ダンジョン経営から始める魔王討伐のすゝめ 追放された転生ダンジョンマスターが影から行う人類救済

斑目 ごたく

文字の大きさ
39 / 308
ダンジョン経営の始まり

アトハース村の事情 1

しおりを挟む
「いや、中々美味しかったよ」

 店主が料理を持ってくるまでの間、店の中をチラチラと観察していたが、特に得るものがなかったカイは出された料理へと手をつける。
 ある程度手をつけたところで店主に話を聞こうと考えていた彼だが、その久しぶりの人間の料理に途中で止める事が出来ず、最後まで平らげてしまっていた。
 それもその筈で魔王軍の料理というのは、なんというかこう、雑であり、カイの舌にはあまり合わないものが多すぎるのだ。
 出された料理は簡素なものであったが、それでもその細やかな味付けにカイはついつい感動してしまい、素直にそれを言葉にしてしまっていた。

「そうかい?そりゃ、嬉しいね。あぁ、これお釣りね」
「・・・どうも」

 カイの感想に嬉しそうに表情を崩した店主は、思い出したように何枚かの硬貨を彼へと差し出してくる。
 それを受け取ったカイは、その硬貨を指で遊んでは枚数を確認していた。

(銅貨六枚か・・・つまり、エスパニオ銀貨はこの銅貨10枚分の価値って所か?ふむ、これはエスパニオ銅貨ではないのだろうな。とすると、レートの差もあるかもしれない・・・そこらへんも詳しく聞いてみるか?いや、今はそれよりもやるべき事があるな)

 店主から受け取った硬貨を袋へとしまったカイは、それを軽く叩くと頭を切り替える。
 彼がここに訪れたのは、硬貨の価値を調べるためではない。

「それにしても、お客さん。えっと・・・」
「パスカル・キルヒマンだ」

 本題を話し始めようとしていたカイよりも、店主が先に口を開く。
 彼の詰まった言葉から、こちらの名前を知りたがっている事を察したカイは、適当な偽名を名乗っていた。

「キルヒマンさんね。あなたも鉱山復興のためにここに?」
「いや、そうではないが・・・」

 カイの名乗った偽名に頷いた店主は、何かを期待するような瞳を彼へと向ける。
 店主が尋ねた内容を、カイは否定することしか出来ない。
 その言葉に、彼は露骨にがっかりした様子を見せていた。

(鉱山復興?何の事だ?それより・・・あなたもってことはあの商人、アダムスは鉱山復興のためにここに訪れていたのか?鉱山っていうのは、フィアナが見つけたものだろうが・・・ふむ、ここは鉱山で発展した村で、今はそれが稼動していないから寂れていると・・・憶えておくか)

 身に覚えのないことを尋ねられて戸惑ったカイであったが、その情報はかなり有益なものであった。
 何とかして鉱山を復興してやればこの村も栄え、ひいてはダンジョンにやってくる人が増えるかもしれない。
 ダンジョンに訪れる人を増やす方策を新たに一つ手に入れたカイは、ホクホクとした表情をその偽りの顔に浮かべていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

ザコ魔法使いの僕がダンジョンで1人ぼっち!魔獣に襲われても石化した僕は無敵状態!経験値が溜まり続けて気づいた時には最強魔導士に!?

さかいおさむ
ファンタジー
戦士は【スキル】と呼ばれる能力を持っている。 僕はスキルレベル1のザコ魔法使いだ。 そんな僕がある日、ダンジョン攻略に向かう戦士団に入ることに…… パーティに置いていかれ僕は1人ダンジョンに取り残される。 全身ケガだらけでもう助からないだろう…… 諦めたその時、手に入れた宝を装備すると無敵の石化状態に!? 頑張って攻撃してくる魔獣には申し訳ないがダメージは皆無。経験値だけが溜まっていく。 気づけば全魔法がレベル100!? そろそろ反撃開始してもいいですか? 内気な最強魔法使いの僕が美女たちと冒険しながら人助け!

転生したら鎧だった〜リビングアーマーになったけど弱すぎるので、ダンジョンをさまよってパーツを集め最強を目指します

三門鉄狼
ファンタジー
目覚めると、リビングアーマーだった。 身体は鎧、中身はなし。しかもレベルは1で超弱い。 そんな状態でダンジョンに迷い込んでしまったから、なんとか生き残らないと! これは、いつか英雄になるかもしれない、さまよう鎧の冒険譚。 ※小説家になろう、カクヨム、待ラノ、ノベルアップ+、NOVEL DAYS、ラノベストリート、アルファポリス、ノベリズムで掲載しています。

女神を怒らせステータスを奪われた僕は、数値が1でも元気に過ごす。

まったりー
ファンタジー
人見知りのゲーム大好きな主人公は、5徹の影響で命を落としてしまい、そこに異世界の女神様が転生させてくれました。 しかし、主人公は人見知りで初対面の人とは話せず、女神様の声を怖いと言ってしまい怒らせてしまいました。 怒った女神様は、次の転生者に願いを託す為、主人公のステータスをその魂に譲渡し、主人公の数値は1となってしまいますが、それでも残ったスキル【穀物作成】を使い、村の仲間たちと元気に暮らすお話です。

【最強モブの努力無双】~ゲームで名前も登場しないようなモブに転生したオレ、一途な努力とゲーム知識で最強になる~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
アベル・ヴィアラットは、五歳の時、ベッドから転げ落ちてその拍子に前世の記憶を思い出した。 大人気ゲーム『ヒーローズ・ジャーニー』の世界に転生したアベルは、ゲームの知識を使って全男の子の憧れである“最強”になることを決意する。 そのために努力を続け、順調に強くなっていくアベル。 しかしこの世界にはゲームには無かった知識ばかり。 戦闘もただスキルをブッパすればいいだけのゲームとはまったく違っていた。 「面白いじゃん?」 アベルはめげることなく、辺境最強の父と優しい母に見守られてすくすくと成長していくのだった。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!

さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。 冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。 底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。 そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。  部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。 ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。 『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!

処理中です...