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第2話
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私はパーティ会場から出て、屋敷に戻ろうとしていた。
廊下を歩き、待機している馬車の元まで向かう。
今日の出来事で周囲から蔑んだ視線を向けられて、私は早く元の姿に戻りたい。
そして私は――パーティ会場の廊下で、アシェルの新しい婚約者ラーミカと出会う。
会いたくなかった人で、私は内心苛立っていた。
笑みを浮かべるラーミカに、怒りを堪えながら尋ねる。
「ラーミカ様、待ち伏せですか?」
「偶然ですよ。あれほど醜いと言われているのに冷静な辺り、テリナ様は自分の姿を受け入れているようですね」
そう言ってラーミカが、私に手鏡を見せてくる。
手鏡を握りながら待っていた辺り、偶然なわけがない。
私は自分の姿を再確認するけど、元に戻ることができる。
過剰に太っている姿は客観的に見て醜いけど、今の私は気にしていない。
ラーミカの行動から意図を察することができて、私は告げる。
「私を動揺させて魔法学園の成績を上回りたいようですけど、無駄な足掻きです」
「はぁっっ!?」
「努力することを放棄し、私を貶める方法をとった。その時点で貴方の底は見えています」
魔法学園での成績は私が学年主席で、ラーミカは常に2位だった。
1位と2位でも実力の差はかなりあり、ラーミカはそれが許せない。
領地が近く昔から知っていたから、私は行動の意図を察することができていた。
ラーミカは私を睨み、敵意を剥き出しにしている。
ここがパーティ会場と思い返したのかハッとして、私を嘲笑して叫ぶ。
「あははっ! その見た目で何を言っても響かないわ! どんな手段をとったとしても、貴方は元に戻れないもの!!」
激昂したかと思えば、ラーミカは笑い出す。
馬鹿にしたいようだけど、私は聞きたいことがある。
「元に戻れない……どうしてラーミカ様は、そのことを知っているのですか?」
「うっっ!?」
私とアシェルしか知らない魔法薬の効力を、ラーミカが話した。
説明した時には虚言と言い張ったけど、今のは真実と知っているからこその発言だ。
ラーミカも魔法薬の効力を知っていたのは間違いなくて、私は追及する。
「アシェル様が魔法薬を入手した経緯がわかりませんでしたけど、ラーミカ様が関わっているのなら納得できます」
ラーミカの領地は、魔法薬に使う草や特殊な木の実が豊富だと知っている。
取引をすると魔法薬を調合する人とも関わることができそうで、ラーミカの家が協力していそう。
今までそんなことを考えなかったのは、アシェルを信用していたからだ。
追及してみると、ラーミカは動揺しながら叫ぶ。
「なっっ……テリナが何を言っているのかわからないわ! さっさと消えなさい!!」
そう言ってラーミカの方が去っていくけど、明らかに動揺していた。
もしかしたら……アシェルはかなり前から、ラーミカを婚約者にしたかったのかもしれない。
■◇■◇■◇■◇■
その後は馬車に乗り、私は屋敷に戻っている。
家族に今日の出来事を話すと、お父様はアシェルに対して怒っていた。
「アシェル様が、そこまで酷い人だとは思わなかった……テリナとしては、これからどうしたい?」
「とにかくマルクス様に会って、元の姿に戻るため協力してもらいます」
「そうだな。アシェル様との婚約を破棄したのだから、テリナは元に戻るべきだろう」
家族は私の提案に賛同してくれて、これから元に戻るため動いてくれるようだ。
魔法薬に詳しいラーミカは元に戻れないと言ったけど、戻る手段はある。
そのためには、公爵令息のマルクスに協力してもらう必要があった。
今までマルクスは、私の見た目を気にせず話してくれた。
アシェルが嫉妬するかもしれないと偶に少し会話する程度だったけど、今なら長く話せそうだ。
廊下を歩き、待機している馬車の元まで向かう。
今日の出来事で周囲から蔑んだ視線を向けられて、私は早く元の姿に戻りたい。
そして私は――パーティ会場の廊下で、アシェルの新しい婚約者ラーミカと出会う。
会いたくなかった人で、私は内心苛立っていた。
笑みを浮かべるラーミカに、怒りを堪えながら尋ねる。
「ラーミカ様、待ち伏せですか?」
「偶然ですよ。あれほど醜いと言われているのに冷静な辺り、テリナ様は自分の姿を受け入れているようですね」
そう言ってラーミカが、私に手鏡を見せてくる。
手鏡を握りながら待っていた辺り、偶然なわけがない。
私は自分の姿を再確認するけど、元に戻ることができる。
過剰に太っている姿は客観的に見て醜いけど、今の私は気にしていない。
ラーミカの行動から意図を察することができて、私は告げる。
「私を動揺させて魔法学園の成績を上回りたいようですけど、無駄な足掻きです」
「はぁっっ!?」
「努力することを放棄し、私を貶める方法をとった。その時点で貴方の底は見えています」
魔法学園での成績は私が学年主席で、ラーミカは常に2位だった。
1位と2位でも実力の差はかなりあり、ラーミカはそれが許せない。
領地が近く昔から知っていたから、私は行動の意図を察することができていた。
ラーミカは私を睨み、敵意を剥き出しにしている。
ここがパーティ会場と思い返したのかハッとして、私を嘲笑して叫ぶ。
「あははっ! その見た目で何を言っても響かないわ! どんな手段をとったとしても、貴方は元に戻れないもの!!」
激昂したかと思えば、ラーミカは笑い出す。
馬鹿にしたいようだけど、私は聞きたいことがある。
「元に戻れない……どうしてラーミカ様は、そのことを知っているのですか?」
「うっっ!?」
私とアシェルしか知らない魔法薬の効力を、ラーミカが話した。
説明した時には虚言と言い張ったけど、今のは真実と知っているからこその発言だ。
ラーミカも魔法薬の効力を知っていたのは間違いなくて、私は追及する。
「アシェル様が魔法薬を入手した経緯がわかりませんでしたけど、ラーミカ様が関わっているのなら納得できます」
ラーミカの領地は、魔法薬に使う草や特殊な木の実が豊富だと知っている。
取引をすると魔法薬を調合する人とも関わることができそうで、ラーミカの家が協力していそう。
今までそんなことを考えなかったのは、アシェルを信用していたからだ。
追及してみると、ラーミカは動揺しながら叫ぶ。
「なっっ……テリナが何を言っているのかわからないわ! さっさと消えなさい!!」
そう言ってラーミカの方が去っていくけど、明らかに動揺していた。
もしかしたら……アシェルはかなり前から、ラーミカを婚約者にしたかったのかもしれない。
■◇■◇■◇■◇■
その後は馬車に乗り、私は屋敷に戻っている。
家族に今日の出来事を話すと、お父様はアシェルに対して怒っていた。
「アシェル様が、そこまで酷い人だとは思わなかった……テリナとしては、これからどうしたい?」
「とにかくマルクス様に会って、元の姿に戻るため協力してもらいます」
「そうだな。アシェル様との婚約を破棄したのだから、テリナは元に戻るべきだろう」
家族は私の提案に賛同してくれて、これから元に戻るため動いてくれるようだ。
魔法薬に詳しいラーミカは元に戻れないと言ったけど、戻る手段はある。
そのためには、公爵令息のマルクスに協力してもらう必要があった。
今までマルクスは、私の見た目を気にせず話してくれた。
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