平民を好きになった婚約者は、私を捨てて破滅するようです

第２７話

ジェイク視点

　俺は目の前の惨状に、唖然とするしかなかった。
　家族が全て命を落とし、地下室で立っているのは俺とローナだけ。

　棺の魔法道具を使うことで、ローナは大昔の賢者の力を得ることができている。
　今まで生存者がいないことから真偽不明だった魔法道具の力が、ローナによって証明された。

　それでも……魔法を極め、膨大な魔力を宿したローナは、精神がおかしくなっている。

　俺を領主にする為に、俺の家族を全て消した。
　力を試そうとして、棺を確認しようとした執事も消している。

　今のローナは俺の為なら、他者の命はどうでもいいようだ。

「――次は王家ですね」

　荒んだ目でローナが呟き、俺は昔の出来事を思い返す。

　聖女を婚約者にしたとなれば、次期国王も夢ではないと話したことがあった。
　その発言を覚えていたようで――ローナが天井を破壊して、地下室から出て行く。

「空を飛び天井を一瞬で抉るとは……このとてつもない魔力で、王家も消すつもりか！？」

　階段を昇ると屋敷が半壊していて、破壊されている壁からローナが城の方へ向かったと理解する。

　俺はすぐさま馬に乗って城まで向かうと――到着した時には、全てが終わっていた。