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最終章
176,決戦 Part,5
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チラ見した鑑定ウィンドウの名前に思わず疑問符が口をついて出たが、再度確認した鑑定ウィンドウの文章にはもっと疑問符が飛び出た。
一体どういうことだ。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□
邪神結晶
勇者と魔王の時代から時間跳躍させられた神の成れの果て。
生物と融合して魔王となり、勇者とは対となる存在。
だが幾千幾万という勇者達との長い戦いの歴史で1度たりとも破壊に成功した事はない。
創造神の介入により誕生した勇者ワタリに惹かれるように歪んだ力が組み込まれている。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□
なんというか……また創造神、おまえか!
この際名前が如何にもラスボスなのは置いておこう。
どう贔屓目に見ても創造神がまた何やら仕組んで厄介ごとを押し付けようとしている感じがぷんぷんする。なんだよ勇者ワタリって……。
この鑑定文から見るにオレにこの邪神結晶を破壊して欲しいのだろうが……。
まぁ100歩……いや1000歩くらい譲って破壊する事に関しては別にいい。
このまま放って置けば鑑定文にあるように魔王が誕生してしまうだろう。
というかオークロードは本当に魔王的な存在だったのだろうか? あっさり倒せてしまったようだけど。
しかしどうやって壊せばいいんだ?
火力特化構成の一撃をあっさりと受け止めるようなやつだぞ?
一応あの覆っている闇は一撃である程度消し飛ばせるようだから連続攻撃でいけるのか?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
鑑定文をチラ見しながら読んでいたがその間に邪神結晶から攻撃を仕掛けられることはなかった。
もしかしてこの状態では攻撃能力が無いのかもしれない。
生物と融合して魔王になると書いてあったし、逆に言えば融合しなければ怖くないのか? ただ硬いだけで。
しかし転移能力なんかが残っていたら厄介だ。
とにかくやれるだけやってしまおう。
一応攻撃してこなかったからといって攻撃能力がないと確定したわけではないので注意しながら攻撃を叩き込む。
全てを終わらせる必殺の一撃よりは多少威力が落ちてもいいので連撃を心がける。
隙を出来る限り減らし、どんな攻撃がこようと対応できるように紫電の大槌を叩きつけていく。
しかしやはりというか、邪神結晶を覆っている闇は一撃ごとに吹き飛び量を減らしてはいるが本体と思われる結晶部分には一切攻撃が通らない。
確かに直撃しているのに完全に衝撃を殺されているようで余波さえ巻き起こらない。
火力特化構成時の攻撃は一撃ごとに衝撃波が発生するほどの余波を巻き起こす。
だが邪心結晶にいくら攻撃を当ててもその全ての威力が無効化されているようだ。
紫電の大槌は重々陣により物理的な属性も持ち合わせている魔法攻撃だ。
物理と魔法を同時に無効化しなければこうはならない。
というか物理と魔法を無効化なんてどう考えてもそれは無敵でしかない。
なるほど、確かにこれでは破壊なんてできないだろう。創造神は一体何を考えてこんなもんオレに押し付けようとしてんだ。
「……ぅん?」
創造神のバカ野郎に心の中で悪態を吐いていたがちょっと気づいたことがあった。
邪神結晶は何か意味があるのか闇のような靄で結晶体を常に覆うようにしている。
しかし攻撃を加えると靄を吹き飛ばす事が出来る。
最初の頃は靄を吹き飛ばされるとすぐさま元に戻っていたが、今ではなかなか戻らなくなっている。
物理と魔法の両方を無効化していて無駄かと攻撃の手を休めた今でも靄は結晶体を覆いつくそうとしているがその動きは非常に遅くなっていたのだ。
もしかしたら無効化にも限度があるのではないだろうか。
幾千幾万の勇者達でも火力特化構成のオレ並の攻撃力を瞬間的に出す事は出来ても、継続させるのは難しかったのではないだろうか。
力を振るっているオレ自身ですらとんでもないと思っている威力なのだし。
一先ず無駄ではなさそうなので攻撃を続行することにした。
闇のような靄が完全に出てこなくなったら何かしらの変化があるのかもしれない。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
紫電の大槌が纏う紫の雷がバチバチと大気を焼く音と凄まじい筋力により繰り出される紫の破城槌が空を切り、大気の壁を突破する爆音のみが何度も何度も鳴り響く。
攻撃を再開しても全ての攻撃を無効化する邪神結晶により、当たっても一切の音がならないどころか余波として発生するはずの衝撃波すら巻き起こらないのは相変わらずだ。
だが目に見えて動きの遅くなっていた闇のような靄はもう影も形も見えない。
何度も何度も連続で叩きつけられてあっという間に吹き飛ばしてしまったからだ。
しかし攻撃の手を緩めると初期とは比べ物にならないくらいの遅さではあるが、靄が出始める。
……果たしていつまで叩き続ければいいのだろうか。
秒間2,3発の速度で攻撃を続けているが、もうかなりの時間叩き続けている気がする。
たまに靄の様子を確かめるために手を止めたりしているがものすごく遅くなっているが靄は出てくる。
もちろん結晶には傷1つついていない。
筋力と器用に全てを回しているため回復力が素の状態とはいえ、装備の付与効果で数値的にはかなり高くそれに応じてスタミナもスタミナの回復力もそこそこある。
だがこのままではオレの体力の方が先に尽きるだろう。
……ちょっとプランを変更した方がいいかもしれない。
実は火力特化構成には2つ種類がある。
今までは筋力に特化させて物理的な破壊力を重視してきた。
しかしもう1つの方法は完全に魔法を重視する方法だ。
魔法はイメージと注ぎ込むMPにより大きく威力を変化させる。
しかしMPを多く注ぎ込むよりもずっと威力を高める方法がある。
それは魔力を上昇させる方法だ。
本来MPを多く注ぎ込むという方法は注ぎ込む量を確保できないので誰も行わない。
100や200増やしても大して威力が増えないのが実情なのだ。
オレの場合は時間制限つきとはいえMPを無限に出来るので100や200加算するのではなく、100倍や200倍にしているので威力が跳ね上がっているのだ。
通常、魔法の威力を上げる場合は、ステータスの魔力をあげる。
これはウイユベールに於ける常識だが、今まで魔力をあげる必要性がなかったためにオレの中ではあまり意味のあるステータスではなかった。
しかし魔法で威力を追求するとなると1MPあたりの威力を考え、やはり魔力を上げるのがベストとなる。
物理攻撃の筋力、魔法攻撃の魔力といった感じに。
ただここで問題となるのはやはり王族の不文律があるということだ。
王族の不文律はスタミナがあればあるだけ効果時間を伸ばせる。
スタミナは回復力を上げればずいぶん上がる。
実際に回復力を上げる事を重視したのがオレの通常のステータスだ。
しかし瞬間火力を求めればやはり魔力に軍配が上がる。
筋力による特化構成よりも瞬間火力が上がるのだからかなりとんでもない。
さらには孤槌舞姫の首飾りの最後の固有スキルがMPを代償にする火力アップよりも魔力を上げる事による火力アップの方が非常に効率がよかったのもある。
まぁ要するに魔力による火力特化構成はかなり限定された状況でしか有効に機能しないということだ。
だが、それだけにはまれば筋力特化構成よりも凄まじい威力をたたき出すことが出来る。
それほどの火力が必要な状況というのが思いつかなかったが……いつやるの? 今でしょ。
一際大きく力を入れて紫電の大槌を邪神結晶に叩きつけて大きく距離を取る。
やはり邪神結晶を覆っていた闇のような靄は非常にゆっくりとだが結晶を覆うために出てきている。
だがそのスピードは構成を変更させ終わって尚、半分にも到達していないほど遅い。
……ぶっちゃけ魔力特化構成での全力は初めてだったりするが器用の値もかなり高いし、制御をミスる事はまずないだろう。
さぁ食らえ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
孤槌舞姫の首飾りの固有スキルは全4段階。
最初の段階である紫電槌は紫電の大槌を作り上げるために必須だが、その次の段階である紫電纏も使わなければならない。
次の段階である紫幻装身は紫電の人形を作り出すために紫電纏をさらに複雑に構成させる必要があり、様々な武器を作り出すために紫電槌を応用させる必要がある。
残った最後の固有スキルは無紫刃華。
これが魔力特化構成時の必須スキルだ。
王族の不文律を発動させ、瞬時に莫大なMPが紫電となり、人型ではなく無数の花びらへと変化して舞い始める。
一片一片が莫大なMPで構成され、さらにとんでもなく高い魔力により凄まじい力を内包している。
しかしこの花びら達は攻撃を担当しない。
舞い散る無数の紫電の花びらがオレの意思により邪神結晶の周りを埋め尽くし、花びらの球体を作り上げる。
この花びら達は盾。
圧倒的な威力を誇る本命から周囲を、術者を守るための盾なのだ。
闇の靄が半分ほどを覆いつくした邪神結晶を花びら達が埋め尽くし、姿を隠した瞬間……花びらの盾に華が咲く。
その華は一瞬の煌きの中で咲く儚い一輪。
だがそこに秘められた力は莫大だ。
花びらの盾があるために周囲への被害はまったくないが、もしなかったら……一輪目でこのかなりの広さを誇る空間を焼き尽くして尚足りないだろう。
その儚き煌きが何度も、何度も咲き乱れる。
王族の不文律が限界を迎えるまでに咲いた華の数は100を超えただろうか。
解除と同時に花びらの盾は球体を圧縮させ、最後のひと咲きを儚く終えると同時に一瞬でその姿を散らす。
その姿はまるで風に吹かれて舞い散る花びらの儚さを思い浮かばせるには十分な美しさだった。
「まだ消滅しないのかよ……」
魔力特化構成により威力を極限まで高められた無紫刃華を受けて尚その身を維持していた邪神結晶には驚嘆するしかなかった。
しかし宙に浮かび微動だにしなかった当初とはまったく違った。
まず花びらの盾が散った瞬間にゴトリと音を立てて迷宮の床へと落下したのだ。
極限まで威力を高めた無紫刃華を100以上も受けて尚消滅せずに済んだ邪神結晶だったが、さすがに完全に無事というわけではなかった。
ところどころに突き出ていた結晶体がほとんどなくなっている。
全体的に融解した後があり、その姿も当初のような美しいとさえ思える結晶体ではなくなっていた。
浮遊状態を維持するのも難しいほどに消耗しているのは見ただけでわかるし、筋力の火力特化構成で何度殴っても傷1つつかなかったのが嘘のようだ。
やはり際限なく無効化できるわけではないということだ。
どこかに上限があり、その上限を超えた分だけダメージが通ったのだろう。
まぁその上限がとんでもなく高い事は否めない。
何せ先ほどの無紫刃華はこの広い最下層フロアを100回以上焼き尽くせるし、恐らくトレーゼだと思われるこの迷宮を消滅させることだって出来るだろう。
迷宮を何かしらの力で消滅させた例なんて聞いた事もないけど、それだけの威力ということだ。
……さて、それはさておき……このラスボスさんはあと何回無紫刃華を耐えられるのかな?
一体どういうことだ。
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邪神結晶
勇者と魔王の時代から時間跳躍させられた神の成れの果て。
生物と融合して魔王となり、勇者とは対となる存在。
だが幾千幾万という勇者達との長い戦いの歴史で1度たりとも破壊に成功した事はない。
創造神の介入により誕生した勇者ワタリに惹かれるように歪んだ力が組み込まれている。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□
なんというか……また創造神、おまえか!
この際名前が如何にもラスボスなのは置いておこう。
どう贔屓目に見ても創造神がまた何やら仕組んで厄介ごとを押し付けようとしている感じがぷんぷんする。なんだよ勇者ワタリって……。
この鑑定文から見るにオレにこの邪神結晶を破壊して欲しいのだろうが……。
まぁ100歩……いや1000歩くらい譲って破壊する事に関しては別にいい。
このまま放って置けば鑑定文にあるように魔王が誕生してしまうだろう。
というかオークロードは本当に魔王的な存在だったのだろうか? あっさり倒せてしまったようだけど。
しかしどうやって壊せばいいんだ?
火力特化構成の一撃をあっさりと受け止めるようなやつだぞ?
一応あの覆っている闇は一撃である程度消し飛ばせるようだから連続攻撃でいけるのか?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
鑑定文をチラ見しながら読んでいたがその間に邪神結晶から攻撃を仕掛けられることはなかった。
もしかしてこの状態では攻撃能力が無いのかもしれない。
生物と融合して魔王になると書いてあったし、逆に言えば融合しなければ怖くないのか? ただ硬いだけで。
しかし転移能力なんかが残っていたら厄介だ。
とにかくやれるだけやってしまおう。
一応攻撃してこなかったからといって攻撃能力がないと確定したわけではないので注意しながら攻撃を叩き込む。
全てを終わらせる必殺の一撃よりは多少威力が落ちてもいいので連撃を心がける。
隙を出来る限り減らし、どんな攻撃がこようと対応できるように紫電の大槌を叩きつけていく。
しかしやはりというか、邪神結晶を覆っている闇は一撃ごとに吹き飛び量を減らしてはいるが本体と思われる結晶部分には一切攻撃が通らない。
確かに直撃しているのに完全に衝撃を殺されているようで余波さえ巻き起こらない。
火力特化構成時の攻撃は一撃ごとに衝撃波が発生するほどの余波を巻き起こす。
だが邪心結晶にいくら攻撃を当ててもその全ての威力が無効化されているようだ。
紫電の大槌は重々陣により物理的な属性も持ち合わせている魔法攻撃だ。
物理と魔法を同時に無効化しなければこうはならない。
というか物理と魔法を無効化なんてどう考えてもそれは無敵でしかない。
なるほど、確かにこれでは破壊なんてできないだろう。創造神は一体何を考えてこんなもんオレに押し付けようとしてんだ。
「……ぅん?」
創造神のバカ野郎に心の中で悪態を吐いていたがちょっと気づいたことがあった。
邪神結晶は何か意味があるのか闇のような靄で結晶体を常に覆うようにしている。
しかし攻撃を加えると靄を吹き飛ばす事が出来る。
最初の頃は靄を吹き飛ばされるとすぐさま元に戻っていたが、今ではなかなか戻らなくなっている。
物理と魔法の両方を無効化していて無駄かと攻撃の手を休めた今でも靄は結晶体を覆いつくそうとしているがその動きは非常に遅くなっていたのだ。
もしかしたら無効化にも限度があるのではないだろうか。
幾千幾万の勇者達でも火力特化構成のオレ並の攻撃力を瞬間的に出す事は出来ても、継続させるのは難しかったのではないだろうか。
力を振るっているオレ自身ですらとんでもないと思っている威力なのだし。
一先ず無駄ではなさそうなので攻撃を続行することにした。
闇のような靄が完全に出てこなくなったら何かしらの変化があるのかもしれない。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
紫電の大槌が纏う紫の雷がバチバチと大気を焼く音と凄まじい筋力により繰り出される紫の破城槌が空を切り、大気の壁を突破する爆音のみが何度も何度も鳴り響く。
攻撃を再開しても全ての攻撃を無効化する邪神結晶により、当たっても一切の音がならないどころか余波として発生するはずの衝撃波すら巻き起こらないのは相変わらずだ。
だが目に見えて動きの遅くなっていた闇のような靄はもう影も形も見えない。
何度も何度も連続で叩きつけられてあっという間に吹き飛ばしてしまったからだ。
しかし攻撃の手を緩めると初期とは比べ物にならないくらいの遅さではあるが、靄が出始める。
……果たしていつまで叩き続ければいいのだろうか。
秒間2,3発の速度で攻撃を続けているが、もうかなりの時間叩き続けている気がする。
たまに靄の様子を確かめるために手を止めたりしているがものすごく遅くなっているが靄は出てくる。
もちろん結晶には傷1つついていない。
筋力と器用に全てを回しているため回復力が素の状態とはいえ、装備の付与効果で数値的にはかなり高くそれに応じてスタミナもスタミナの回復力もそこそこある。
だがこのままではオレの体力の方が先に尽きるだろう。
……ちょっとプランを変更した方がいいかもしれない。
実は火力特化構成には2つ種類がある。
今までは筋力に特化させて物理的な破壊力を重視してきた。
しかしもう1つの方法は完全に魔法を重視する方法だ。
魔法はイメージと注ぎ込むMPにより大きく威力を変化させる。
しかしMPを多く注ぎ込むよりもずっと威力を高める方法がある。
それは魔力を上昇させる方法だ。
本来MPを多く注ぎ込むという方法は注ぎ込む量を確保できないので誰も行わない。
100や200増やしても大して威力が増えないのが実情なのだ。
オレの場合は時間制限つきとはいえMPを無限に出来るので100や200加算するのではなく、100倍や200倍にしているので威力が跳ね上がっているのだ。
通常、魔法の威力を上げる場合は、ステータスの魔力をあげる。
これはウイユベールに於ける常識だが、今まで魔力をあげる必要性がなかったためにオレの中ではあまり意味のあるステータスではなかった。
しかし魔法で威力を追求するとなると1MPあたりの威力を考え、やはり魔力を上げるのがベストとなる。
物理攻撃の筋力、魔法攻撃の魔力といった感じに。
ただここで問題となるのはやはり王族の不文律があるということだ。
王族の不文律はスタミナがあればあるだけ効果時間を伸ばせる。
スタミナは回復力を上げればずいぶん上がる。
実際に回復力を上げる事を重視したのがオレの通常のステータスだ。
しかし瞬間火力を求めればやはり魔力に軍配が上がる。
筋力による特化構成よりも瞬間火力が上がるのだからかなりとんでもない。
さらには孤槌舞姫の首飾りの最後の固有スキルがMPを代償にする火力アップよりも魔力を上げる事による火力アップの方が非常に効率がよかったのもある。
まぁ要するに魔力による火力特化構成はかなり限定された状況でしか有効に機能しないということだ。
だが、それだけにはまれば筋力特化構成よりも凄まじい威力をたたき出すことが出来る。
それほどの火力が必要な状況というのが思いつかなかったが……いつやるの? 今でしょ。
一際大きく力を入れて紫電の大槌を邪神結晶に叩きつけて大きく距離を取る。
やはり邪神結晶を覆っていた闇のような靄は非常にゆっくりとだが結晶を覆うために出てきている。
だがそのスピードは構成を変更させ終わって尚、半分にも到達していないほど遅い。
……ぶっちゃけ魔力特化構成での全力は初めてだったりするが器用の値もかなり高いし、制御をミスる事はまずないだろう。
さぁ食らえ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
孤槌舞姫の首飾りの固有スキルは全4段階。
最初の段階である紫電槌は紫電の大槌を作り上げるために必須だが、その次の段階である紫電纏も使わなければならない。
次の段階である紫幻装身は紫電の人形を作り出すために紫電纏をさらに複雑に構成させる必要があり、様々な武器を作り出すために紫電槌を応用させる必要がある。
残った最後の固有スキルは無紫刃華。
これが魔力特化構成時の必須スキルだ。
王族の不文律を発動させ、瞬時に莫大なMPが紫電となり、人型ではなく無数の花びらへと変化して舞い始める。
一片一片が莫大なMPで構成され、さらにとんでもなく高い魔力により凄まじい力を内包している。
しかしこの花びら達は攻撃を担当しない。
舞い散る無数の紫電の花びらがオレの意思により邪神結晶の周りを埋め尽くし、花びらの球体を作り上げる。
この花びら達は盾。
圧倒的な威力を誇る本命から周囲を、術者を守るための盾なのだ。
闇の靄が半分ほどを覆いつくした邪神結晶を花びら達が埋め尽くし、姿を隠した瞬間……花びらの盾に華が咲く。
その華は一瞬の煌きの中で咲く儚い一輪。
だがそこに秘められた力は莫大だ。
花びらの盾があるために周囲への被害はまったくないが、もしなかったら……一輪目でこのかなりの広さを誇る空間を焼き尽くして尚足りないだろう。
その儚き煌きが何度も、何度も咲き乱れる。
王族の不文律が限界を迎えるまでに咲いた華の数は100を超えただろうか。
解除と同時に花びらの盾は球体を圧縮させ、最後のひと咲きを儚く終えると同時に一瞬でその姿を散らす。
その姿はまるで風に吹かれて舞い散る花びらの儚さを思い浮かばせるには十分な美しさだった。
「まだ消滅しないのかよ……」
魔力特化構成により威力を極限まで高められた無紫刃華を受けて尚その身を維持していた邪神結晶には驚嘆するしかなかった。
しかし宙に浮かび微動だにしなかった当初とはまったく違った。
まず花びらの盾が散った瞬間にゴトリと音を立てて迷宮の床へと落下したのだ。
極限まで威力を高めた無紫刃華を100以上も受けて尚消滅せずに済んだ邪神結晶だったが、さすがに完全に無事というわけではなかった。
ところどころに突き出ていた結晶体がほとんどなくなっている。
全体的に融解した後があり、その姿も当初のような美しいとさえ思える結晶体ではなくなっていた。
浮遊状態を維持するのも難しいほどに消耗しているのは見ただけでわかるし、筋力の火力特化構成で何度殴っても傷1つつかなかったのが嘘のようだ。
やはり際限なく無効化できるわけではないということだ。
どこかに上限があり、その上限を超えた分だけダメージが通ったのだろう。
まぁその上限がとんでもなく高い事は否めない。
何せ先ほどの無紫刃華はこの広い最下層フロアを100回以上焼き尽くせるし、恐らくトレーゼだと思われるこの迷宮を消滅させることだって出来るだろう。
迷宮を何かしらの力で消滅させた例なんて聞いた事もないけど、それだけの威力ということだ。
……さて、それはさておき……このラスボスさんはあと何回無紫刃華を耐えられるのかな?
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