけっぱなしの意味はないし、休憩するにもここは通路だ。光源外は暗闇が支配する空間となっているため、魔物がいつ出てくるかわかったものではない。
となると残っているのは戦闘中という選択肢。
近づくにつれてやはりその答えはあっていたようで、怒声と金属同士がかち合う音が聞こえてきた。
27階層には鉄の防具と武器で完全武装した二足歩行の山羊――アングリーゴートが大量に出てくる。
こいつらは防具を装備しているので結構強い。連携はあまり取れず、名前通りに怒り狂って怒涛の勢いで突撃してくる。
鉄の弾丸……というほど早くはないが数が多い上に鉄の防具で固めているのでなかなか対処に困る……らしい。
オレ達にとっては鉄の防具など大した意味もないのでまっすぐに突撃してくれるこの山羊達は他の魔物以上に楽勝だ。だが適正ランクの冒険者達にとっては手強い魔物なのだそうだ。
「アングリーゴートですかね?」
「恐らくはそうでしょうね。すでに乱戦にもつれこんでいるのではないでしょうか」
アングリーゴートは突撃から乱戦に持ち込んで数で押す戦法しか取らない。しかしこれがなかなか厳しいのも事実。
鉄の防具で固めているアングリーゴートに懐に入られ、数で押されるだけで壊滅していく冒険者PTは多い。
懐に入られ、連携を崩されると後衛を守る暇もなく押し切られる場合が多々あり、そうなると全滅が見えてくる。たとえアングリーゴートを退けられても後衛が大打撃を受けては次が危険だ。
そうやって捨て身の特攻しかしてこないアングリーゴートは冒険者から非常に嫌われている。
通路は斜めに曲がっているため光源は見えども冒険者や魔物の姿は見えない。だが光源から伸びる影は忙しなく動き回り、音と共に激しい戦闘の様子を伝えている。
別れ道もなく、別の道を行くには引き返すしかない。
戦闘が終わるのを待ってから追い越すのがよさそうだが、光源から伸びる影の様子と怒声と悲鳴から見て苦戦しているのはわかっている。
戦闘は勝利するだろう。だが被害はかなり大きそうだ。
そんな中を追い越していくのは何か嫌な予感がする。
「どうします?」
「戦闘終了後に進みましょう。このような場面を回避していてはこの先同じようなことがあるたびに回避しなければいけなくなってしまいますので」
「まぁそうですね」
レーネさんの言う事ももっともだ。
いちいち他の冒険者を回避していては攻略に時間がかかってしょうがない。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
しばらく待っていればやはり戦闘は冒険者達の勝利で幕を閉じたようだ。
しかしくぐもった呻き声や悪態を吐く声などが微かに聞こえる。
オレ達の光源も見える位置に来ているので、他のPTがいることはわかっているはずだ。
もう戦闘も終わっているし、さっさと追い越してしまおう。
通路を進み光源が見えてくるとボロボロの傷だらけになっている冒険者と床に倒れたまま動かなくなっている――恐らく死体――と、ほぼ無傷で傷だらけと死体の冒険者とは装備がまるで違う総勢15名ほどのPTが見えてくる。
【奴隷を矢面に立てているPTですかね?】
【そのようですね。しかしカトルゼの27階層であの装備では……】
【最初から捨て駒として使っていたんでしょうね】
奴隷を肉壁として迷宮を攻略するのはよくあることだ。
元ランクS冒険者『破滅の牙』のリオネットもそうやって150階層もの迷宮を攻略してみせ、ランクSとなったくらいだ。
お金にさえ糸目をつけなければ効率的ともいえるかもしれない。
しかもカトルゼのクリスタルの特徴としてPT単位で移動する事になるので、1PTに纏める必要がある。
大PTでの攻略は同じ階層でもランダムに飛ばされてしまうので効率がいいとはいえない。それどころか迷宮内で合流することすら出来ずに終わるのがオチだ。
しかし1PTには普通は6人までしか入れない。
普通ではない者――従者や奴隷――は5人で1人分という換算になるので、ソレらの者を使う場合は1PTに最大で26人まで詰め込む事も可能だ。
数は力。これはある程度このウイユベールでも共通している。
しかしオレやレーネさんのような一騎当千な存在も数多く存在することから完全ではない。
だがやはり一般的には十分な意味を成す。
目の前のPTもそういったPTなのだろう。
装備が違っていて無傷の冒険者達が主で、それ以外は奴隷か従者なのだろう。人数的にも15人もいるのだからそうなる。
オレ達が近づいてきた事から無傷の冒険者達は舌打ちしてこちらを睨み付けている。
しかしオレ達が3人、しかもうち2人は子供だと気づいてからは逆にニヤニヤし始めている辺り救い様がない。
【これは絡まれそうですねぇ】
【……そうなるかもしれません。奴隷がほとんど動けない状態ですし、回避しますか?】
【こんなところで捕縛しても意味ないですしね】
【では私が光球投げたら、複数転移をお願いします】
今回の回避は絡まれてこちらに被害が出る前にとっとと場所を移すという方法だ。
レーネさんが光球を投げるのは転移先の場所を確保するため。真っ暗だとターゲット出来ずに失敗してしまうのだ。
だがこれも絡まれたらの話で、絡まれなかったら普通に通って終わりだ。
だがやはりそんな甘い事はなかった。
というかオレの考えはさらに甘かったみたいだ。
せいぜいが何か言ってきて絡んでくる程度だと思っていたのだ。
いきなり襲い掛かってくるとは思ってもみなかった。
ボロボロの傷だらけの奴隷が一斉に通路の壁を利用して半円に包囲し、その後ろから無傷の冒険者達が下卑た笑い声と共に矢と魔法を放ってきた。
一瞬奴隷達の動きと矢と魔法に呆気に取られたが、アルによって全て弾かれ逸らされ、包囲している奴隷達へと流され数人が崩れ落ちる。
悪態と同時に怒声が響き渡り、包囲している奴隷達が押し寄せようと1歩を踏み出した時にはその半分の首が胴体と別れていた。
レーネさんの飛斬だ。
奴隷達もボロボロとはいえ防具を着込んでいる。
しかし鉄の防具で完全武装しているアングリーゴートをバターのようにさくさく斬ってしまうレーネさんの飛斬だ。ソレ以下の防具しか着ていない者が耐えられるわけがない。
首や肩から上――身長や体勢によりまちまちながらも――なくなった体から大量の血液が噴き出し、崩れ落ちる。
その様に一瞬動きが止まった残りの奴隷も同じ末路を辿っていた。
包囲が完全になくなり、残っているのは唖然としたままの無傷の冒険者のみ。
その頃にはオレも状況を理解し終わっていたので、無傷で残っていた冒険者3人の四肢に氷の矢を打ち込み終わっていた。
痛みにのた打ち回る冒険者3人。そのうちの立派そうな長剣を持っていた男が、腰から小さな試験管のような物を動かしづらくなった腕で取り出そうとしていたので、もう1発ずつ全員の手のひらに氷の矢を打ち込み地面に縫い付けておいた。
悲鳴と怨嗟の声を上げ、自分達の状況をまったく理解できていない冒険者に冷たい瞳を向けたレーネさんの腕がぶれる。
うるさいほどに響いていた声が止み、静寂が訪れた。
「なんというか、救い様がないやつらでしたね」
「はい。解体して先に進みましょう」
結局手を汚したのは全部レーネさんだったけれど、レーネさんの表情は別段曇ったりはしない。
騎士団に所属していた過去もあり、尚且つソロで冒険者をしていたレーネさんだ。こういうことは1度や2度ではなかったのかもしれない。
恐らくやつらはレーネさんを狙ったのだろう。レーネさん可愛いし。
あれ? でもレーネさんは人がいることがわかっていたからフードを深く被っていた。
……もしかして狙いはオレ? もしくはオレ達の装備や物資か?
どっちにしても糞野郎だったことには変わりないか。
あぁいう救い様がないやつらを助けてやるほど暇じゃない。
ここが街中だったら別だったかもしれないが、帰還用魔道具を持っていても騎士団の詰め所に突き出すのは面倒だ。
何よりここはカトルゼだ。ラッシュの街とは大分距離がある。突き出すならカトルゼの町の方になるだろう。
捕虜を引き連れて青いクリスタルを探すのはさすがに遠慮したいし、突き出しても貰える物は金貨1枚いくかどうかだろう。今更金貨1枚貰うくらいなら進んで魔物の素材をゲットした方が有用だ。
オレも大分こちらの世界に慣れてきたということだろうな。
まぁ奴隷の人達は気の毒だったと思わないでもないけれどね。
運が悪かったとしか言いようがない。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
人間も解体することが出来る。
解体すると装備品などと一緒にタグが残る。
これらを冒険者ギルドや商業ギルドに持っていくとお金が貰えたりする。
もちろんただ殺した場合は賞罰の記録が残ってしまうので街などに入る際につかまってしまう。
うまくやれば殺人で稼ぐ事も可能かもしれないが、もらえる額は大した額ではなくとてもじゃないが割には合わない。
もちろん今回は相手が先制しているので賞罰はつかない。
今回タグをギルドに届けるのは奴隷の分だけにする事にした。
主犯のゴミ達のタグはその場で破壊した。
タグは主成分が何なのかよくわからなかったが、グレートコーンでひと叩きしたら粉々になった。
奴隷達の分だけでもギルドに届ければ、遺族などが居たらそちらに渡ることになるだろう。
まぁ奴隷のタグなのでまず遺族に渡る事はないという話だけど。一応だ。
これもカトルゼの町の方に届ける必要があるので攻略が終わってからの話になるだろう。
それまでは仕方ないがアルのアイテムボックスの中で保管だ。
装備やアイテムボックスに保管されていたと思われるアイテムが床に散らばっていたが、それらも全て回収してある。
ポーターも数人混ざっていたようだが、生き残りはいないし、アルのアイテムボックスにはまだまだ余裕があるので問題ない。
むしろ着替えなどがあって、それらは明らかに悪臭を放っていたりしたので分けるのが面倒臭かった。
もちろん燃やしてやった。わざわざスキルを変更してから塵も残さず燃やしてやった。
ただっ広い迷宮なので多少燃やした程度では問題にもなりはしない。
悪臭も風を起こして散らしたので大丈夫。
回収作業も終わって要らない物は着替えなどと一緒に燃やしたので、もうほとんど何も残っていない。
あれだけ溢れていた血も解体すればなくなってしまうのだから不思議なものだ。
何もなくなった戦闘跡地を振り返ることなく、オレ達の迷宮攻略は続く。
36
あなたにおすすめの小説
神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜
シュガーコクーン
ファンタジー
女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。
その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!
「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。
素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯
旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」
現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。
天才魔導医の弟子~転生ナースの戦場カルテ~
けろ
ファンタジー
【完結済み】
仕事に生きたベテランナース、異世界で10歳の少女に!?
過労で倒れた先に待っていたのは、魔法と剣、そして規格外の医療が交差する世界だった――。
救急救命の現場で十数年。ベテラン看護師の天木弓束(あまき ゆづか)は、人手不足と激務に心身をすり減らす毎日を送っていた。仕事に全てを捧げるあまり、プライベートは二の次。周囲からの期待もプレッシャーに感じながら、それでも人の命を救うことだけを使命としていた。
しかし、ある日、謎の少女を救えなかったショックで意識を失い、目覚めた場所は……中世ヨーロッパのような異世界の路地裏!? しかも、姿は10歳の少女に若返っていた。
記憶も曖昧なまま、絶望の淵に立たされた弓束。しかし、彼女が唯一失っていなかったもの――それは、現代日本で培った高度な医療知識と技術だった。
偶然出会った獣人冒険者の重度の骨折を、その知識で的確に応急処置したことで、弓束の運命は大きく動き出す。
彼女の異質な才能を見抜いたのは、誰もがその実力を認めながらも距離を置く、孤高の天才魔導医ギルベルトだった。
「お前、弟子になれ。俺の研究の、良い材料になりそうだ」
強引な天才に拾われた弓束は、魔法が存在するこの世界の「医療」が、自分の知るものとは全く違うことに驚愕する。
「菌?感染症?何の話だ?」
滅菌の概念すらない遅れた世界で、弓束の現代知識はまさにチート級!
しかし、そんな彼女の常識をさらに覆すのが、師ギルベルトの存在だった。彼が操る、生命の根幹『魔力回路』に干渉する神業のような治療魔法。その理論は、弓束が知る医学の歴史を遥かに超越していた。
規格外の弟子と、人外の師匠。
二人の出会いは、やがて異世界の医療を根底から覆し、多くの命を救う奇跡の始まりとなる。
これは、神のいない手術室で命と向き合い続けた一人の看護師が、新たな世界で自らの知識と魔法を武器に、再び「救う」ことの意味を見つけていく物語。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~
志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。
けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。
そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。
‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。
「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。
知識スキルで異世界らいふ
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ
余命半年のはずが?異世界生活始めます
ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明…
不運が重なり、途方に暮れていると…
確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。
僕だけレベル1~レベルが上がらず無能扱いされた僕はパーティーを追放された。実は神様の不手際だったらしく、お詫びに最強スキルをもらいました~
いとうヒンジ
ファンタジー
ある日、イチカ・シリルはパーティーを追放された。
理由は、彼のレベルがいつまでたっても「1」のままだったから。
パーティーメンバーで幼馴染でもあるキリスとエレナは、ここぞとばかりにイチカを罵倒し、邪魔者扱いする。
友人だと思っていた幼馴染たちに無能扱いされたイチカは、失意のまま家路についた。
その夜、彼は「カミサマ」を名乗る少女と出会い、自分のレベルが上がらないのはカミサマの所為だったと知る。
カミサマは、自身の不手際のお詫びとしてイチカに最強のスキルを与え、これからは好きに生きるようにと助言した。
キリスたちは力を得たイチカに仲間に戻ってほしいと懇願する。だが、自分の気持ちに従うと決めたイチカは彼らを見捨てて歩き出した。
最強のスキルを手に入れたイチカ・シリルの新しい冒険者人生が、今幕を開ける。
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる