18 / 61
衝突
敵に塩を送る 1
しおりを挟む
「ふぅ・・・何だかんだで順調じゃない?これならあいつにも・・・」
ずっしりと重い鞄に、持ち上げた上半身はふらふらと足元を揺れさせる。
それを何とか収めて一息ついたアレクシアは、その十分な収穫量に満足感を滲ませていた。
「あれ、この足音は・・・っ、やっぱりあいつじゃない!」
格好の問題で拭えない額の汗にも、それを拭う仕草をすれば満足感を感じることも出来る。
そうして顔の前にあるガラス状の部分を腕で擦ったアレクシアは、近くから聞こえてきた足音に慌てて身を隠していた。
その視線の先には案の定、彼女がライバル心を燃やす相手、アラン・ブレイクが歩いていたのだった。
「はぁ~・・・ようやく頭の重さはなくなってきたけど・・・もうよくない、これ?考えたら何で勝負してたのかも分かんねぇし」
アレクシアがそこら辺を駆け回り、背中の鞄をパンパンにするほどの物資を集めている間、どうやらアランは何の成果も上げられていないようだった。
本来の生活リズムとは大きく異なる時間に起きたことで重たい頭を掻きまわしているアランの手は、どう見ても手ぶらである。
そしてその背中に用意された鞄からは、何の膨らみも窺うことは出来ない。
それは彼女のような能力を持っていないアランの事を考えれば、碌な物資も集めていないことが一目で明らかであった。
「大体、勝負っつってたけどよぉ・・・これ勝ったからって、何かあんの?そういやそういうの全然決めてなかったな・・・何かもう、どうでもよくない?」
明らかにやる気がない様子のアランは、そこら辺を散歩のような仕草でぷらぷらと歩くと、頻りに愚痴を漏らしている。
皆を見返してやるという目的を持つアレクシアと違い、彼にはこの勝負に勝っても何のメリットもない。
それに今更ながら気が付いてしまった彼は、もはや投げやりな様子で近くの草や何かを適当に毟っていた。
「それによぉ・・・こういうのだって俺は平気だけど、他の奴らは食えないかもしれねぇんだろ?そんなもん俺にどうやって見分けろってんだよ!俺は何喰っても平気なんだから、見分けられる訳ねーだろ!!」
そこいらで適当に毟った草を、そのまま口に入れるアラン。
その中には普通の人間が口にすれば、一発でアウトな毒が含有しているものが含まれている。
しかしそんなものを口にしても、「毒無効」の能力を保持している彼には、何の影響も齎さない。
それは彼の能力のチートさを示していたが、同時に欠点もまた示してもいた。
「何よあいつ、てんでやる気ないじゃない。ふふふ、これなら私の勝利は間違いないわね・・・」
そんなアランの振る舞いを物陰に隠れて目にしたアレクシアは、彼の余りのやる気のない様子に勝利を確信する。
その口元は、村の皆から称賛される未来を思い描いて緩んでしまっていた。
「ブレンダの言うように、味で見分けるしかねぇのか?うーん・・・これは不味いから、毒だな」
アレクシアが思わず漏らしてしまった勝利宣言は、アランの耳には届かない。
彼は適当に毟った植物を口に入れては、それをまた適当に放ってしまっている。
彼はブレンダが提案したように、味によってそれに毒があるかないかを見分けようと試みているようだったが、明確な基準がない現状にそれは困難であるようだった。
「っ!?ちょっと、それヨモギモドキじゃない!!なに捨ててんのよ、あんた!!」
事実、彼がその味によって投げ捨てた植物は、十分に食べられるものであった。
それを知らないアランは、それを放り捨てても平気であったが、その事実を知っているアレクシアからすれば見過ごすことの出来ない振る舞いであった。
貴重な食糧を投げ捨てるアランの姿に、我慢が出来なかったアレクシアは思わず声を上げ、隠れていた物陰から飛び出してしまっていた。
「ひぇぇ!?ごめんなさいぃぃぃ!!?」
一人、森の中でその辺の野草を適当に毟って食べていたら、いきなり罵声を浴びせかけられる。
そんな異常事態に、アランは思わず悲鳴を上げて謝罪の言葉を叫んでしまっていた。
「・・・って、何だよ。お前かよ、びびって損したぜ・・・」
しかしそれも、飛び出してきたアレクシアの姿を目にするまでの話だ。
彼女の姿を目にしたアランは、頭を抱えて縮こまっていた身体を即座に起こすと、つまらなそうにしかしどこか安堵したように溜め息を漏らしていた。
「何だぁ?何の用だよ?俺たちゃ一応勝負してんだぜ、その対戦相手に接触するのって正直どうなのよ?それで、ヨモギなんとかが何だって?」
先ほどの情けない姿を誤魔化すように、殊更余裕たっぷりにふるまうアランは、アレクシアを暗にルール違反だと突っぱねている。
しかし彼女はそんな言葉など気にすることなく、ずんずんと彼の方へと歩み寄ってきていた。
ずっしりと重い鞄に、持ち上げた上半身はふらふらと足元を揺れさせる。
それを何とか収めて一息ついたアレクシアは、その十分な収穫量に満足感を滲ませていた。
「あれ、この足音は・・・っ、やっぱりあいつじゃない!」
格好の問題で拭えない額の汗にも、それを拭う仕草をすれば満足感を感じることも出来る。
そうして顔の前にあるガラス状の部分を腕で擦ったアレクシアは、近くから聞こえてきた足音に慌てて身を隠していた。
その視線の先には案の定、彼女がライバル心を燃やす相手、アラン・ブレイクが歩いていたのだった。
「はぁ~・・・ようやく頭の重さはなくなってきたけど・・・もうよくない、これ?考えたら何で勝負してたのかも分かんねぇし」
アレクシアがそこら辺を駆け回り、背中の鞄をパンパンにするほどの物資を集めている間、どうやらアランは何の成果も上げられていないようだった。
本来の生活リズムとは大きく異なる時間に起きたことで重たい頭を掻きまわしているアランの手は、どう見ても手ぶらである。
そしてその背中に用意された鞄からは、何の膨らみも窺うことは出来ない。
それは彼女のような能力を持っていないアランの事を考えれば、碌な物資も集めていないことが一目で明らかであった。
「大体、勝負っつってたけどよぉ・・・これ勝ったからって、何かあんの?そういやそういうの全然決めてなかったな・・・何かもう、どうでもよくない?」
明らかにやる気がない様子のアランは、そこら辺を散歩のような仕草でぷらぷらと歩くと、頻りに愚痴を漏らしている。
皆を見返してやるという目的を持つアレクシアと違い、彼にはこの勝負に勝っても何のメリットもない。
それに今更ながら気が付いてしまった彼は、もはや投げやりな様子で近くの草や何かを適当に毟っていた。
「それによぉ・・・こういうのだって俺は平気だけど、他の奴らは食えないかもしれねぇんだろ?そんなもん俺にどうやって見分けろってんだよ!俺は何喰っても平気なんだから、見分けられる訳ねーだろ!!」
そこいらで適当に毟った草を、そのまま口に入れるアラン。
その中には普通の人間が口にすれば、一発でアウトな毒が含有しているものが含まれている。
しかしそんなものを口にしても、「毒無効」の能力を保持している彼には、何の影響も齎さない。
それは彼の能力のチートさを示していたが、同時に欠点もまた示してもいた。
「何よあいつ、てんでやる気ないじゃない。ふふふ、これなら私の勝利は間違いないわね・・・」
そんなアランの振る舞いを物陰に隠れて目にしたアレクシアは、彼の余りのやる気のない様子に勝利を確信する。
その口元は、村の皆から称賛される未来を思い描いて緩んでしまっていた。
「ブレンダの言うように、味で見分けるしかねぇのか?うーん・・・これは不味いから、毒だな」
アレクシアが思わず漏らしてしまった勝利宣言は、アランの耳には届かない。
彼は適当に毟った植物を口に入れては、それをまた適当に放ってしまっている。
彼はブレンダが提案したように、味によってそれに毒があるかないかを見分けようと試みているようだったが、明確な基準がない現状にそれは困難であるようだった。
「っ!?ちょっと、それヨモギモドキじゃない!!なに捨ててんのよ、あんた!!」
事実、彼がその味によって投げ捨てた植物は、十分に食べられるものであった。
それを知らないアランは、それを放り捨てても平気であったが、その事実を知っているアレクシアからすれば見過ごすことの出来ない振る舞いであった。
貴重な食糧を投げ捨てるアランの姿に、我慢が出来なかったアレクシアは思わず声を上げ、隠れていた物陰から飛び出してしまっていた。
「ひぇぇ!?ごめんなさいぃぃぃ!!?」
一人、森の中でその辺の野草を適当に毟って食べていたら、いきなり罵声を浴びせかけられる。
そんな異常事態に、アランは思わず悲鳴を上げて謝罪の言葉を叫んでしまっていた。
「・・・って、何だよ。お前かよ、びびって損したぜ・・・」
しかしそれも、飛び出してきたアレクシアの姿を目にするまでの話だ。
彼女の姿を目にしたアランは、頭を抱えて縮こまっていた身体を即座に起こすと、つまらなそうにしかしどこか安堵したように溜め息を漏らしていた。
「何だぁ?何の用だよ?俺たちゃ一応勝負してんだぜ、その対戦相手に接触するのって正直どうなのよ?それで、ヨモギなんとかが何だって?」
先ほどの情けない姿を誤魔化すように、殊更余裕たっぷりにふるまうアランは、アレクシアを暗にルール違反だと突っぱねている。
しかし彼女はそんな言葉など気にすることなく、ずんずんと彼の方へと歩み寄ってきていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています
六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。
しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。
「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~
月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』
恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。
戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。
だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】
導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。
「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」
「誰も本当の私なんて見てくれない」
「私の力は……人を傷つけるだけ」
「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」
傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。
しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。
――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。
「君たちを、大陸最強にプロデュースする」
「「「「……はぁ!?」」」」
落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。
俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。
◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる