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第7章
149,戦力分析とネーシャの異変
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カトルゼ51階層以降は今までとは違った困難さになり、難易度も跳ね上がる。
屋敷に戻ってきてこれからの攻略の再確認をすると共に自分達の戦力の再確認もすることになった。
まずオレだ。
========
名前:ワタリ・キリサキ BaseLv:45 性別:女 年齢:6 職業:魔導師Lv14
装備:黒狼石の短剣 笹百合のミスリルの篭手[火耐Lv5 風耐Lv5] 鬼百合のミスリルの靴[麻痺耐Lv5 毒耐Lv5] 鈴蘭のミスリルの胸当て[鈍化耐Lv5 石化耐Lv5 幻覚耐Lv5] 黄百合のミスリルベルト[土耐Lv5 水耐Lv5] 月陽のネックレス 狐の木彫りのペンダント
HP:200/200
MP:151/151#(+6)[+15]
筋力:35
器用:35
敏捷:65<+30>
魔力:37<+1>[+11]
回復力:150#(+33)[+22]
運:5
状態:健康
所有:アル#(従者) ネーシャ#(奴隷) その他
所持職業:町民Lv1 戦士Lv1 冒険者Lv1 治療師Lv12 魔法使いLv30 魔導師Lv14
残りポイント:0
所持スキル
成長率増加Lv10 スキルリセット ステータス還元
ウイユベール共通語翻訳#(自動筆記翻訳付き) 鑑定 クラスチェンジ
王族の不文律
筋力増加Lv5 敏捷増加Lv5 器用増加Lv5
魔力増加Lv5 回復力増加Lv10
HP増加Lv5 MP増加Lv10
鈍器スキルLv1
初級魔法:体力回復 中級魔法:水 中級魔法:風
単独転移Lv1 複数転移Lv1
気配察知Lv1
毒回復 麻痺回復 石化回復
詠唱破棄
回復力強化Lv3
アイテムボックス拡張Lv4 PT編成
========
この5日間でBaseLvが2上がり、BaseLv45となった。
魔導師は1つしかあがっておらずLv14。
ボーナスポイントは回復力に振り、ちょうど150になるように調整。
これで回復力強化Lv3を常時かけることによって回復力300の状態を維持できる。
他に変わったところは特になし。
状況に応じてスキルも変更できるオレにとっては、BaseLvが上がってボーナスポイントが入ってもそれほど悩む必要はない。
それにしても職業も完全に魔法系だ。
見事にLvが上がっているのが魔法職しかない。
スキル構成は前衛にもなれるように多少残してあるが、魔法特化というよりは王族の不文律特化といった構成だ。
もうこのスキル構成で戦術的にも固まっているので大きく崩す事はないだろう。
トレーニングとかそういった特殊な条件下でなければ、状況に応じて少し変更する程度となる。
次はアルだ。
アルのステータスは見れないので聞いた分だけだ。
BaseLvは64。
スキルはアイテムボックス拡張Lv7のみ。
しかしアル専用職業『執事』により、スキルに組み込まれない専用能力が高いレベルで備わっている。
その専用能力の汎用性の高さは開いた口が塞がらないほどだ。
まぁアルの能力が高いことは今更だ。
問題はアイテムボックス拡張がLv7になったこと。
カトルゼに来るまではポイントが足りなかったからLv6だった。それでも異常なほどのアイテムを保持することができている。
カトルゼで大量に魔物を狩った事により、ただでさえシトポーの祝福で大幅なLvアップ速度上昇があるアルとレーネさんはがっちりLvが上がっていたのだ。
しかしそこは高レベルの宿命というか必要経験値がだんだん高くなってくるので、オレのLvアップ速度と若干近くなってきている。
まぁそれでもオレより早く上がるけど。
そして以前からの宣言通りポイントが100を突破したアルはアイテム拡張を前人未到のLv7にした。
そこで驚きの事実がわかった。
なんとアイテムボックス拡張がLv7になると入る容量が無限となったのだ。
拡張と同時にアルはそれを理解したらしくそう告げてきた。
まぁこれでアルのアイテムボックス拡張計画はひと段落だろう。
次は一体何にポイントを注ぎ込むのかちょっと怖い。
さてお次はレーネさん。
うちのPTでレーネさんが1番BaseLvが高い。
なんとそのBaseLvは70である。
BaseLv70という数値はランクSの中でもトップクラスのLvを意味するものであり、歴史に名を残すレベルの高さだ。
ちなみにアルのBaseLv64もすでにランクSレベルだ。
ポイントはステータス強化に回しているそうだ。グレーさんの結界に飛斬を無効化されたのを気にしているようで、筋力に全振りしたそうな。
今までは尊敬するお兄さんだから敵わなくて当たり前みたいな感じだったのが、オレ達とPTを組んで徐々に変わっていったレーネさんはグレーさんの事を敵わない尊敬する人物から超えるべき壁へとその認識を変化させているようだ。
ちなみにレーネさんの職はホワイトナイトでLvは42。
上位職の中でも極めて強力な職の1つだ。
メンバーはオレ含めて3人という極めて少ない人数ではあるが、その実態は異常なほどの火力と鉄壁な防御を誇るPTだ。
51階層から難易度が劇的に変わるとはいえ、オレ達が突破できないとは思えない。
物資の量や管理も他を大きく引き離すほどの有利さがあり、且ついつでも取りに戻れるという卑怯なほどのアドバンテージがある。
まぁその前に物資をほとんど使わないわけだが。
迷宮内で夜を過ごすこともないし、安全なベッドで快眠を約束されている状態で万全の体制で挑んでいる迷宮攻略。
これで進めないとなれば一体どんなPTなら攻略できるのやら。
それでも念には念を入れてしっかりとこれからの攻略について話し合い、今日も海鳥亭でネーシャに抱き枕にされたのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
明けて翌日。
今日も朝から迷宮へと出発しようと思っていたら、エンタッシュが海鳥亭までやってきていた。
「それで用って?」
「はい、お嬢様。兼ねてより入手を承っていた『リリンの羽根』の『座標楔』が入手できましたので、ご報告と受け渡しに参りました」
「おぉー。遂に見つかったんだ。いくらだったの?」
「はい。白金貨1枚と金貨45枚でまとまりました」
「アンカー1つにそれだけかかるかー。お金はいっぱいあるといっても限度があるからねぇ。
でもこれで便利になったのも事実だ。
ありがとう、エンタッシュ。
あ、でも引き続きアンカー入手は続行ね」
「畏まりました」
エンタッシュから帰還用魔道具用のアンカーをアルが受け取り、彼はそのまま屋敷へと戻っていった。
帰還用魔道具のアンカーは帰還用魔道具を使うのに必ず必要な物だ。
これがないと帰還用魔道具を使っても移動先がわからず不発に終わってしまう。
しかし今まで持っていたアンカーは2つ。
屋敷に固定してあるものが1つと移動先に固定しておくのが1つだ。
今までは帰還用魔道具を使って移動できるのは屋敷と移動先だけだったけど、これで選択肢の幅が広がった。
例えばこれでカトルゼの町に宿を取るなり、家を購入するなりしてアンカーを固定しておけばいつでも屋敷と迷宮とカトルゼの町を瞬時に移動できる。
ただカトルゼの町にアンカーを設置するつもりはない。
迷宮を攻略中なのに町に姿を現すのはあまり得策ではない。
ただでさえ帰還用魔道具はレア中のレアなのだ。27階層で襲ってきたやつらの奴隷のタグを処理するのは迷宮攻略が終わったあとでいいし、特段急ぐものでもない。その他にはあの町に用はないし。
「さってそれじゃ攻略の続きに行きますかねぇ~」
「はい、ワタリさん」
「お待ちください、ワタリ様」
「お?」
いざ再出発というところでアルの制止の声がかかる。
すぐにアルの戦闘服でもある燕尾服から魔道具が取り出され、それを彼は耳に当てる。
アレはネーシャにも持たせている通信用の魔道具だ。
ネーシャは朝にランカスター家に送り届けたばかりで、別れたのはついさっきだ。
「……分かりました。今すぐ参ります……えぇ、それではしばしお待ちを」
「アル、ネーシャに何かあったの?」
「答えは是。ですが命の危険があるというものではありません。
緊急というほどではないようですが、ネーシャが突然仕事が手に付かなくなり、ワタリ様に会いたいと言い出したそうです」
「……わがままなんて全然言わないネーシャが珍しいね。
……よし、すぐ行こう。
いいですよね、レーネさん?」
「はい、もちろんです」
レーネさんもネーシャが心配なようで、オレの問いにすぐに頷いてくれた。
あとはランカスター家に向かうだけだ。
海鳥亭を飛び出したオレ達は屋根の上を複数転移で移動して、連絡を受けてほんの数分でランカスター家の近くの家の屋根までやってきていた。
路地裏に転移するのももどかしかったのでランカスター家の扉の前に直接転移してそのまま扉を叩く。付近にいた人が突然現れたオレ達にぎょっとしていたけどそんなものを気にしている暇はない。
すぐにユユさんが飛び出てきてオレ達を中へ入れてくれた。
「それで何があったんですか?」
「それがね、ちょっとよくわからないんだ。でも突然ネーシャちゃんが震え出してワタリちゃんに会いたいって」
「じゃあ怪我とかそういうんじゃないんですね?」
「うん、そういうのではないよ。でも突然だったからびっくりしちゃって」
「わかりました……ネーシャ!」
飛び出すように出迎えてくれたユユさんも事態がよく掴めていないようで若干おろおろしており、心配そうに眉尻を下げている。
勝手知ったるランカスター家の中を足早に移動しながら状況を聞き、ネーシャがいる工房へ入るとすぐに毛布に包まって震えているネーシャを発見した。
「お嬢様!」
「はいはい、もう大丈夫だよ。どうしたの? 何があったの?」
「お嬢様……お嬢様……お嬢様ぁ……」
ネーシャを発見して声をかけるとすぐさま顔上げた彼女はオレに抱きついて、そのまま震える体で強く抱きしめてきた。
そんなに強く抱きしめたらつけっぱなしの鎧で痛いだろうに。
ネーシャがこんなになるなんて初めてだ。
一体何があったのだろうか。
尚も震え続けるネーシャの背中をさすり、落ち着くまでそのままにしてあげることにした。
屋敷に戻ってきてこれからの攻略の再確認をすると共に自分達の戦力の再確認もすることになった。
まずオレだ。
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名前:ワタリ・キリサキ BaseLv:45 性別:女 年齢:6 職業:魔導師Lv14
装備:黒狼石の短剣 笹百合のミスリルの篭手[火耐Lv5 風耐Lv5] 鬼百合のミスリルの靴[麻痺耐Lv5 毒耐Lv5] 鈴蘭のミスリルの胸当て[鈍化耐Lv5 石化耐Lv5 幻覚耐Lv5] 黄百合のミスリルベルト[土耐Lv5 水耐Lv5] 月陽のネックレス 狐の木彫りのペンダント
HP:200/200
MP:151/151#(+6)[+15]
筋力:35
器用:35
敏捷:65<+30>
魔力:37<+1>[+11]
回復力:150#(+33)[+22]
運:5
状態:健康
所有:アル#(従者) ネーシャ#(奴隷) その他
所持職業:町民Lv1 戦士Lv1 冒険者Lv1 治療師Lv12 魔法使いLv30 魔導師Lv14
残りポイント:0
所持スキル
成長率増加Lv10 スキルリセット ステータス還元
ウイユベール共通語翻訳#(自動筆記翻訳付き) 鑑定 クラスチェンジ
王族の不文律
筋力増加Lv5 敏捷増加Lv5 器用増加Lv5
魔力増加Lv5 回復力増加Lv10
HP増加Lv5 MP増加Lv10
鈍器スキルLv1
初級魔法:体力回復 中級魔法:水 中級魔法:風
単独転移Lv1 複数転移Lv1
気配察知Lv1
毒回復 麻痺回復 石化回復
詠唱破棄
回復力強化Lv3
アイテムボックス拡張Lv4 PT編成
========
この5日間でBaseLvが2上がり、BaseLv45となった。
魔導師は1つしかあがっておらずLv14。
ボーナスポイントは回復力に振り、ちょうど150になるように調整。
これで回復力強化Lv3を常時かけることによって回復力300の状態を維持できる。
他に変わったところは特になし。
状況に応じてスキルも変更できるオレにとっては、BaseLvが上がってボーナスポイントが入ってもそれほど悩む必要はない。
それにしても職業も完全に魔法系だ。
見事にLvが上がっているのが魔法職しかない。
スキル構成は前衛にもなれるように多少残してあるが、魔法特化というよりは王族の不文律特化といった構成だ。
もうこのスキル構成で戦術的にも固まっているので大きく崩す事はないだろう。
トレーニングとかそういった特殊な条件下でなければ、状況に応じて少し変更する程度となる。
次はアルだ。
アルのステータスは見れないので聞いた分だけだ。
BaseLvは64。
スキルはアイテムボックス拡張Lv7のみ。
しかしアル専用職業『執事』により、スキルに組み込まれない専用能力が高いレベルで備わっている。
その専用能力の汎用性の高さは開いた口が塞がらないほどだ。
まぁアルの能力が高いことは今更だ。
問題はアイテムボックス拡張がLv7になったこと。
カトルゼに来るまではポイントが足りなかったからLv6だった。それでも異常なほどのアイテムを保持することができている。
カトルゼで大量に魔物を狩った事により、ただでさえシトポーの祝福で大幅なLvアップ速度上昇があるアルとレーネさんはがっちりLvが上がっていたのだ。
しかしそこは高レベルの宿命というか必要経験値がだんだん高くなってくるので、オレのLvアップ速度と若干近くなってきている。
まぁそれでもオレより早く上がるけど。
そして以前からの宣言通りポイントが100を突破したアルはアイテム拡張を前人未到のLv7にした。
そこで驚きの事実がわかった。
なんとアイテムボックス拡張がLv7になると入る容量が無限となったのだ。
拡張と同時にアルはそれを理解したらしくそう告げてきた。
まぁこれでアルのアイテムボックス拡張計画はひと段落だろう。
次は一体何にポイントを注ぎ込むのかちょっと怖い。
さてお次はレーネさん。
うちのPTでレーネさんが1番BaseLvが高い。
なんとそのBaseLvは70である。
BaseLv70という数値はランクSの中でもトップクラスのLvを意味するものであり、歴史に名を残すレベルの高さだ。
ちなみにアルのBaseLv64もすでにランクSレベルだ。
ポイントはステータス強化に回しているそうだ。グレーさんの結界に飛斬を無効化されたのを気にしているようで、筋力に全振りしたそうな。
今までは尊敬するお兄さんだから敵わなくて当たり前みたいな感じだったのが、オレ達とPTを組んで徐々に変わっていったレーネさんはグレーさんの事を敵わない尊敬する人物から超えるべき壁へとその認識を変化させているようだ。
ちなみにレーネさんの職はホワイトナイトでLvは42。
上位職の中でも極めて強力な職の1つだ。
メンバーはオレ含めて3人という極めて少ない人数ではあるが、その実態は異常なほどの火力と鉄壁な防御を誇るPTだ。
51階層から難易度が劇的に変わるとはいえ、オレ達が突破できないとは思えない。
物資の量や管理も他を大きく引き離すほどの有利さがあり、且ついつでも取りに戻れるという卑怯なほどのアドバンテージがある。
まぁその前に物資をほとんど使わないわけだが。
迷宮内で夜を過ごすこともないし、安全なベッドで快眠を約束されている状態で万全の体制で挑んでいる迷宮攻略。
これで進めないとなれば一体どんなPTなら攻略できるのやら。
それでも念には念を入れてしっかりとこれからの攻略について話し合い、今日も海鳥亭でネーシャに抱き枕にされたのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
明けて翌日。
今日も朝から迷宮へと出発しようと思っていたら、エンタッシュが海鳥亭までやってきていた。
「それで用って?」
「はい、お嬢様。兼ねてより入手を承っていた『リリンの羽根』の『座標楔』が入手できましたので、ご報告と受け渡しに参りました」
「おぉー。遂に見つかったんだ。いくらだったの?」
「はい。白金貨1枚と金貨45枚でまとまりました」
「アンカー1つにそれだけかかるかー。お金はいっぱいあるといっても限度があるからねぇ。
でもこれで便利になったのも事実だ。
ありがとう、エンタッシュ。
あ、でも引き続きアンカー入手は続行ね」
「畏まりました」
エンタッシュから帰還用魔道具用のアンカーをアルが受け取り、彼はそのまま屋敷へと戻っていった。
帰還用魔道具のアンカーは帰還用魔道具を使うのに必ず必要な物だ。
これがないと帰還用魔道具を使っても移動先がわからず不発に終わってしまう。
しかし今まで持っていたアンカーは2つ。
屋敷に固定してあるものが1つと移動先に固定しておくのが1つだ。
今までは帰還用魔道具を使って移動できるのは屋敷と移動先だけだったけど、これで選択肢の幅が広がった。
例えばこれでカトルゼの町に宿を取るなり、家を購入するなりしてアンカーを固定しておけばいつでも屋敷と迷宮とカトルゼの町を瞬時に移動できる。
ただカトルゼの町にアンカーを設置するつもりはない。
迷宮を攻略中なのに町に姿を現すのはあまり得策ではない。
ただでさえ帰還用魔道具はレア中のレアなのだ。27階層で襲ってきたやつらの奴隷のタグを処理するのは迷宮攻略が終わったあとでいいし、特段急ぐものでもない。その他にはあの町に用はないし。
「さってそれじゃ攻略の続きに行きますかねぇ~」
「はい、ワタリさん」
「お待ちください、ワタリ様」
「お?」
いざ再出発というところでアルの制止の声がかかる。
すぐにアルの戦闘服でもある燕尾服から魔道具が取り出され、それを彼は耳に当てる。
アレはネーシャにも持たせている通信用の魔道具だ。
ネーシャは朝にランカスター家に送り届けたばかりで、別れたのはついさっきだ。
「……分かりました。今すぐ参ります……えぇ、それではしばしお待ちを」
「アル、ネーシャに何かあったの?」
「答えは是。ですが命の危険があるというものではありません。
緊急というほどではないようですが、ネーシャが突然仕事が手に付かなくなり、ワタリ様に会いたいと言い出したそうです」
「……わがままなんて全然言わないネーシャが珍しいね。
……よし、すぐ行こう。
いいですよね、レーネさん?」
「はい、もちろんです」
レーネさんもネーシャが心配なようで、オレの問いにすぐに頷いてくれた。
あとはランカスター家に向かうだけだ。
海鳥亭を飛び出したオレ達は屋根の上を複数転移で移動して、連絡を受けてほんの数分でランカスター家の近くの家の屋根までやってきていた。
路地裏に転移するのももどかしかったのでランカスター家の扉の前に直接転移してそのまま扉を叩く。付近にいた人が突然現れたオレ達にぎょっとしていたけどそんなものを気にしている暇はない。
すぐにユユさんが飛び出てきてオレ達を中へ入れてくれた。
「それで何があったんですか?」
「それがね、ちょっとよくわからないんだ。でも突然ネーシャちゃんが震え出してワタリちゃんに会いたいって」
「じゃあ怪我とかそういうんじゃないんですね?」
「うん、そういうのではないよ。でも突然だったからびっくりしちゃって」
「わかりました……ネーシャ!」
飛び出すように出迎えてくれたユユさんも事態がよく掴めていないようで若干おろおろしており、心配そうに眉尻を下げている。
勝手知ったるランカスター家の中を足早に移動しながら状況を聞き、ネーシャがいる工房へ入るとすぐに毛布に包まって震えているネーシャを発見した。
「お嬢様!」
「はいはい、もう大丈夫だよ。どうしたの? 何があったの?」
「お嬢様……お嬢様……お嬢様ぁ……」
ネーシャを発見して声をかけるとすぐさま顔上げた彼女はオレに抱きついて、そのまま震える体で強く抱きしめてきた。
そんなに強く抱きしめたらつけっぱなしの鎧で痛いだろうに。
ネーシャがこんなになるなんて初めてだ。
一体何があったのだろうか。
尚も震え続けるネーシャの背中をさすり、落ち着くまでそのままにしてあげることにした。
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