婚約を破棄したいと言うのなら、私は愛することをやめます

第１５話

　私の前にはクラウスがいて、ザオードは動きを止めていた。

　相手が公爵令息で、私はクラウスに推薦されて学園に編入したと先生が説明している。
　それでも伯爵令息のザオードが諦めないのは、今までずっと後悔していたからだ。

「もう無関係だと！？　俺はマリーの婚約者だ！！」
「婚約は解消されているし、家も勘当の手続きをしている。お前の発言は無茶苦茶だ」
「ぐぅぅっ！？」

　クラウスの発言を聞き、ザオードは怯む。
　それでも私のことを諦めたくないのか、クラウスを睨んでザオードは叫ぶ。

「俺が捜索していたのに見つけられなかったのは、クラウスがマリーを隠していたからか！」
「捜索していたのか？　あれだけ「婚約を破棄したい」とマリーに言い続けていたお前が？」
「うっっ！？」

　過去の所業を話すと、ザオードは何も言えなくなっていた。
　教室の人達にクラウスが悪いと思わせたかったのかもしれないけど、ザオードでは無理に決まっている。
　クラウスとしては、これからザオードを追い詰めたいようだ。