俺の妹は転生者〜勇者になりたくない俺が世界最強勇者になっていた。逆ハーレム(男×男)も出来ていた〜

陽七 葵

文字の大きさ
80 / 144
第五章 うっかり魔界へ

vs雑魚

しおりを挟む
「ヒッ……ヒック……」

「オリヴァー? 大丈夫か?」

 酒で口をゆすいで吐物の匂いはとれたが、次は酒臭い。そして、ふらついて上手く歩けない。

「顔が真っ赤だぞ」

「そう? ヒック、らいじょうぶ、らいじょうぶ」

「やはり、お子ちゃまに酒は早かったか」

 酒に酔ってしまった俺を、メレディスは地べたに座らせた。

「汝はここで待っていろ。ここなら鬼もすぐには来んだろう」

「メレディスは?」

「上の奴らを先に倒してくる」

「一人で、らいじょうぶ? まぁ、俺がいてもお荷物ならけか。ははは」

「たく、世話の焼ける嫁だ。大人しく待っているんだぞ」

「はーい」


 ◇


 十分後。

 上空からは闇魔法同士がぶつかり合い、大きな衝撃音が鳴り響いている。

「ハッ、ちょっと寝てた」

 酒のせいで、まだ頭はふわふわしている。そんな状態で俺は立ち上がり、岩陰から少し歩いて上空を見渡した。三対一だからかメレディスがやや押されている。

「よし、加勢しよう」

 俺は剣を構えた。

 その状態で数十秒——。

「あ、これじゃ全然とどかないや。悪魔は光が苦手、光……」

 剣を収めて両手を上に翳すと、闇の閃光が出た。

「あれ? おかしいな。でも当たった」

 先程吐物をかけた雑魚Bに闇の閃光は命中した。怒りを露わにした雑魚Bは、俺が出したものよりも遥かに大きな闇の閃光を放って来た。

「凄いなぁ」

 防御もせずにその攻撃を見ていると、当たる寸前にメレディスが目の前に現れた。メレディスは防御する間もなく、一身に背中で攻撃を受け止めた。

「メ、メレディス?」

「ったく、出てくるなと言っただろう」

「メレディス……羽が……羽が」

 メレディスの翼が片方ちぎれている。

 俺の酔いは一気にさめて、すぐさま治癒魔法をメレディスにかけた。

「何で? 何で治らないの?」

 背中の傷は治ったが、完全にちぎれてしまった翼は元に戻らない。

「気にするな。ひと月もすれば新しいのが生えてくる」

「ひと月って……ごめん。本当にごめん」
 
 俺のせいだ。俺が勝手に出て来て余計なことをしたから。

「翼を片方無くしたことで魔力が殆ど残っていない。空も飛べんし、汝を守り切れるかどうか」

「そんなことより……」

「オレらの事を雑魚呼ばわりした割に弱っちぃな」

 雑魚三体がおりてきた。それらは地面には着地せず、やや上の方で俺達を見下すように止まった。

「これで終いか? やはり雑魚は貴様らではないか」

「跪いて謝るなら殺しはしないが、どうする?」

 勝ち誇った顔の雑魚達を横目に、メレディスは困った顔で微笑んだ。

「メレディス……しないよね?」

「私が死ねば汝も死ぬんだ。私が誤って刻印を付けたのに、溺愛して欲しいという汝の期待にも応えられなかった。せめて命だけは守ってやりたい」

 メレディスは俺に背を向けた。

 跪こうとしているメレディスの前に俺は出た。

「駄目だよ、メレディス。雑魚相手に膝を付くなんて」

「なッ、コイツまた雑魚って」

「そいつはもう魔力が残ってないんだ。人間如きが粋がっても良いのか?」

「いつの時代も人間は身の程知らずだな」

 自分でも身の程知らずだと思っている。悪魔三体に一人で挑もうなどと。しかし、俺は勇気ある者、勇者なのだ。

「身の程知らずで勇者が務まるか! 打倒魔王を謳っている俺が雑魚に敵わないわけがない。ちなみに、メレディスはお前らに負けたんじゃないからな。俺を守っただけだ。そこを履き違えるなよ」

 言いたい事だけ言って俺は聖剣を構え、光の魔力を込めた。

「メレディス、光のシールド張って良い?」

「いや、私も戦う。嫁に守られる夫なんて示しがつかん」

「でも、魔力ほとんど残ってないって……」

 俺がメレディスを不安げに見れば、メレディスはニヤリと笑った。

「私を誰の夫だと思っている?」

「まさか……」

 メレディスは光の球をぽわんと出した。

「メレディス、本当に大丈夫……? 手が爛れてきてるよ」

「後で治してくれ」

 そう言いながら、メレディスは光の球を空中に放った。

 ドガーン!

 小さい球が、空中で爆弾のように大爆発した。そして、爆発と同時にまばゆい光が四方に放たれた。

「うわ、何だこれ。熱ッ」

 やはり悪魔には光魔法は効果的なようで、雑魚達の皮膚は光が当たった部分が爛れている。

「メレディス、本当に初めて? 俺より光魔法の扱い上手くない?」

「天性の才能というやつだろうな。鬼まで来たら厄介だ。早く片付けるぞ」

 メレディスが閃光を放つと、直撃はしなかったが雑魚Cの翼を掠めた。バランスを崩して落ちて来た雑魚Cの翼を俺は叩き切った。

「ぐあッ! 貴様、翼を切りやがったな」

「メレディスの気持ちが分かったか!」

 雑魚Cは翼を切られたせいで、魔力が一気になくなったようだ。攻撃しようとしたが何も発動しなかった。

「俺に羽を切られるなんて、やっぱ雑魚じゃん」

 何も言い返さない雑魚Cに、もう一振り聖剣を振るうと翼は両方とも無くなった。

「オリヴァー、後ろ!」

 メレディスの声で後ろを振り返ると、長い爪で腕を引っ掻かれた。

「グッ」

 雑魚Aが、爪に付いた俺の血を舐めようとした瞬間、刻印からみーちゃんが出て来た。

 みーちゃんは鉤爪で雑魚Aの顔面を引っ掻いた。続けて、口を大きく開けると真っ黒の球が出現し、それを雑魚Aに向かって放出した。

「みーちゃん強ッ」

 雑魚Aはその一撃で気絶した。

「起きない内に羽切っとこう」

 俺は聖剣で雑魚Aの翼を両方とも切った。

 雑魚Bも、いつの間にかメレディスにやられており、戦闘不能になっていた。なので、雑魚Bの翼も勿論切り落としておいた。

「でも、何で急にみーちゃん出て来たんだろ」

「そこの雑魚Aは、相手の血を体内に取り入れることでその人の動きを自在に操ることが出来るのだ。刻印の精霊は、私と汝の血が他の誰かの中に入るのが嫌だったのだろう」

「みーちゃんが出て来てくれなかったら俺、今頃操り人形だったんだね」

「それにしても名前のセンスが無いな。可哀想に」

 メレディスはみーちゃんを哀れみの目で見て撫でた。

「だが、光魔法は凄い威力だな。初めから使っていれば良かった」

 感心しているメレディスだが、両手が真っ黒だ。手は治癒魔法でどうにかなるかもしれない。それよりも……。

「ねぇ、メレディスの体、透けてない?」
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。

しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。 基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。 一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。 それでも宜しければどうぞ。

小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~

朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」 普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。 史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。 その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。 外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。 いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。 領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。 彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。 やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。 無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。 (この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件

表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。 病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。 この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。 しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。 ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。 強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。 これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。 甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。 本編完結しました。 続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください

この俺が正ヒロインとして殿方に求愛されるわけがない!

ゆずまめ鯉
BL
五歳の頃の授業中、頭に衝撃を受けたことから、自分が、前世の妹が遊んでいた乙女ゲームの世界にいることに気づいてしまったニエル・ガルフィオン。 ニエルの外見はどこからどう見ても金髪碧眼の美少年。しかもヒロインとはくっつかないモブキャラだったので、伯爵家次男として悠々自適に暮らそうとしていた。 これなら異性にもモテると信じて疑わなかった。 ところが、正ヒロインであるイリーナと結ばれるはずのチート級メインキャラであるユージン・アイアンズが熱心に構うのは、モブで攻略対象外のニエルで……!? ユージン・アイアンズ(19)×ニエル・ガルフィオン(19) 公爵家嫡男と伯爵家次男の同い年BLです。

転生令息は冒険者を目指す!?

葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。  救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。  再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。  異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!  とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

悪役令息に転生したのに、ヒーローもヒロインも不在で、拾って育てた執事が最強なんだが……なんで?!

はぴねこ
BL
前世の弟が好きだったゲームの世界に、悪役令息として転生してしまった俺。 本来なら、ヒロインをいじめ、ヒーローが活躍するための踏み台になる…… そんな役割のはずなのに、ヒーローともヒロインとも出会えない。 いじめる対象すら見つけられない新米悪役令息とか、ポンコツすぎないだろうか? そんな俺に反して、子供の頃に拾って育てた執事は超優秀で、なぜか「悪役執事スキル」を着実に磨いている。 ……いや、違う! そうじゃない!! 悪役にならなきゃいけないのは俺なんだってば!!! 

処理中です...