失踪していた姉が財産目当てで戻ってきました。それなら私は家を出ます

第２４話

　賠償金の額を知って、ヴァンが焦り出す。
　家族に頼んでも厳しいようで、私を睨んで叫ぶ。

「聖水化の魔法道具はサフィラにしか直せない代物だった！　本来の領主であるお前が直すべきだろう！」

　ヴァンとしては、領主の私が悪いことにしたいようだ。
　今まで領主と名乗ってきたのに、今更違うと言っても通るわけがない。

「屋敷に来た貴族の方々は、ヴァン様がウォルク家の新たな領主と名乗ったことを聞いています……私も、今この場で聞きました」

「ぐぅぅっっ――！？」

　侯爵家のソラド様のことは聞いたし、この件が終わったらすぐ魔法道具を直しに行こう。

　もう言い逃れることはできない状況で、アウスの言うとおり今日で全てが終わりそうだ。

「クソッッ……わかり、ました……」

　相手が政府の人間で、政府を敵にすれば家が終わるからヴァンは何も言えなくなっていた。

　そう思っていたけど、私を敵視している様子で、まだ何か企んでいそうな気がする。

　現状は納得したようで――私達は、ヴァンとエイダを屋敷から追い出すことができていた。