婚約破棄を謝っても、許す気はありません

第８話

　広場での魔法の自習授業で、ルドノが仕掛けてきた。
　
　取り巻きを利用して事故が起きないか警戒している先生の気を引き、ザノークが私を魔法で攻撃する。

　それを防いだのは、本来ならこの場にいないはずのリック様だった。

　先生の立場を体験したいと頼んでいたリック様が、私を守るために行動してくれる。

　それに感激していると――追及されたザノークが、リック様に叫ぶ。

「どういうことだと？　見たままだろう！　俺の魔法が暴発しただけだ！」

「ザノーク殿下、私がいなければカルラ様がどうなっていたかわからないのですか？」

「知らんなぁ。防いでいたのではないか？」

　惚けようとするザノークに対して、リック様は更に追求する。

「それなら、ザノーク殿下はカルラ様に杖を向けていた。これはどう説明しますか？」

「ぐっっ……」

　リック様に言われてから――ザノークは、私に向けていた杖を下ろす。

　もう注目されているから言い逃れることはできないと考えていた時、ザノークの元にやって来たルドノが話す。

「膨大な魔力を使えば手元が狂ってもおかしくありません……リック様は、ザノーク殿下が故意にカルラ様を攻撃したと考えているのですか？」

「ルドノの言う通りだ！　不敬だぞ！！」

　貴族の生徒達がいる前で、リック様はザノーク王子が私を攻撃したと言い出した。

　ザノーク側は事故で説明できるから、リック様の失言だと考えてしまう。

　私は何も気にしていないと言おうとして――これが、ルドノの狙いかもしれない。

　言うのを躊躇っていると、リック様が小声で私に話す。

「カルラ様、準備が全てできました。私に任せてください」

　どうやらここまでのことは、リック様の計画通りのようだ。