私の元婚約者は、新しく婚約した妹の酷さを知らなかった

天宮有

文字の大きさ
9 / 10

第九話

しおりを挟む
 空を飛ぶモンスターの大襲撃は、事前に皆で準備していたから切り抜けることができた。
 レイン様や領民の人達にお礼を言われるけど、これは皆のお陰だ。
 
 私は信頼されて、レイン様と同じように立場が上になったらしい。
 どうやらレイン様は王家やジェード様とは違う公爵家に提案したことで、更に評価を上げたらしい。

 そして、ジェード様がレイン様の家にやって来る。
 応接間に案内したレイン様と私が、ジェード様と対面している。

 ジェード様は苛立っている様子だけど、どうやらクーナスは協力を得られなかったらしい。
 1人で行動するも大失敗して評判が落ちているとレイン様から聞いていたけど、本当のようだ。

「ジェード様……私の屋敷に急に来て、要件はなんでしょうか?」
 
 レイン様が苛立ちながら尋ねるのは、察することができているからでしょう。

「アイリスは伯爵貴族如きには勿体ないだろう……俺に差し出せ!」

 必死の形相でジェード様が言い放ち、レイン様が溜息を吐いている。
 明らかに呆れている様子で、即断していた。

「お断りします」

「なんだと!? 俺より下の分際でよくもそんなことが言えたものだ!」

「今までの功績から、私は貴方よりも立場は上です……そんなふざけた提案を聞くわけがないだろう」

「ぐっ……」

 レイン様に威圧されて、ジェード様は何も言えなくなってくる。
 脅して私と再び婚約するのは無理だと考えたのか、私を眺めて頭を下げる。

「アイリスよ。今まで悪かった……クーナスの酷さを知らなかったんだ。俺と再び婚約してくれ!」

「お断りします」

 ジェード様は必死に頼んでくるけど、私がジェード様と婚約することはない。
 私が断言して、レイン様が追い出してくれたことで、ジェード様はどうすることもできなくなっていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄からの復讐~私を捨てたことを後悔してください

satomi
恋愛
私、公爵令嬢のフィオナ=バークレイはアールディクス王国の第2王子、ルード様と婚約をしていましたが、かなりの大規模な夜会で婚約破棄を宣言されました。ルード様の母君(ご実家?)が切望しての婚約だったはずですが?その夜会で、私はキョウディッシュ王国の王太子殿下から婚約を打診されました。 私としては、婚約を破棄された時点でキズモノとなったわけで、隣国王太子殿下からの婚約話は魅力的です。さらに、王太子殿下は私がルード殿下に復讐する手助けをしてくれるようで…

彼の妹にキレそう。信頼していた彼にも裏切られて婚約破棄を決意。

佐藤 美奈
恋愛
公爵令嬢イブリン・キュスティーヌは男爵令息のホーク・ウィンベルドと婚約した。 好きな人と結ばれる喜びに震え幸せの絶頂を感じ、周りの景色も明るく見え笑顔が輝く。 彼には妹のフランソワがいる。兄のホークのことが異常に好き過ぎて婚約したイブリンに嫌がらせをしてくる。 最初はホークもフランソワを説教していたが、この頃は妹の肩を持つようになって彼だけは味方だと思っていたのに助けてくれない。 実はずっと前から二人はできていたことを知り衝撃を受ける。

婚約者を友人に奪われて~婚約破棄後の公爵令嬢~

tartan321
恋愛
成績優秀な公爵令嬢ソフィアは、婚約相手である王子のカリエスの面倒を見ていた。 ある日、級友であるリリーがソフィアの元を訪れて……。

捨てた私をもう一度拾うおつもりですか?

ミィタソ
恋愛
「みんな聞いてくれ! 今日をもって、エルザ・ローグアシュタルとの婚約を破棄する! そして、その妹——アイリス・ローグアシュタルと正式に婚約することを決めた! 今日という祝いの日に、みんなに伝えることができ、嬉しく思う……」 ローグアシュタル公爵家の長女――エルザは、マクーン・ザルカンド王子の誕生日記念パーティーで婚約破棄を言い渡される。 それどころか、王子の横には舌を出して笑うエルザの妹――アイリスの姿が。 傷心を癒すため、父親の勧めで隣国へ行くのだが……

婚約破棄で見限られたもの

志位斗 茂家波
恋愛
‥‥‥ミアス・フォン・レーラ侯爵令嬢は、パスタリアン王国の王子から婚約破棄を言い渡され、ありもしない冤罪を言われ、彼女は国外へ追放されてしまう。 すでにその国を見限っていた彼女は、これ幸いとばかりに別の国でやりたかったことを始めるのだが‥‥‥ よくある婚約破棄ざまぁもの?思い付きと勢いだけでなぜか出来上がってしまった。

婚約破棄の日の夜に

夕景あき
恋愛
公爵令嬢ロージーは卒業パーティの日、金髪碧眼の第一王子に婚約破棄を言い渡された。第一王子の腕には、平民のティアラ嬢が抱かれていた。 ロージーが身に覚えのない罪で、第一王子に糾弾されたその時、守ってくれたのは第二王子だった。 そんな婚約破棄騒動があった日の夜に、どんでん返しが待っていた·····

これまでは悉く妹に幸せを邪魔されていました。今後は違いますよ?

satomi
恋愛
ディラーノ侯爵家の義姉妹の姉・サマンサとユアノ。二人は同じ侯爵家のアーロン=ジェンキンスとの縁談に臨む。もともとはサマンサに来た縁談話だったのだが、姉のモノを悉く奪う義妹ユアノがお父様に「見合いの席に同席したい」と懇願し、何故かディラーノ家からは二人の娘が見合いの席に。 結果、ユアノがアーロンと婚約することになるのだが…

姉が私の婚約者と仲良くしていて、婚約者の方にまでお邪魔虫のようにされていましたが、全員が勘違いしていたようです

珠宮さくら
恋愛
オーガスタ・プレストンは、婚約者している子息が自分の姉とばかり仲良くしているのにイライラしていた。 だが、それはお互い様となっていて、婚約者も、姉も、それぞれがイライラしていたり、邪魔だと思っていた。 そこにとんでもない勘違いが起こっているとは思いもしなかった。

処理中です...