俺の妹は転生者〜勇者になりたくない俺が世界最強勇者になっていた。逆ハーレム(男×男)も出来ていた〜

陽七 葵

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第五章 うっかり魔界へ

王は王でも……

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 二ヶ月後。つまり魔王退治まで残り六ヶ月を切った。

「寝てる間に闇魔法は出てない? 大丈夫?」

 俺が皆に確認すれば、ジェラルドが記憶を辿りながら応えた。

「あー、そういや最近出てないな」

「てことは……」

 リアムがにっこり笑って言った。

「習得出来たんじゃない?」

 ついに、ついにこの海から離れられる!

 嬉しさのあまり、黒い何かが皆を吊し上げた。

「ごめん……」

「前言撤回だ」

 リアムが笑顔のまま額に青筋を立てている。

 ——と、出発前に色々あったが、俺は光魔法だけでなく、闇魔法もある程度自在に操ることが出来るようになった為、冒険が再開されることになった。

「で、今現在、鑑定士がいるかもしれないって村がここなんだ」

 ショーンが肉球で地図上のとある村を指した。

 各々自分の力を向上させている間、リアムとショーンは人や動物、あらゆる生物から情報を聞き出した。そして、鑑定士は一つのギルドに居座っているのではなく、冒険者のように各地を転々としていることが判明。

「でも、この村までは結構距離あるね。近くの村まで歩いて、それから……」

 交通手段を考えていたら、皆の視線が俺に集まっていることに気が付いた。

「何?」

「何? じゃねーよ。何のための闇魔法だよ」

 ジェラルドが言えば、エドワードとリアムも続いて言った。

「全員まとめてが難しかったら何回か往復しても良いよ」

「前に全員転移させたことあるし、行けるんじゃない?」

「え、そういう感じなの?」

 俺はてっきり、道中の様々な景色を堪能しながら他愛無い会話をして、互いの絆を深め合いながら冒険を続けていくのかと思っていた。

 キースもテントを小さく収納しながら言った。

「時短できるならした方が良いだろ。刻印も早く消したいんだろ?」

「うん、一刻も早く」

「お兄様も刻印が消えないことには、皆様と二人きりで寝られませんものね」

 海辺ではテントの中で雑魚寝をしていたのだが、たまたまキースと二人きりでテントの中にいたら浮気扱いされて黒龍が出てきた。それからというもの、俺は個室空間で二人きりになることを控えている。

「えっと、村の名前は?」

「ナナン村ですわ」

「行ったことないけど行けるかな」





「どうかな? 成功したかな?」

 突如俺達六人と一匹が現れたので周囲の人達は驚いているが、どこかの村には転移出来たようだ。人が賑わっている。

「ちょっと待ってて、聞いてくる」

 エドワードが歩いている女性に声をかけると、女性は頬をピンクに染めながらエドワードの質問に応えていた。

「どうだった?」

「うん。ここ、ナナリ村だって。ナナン村はここから東に行ったところみたい」

「失敗か」

 落ち込んでると、キースに頭をポンポン撫でられた。

「リとンの違いだろ。名前だけで転移出来るなんて凄いことだぞ」

「そうかなぁ」

 自信無げに言えば、リアムも励ましてくれた。

「そうだよ。これなら魔王の所にも転移でパッといけるかもね」

「魔王の所に転移でパッと……」

 シュッ。

「でも、魔界までは無理ってメレディスが……あれ?」

 俯いていた頭を上げると、そこは知らない場所だった。そして、近くにいたはずの仲間は誰もいない。

 赤と黒を基調にした大きな部屋。壁には高そうな装飾品や絵が飾られ、これまた大きな机の上には沢山の紙の山。その紙の山で顔は見えないが、誰かいるようだ。
 
「おい、これ以上は無理だ。捌ききれん」

「陛下が溜め込んでるからですよ」

 聞き覚えのある声だ。どこだっただろうか。

 それより今と言ったような。まさか、ここは国王の部屋? そんな所に俺は無断で転移してしまったのか?

 早くここから出なければ。見つかれば俺も罰せられるが、リアムにも迷惑がかかってしまう。

 そうだ、転移で来たんだから転移で帰れるはず。

「……」

 全く転移出来ない。とにかく机の陰に隠れながら部屋から出よう。そう思って大きな机の陰に隠れた。

「では、私はお茶でも淹れて来ます……ね?」

 歩いてきたメレディスと目が合った。

「……」

「……」

 何故、メレディスが……まさか、ここは魔界? そして、そこにいるのは王は王でも魔王!?

 早くここから逃げないと。いくら自称勇者をやっていたとしても、一人で魔王になんて立ち向かう勇気は持ち合わせていない。

 しかも俺はまだランクDだ。これがSなら『一人で魔王を倒して見せる!』みたいな自信も付くかもしれないが、今はDだ。敵う気がしない。  

「あー、もう書類ばっかでつまらん。暇つぶしに人間界侵略でもするか。そうすりゃ、ジジイ達も喜ぶだろ」

「ッ!?」

 と聞いて思わず声を出しそうになったところ、メレディスの手で口を塞がれた。

「メレディス? 誰か来てるのか?」

「いえ、子猫が迷い込んだみたいです」

「子猫?」

 暫し沈黙が流れたので、メレディスの苦しい言い訳に納得したのかと思ったのも束の間、魔王は陽気に言った。

「そうか……汝の嫁か。どうりで汝の魔力が二重に感じられたわけか。おい、紹介しろ」

「本日は陛下にお見せできる姿ではありませんので」

「そのままで構わんぞ」

「そういう訳には参りません。後日改めて紹介致しますので」

 メレディスによって、俺はどこか違う場所に転移した——。
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