婚約を破棄したいと言うのなら、私は愛することをやめます

第１６話

　クラウスの発言を聞き、ザオードは何も言えなくなっている。
　生徒達が注目している状況で、クラウスは話を続けていた。

「マリーは優秀な魔法使いなのに、お前が実力を隠すよう命令していた。前学期で見せた無様なお前が証拠となっている」
「無様だと……この俺を侮辱するというのか！」
「事実を言っただけだ。今学期の成績次第では進級できず退学となるから、お前はマリーを婚約者に戻したんだろ？」
「そ、それは……そうだ！　今まで俺はマリーがいたから成績がよかった！」

　ザオードが開き直り、教室内が騒めく。
　これから私が授業を受ければ判明することだからか、隠すことを諦めたようだ。

　自らが悪いと認めても、ザオードは私を戻したいらしい。
　現状から他に方法が思いつかないのか、ザオードは頭を下げて謝罪した。

「俺が全て悪かった！　マリーとは元の関係に戻ろう。ルドレスト家に戻すから許してくれぇぇっ！！」
「許すわけないでしょう。ザオードはこれからも後悔してください」

　もう敬う気もないから、私は本心を話す。
　発言が信じられなかったようで、ザオードは取り乱すこととなる。