今さら戻ってこいと言われても、私なら幸せに暮らしてますのでお構いなく

日々埋没。

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「ルミナス……」

 気のせいか、ルミナスの名を口にしたルドラー伯爵の表情は険しい。
 まるで忌々しい物を見たかのように。

 それこそ、昔私がルミナスを養女に迎え入れてほしいと懇願した時のようだ。

「そういえば彼女の姿が見えませんが」

「ああ、は今、我が家の地下牢に幽閉しているからな」

 まさかの返答に再びこちらがたじろぐ。

 確かに大概の貴族の家にはお家の恥部を文字通り隠匿するための地下牢があるが、それにしても幽閉とは穏やかではない。

「どうしてそのようなことを? 彼女はルドラー伯爵が――」

『実の娘を差し置いて可愛がっていたはずなのになぜ?』

 そう口にしてしまいそうになるのをこらえた。

 今尋ねるべきはそこではないし、ルドラー伯爵の突然の心変わりも気になる。

「ふん、あのような痴れ者には当然の処置だ。なにせあれは私たちにを使っていたのだからな」

「魅了……?」

「ああそうだ、あの娘は魔女の末裔、そのことを隠して密かに我らに魅了魔法を使って心を操っていたのだ! ……まったく、拾ってやった恩を仇で返しおって!」

 吐き捨てるように口にしたルドラー伯爵の言葉である程度は合点が行った。 
 
 周囲の人間の誰もがルミナスを甘やかし、愛した理由。

 私が除け者にされた理由。

 だけどこれだけは分からない。

 なぜ私だけは魅了とやらにかからなかったのか。

 ルミナスにとって色々と目の上のたんこぶの存在だったであろう私も操ってしまえば良かっただろうに。

 本人に聞けば分かるだろうか?

「……ルドラー伯爵、彼女は地下牢に幽閉していると仰ってましたね。もし可能であれば彼女に会わせていただけませんか?」

「ああいいとも、お前もあの娘に言いたいことがあるだろうと思っていたところだ。地下牢ならばどんなことをしても外部に漏れることもない」

 ……目の前のこの人は、いったい私をどんな風に思っているのだろうか。

 だけど、どうでもいい。

「ありがとうございます。では失礼いたします」

 ルミナスに会って真意を確かめるべく私はルドラー家の地下牢に向かった。
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