そんなに相談女の方が良ければお好きにどうぞ。邪魔な私たちはいなくなりますので

日々埋没。

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「ああっ、聞いて頂戴みなさん!」

 所は変わって学園は学食広場。
 午後のティータイムを嗜む令嬢らの集まりがそこかしこで見られる中で、カナデア達のグループに駆けつけた一人が大きな声を上げた。

「あの子――ミーナさんったら酷いのよ! とうとうわたくしの婚約者にまで手を出してきたのはあちらなのに、そのことに腹を立てて彼女に嫌がらせや虐めをしたと虚偽を訴えられましたの! わたくしも一生懸命に無実を訴えましたが彼もミーナさんの味方をして『そんな性悪女とは婚約破棄だ!』って」

 そこまで言ってとうとう泣き出す。

「まあ、それは酷すぎますわ!」

「あの子ったらそれはやり過ぎよ!」

 あまりのミーナの悪行に、話を聞いていたグループのメンバーたちは口々に憤慨する。

「本当に……本当に虐めなんてやっておりませんのよ、わたくし。でもあの場にいた誰も信じてくれなくて……っ」

「安心して。ここにいるみんな、誰も貴方のことをそんな卑劣なことをする人間だなんて思っていないわ。これでも友人としてずっと貴方の人となりを見てきたのだもの、それは保証するわ。ミーナの言葉を一方的に信じる周りの人間が愚かなだけなのよ」

 たまらずカナデアもまた、人目をも憚らず泣き続けるその友人を抱きしめ、優しく慰めの言葉をかける。
 誰にも信じてもらえず一人孤独に嘘の虐め被害を糾弾された友人のことを考えると、胸が張り裂けそうになった。

「……ありがとうカナデアさん。でも貴方だってわたくしと同じ目にあったというのに」

「でも私は別に婚約を結んだ相手じゃなかったもの。貴方の方がよっぽど可哀相よ」

 衆人環視の前で婚約破棄されるということは令嬢としての瑕疵もそうだが、なによりも貴人としてのプライドをズタズタにされるに違いない。

「それにしてもあの子は許せないわ」

 グループメンバーの一人がポツリともらす。

「いい加減限界よ、誰も彼もがミーナミーナって! こっちは一方的に悪者にされるのにあの子はチヤホヤされておかしいわ!」

 他のグループメンバーからもそーよそーよと非難の声が挙がる。
 ここにいるのは全員ミーナの被害者、故に一人の怒りは皆の怒りなのだ。

「もう頭にきたわっ。何か調子にのったあの子を懲らしめるいい手はないかしら!?」

 一度痛い目をみないと改心しない、それが現場での結論だった。
 だがこのまま放置していては皆が暴走してしまう恐れがある。

 そうなるくらいなら……とカナデア。

「――私にいい考えがあるわ」

 そう切り出した彼女に期待を込めたような眼差しが一斉に向けられる。

「私たちは……あえてあの子になにもしない。黙ってこれからも本人の好き勝手させておきましょ」

 カナデアからの意外な答えに困惑する一同。

「でもそれって今までと変わりなくない? それにこっちが関わりたくなくても向こうから勝手に関わってくるんだもの」

「ええそうね、でもあくまであの子にはなにもしないってだけで別に行動はするわ」

 なおも怪訝そうな目でこちらを見つめる友人たちに向かって言う。

「――ねぇみんな、私と一緒にしばらくの間休学しない?」

 と。
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