104 / 144
第七章 人間界侵略回避
騎士の協力
しおりを挟む
魔物が降ってきてから約三時間。
アルフォード辺境伯領を守る騎士らも参戦し、随分と魔物の数も減ってきた。それでもまだ半分くらいだが。
「キース大丈夫? 聖水まだある?」
「ああ、残り一本だ」
言わずもがな、魔物は雑魚から倒れていく。故に残っている魔物は中級から上級ばかり。そんな中、聖水一本で大丈夫だろうか。
パカラパカラ……。
馬が駆けてくる音がして振り返ると、一人の騎士が俺の前で停まった。
「オリヴァー殿、数十名程重症者はいましたが、聖水で命は無事です。領地内の民の避難は無事終わったかと」
「ありがとう。エリオット」
「いえ、御礼を言うのは私共の方です」
——この騎士エリオットは、聖水を作った時に俺達を見ていた騎士だ。あの後すぐに話かけられた。しかも、突然両手を握られた。
『勇者様ですよね! お噂は予々伺っております』
『噂?』
『何でも各地で村人を救って回っていると、王都にいるヒューゴ副団長から』
なるほど。ヒューゴが弟子自慢をして回っているのか。
『私はこの領地で団長をしておりますエリオット・アルフォードと申します』
『アルフォードって……辺境伯の!?』
『ええ、私は次男ですが。此度は何故こんな辺境の地へ?』
『えっと……』
『僕から説明するよ』
リアムが代わりに魔王からの手紙の件を話した。
暫しの沈黙があり、エリオットは敬礼した。
『分かりました。直ちに警戒体制をとります』
『信じてくれるんですか?』
『仮に嘘情報ならそれはそれで良いんです。ただ、それが事実だった時、嘘だと思って行動せず民を……国を守り切れなかった時、私共は後悔しか残りませんから』
騎士って格好良いなと、改めて思った瞬間だった——。
「では、私も戦闘に加わりますね」
エリオットは爽やかな笑顔を向けた後、馬で駆けながらマンティコアの首を切り落とした。
「うわー、エリオット、あれ普通に斬っちゃったよ」
素直に感想を言えば、キースが苦笑を浮かべた。
「オリヴァー、お前マンティコアの顔が人っぽいから何となく避けてただろ」
「分かってた? 斬ろうとしたらジッと見られてさ、人喰いって聞いてたけど襲ってこないから後回しにしてた……ひッ!」
エリオットの斬ったマンティコアの頭がコロンと転がって、こちらをじっと見て来た。
「これ、死んでるよね?」
「多分な」
ジェラルドが見たら恐怖で辺り一面氷漬けになっていることだろう。それはそれで早く魔物が倒せて好都だが。
恐ろしいので、ひとまずマンティコアを浄化しておいた。そして、上空を見上げた。
「よし、上の敵はみーちゃんに任せよう。みーちゃん出ておいで」
「キィ」
みーちゃんが撫でてと言わんばかりに頭を下げて来たので撫でると、嬉しそうに黒い玉を口から何個も放出して辺りの敵を一掃した。
「敵を倒してくれるのは嬉しいけど、キースが死んだらどうするの!」
みーちゃんの攻撃はキースにも当たり、キースはそれを一身に受け止めていた。キースは気絶していた。
「みーちゃんは上の敵倒してきて!」
みーちゃんはしょんぼりした様子で上空へ飛んだ。
「キース、大丈夫? みーちゃんがごめんね」
キースに治癒魔法をかけると薄っすら目を開けた。
「ああ、サンキュー。おかげで強いカウンターが出せそうだ」
「まさか、わざと避けなかったの?」
キースに目を逸らされた。図星のようだ。
これがあるから聖水を持たせていても、俺とタッグを組んだのだ。
キースのカウンターは、わざわざ体で受け止めなくても魔石入りの剣で受け止めればカウンターが出せる。
剣で受け止め切れない強い攻撃は避けるように言い聞かせているのに、それでも避けずに一身に受け止めるキースの癖は中々直らない。むしろわざとしている。
「次やったら治癒魔法かけないよ」
「悪かったって。そんな怒んなよ」
「わッ」
キースに思い切り腕を引っ張られ、キースの胸にダイブした。
「危ねー、もうちょっとでウチの大事なお姫様に傷が付くとこだったぜ」
「何々? 何が起きたの?」
「アイツが突っ込んで来たんだよ」
キースの指の先にはユニコーンがいた。
「あ、ありがとう」
御礼を言って立ちあがろうとすれば、背後から声がした。
「おい、貴様ら早く離れろ」
声にびっくりしてバランスを崩したものだから再度キースの胸にダイブした。
「大丈夫か?」
「あ、うん。それより、この声……」
後ろを振り向けば、魔王が立っていた。ついでに額に青筋を浮かべたメレディスも立っている。
アルフォード辺境伯領を守る騎士らも参戦し、随分と魔物の数も減ってきた。それでもまだ半分くらいだが。
「キース大丈夫? 聖水まだある?」
「ああ、残り一本だ」
言わずもがな、魔物は雑魚から倒れていく。故に残っている魔物は中級から上級ばかり。そんな中、聖水一本で大丈夫だろうか。
パカラパカラ……。
馬が駆けてくる音がして振り返ると、一人の騎士が俺の前で停まった。
「オリヴァー殿、数十名程重症者はいましたが、聖水で命は無事です。領地内の民の避難は無事終わったかと」
「ありがとう。エリオット」
「いえ、御礼を言うのは私共の方です」
——この騎士エリオットは、聖水を作った時に俺達を見ていた騎士だ。あの後すぐに話かけられた。しかも、突然両手を握られた。
『勇者様ですよね! お噂は予々伺っております』
『噂?』
『何でも各地で村人を救って回っていると、王都にいるヒューゴ副団長から』
なるほど。ヒューゴが弟子自慢をして回っているのか。
『私はこの領地で団長をしておりますエリオット・アルフォードと申します』
『アルフォードって……辺境伯の!?』
『ええ、私は次男ですが。此度は何故こんな辺境の地へ?』
『えっと……』
『僕から説明するよ』
リアムが代わりに魔王からの手紙の件を話した。
暫しの沈黙があり、エリオットは敬礼した。
『分かりました。直ちに警戒体制をとります』
『信じてくれるんですか?』
『仮に嘘情報ならそれはそれで良いんです。ただ、それが事実だった時、嘘だと思って行動せず民を……国を守り切れなかった時、私共は後悔しか残りませんから』
騎士って格好良いなと、改めて思った瞬間だった——。
「では、私も戦闘に加わりますね」
エリオットは爽やかな笑顔を向けた後、馬で駆けながらマンティコアの首を切り落とした。
「うわー、エリオット、あれ普通に斬っちゃったよ」
素直に感想を言えば、キースが苦笑を浮かべた。
「オリヴァー、お前マンティコアの顔が人っぽいから何となく避けてただろ」
「分かってた? 斬ろうとしたらジッと見られてさ、人喰いって聞いてたけど襲ってこないから後回しにしてた……ひッ!」
エリオットの斬ったマンティコアの頭がコロンと転がって、こちらをじっと見て来た。
「これ、死んでるよね?」
「多分な」
ジェラルドが見たら恐怖で辺り一面氷漬けになっていることだろう。それはそれで早く魔物が倒せて好都だが。
恐ろしいので、ひとまずマンティコアを浄化しておいた。そして、上空を見上げた。
「よし、上の敵はみーちゃんに任せよう。みーちゃん出ておいで」
「キィ」
みーちゃんが撫でてと言わんばかりに頭を下げて来たので撫でると、嬉しそうに黒い玉を口から何個も放出して辺りの敵を一掃した。
「敵を倒してくれるのは嬉しいけど、キースが死んだらどうするの!」
みーちゃんの攻撃はキースにも当たり、キースはそれを一身に受け止めていた。キースは気絶していた。
「みーちゃんは上の敵倒してきて!」
みーちゃんはしょんぼりした様子で上空へ飛んだ。
「キース、大丈夫? みーちゃんがごめんね」
キースに治癒魔法をかけると薄っすら目を開けた。
「ああ、サンキュー。おかげで強いカウンターが出せそうだ」
「まさか、わざと避けなかったの?」
キースに目を逸らされた。図星のようだ。
これがあるから聖水を持たせていても、俺とタッグを組んだのだ。
キースのカウンターは、わざわざ体で受け止めなくても魔石入りの剣で受け止めればカウンターが出せる。
剣で受け止め切れない強い攻撃は避けるように言い聞かせているのに、それでも避けずに一身に受け止めるキースの癖は中々直らない。むしろわざとしている。
「次やったら治癒魔法かけないよ」
「悪かったって。そんな怒んなよ」
「わッ」
キースに思い切り腕を引っ張られ、キースの胸にダイブした。
「危ねー、もうちょっとでウチの大事なお姫様に傷が付くとこだったぜ」
「何々? 何が起きたの?」
「アイツが突っ込んで来たんだよ」
キースの指の先にはユニコーンがいた。
「あ、ありがとう」
御礼を言って立ちあがろうとすれば、背後から声がした。
「おい、貴様ら早く離れろ」
声にびっくりしてバランスを崩したものだから再度キースの胸にダイブした。
「大丈夫か?」
「あ、うん。それより、この声……」
後ろを振り向けば、魔王が立っていた。ついでに額に青筋を浮かべたメレディスも立っている。
65
あなたにおすすめの小説
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~
朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」
普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。
史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。
その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。
外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。
いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。
領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。
彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。
やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。
無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。
(この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
この俺が正ヒロインとして殿方に求愛されるわけがない!
ゆずまめ鯉
BL
五歳の頃の授業中、頭に衝撃を受けたことから、自分が、前世の妹が遊んでいた乙女ゲームの世界にいることに気づいてしまったニエル・ガルフィオン。
ニエルの外見はどこからどう見ても金髪碧眼の美少年。しかもヒロインとはくっつかないモブキャラだったので、伯爵家次男として悠々自適に暮らそうとしていた。
これなら異性にもモテると信じて疑わなかった。
ところが、正ヒロインであるイリーナと結ばれるはずのチート級メインキャラであるユージン・アイアンズが熱心に構うのは、モブで攻略対象外のニエルで……!?
ユージン・アイアンズ(19)×ニエル・ガルフィオン(19)
公爵家嫡男と伯爵家次男の同い年BLです。
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
悪役令息に転生したのに、ヒーローもヒロインも不在で、拾って育てた執事が最強なんだが……なんで?!
はぴねこ
BL
前世の弟が好きだったゲームの世界に、悪役令息として転生してしまった俺。
本来なら、ヒロインをいじめ、ヒーローが活躍するための踏み台になる……
そんな役割のはずなのに、ヒーローともヒロインとも出会えない。
いじめる対象すら見つけられない新米悪役令息とか、ポンコツすぎないだろうか?
そんな俺に反して、子供の頃に拾って育てた執事は超優秀で、なぜか「悪役執事スキル」を着実に磨いている。
……いや、違う!
そうじゃない!!
悪役にならなきゃいけないのは俺なんだってば!!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる