俺の妹は転生者〜勇者になりたくない俺が世界最強勇者になっていた。逆ハーレム(男×男)も出来ていた〜

陽七 葵

文字の大きさ
81 / 144
第五章 うっかり魔界へ

またまた魔界ルールに嵌められた

しおりを挟む
 メレディスは自身の光魔法に浄化されようとしている。体は半透明で、向こう側にある山が透けて見える。

「なんだか気分が良いんだ。このまま逝きたい」

「ダメダメ! 早く光魔法抑え込んで!」

 これは非常にまずい。光魔法を抑え込んだところで浄化が食い止められるかは疑問だが、何もしなければ確実にメレディスは死ぬ。そして、俺も死ぬ。

 俺はメレディスが天に召されないよう、必死にメレディスに縋り付いた。

「死んだら嫌だよ。メレディスが死んじゃったら俺どうすれば良いの? 俺、生きられないよ」

「汝……そんなに私のことを」

 メレディスは何百年と生きているかもしれない。だけど、俺はまだたったの十四年。人生これからなんだ。

「こんなことなら冒険なんてするんじゃなかった。冒険さえしなければ、メレディスにさえ出会わなければ、こんな気持ちになることも無かったのに」

「……」

 俺はこのまま死ぬのか。せめて仲間に囲まれながら、ノエルに見守られながら死にたかったな。最後に両親にも会いたい。

 皆のことを考えたら涙が出てきた。ボロボロボロボロ涙が出て止まらない。

「夫婦は苦楽を共にするんでしょ? メレディスは楽になるかもしれないけど、俺はこんな最後苦しいよ」

「そうだったな……今はまだ夫婦だもんな」

 メレディスは俺を引き剥がし、涙を拭ってくれた。

「死なないでよ。お願いだから」

「辛い思いをさせて悪かったな」

 メレディスの浄化が止まったようだ。徐々に色を取り戻しつつある。

 俺は安堵からメレディスに抱きついた。

「怖かった」


 ◇


 俺とメレディスは、みーちゃんの背に乗せてもらいながら移動している。俺が前でメレディスが後ろだ。

 ちなみに、雑魚三体はそのまま放置してきた。その後のことは……知らない。

「みーちゃんって便利だね」

「通常はこんなことしてくれんが、汝の事を随分と気に入っているようだな」

「そっか。でもメレディスとの刻印が消えたら、みーちゃんとも会えなくなるんだね……わッ」

 寂しくなるなと思っていると、みーちゃんが変わった動きをしたので、振り落とされそうになった。

「大丈夫か?」

「うん。ありがとう」

 振り落とされそうになった俺の腰にメレディスは後ろから腕を回して支えてくれた。

「キィィ」

「ッたく、こいつわざとしてるな」

 メレディスは呆れた顔でみーちゃんを見下ろした。

「わざとって。まさか、みーちゃん、俺のこと落として殺そうと?」

「馬鹿なのか」

「馬鹿って……メレディス酷い」

 ムッとしていると、メレディスは俺の腰に回した手に力を加えて更に引き寄せた。完全にメレディスと密着した形になり、更には肩に顔を乗せられた。

「メレディス、近くない……?」

 戸惑っていると耳元で囁かれた。

「こいつは私達が仲良くすることを望んでるんだ。そういう精霊だからな」

「でもメレディスは女の子が好きだし、俺だって」

「もう強がらなくても良い」

「強がる?」

 どうでも良いが、メレディスの声が色っぽすぎる。真夜中の星空の下、ムードが良すぎるからだろうか。

 腰に回された腕とは反対の手でメレディスに手を握られた。驚いたがメレディスが話し始めたので、抵抗せずに聞いた。

「事情も聞かず私のことを庇ってくれたり」

 メレディスは、今は一応味方だ。味方が馬鹿にされれば腹も立つ。
 
「私がいないと生きられないと泣きながら縋ってくれたり、汝の気持ちは十分に伝わった」

「あれは、ごめん」

 今考えると自分勝手すぎたかもしれない。自分が死にたくないことしか考えていなかった。でも、そんなに根にもたなくても良いのに。

「陛下に刻印を消さないで欲しいと必死に懇願していたのも本心だったんだな。それなのに、私はチャンスとばかりに……酷い仕打ちをして悪かったな」

 メレディスの力が無くなれば逃げ切れる気がしなかったから、本心といえば本心ではあるが。

「私もここまで一途に想われて拒むことはできん」

「メレディス、何の話を……ひゃッ! ちょっと何処に手入れてんの!?」

 腰に回されていたメレディスの手が、シャツの中に入ってきた。

「暴れたら落ちるぞ」

「だってくすぐったいし」

「その内、気持ちよくなる」

「ぴゃッ」

 服の中をまさぐられながら、メレディスに耳を舐められた。

「可愛いな」

「刻印? 刻印が疼いてるの?」

 俺の刻印は疼いていないが、メレディスは疼いているのかもしれない。

「案ずるな、これは自らの意思だ」

「いやいやいや、案ずるよ。物凄い案ずるよ」

「今更恥ずかしがることはない。溺愛して欲しかったんだろう? 望みを叶えてやろうと思ってな」

「溺愛? 望み?」

「相変わらず惚けるのが上手いな。私の力を扱えるようになった所を見て欲しかったのだろう?」

 メレディスが苛々してたから、闇魔法を扱えるようになった所を見せはしたが、それと今の状況はどう繋がるのだろうか。さっぱり分からない。

「それが『私を溺愛して』と同義なのも分かっていると自分で言っていたではないか」

「……は?」

 俺は、また訳のわからない魔界ルールに嵌められてしまったようだ。

「だから陛下には絶対に渡さんから安心しろ。無論あの男にも返さん。一生二人で生きていこう」

 あの男とは誰のことか分からないが、メレディスはこの暑さのせいで冷静な判断が出来ずにいるに違いない。

「メレディス、早くここから出て人間界に行こう」

「そうだな。人間界に汝を無事に送り届ければ休みが十年は貰えるからな。それから思う存分愛でることにしよう」

 人間界に戻るのも不安になって来た。

 そうだ、こういう時は帰ってノエルの意見を聞こう。まともな意見が返ってこないノエルだが、ノエルが口にした事は全て現実になるのだ。

 俺をジェラルドやリアム達とくっつけたがっているノエルの意見を聞けば、自ずとメレディスとは距離が出来るはず。

「ちょ、ズボンはやめて、本当にやめて。もうメレディス、落ちちゃうって」

「だったら抵抗するな」
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。

しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。 基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。 一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。 それでも宜しければどうぞ。

転生令息は冒険者を目指す!?

葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。  救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。  再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。  異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!  とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~

朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」 普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。 史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。 その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。 外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。 いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。 領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。 彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。 やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。 無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。 (この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)

この俺が正ヒロインとして殿方に求愛されるわけがない!

ゆずまめ鯉
BL
五歳の頃の授業中、頭に衝撃を受けたことから、自分が、前世の妹が遊んでいた乙女ゲームの世界にいることに気づいてしまったニエル・ガルフィオン。 ニエルの外見はどこからどう見ても金髪碧眼の美少年。しかもヒロインとはくっつかないモブキャラだったので、伯爵家次男として悠々自適に暮らそうとしていた。 これなら異性にもモテると信じて疑わなかった。 ところが、正ヒロインであるイリーナと結ばれるはずのチート級メインキャラであるユージン・アイアンズが熱心に構うのは、モブで攻略対象外のニエルで……!? ユージン・アイアンズ(19)×ニエル・ガルフィオン(19) 公爵家嫡男と伯爵家次男の同い年BLです。

ヒロイン不在の異世界ハーレム

藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。 神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。 飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。 ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?

【完結】だから俺は主人公じゃない!

美兎
BL
ある日通り魔に殺された岬りおが、次に目を覚ましたら別の世界の人間になっていた。 しかもそれは腐男子な自分が好きなキャラクターがいるゲームの世界!? でも自分は名前も聞いた事もないモブキャラ。 そんなモブな自分に話しかけてきてくれた相手とは……。 主人公がいるはずなのに、攻略対象がことごとく自分に言い寄ってきて大混乱! だから、…俺は主人公じゃないんだってば!

処理中です...