失踪していた姉が財産目当てで戻ってきました。それなら私は家を出ます

天宮有

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第12話

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ヴァン視点

 侯爵令息のソラドを説得して、サフィラが戻り次第即座に連絡すると伝えている。

 今までサフィラは激務だったようで、戻る期間が不明と言ってもソラドは納得していた。

 長期の休暇も必要だろうと言って屋敷を出た後、俺達は早急にサフィラを探すため動く。

 ウォルク家の財産を使ってサフィラの捜索を命令して……最悪の事態を想像した俺は取り乱す。

「サフィラが見つからなければ、俺達は数多の貴族を敵に回すことになるぞ!?」

 聖水化の魔法道具は稀に壊れて、直すのは現時点ではサフィラしかできない。
 それならサフィラが消えるとどうしようもないが、弟子をとろうとしていたようだ。

 サフィラの父が亡くなってすぐ、俺達が行動したから弟子がいない。
 とにかく俺は焦り、エイダに叫ぶ。 

「エイダよ、俺達はどうすればいい!?」

「そんなの、欠陥品で利益を得ていたお父様とサフィラが悪いわ!」

 家を捨てて俺の屋敷に来てから敬語だったエイダが、本性を出してくる。

 エイダも相当焦っている様子だと理解して、冷静になった俺は呟く。

「ぐっっ……とにかく、サフィラを探すしかなさそうだ」

 エイダは水魔法の素質があるのに、聖水化の魔法道具は解析できないと言い出していた。

 焦ればやる気が出るかと思ったが何もする気はないようで、サフィラを探すしかない。

 それでもサフィラは発見できず、数カ月が経って――追い出してから半年後、俺はサフィラと再会することとなっていた。
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