3回目巻き戻り令嬢ですが、今回はなんだか様子がおかしい

エヌ

文字の大きさ
1 / 6

その1(オモテ)

しおりを挟む

群衆の中に彼が見える。
こんな時でも自分は真っ先に貴方を見つけることができるらしい。


最後に目にする貴方の顔が


目に焼きついて離れないーーーー




暗転




















「!」

ハッと目が覚めた。
見知った天井、見知った部屋。
薄暗い部屋の壁掛けに、入学してから幾分か時が経ったはずの学園の真新しい制服がかけられている。

「わたくし、戻ってきたのだわ...」


ハァハァと呼吸が乱れている。
まるでさっきまで全力疾走したかのように心臓はバクバクしているし、全身から冷や汗が出て止まらない。


先ほどまで自分は、確かに処刑場にいた。
それも、自分が刑を執行される本人として。

確かに首に触れた刃の感触
騒がしい群衆の声
熱くて、痛くてー

「やめましょう、こんなことを考えるのは...


ギュッと目を閉じる。
まだ朝でもないらしいが、到底心穏やかに眠る事は出来なさそうだ。

「どうして...また戻って来たのかしら」

確かに自分は死んだはずだった。
それなのに今、自分はここにいる。
恐らく時間が巻き戻ったのだろう。

この経験は初めてではなく、2度目だった。


ことの発端は1度目の人生
学園に入学した自分は、ある一人の女の子にとても嫉妬した。私の想い人にいとも簡単に近づいたからだ。許せなかった。そして学園生活の大半を彼女をいじめるということに費やした。
その結果、同じく学園に通っていた彼女に惚れている王子に彼女を苛烈にいじめたとした私が断罪され処刑された...
王子は怖い。ついでに私がいじめ抜いたことにより、私の想い人と件の女の子がいい感じになっていたのも腹が立つ。クソ


2度目の人生は今回と同様、入学式前日で目が覚めた。戸惑いながらも、決して彼女をいじめないと心に誓った。そしてここが乙女ゲームの世界だと気がついた。自分の前世というものがとても干からびていて、乙女ゲームというもので心に潤いを求めていた人間だったということに大層驚いたものだが、今世はなんと自分がプレイしていた乙女ゲームの悪役令嬢に生まれ変わっていたということにもびっくりした。
ちなみに余談だが王子の婚約者、という設定にもかかわらず、どのヒーローを選んでもいじめ役が私なのが解せぬ。ただ今回は私はいじめないと誓っていた。
いじめなかったからか、何故か前回はいい感じだった私の想い人とヒロインが全くいい感じではなくなっていた。その代わり王子とヒロインがいい感じになっていた。王子め、私の想い人を差し置いて...と思っていたら濡れ衣を着せられてなぜか処刑された。
王子は怖い。概ね婚約者の私が邪魔だったに違いない。絶対王子に殺された。クソ


そうして3度目。何故か死んだはずの自分が、また時を遡りベットの上で目を覚ましている。
これは何?永遠にループする感じなの?
何度も死にたくないのだけど。結構死への直面は精神的に辛いものがある。いやポップに話しているように思えるけど本当に辛いし怖いし2度と...いや3度と経験したくない。でもループってことはまた死ぬのかな...もう嫌だな


「もう...死にたくないですわ.....」

さっきまでバクついていた心が幾分か落ち着いてきたのか、到底眠れないと思っていたのに、瞼が急激に重くなる。

恐らく明日からまた学園生活が始まる。

死へのカウントダウンが...
始まるんだわ.....。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

彼はヒロインを選んだ——けれど最後に“愛した”のは私だった

みゅー
恋愛
前世の記憶を思い出した瞬間、悟った。 この世界では、彼は“ヒロイン”を選ぶ――わたくしではない。 けれど、運命になんて屈しない。 “選ばれなかった令嬢”として終わるくらいなら、強く生きてみせる。 ……そう決めたのに。 彼が初めて追いかけてきた——「行かないでくれ!」 涙で結ばれる、運命を越えた恋の物語。

ヒロイン不在だから悪役令嬢からお飾りの王妃になるのを決めたのに、誓いの場で登場とか聞いてないのですが!?

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
ヒロインがいない。 もう一度言おう。ヒロインがいない!! 乙女ゲーム《夢見と夜明け前の乙女》のヒロインのキャロル・ガードナーがいないのだ。その結果、王太子ブルーノ・フロレンス・フォード・ゴルウィンとの婚約は継続され、今日私は彼の婚約者から妻になるはずが……。まさかの式の最中に突撃。 ※ざまぁ展開あり

婚約者を友人に奪われて~婚約破棄後の公爵令嬢~

tartan321
恋愛
成績優秀な公爵令嬢ソフィアは、婚約相手である王子のカリエスの面倒を見ていた。 ある日、級友であるリリーがソフィアの元を訪れて……。

ずっと温めてきた恋心が一瞬で砕け散った話

下菊みこと
恋愛
ヤンデレのリハビリ。 小説家になろう様でも投稿しています。

2回目の逃亡

158
恋愛
エラは王子の婚約者になりたくなくて1度目の人生で思い切りよく逃亡し、その後幸福な生活を送った。だが目覚めるとまた同じ人生が始まっていて・・・

ヒロインが私の婚約者を攻略しようと狙ってきますが、彼は私を溺愛しているためフラグをことごとく叩き破ります

奏音 美都
恋愛
 ナルノニア公爵の爵士であるライアン様は、幼い頃に契りを交わした私のご婚約者です。整った容姿で、利発で、勇ましくありながらもお優しいライアン様を、私はご婚約者として紹介されたその日から好きになり、ずっとお慕いし、彼の妻として恥ずかしくないよう精進してまいりました。  そんなライアン様に大切にされ、お隣を歩き、会話を交わす幸せに満ちた日々。  それが、転入生の登場により、嵐の予感がしたのでした。

冷酷騎士団長に『出来損ない』と捨てられましたが、どうやら私の力が覚醒したらしく、ヤンデレ化した彼に執着されています

放浪人
恋愛
平凡な毎日を送っていたはずの私、橘 莉奈(たちばな りな)は、突然、眩い光に包まれ異世界『エルドラ』に召喚されてしまう。 伝説の『聖女』として迎えられたのも束の間、魔力測定で「魔力ゼロ」と判定され、『出来損ない』の烙印を押されてしまった。 希望を失った私を引き取ったのは、氷のように冷たい瞳を持つ、この国の騎士団長カイン・アシュフォード。 「お前はここで、俺の命令だけを聞いていればいい」 物置のような部屋に押し込められ、彼から向けられるのは侮蔑の視線と冷たい言葉だけ。 元の世界に帰ることもできず、絶望的な日々が続くと思っていた。 ──しかし、ある出来事をきっかけに、私の中に眠っていた〝本当の力〟が目覚め始める。 その瞬間から、私を見るカインの目が変わり始めた。 「リリア、お前は俺だけのものだ」 「どこへも行かせない。永遠に、俺のそばにいろ」 かつての冷酷さはどこへやら、彼は私に異常なまでの執着を見せ、甘く、そして狂気的な愛情で私を束縛しようとしてくる。 これは本当に愛情なの? それともただの執着? 優しい第二王子エリアスは私に手を差し伸べてくれるけれど、カインの嫉妬の炎は燃え盛るばかり。 逃げ場のない城の中、歪んだ愛の檻に、私は囚われていく──。

姉の引き立て役の私は

ぴぴみ
恋愛
 アリアには完璧な姉がいる。姉は美人で頭も良くてみんなに好かれてる。 「どうしたら、お姉様のようになれるの?」 「ならなくていいのよ。あなたは、そのままでいいの」  姉は優しい。でもあるとき気づいて─

処理中です...