平民を好きになった婚約者は、私を捨てて破滅するようです

天宮有

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第10話

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ジェイク視点

 翌日――ヴィーオ家は聖女を守る親衛隊を作り、ローナは聖女として最初の使命を果たそうとしている。

 この世界には龍脈と呼ばれる魔力が溢れる場所があり、それを聖女の力でコントロールする必要があった。
 そうしなければ国土に生息するモンスターが弱まらず、国民達は聖女の力で強くならない。

 ヴィーオ家は優れた魔法道具が多く、陛下から頼まれた使命も問題なく達成できそうとしている。

 龍脈の核となる場所に到着して――ここでローナが聖女の力を扱うだけだ。
 荒野で俺はモンスターを警戒しながら、聖女ローナに指示を出す。

「ローナ、頼んだぞ」

「はい。私にお任せください」

 そう言って――ローナの体内に宿る魔力が溢れ、龍脈の核に干渉していく。
 俺は終わった後に魔法道具で確認して、それを陛下に報告すれば問題ないはずだった。

■◇■◇■◇■◇■

「――完了致しました」

「ローナ。よくやってくれた」

「ジェイク様の為なら、私はどんなことでもいたします」

 忠誠心に厚い聖女ローナの発言を聞き、俺は頷く。
 最初の使命を終えたローナを労いながら、俺は魔法道具で効力を確認した。

 そして――結果を確認して、俺は思わず叫ぶ」

「なんだこれは……成功しているのは間違いないのに、効力が弱すぎる!?」

「えっ……私は全力で魔法を使いました。魔力も使い切りましたよ」

「あっ、ああ! ローナは立派に使命を果たしてくれた……問題はない!」

 ローナの精神が不安定になると、聖女の魔法が使えなくなるかもしれない。
 咄嗟に問題はないと叫びローナを安堵させるが、これは大問題だった。

 陛下に成功したと報告するのは可能だが、結果が伴わなければ意味がない。
 被害が出れば原因を調査するのは間違いないが、今は誤魔化す以外に手はなかった。
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