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その1(オモテ)
しおりを挟む群衆の中に彼が見える。
こんな時でも自分は真っ先に貴方を見つけることができるらしい。
最後に目にする貴方の顔が
目に焼きついて離れないーーーー
暗転
「!」
ハッと目が覚めた。
見知った天井、見知った部屋。
薄暗い部屋の壁掛けに、入学してから幾分か時が経ったはずの学園の真新しい制服がかけられている。
「わたくし、また戻ってきたのだわ...」
ハァハァと呼吸が乱れている。
まるでさっきまで全力疾走したかのように心臓はバクバクしているし、全身から冷や汗が出て止まらない。
先ほどまで自分は、確かに処刑場にいた。
それも、自分が刑を執行される本人として。
確かに首に触れた刃の感触
騒がしい群衆の声
熱くて、痛くてー
「やめましょう、こんなことを考えるのは...
」
ギュッと目を閉じる。
まだ朝でもないらしいが、到底心穏やかに眠る事は出来なさそうだ。
「どうして...また戻って来たのかしら」
確かに自分は死んだはずだった。
それなのに今、自分はここにいる。
恐らく時間が巻き戻ったのだろう。
この経験は初めてではなく、2度目だった。
ことの発端は1度目の人生
学園に入学した自分は、ある一人の女の子にとても嫉妬した。私の想い人にいとも簡単に近づいたからだ。許せなかった。そして学園生活の大半を彼女をいじめるということに費やした。
その結果、同じく学園に通っていた彼女に惚れている王子に彼女を苛烈にいじめたとした私が断罪され処刑された...
王子は怖い。ついでに私がいじめ抜いたことにより、私の想い人と件の女の子がいい感じになっていたのも腹が立つ。クソ
2度目の人生は今回と同様、入学式前日で目が覚めた。戸惑いながらも、決して彼女をいじめないと心に誓った。そしてここが乙女ゲームの世界だと気がついた。自分の前世というものがとても干からびていて、乙女ゲームというもので心に潤いを求めていた人間だったということに大層驚いたものだが、今世はなんと自分がプレイしていた乙女ゲームの悪役令嬢に生まれ変わっていたということにもびっくりした。
ちなみに余談だが王子の婚約者、という設定にもかかわらず、どのヒーローを選んでもいじめ役が私なのが解せぬ。ただ今回は私はいじめないと誓っていた。
いじめなかったからか、何故か前回はいい感じだった私の想い人とヒロインが全くいい感じではなくなっていた。その代わり王子とヒロインがいい感じになっていた。王子め、私の想い人を差し置いて...と思っていたら濡れ衣を着せられてなぜか処刑された。
王子は怖い。概ね婚約者の私が邪魔だったに違いない。絶対王子に殺された。クソ
そうして3度目。何故か死んだはずの自分が、また時を遡りベットの上で目を覚ましている。
これは何?永遠にループする感じなの?
何度も死にたくないのだけど。結構死への直面は精神的に辛いものがある。いやポップに話しているように思えるけど本当に辛いし怖いし2度と...いや3度と経験したくない。でもループってことはまた死ぬのかな...もう嫌だな
「もう...死にたくないですわ.....」
さっきまでバクついていた心が幾分か落ち着いてきたのか、到底眠れないと思っていたのに、瞼が急激に重くなる。
恐らく明日からまた学園生活が始まる。
死へのカウントダウンが...
始まるんだわ.....。
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