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第1話
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「貴様が優秀なのは不正によるものだと知っている! 俺はカルラとの婚約を破棄する!!」
パーティ会場で、婚約者のザノーク王子が私に宣言する。
シレッサ侯爵家の私カルラは、魔法の実力があったから王子の婚約者に選ばれた。
私の実力を不正だと思い込んでいるようで、ザノークは激怒している。
不正なんて一度もしたことがない私は、困惑しつつも本心を話す。
「ザノーク殿下、私は不正なんて一度もしたことがありません」
「黙れ! 俺は貴様の発言よりも親友ルドノを信じる!」
そう言って――ザノークの隣にいる公爵令息ルドノが、私を眺めて話す。
「カルラ様は、魔法が優秀だからという理由でザノーク殿下の婚約者になることができました……その魔法の実力は、不正によるものだったのです」
嬉しそうに話すルドノは、魔法学園では学年2位の成績だ。
学年1位が私だから妬んでいるのは知っていたけど、不正をしたと思い込んでいるのだろうか?
困惑していると――私の傍にクラスメイトやって来て、嘘の証言をしはじめる。
「本来の実力を測るため禁止されている魔力強化の薬を、カルラ様が飲んでいる姿を見ました」
「試験内容を、カルラ様は事前に把握しています……試験で余裕がありましたし、間違いありません」
真剣に取り組んでいたし、試験内容を事前に知ることなんてできない。
嘘の証言をしているクラスメイトは、ルドノの取り巻きだ。
ルドノが仕組んでいそうだけど――私は、言い返すことができない。
王子や公爵令息が糾弾している私は、侯爵家の令嬢だ。
立場の差からかパーティ会場にいる貴族の人達は、ルドノ達の証言に賛同しはじめている。
話を聞いて私を睨んでいるザノークに、私は尋ねた。
「ザノーク殿下は、私が不正していると思っているのですか?」
「父上に命じられて婚約した貴様よりも、親友を信じるのは当然のことだ!!」
そう叫んで――ザノークは杖を取り出して振るう。
風の魔法による攻撃が私を襲い、驚くしかない。
ザノークは感情的で最低な婚約者だったけど、この場所で魔法を使い攻撃してくるとは思わなかった。
咄嗟に魔法で打ち消すことには成功したけど、衝撃で私は吹き飛んでしまう。
床に倒れた私は全身が痛み、震えるしかない。
暴風が直撃していたら大怪我になっていたことに恐怖していると、私を見下ろしてザノークが叫ぶ。
「貴様のせいで俺の評判は落ちるだろう! 必ず後悔させてやる!!」
どうやら今の魔法による暴行でも、ザノークの気は済まないようだ。
痛みを堪えながら私は起き上がり――ザノークと婚約破棄できたことだけは、嬉しかった。
パーティ会場で、婚約者のザノーク王子が私に宣言する。
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不正なんて一度もしたことがない私は、困惑しつつも本心を話す。
「ザノーク殿下、私は不正なんて一度もしたことがありません」
「黙れ! 俺は貴様の発言よりも親友ルドノを信じる!」
そう言って――ザノークの隣にいる公爵令息ルドノが、私を眺めて話す。
「カルラ様は、魔法が優秀だからという理由でザノーク殿下の婚約者になることができました……その魔法の実力は、不正によるものだったのです」
嬉しそうに話すルドノは、魔法学園では学年2位の成績だ。
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困惑していると――私の傍にクラスメイトやって来て、嘘の証言をしはじめる。
「本来の実力を測るため禁止されている魔力強化の薬を、カルラ様が飲んでいる姿を見ました」
「試験内容を、カルラ様は事前に把握しています……試験で余裕がありましたし、間違いありません」
真剣に取り組んでいたし、試験内容を事前に知ることなんてできない。
嘘の証言をしているクラスメイトは、ルドノの取り巻きだ。
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王子や公爵令息が糾弾している私は、侯爵家の令嬢だ。
立場の差からかパーティ会場にいる貴族の人達は、ルドノ達の証言に賛同しはじめている。
話を聞いて私を睨んでいるザノークに、私は尋ねた。
「ザノーク殿下は、私が不正していると思っているのですか?」
「父上に命じられて婚約した貴様よりも、親友を信じるのは当然のことだ!!」
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ザノークは感情的で最低な婚約者だったけど、この場所で魔法を使い攻撃してくるとは思わなかった。
咄嗟に魔法で打ち消すことには成功したけど、衝撃で私は吹き飛んでしまう。
床に倒れた私は全身が痛み、震えるしかない。
暴風が直撃していたら大怪我になっていたことに恐怖していると、私を見下ろしてザノークが叫ぶ。
「貴様のせいで俺の評判は落ちるだろう! 必ず後悔させてやる!!」
どうやら今の魔法による暴行でも、ザノークの気は済まないようだ。
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