妹に全てを奪われた私、実は周りから溺愛されていました

日々埋没。

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 爵位問わず貴族の子息子女のみが在籍する学園に今年から妹も通うことになる。
 そして今日が初登校の日。

 学び舎へと繋がる石造りのアーチを潜り抜け、通学途中の学友と朝の挨拶を交わしながら、私は一抹の不安にかられていた。

 もちろんその原因は妹にある。
 学園に通う前ならいざ知らず、今や彼女も我がヴァンディール家の顔だ。
 だからこそ公爵家らしい立ち振るまいで一族の名を汚さないよう心がけてほしいところなのに、あの子ときたらあいも変わらずわがままし放題、甘えたい放題の日々。

 今からこんな調子では、きっと妹の学園生活はろくなことにならないだろう。

 諌めるべき立場の両親でさえ、なぜか私は妹のことは本人の好きにさせろ、間違ってもお節介を働くんじゃないと厳命されており、これでは一体誰が彼女を立派な公爵家の人間に育て上げるのかはなはだ疑問である。

 あんな性格では果たして気心の知れた友人さえできるかどうか……。

「ごきげんよう、リディアさま」

 そんな風に考えごとをしながら歩いていると、背後から声をかけられる。
 すぐに振り返ると、私の親友であるシャルノー侯爵家の長女フィーリアがこちらに向かって手を振っていた。
 
 シニヨンにまとめた髪型が可愛らしい彼女に私もまた、ごきげんようと挨拶を返す。

「お隣、失礼いたしますわ」

 フィーリアはそのまま私の横に並ぶと、雑談の姿勢に入った。
 すると、彼女からふわりといい匂いが広がる。
 ジャスミン系の香水をつけているようで、妹が普段使用している物の匂いと似ているはずなのにどうしてこうも違うのか、不思議である。

「本日は晴天でまこと良き入学式日和ですわね。まるでお空まで前途ある新入生たちの祝福をしているかのよう。そうそう、新入生といえば、今年からリディア様の妹君であらせられるアリス様もこちらの学園に通われるのでしょう?」
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