ダンジョン経営から始める魔王討伐のすゝめ 追放された転生ダンジョンマスターが影から行う人類救済

斑目 ごたく

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ダンジョン経営の始まり

支配者の振る舞いに新参者達は不信感を募らせる 2

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「ぷはっ!げほっ、けほ・・・逃げ出すだって!?そんな事、出来る訳がないだろう!万が一成功したって、どうする!?僕達の集落の場所は知られてる、結局見せしめに滅ぼされるだけじゃないか!!」

 ニックから口元を解放されたレクスは軽く咳き込むと、鋭く絞った声で彼を非難する。
 レクスはここを逃げ出せたとしても、進む先は地獄しかないとニックに主張するが、その言葉は彼に鼻で笑われてしまっていた。

「お前こそ正気かよ?こんなやばい奴らが近所に巣食っちまった時点で、あの場所はもう駄目なのさ。ましてやそのやばい奴らの頭は、人間に協力的ときてる。従っても駄目、従わなくても駄目とくれば、もう尻尾を巻いて逃げ出すしかないだろ?」 

 レクスが話した絶望的な予測は、まだ楽観的だとニックは笑う。
 彼は自分達の故郷の近くに、こんなやばい連中がやってきた時点で詰んでいたのだと話す。
 その馬鹿にしたような口調は、その事にこんな状況になるまで気づかなかった自らを嘲笑っているようだった。

「それは・・・確かに、そうかもしれない」

 ニックはもはや故郷に残った連中も連れて、一刻も早く逃げ出すべきだと語っている。
 その言葉は彼らの絶望的な状況を語っていたが、それを否定する言葉をレクスは持ち合わせていなかった。

「だろ?それに見てみろよ」
「何を・・・ん?彼らは一体・・・?」

 自らの意見に同意したレクスを助け起こしたニックは、彼にある方向を見るように促していた。
 その指示に従って視線をそちらへと向けたレクスは、何やらこそこそと動いているゴブリン達の姿を目にする。
 彼らは、レクス達とは別の部族のものだろう。
 頻りに周りを窺っている彼らの姿は、確かに不自然さの塊だ。
 しかし彼らのその動きに、わざわざ注目するほどの意味を見出せないレクスは、疑問の声だけを僅かに漏らしていた。

「あれは・・・まさかっ!?」

 しかしそれも、彼らがこの広間から外へと抜け出そうとするのを目にするまでであった。
 周りの目を頻りに窺っていた彼らは、ある時決意したように駆け出すと、そのままこの広間から出て行ってしまう。

「な、そう考えるのは俺だけじゃないって事だ・・・上の連中も、あの男の言葉に動揺している。それにあいつらのお陰で混乱も起きそうだ。いけそうだと思わないか?」
「た、確かに・・・」

 見れば彼ら以外にも続々と、この広間を出て行こうとする者達の姿があった。
 彼らの姿を眺めながら、それらには犠牲になってもらおうと話すニックは薄く笑みを作る。
 恐ろしい連中の動揺と、これから起きるであろう混乱を利用して逃げ出そうと誘うニックに、レクスは生唾を飲み込むと静かに同意の頷きを返していた。
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