私の元婚約者は、新しく婚約した妹の酷さを知らなかった

天宮有

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第八話

ジェード視点

 今まで何もしていなかったクーナスが、ようやく行動に出ようとしていた。
 どうやら空を飛ぶモンスターの大襲撃があるようで、対策をとりたいらしい。

「ようやく俺の婚約者だと自覚したか、早速行動しろ」

 今までは勝手に行動して結果を出してくれて、それを俺は自分の功績にしていた。
 こうしてクーナスが先にどんな行動をとるのか説明したのは、再び怒られるのを恐れたからだろう。

 そう考えていたのに、クーナスは驚いた表情を浮かべている。

「無理です……魔法の道具の作成や準備を一人でなんてできません」

「なんだと!? 今まで好き勝手動き、成果を出していたではないか! 今回も1人で動け!」

「そんな……今回は協力が必要になります!」

 必死に叫ぶクーナスを眺めて、俺は溜息を吐く。
 立場が下なのに命令してきたクーナスに対し、警告していた。

「お前が俺の力になるのは自由だが、それに俺が力を貸す気はない……空を飛ぶモンスターの大襲撃が起こらなければ、俺は恥をかくことになるからな」

「っっ……そうですね。何も起きない可能性もあります」

「ふん。クーナスよ、いつものように1人で行動しておけ」

「……わかりました」

 自信満々に提案してきたクーナスは、俺の返答が予想外の様子だ。

 婚約者になれたことで甘やかされると思ったようだが、甘やかす気は一切ない。
 いつも通り勝手に準備をして問題を解決して、俺の手柄になるとこの時は考えていた。

■◇■◇■◇■◇■

 あれから数日後。
 クーナスの予想通り、鳥のモンスターによる大襲撃を受けて、領地は大打撃を受けていた。

 家にクーナスを呼びつけ、俺は激昂しながら叫ぶ。

「クーナスよ! 貴様の準備が不十分だったせいで、俺の評判が落ちたぞ!?」

「私は一生懸命やりました! 協力が必要だと言ったはずです!?」

 どうやら今まで我慢していたようで、限界がきたクーナスも激昂している。
 
 クーナスの魔法の道具や対策で大丈夫だと確信していたのに、実際は大して変わらなかった。
 期待させた分落胆も凄く、クーナスは行動しなかった方がよかった気がする。

「一番不愉快なのは、アイリスの新たな婚約者レインのいる領地が、一切被害を受けていないことだ!?

 アイリスの新たな婚約者レインは、魔法の腕が立つと聞いてはいた。
 それでもあそこまでの襲撃を一切の被害を出さず済ませたのは以上で、俺にはその理由がわかる。

「今まで陰で俺を支えていたのはお前ではなく……姉のアイリスだったのだな!?」

「……」

 クーナスは何も答えないも、俯きながら両手を震わせて悔しそうにしている。
 どうやら自分と姉の差を知った様子で、俺との婚約すら後悔していそうだ。

「このままだと俺の落ちた評判が戻らない……すぐにアイリスと再び婚約するしかないだろう!」

 クーナスが無能だとようやく理解し、すぐに俺は行動に出る。
 アイリスの重要さがわかった以上、レインからアイリスを取り戻す必要があった。

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