妹に全てを奪われた私、実は周りから溺愛されていました

日々埋没。

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 あまりにも貴族らしからぬ下品なふるまいに、ついこちらの口調も強くなる。
 
 すると案の定妹は――、

「うぎゃあぁぁっ、お父様、お母様、リディアがあたしを虐めるぅうぅぅぅっ! 盗人だって! 恥を知れって! 馬鹿にするのよぉおぉっ!」

 一体どこからそんな声が出るのかというほどの大声を張り上げ、見るに耐えないほどすさまじい形相を浮かべて私を睨んだ。
 血走った両眼には狂気が宿り、今にもその手元にあるナイフとフォークで襲いかかってきそうなほどだ。

「こらリディア、妹になんて暴言を吐くんだ! アリスに強いストレスを感じさせるんじゃない、肉質に影響が出たらどうする⁉」

「そうよリディアちゃん、謝りなさい。あなたはお姉ちゃんでしょう、そのぐらいのことでアリスちゃんを怒るなんてどうかしているわ!」

 ああ、やはり二人は妹の味方なのね。
 もし妹が逆のことをしたとしても、その場合は私に姉なんだからと我慢を強いていたはず。

「……ごめんなさいアリス、私も少し言い過ぎたわ。ついカッとなってあなたに対する思いやりが欠けていたことを反省するわ。こんな姉を許してちょうだい」

 だから私の方から折れることにした。
 なにも妹が憎いわけでもなければ喧嘩をしたいわけでもない。
 たんに彼女の将来を心配して、それであれこれ物申しているだけ。
 若干引っかかるところはあるものの、お互いに引っ込みがつかなくなるくらいなら、姉である私が泥をかぶるのがスマートな対応ともいえる。

「ほらアリスちゃん、お姉ちゃんもこう言ってることだしさっきのことは許してあげてね」

「……分かった、お母様に免じて許してあげる」

 良かった。
 フゴー、フゴーと鼻息を荒くしながらも一応の落ち着きは取り戻したみたい。
 剣呑けんのんとした空気も弛緩し、一悶着も水に流した――と思っていたのは、どうやら私だけだった。

「でもこの屈辱に対する報いは絶対に受けさせてやる……あんたのすべてを奪ってね」

 ポツリとアリスがもらした言葉。
 そこに秘められた真意を私が理解する頃には、既に取り返しのつかないところにまで事態が進行していた。
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