2 / 30
第2話
しおりを挟む
私は改竄されたら面倒なことになるから、権利書や様々な魔法道具を持って屋敷を出ていた。
これは私1人でも問題なく持ち運べる量だけど、ウォルク伯爵家の全てと言っても過言ではない。
私が持ち運んだ物が重要だと気づいたとしても、自称ウォルク家の領主ヴァンが何を言っても手に入れることは不可能だ。
政府の人に調査を頼み、私が勝手に持ち出したと言い張っても……その時に裁かれるのは、ヴァンと元姉エイダで間違いない。
そして、屋敷を出て数日後――私は、お父様が用意してくれた屋敷に到着する。
この数日間で様々なことをしたと、思い返しながら呟く。
「さてと……役所に手続きも済ませましたし、まずは、お父様が用意してくれた別荘の確認からですね」
そう言って私は屋敷の中を歩いているけど、どうやら月に一度、屋敷を管理している人が清掃に来ているようだ。
誰も住んでいないけど、問題なく済むことができそう。
これは聖水化の魔法道具が多大な利益を得たからこそで、エイダとヴァンはこの場所を知らない。
私はこの数日の間に「ウォルク家と関係ない人が屋敷に住み着き、迷惑している」と政府の人に伝えた。
相手は一応は血縁の姉エイダだけど、家族の縁は失踪した時点でお父様が切っている。
それでも調査する必要があるらしく、その間に使った私の財産は全て請求できるようだ。
更にその間にウォルク家に迷惑をかけたら罪になるようで、家を出て数日の間にエイダ達はかなりの額を使っていると聞いていた。
「金額を正確に確認して、これから支払われる分も把握する必要があるから……半年はかかると言っていました」
政府のことは解らないけど、決まりでそうなっているらしい。
お金を払えば人を増やして調べることで早くなるみたいだけど、そこまでしてもらう必要はない。
こんな元姉エイダが暴走しただけの問題を優先して欲しくはなくて、半年後でも構わないと政府の人に伝えている。
「聖水化の魔法具の扱いは大変だけど、一切か関わらず失踪したエイダには――痛い目を見て欲しいもの」
私は政府の人から、今後の話を聞いている。
屋敷を占拠している元姉エイダと自称領主ヴァンは、半年後には間違いなく追い出すことができると言ってくれた。
私が今いるこの別荘――豪華な屋敷は、私の為に生前お父様が用意していたものだ。
魔法道具によって完璧な防衛力で、エイダ達を追い出した後もこの屋敷にここに住もうと考えている。
私は屋敷の内装を確認しながら、再び呟く。
「1人だと少し寂しいから……そこは、なんとかしたいです」
私は1人だとつい独り言が出てしまうし、エイダ達について誰かに話したくなっている。
聖水化の魔法道具に協力してくれた――子爵令息のセインに会いたい。
セインなら信頼できるし、私が前にいた屋敷に行って現状を知ってしまうと、何をするかわからない。
今はお父様が亡くなったばかりの私を気遣い、頻繁に来ていた屋敷に最近来ていなかった。
もし屋敷に向かって何も知らずにエイダ達に出会うと、セインは力尽くで追い出そうと動いてもおかしくない。
そうなる前に事情を話しておくべきだと考えて――私は、セインのいる屋敷へ向かおうとしていた。
これは私1人でも問題なく持ち運べる量だけど、ウォルク伯爵家の全てと言っても過言ではない。
私が持ち運んだ物が重要だと気づいたとしても、自称ウォルク家の領主ヴァンが何を言っても手に入れることは不可能だ。
政府の人に調査を頼み、私が勝手に持ち出したと言い張っても……その時に裁かれるのは、ヴァンと元姉エイダで間違いない。
そして、屋敷を出て数日後――私は、お父様が用意してくれた屋敷に到着する。
この数日間で様々なことをしたと、思い返しながら呟く。
「さてと……役所に手続きも済ませましたし、まずは、お父様が用意してくれた別荘の確認からですね」
そう言って私は屋敷の中を歩いているけど、どうやら月に一度、屋敷を管理している人が清掃に来ているようだ。
誰も住んでいないけど、問題なく済むことができそう。
これは聖水化の魔法道具が多大な利益を得たからこそで、エイダとヴァンはこの場所を知らない。
私はこの数日の間に「ウォルク家と関係ない人が屋敷に住み着き、迷惑している」と政府の人に伝えた。
相手は一応は血縁の姉エイダだけど、家族の縁は失踪した時点でお父様が切っている。
それでも調査する必要があるらしく、その間に使った私の財産は全て請求できるようだ。
更にその間にウォルク家に迷惑をかけたら罪になるようで、家を出て数日の間にエイダ達はかなりの額を使っていると聞いていた。
「金額を正確に確認して、これから支払われる分も把握する必要があるから……半年はかかると言っていました」
政府のことは解らないけど、決まりでそうなっているらしい。
お金を払えば人を増やして調べることで早くなるみたいだけど、そこまでしてもらう必要はない。
こんな元姉エイダが暴走しただけの問題を優先して欲しくはなくて、半年後でも構わないと政府の人に伝えている。
「聖水化の魔法具の扱いは大変だけど、一切か関わらず失踪したエイダには――痛い目を見て欲しいもの」
私は政府の人から、今後の話を聞いている。
屋敷を占拠している元姉エイダと自称領主ヴァンは、半年後には間違いなく追い出すことができると言ってくれた。
私が今いるこの別荘――豪華な屋敷は、私の為に生前お父様が用意していたものだ。
魔法道具によって完璧な防衛力で、エイダ達を追い出した後もこの屋敷にここに住もうと考えている。
私は屋敷の内装を確認しながら、再び呟く。
「1人だと少し寂しいから……そこは、なんとかしたいです」
私は1人だとつい独り言が出てしまうし、エイダ達について誰かに話したくなっている。
聖水化の魔法道具に協力してくれた――子爵令息のセインに会いたい。
セインなら信頼できるし、私が前にいた屋敷に行って現状を知ってしまうと、何をするかわからない。
今はお父様が亡くなったばかりの私を気遣い、頻繁に来ていた屋敷に最近来ていなかった。
もし屋敷に向かって何も知らずにエイダ達に出会うと、セインは力尽くで追い出そうと動いてもおかしくない。
そうなる前に事情を話しておくべきだと考えて――私は、セインのいる屋敷へ向かおうとしていた。
44
あなたにおすすめの小説
義妹が聖女を引き継ぎましたが無理だと思います
成行任世
恋愛
稀少な聖属性を持つ義妹が聖女の役も婚約者も引き継ぐ(奪う)というので聖女の祈りを義妹に託したら王都が壊滅の危機だそうですが、私はもう聖女ではないので知りません。
初耳なのですが…、本当ですか?
あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た!
でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。
【完結】要らないと言っていたのに今更好きだったなんて言うんですか?
星野真弓
恋愛
十五歳で第一王子のフロイデンと婚約した公爵令嬢のイルメラは、彼のためなら何でもするつもりで生活して来た。
だが三年が経った今では冷たい態度ばかり取るフロイデンに対する恋心はほとんど冷めてしまっていた。
そんなある日、フロイデンが「イルメラなんて要らない」と男友達と話しているところを目撃してしまい、彼女の中に残っていた恋心は消え失せ、とっとと別れることに決める。
しかし、どういうわけかフロイデンは慌てた様子で引き留め始めて――
突然倒れた婚約者から、私が毒を盛ったと濡衣を着せられました
景
恋愛
パーティーの場でロイドが突如倒れ、メリッサに毒を盛られたと告げた。
メリッサにとっては冤罪でしかないが、周囲は倒れたロイドの言い分を認めてしまった。
【完結】何でも欲しがる義妹が『ずるい』とうるさいので魔法で言えないようにしてみた
堀 和三盆
恋愛
「ずるいですわ、ずるいですわ、お義姉様ばかり! 私も伯爵家の人間になったのだから、そんな素敵な髪留めが欲しいです!」
ドレス、靴、カバン等の値の張る物から、婚約者からの贈り物まで。義妹は気に入ったものがあれば、何でも『ずるい、ずるい』と言って私から奪っていく。
どうしてこうなったかと言えば……まあ、貴族の中では珍しくもない。後妻の連れ子とのアレコレだ。お父様に相談しても「いいから『ずるい』と言われたら義妹に譲ってあげなさい」と、話にならない。仕方なく義妹の欲しがるものは渡しているが、いい加減それも面倒になってきた。
――何でも欲しがる義妹が『ずるい』とうるさいので。
ここは手っ取り早く魔法使いに頼んで。
義妹が『ずるい』と言えないように魔法をかけてもらうことにした。
本当に妹のことを愛しているなら、落ちぶれた彼女に寄り添うべきなのではありませんか?
木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるアレシアは、婿を迎える立場であった。
しかしある日突然、彼女は婚約者から婚約破棄を告げられる。彼はアレシアの妹と関係を持っており、そちらと婚約しようとしていたのだ。
そのことについて妹を問い詰めると、彼女は伝えてきた。アレシアのことをずっと疎んでおり、婚約者も伯爵家も手に入れようとしていることを。
このまま自分が伯爵家を手に入れる。彼女はそう言いながら、アレシアのことを嘲笑っていた。
しかしながら、彼女達の父親はそれを許さなかった。
妹には伯爵家を背負う資質がないとして、断固として認めなかったのである。
それに反発した妹は、伯爵家から追放されることにになった。
それから間もなくして、元婚約者がアレシアを訪ねてきた。
彼は追放されて落ちぶれた妹のことを心配しており、支援して欲しいと申し出てきたのだ。
だが、アレシアは知っていた。彼も家で立場がなくなり、追い詰められているということを。
そもそも彼は妹にコンタクトすら取っていない。そのことに呆れながら、アレシアは彼を追い返すのであった。
義妹のせいで、婚約した相手に会う前にすっかり嫌われて婚約が白紙になったのになぜか私のことを探し回っていたようです
珠宮さくら
恋愛
サヴァスティンカ・メテリアは、ルーニア国の伯爵家に生まれた。母を亡くし、父は何を思ったのか再婚した。その再婚相手の連れ子は、義母と一緒で酷かった。いや、義母よりうんと酷かったかも知れない。
そんな義母と義妹によって、せっかく伯爵家に婿入りしてくれることになった子息に会う前にサヴァスティンカは嫌われることになり、婚約も白紙になってしまうのだが、義妹はその子息の兄と婚約することになったようで、義母と一緒になって大喜びしていた
。
妹は私から奪った気でいますが、墓穴を掘っただけでした。私は溺愛されました。どっちがバカかなぁ~?
百谷シカ
恋愛
「お姉様はバカよ! 女なら愛される努力をしなくちゃ♪」
妹のアラベラが私を高らかに嘲笑った。
私はカーニー伯爵令嬢ヒラリー・コンシダイン。
「殿方に口答えするなんて言語道断! ただ可愛く笑っていればいいの!!」
ぶりっ子の妹は、実はこんな女。
私は口答えを理由に婚約を破棄されて、妹が私の元婚約者と結婚する。
「本当は悔しいくせに! 素直に泣いたらぁ~?」
「いえ。そんなくだらない理由で乗り換える殿方なんて願い下げよ」
「はあっ!? そういうところが淑女失格なのよ? バーカ」
淑女失格の烙印を捺された私は、寄宿学校へとぶち込まれた。
そこで出会った哲学の教授アルジャノン・クロフト氏。
彼は婚約者に裏切られ学問一筋の人生を選んだドウェイン伯爵その人だった。
「ヒラリー……君こそが人生の答えだ!!」
「えっ?」
で、惚れられてしまったのですが。
その頃、既に転落し始めていた妹の噂が届く。
あー、ほら。言わんこっちゃない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる