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第一章 幼少期
六年後の約束
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ジェラルドの屋敷にて。
「リアム殿下って言えばあれだろ。側室の子で王城では随分と蔑ろにされてるって噂だ」
「そうなの?」
「よく知り合えたな。中々表に出てこないのに」
「実はさ————」
BL云々や目的については触れず、出会った経緯やノエルが便りを出したことを説明した。
結果、ジェラルドに手を叩いて笑われた。涙まで出ている。
「何それ。そこはかとない表情って何だ? 何でそこまでして王子と仲良くなりたいの?」
「さ、さぁ。なんでだろう」
「オリヴァーも真面目に付き合うなよ。俺ノエルの兄じゃなくて良かったわ。変な遊びに巻き込まれたくないもん」
実はジェラルドも既に巻き込まれているとは言えない。
「でさ、リアム殿下と何話せば良いと思う?」
「お前人見知りだもんな」
そう、人見知りの俺はジェラルドの元にこれを相談しにきたのだ。ジェラルドとは普通に話せるが他の人とは上手く話せない。
「チェスでもすれば? ゲームでもしてれば話さなくて良いし」
「さすがジェラルド。相談して良かったよ」
「まぁ、リアム殿下にはあんまり深入りしない方が身の為だぞ。ところでお前」
「なに?」
ジェラルドが真剣な顔になって、俺の横に座ってきた。何を言われるのかと手に持っていたティーカップをカチャリとソーサーの上に置いた。
「好きな子でも出来たのか?」
「は?」
「親父が言ってたんだ。妹がやれって言ったからって、あの過酷なヒューゴの特訓についていけるのは好きな子がいるからだって」
「そ、そんなのいないよ」
「本当か? 本当の本当に?」
「本当だよ」
「俺に内緒で恋人なんて作ったら許さないからな」
「作らないよ、しつこいな。そして近いよ」
俺は肩をがっしり掴まれ、ジェラルドの顔もすぐそこにある。こんなところをノエルにでも見られたら……。
「まぁ、順調そうでなによりですわ。ジェラルド様に嫉妬させるとはお兄様もやりますわね」
そう、丁度こんな風に言われるはず。
「って、ノエル? いつからいたの?」
「『好きな子でも出来たのか?』という辺りですわ。お兄様に詰め寄る姿は正に愛を感じましたわ」
うっとりとしているノエルをジェラルドは怪訝そうに見つめた。
「オリヴァー、ノエルは何を言ってんだ?」
「気にしないで、ノエルはいつも変だろ」
「そうだな」
どうしてこう毎度毎度ノエルは良いタイミングで入ってくるのだろうか。
俺の肩をがっしり掴んでいるジェラルドの手をそっと外しながら俺はノエルに聞いた。
「で? ノエルは何しにきたの?」
「ああ、そうでしたわ。明日リアム殿下が参りますので茶葉を分けてもらおうかと」
「茶葉ならうちにも沢山あるじゃん」
「相手は王族ですわ。うちにある安い茶葉で愛想を尽かされてしまったらどうするのです?」
そうなったら有難い。安い茶葉で挑もう。
「それにジェラルド様のお父様にも用事がありましたの」
「親父に?」
「はい。もう用は済んだのですけどね。何でもジェラルド様の魔法の先生は光属性だと言うではありませんか」
「それってまさか」
「魔法の授業の際はお兄様も御一緒することになりましたわ。お兄様、四年後の来たるその日に向けて剣術だけでなく、魔力強化もしていきましょう」
やはりそうなるのか。この国では十四歳にならないと冒険者登録が出来ない。それまでに『剣と魔法に磨きをかけよう』とノエルに言われているのだ。
光属性は他の属性と違って扱いが難しいらしく、同じ光属性同士でなければ実戦に使える魔法が教えられないんだとか。
我が家の講師はノエルと一緒で土属性なので、俺には座学だけ教えて帰る。つまり、今の俺はポゥっと光を出すことはできるが、それ以上の魔法は使えない。そこでノエルはずっと探していたのだ。光属性の講師を。
「お兄様はご存知でしたか?」
「いやー、全く」
笑って誤魔化しておくが、俺もつい最近知った。ジェラルドの講師が光属性だと。俺だって魔法は使いたい。だが、勇者になりたくない俺は、教わるにしてももっと先にしようと思っていた。
「オリヴァー、来たるその日ってなんだ?」
「ノエルのごっこ遊び中なんだ。申し訳ないけど、一緒に魔法の授業受けさせて」
「それは構わないが、面倒なことに巻き込むなよ」
「それは……」
既に巻き込まれているので約束はできない。笑って誤魔化していると、ノエルが満面の笑みで言った。
「ジェラルド様もご一緒に旅を致しましょう? 絶対楽しいですわよ」
「旅? 旅行か……良いかもな。学園が始まると中々行けないし」
「では決まりですわね! 約束ですわよ。六年後、楽しみにしておりますわ」
「どうして六年後なんだ? すぐすれば良いのに」
「はは、ごっこ遊び中だから」
「リアム殿下って言えばあれだろ。側室の子で王城では随分と蔑ろにされてるって噂だ」
「そうなの?」
「よく知り合えたな。中々表に出てこないのに」
「実はさ————」
BL云々や目的については触れず、出会った経緯やノエルが便りを出したことを説明した。
結果、ジェラルドに手を叩いて笑われた。涙まで出ている。
「何それ。そこはかとない表情って何だ? 何でそこまでして王子と仲良くなりたいの?」
「さ、さぁ。なんでだろう」
「オリヴァーも真面目に付き合うなよ。俺ノエルの兄じゃなくて良かったわ。変な遊びに巻き込まれたくないもん」
実はジェラルドも既に巻き込まれているとは言えない。
「でさ、リアム殿下と何話せば良いと思う?」
「お前人見知りだもんな」
そう、人見知りの俺はジェラルドの元にこれを相談しにきたのだ。ジェラルドとは普通に話せるが他の人とは上手く話せない。
「チェスでもすれば? ゲームでもしてれば話さなくて良いし」
「さすがジェラルド。相談して良かったよ」
「まぁ、リアム殿下にはあんまり深入りしない方が身の為だぞ。ところでお前」
「なに?」
ジェラルドが真剣な顔になって、俺の横に座ってきた。何を言われるのかと手に持っていたティーカップをカチャリとソーサーの上に置いた。
「好きな子でも出来たのか?」
「は?」
「親父が言ってたんだ。妹がやれって言ったからって、あの過酷なヒューゴの特訓についていけるのは好きな子がいるからだって」
「そ、そんなのいないよ」
「本当か? 本当の本当に?」
「本当だよ」
「俺に内緒で恋人なんて作ったら許さないからな」
「作らないよ、しつこいな。そして近いよ」
俺は肩をがっしり掴まれ、ジェラルドの顔もすぐそこにある。こんなところをノエルにでも見られたら……。
「まぁ、順調そうでなによりですわ。ジェラルド様に嫉妬させるとはお兄様もやりますわね」
そう、丁度こんな風に言われるはず。
「って、ノエル? いつからいたの?」
「『好きな子でも出来たのか?』という辺りですわ。お兄様に詰め寄る姿は正に愛を感じましたわ」
うっとりとしているノエルをジェラルドは怪訝そうに見つめた。
「オリヴァー、ノエルは何を言ってんだ?」
「気にしないで、ノエルはいつも変だろ」
「そうだな」
どうしてこう毎度毎度ノエルは良いタイミングで入ってくるのだろうか。
俺の肩をがっしり掴んでいるジェラルドの手をそっと外しながら俺はノエルに聞いた。
「で? ノエルは何しにきたの?」
「ああ、そうでしたわ。明日リアム殿下が参りますので茶葉を分けてもらおうかと」
「茶葉ならうちにも沢山あるじゃん」
「相手は王族ですわ。うちにある安い茶葉で愛想を尽かされてしまったらどうするのです?」
そうなったら有難い。安い茶葉で挑もう。
「それにジェラルド様のお父様にも用事がありましたの」
「親父に?」
「はい。もう用は済んだのですけどね。何でもジェラルド様の魔法の先生は光属性だと言うではありませんか」
「それってまさか」
「魔法の授業の際はお兄様も御一緒することになりましたわ。お兄様、四年後の来たるその日に向けて剣術だけでなく、魔力強化もしていきましょう」
やはりそうなるのか。この国では十四歳にならないと冒険者登録が出来ない。それまでに『剣と魔法に磨きをかけよう』とノエルに言われているのだ。
光属性は他の属性と違って扱いが難しいらしく、同じ光属性同士でなければ実戦に使える魔法が教えられないんだとか。
我が家の講師はノエルと一緒で土属性なので、俺には座学だけ教えて帰る。つまり、今の俺はポゥっと光を出すことはできるが、それ以上の魔法は使えない。そこでノエルはずっと探していたのだ。光属性の講師を。
「お兄様はご存知でしたか?」
「いやー、全く」
笑って誤魔化しておくが、俺もつい最近知った。ジェラルドの講師が光属性だと。俺だって魔法は使いたい。だが、勇者になりたくない俺は、教わるにしてももっと先にしようと思っていた。
「オリヴァー、来たるその日ってなんだ?」
「ノエルのごっこ遊び中なんだ。申し訳ないけど、一緒に魔法の授業受けさせて」
「それは構わないが、面倒なことに巻き込むなよ」
「それは……」
既に巻き込まれているので約束はできない。笑って誤魔化していると、ノエルが満面の笑みで言った。
「ジェラルド様もご一緒に旅を致しましょう? 絶対楽しいですわよ」
「旅? 旅行か……良いかもな。学園が始まると中々行けないし」
「では決まりですわね! 約束ですわよ。六年後、楽しみにしておりますわ」
「どうして六年後なんだ? すぐすれば良いのに」
「はは、ごっこ遊び中だから」
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