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第8話
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バハムス視点
時間は、ルーミエがモンスターの大群を対処する前まで遡る。
父の国王に言われたこともあり、俺の婚約者がルーミエに決まった。
魔法使いとして優秀で、公爵家の令嬢なら当然の判断だ。
それでも俺は……いつも傍で甘えてくれるメリタの方が好きだった。
俺はどうにかして、メリタを婚約者にしたい。
そのことを話し合っていると、俺の部屋にメリタが本を持ってくる。
魔力を宿した謎の本を手にした俺は、メリタに尋ねた。
「……なんだ、この本は?」
「預言書です。これからルゴアス国では、大変なことになります」
メリタが持って来た本の説明をするが、本には未来の出来事が書かれているらしい。
信じられない代物だが、俺はメリタのことを信じている。
「父上に伝えても、何度か予言通りの出来事が起きなければ信じないだろう。これがあれば、ルーミエとの婚約を破棄できるのか?」
「破棄できます。婚約者で王子という立場のバハムス殿下が命令すれば、ルーミエは逆らえません」
ルーミエはメリタが俺に迫っていても、幼馴染みだからと許していた。
人を疑わないルーミエは、預言書に書かれているどんな過酷な問題でも対処してくれるだろう。
「このままではルゴアス国は終わりです……ルーミエは婚約者として利用するだけ利用して、最後に切り捨てましょう!」
「なんだと……メリタは、何を言っている?」
「預言書の最後に記載されているドラゴンの襲撃ですが、生贄を捧げる儀式をすれば日時を決められます」
メリタがそう言ってページをめくり、俺は十年後に起こるドラゴンの襲撃の内容を見る。
この問題に関しては、儀式を行う場合に限り発生するタイミングを決められるようだ。
「問題を全て対処した後、ルーミエはドラゴンの生贄にしましょう!」
「ああ。ルーミエは俺の命令には絶対に従う! これで俺はメリタと婚約できるだろう!」
預言書の内容は信じられないが、俺はメリタを信じたい。
婚約者のルーミエは問題を全て対処させた後、ドラゴンの生贄となって消えればいい。
メリタの話を聞いて俺は賛同し、ルーミエを消そうと目論んでいた。
■◇■◇■◇■◇■
預言書通りになって、最初の問題であるモンスターの大群が発生した。
ルーミエは俺の命令に従い、モンスターの大群を撃退する。
王子の婚約者なら当然だと強い口調で言えば、ルーミエは全力で問題を対処していた。
報告を聞いた翌日、俺はメリタを城に呼ぶ。
ルーミエは大変な目にあっていそうだが、俺達には関係ないことだ。
部屋で現状を話ながら、俺は預言書を眺めていた。
「預言書通りに問題が発生しても、ルーミエは普通に対処できたようだ」
「はい! ルーミエはバハムス殿下が脅せばこれからも命令を聞きます。何も問題ありません!」
そして最終的には、ドラゴンの生贄とする。
普通なら、メリタの言うとおりになっていた。
今のルーミエとジトアが時間を戻しているなんて、俺達は想定していなかった。
時間は、ルーミエがモンスターの大群を対処する前まで遡る。
父の国王に言われたこともあり、俺の婚約者がルーミエに決まった。
魔法使いとして優秀で、公爵家の令嬢なら当然の判断だ。
それでも俺は……いつも傍で甘えてくれるメリタの方が好きだった。
俺はどうにかして、メリタを婚約者にしたい。
そのことを話し合っていると、俺の部屋にメリタが本を持ってくる。
魔力を宿した謎の本を手にした俺は、メリタに尋ねた。
「……なんだ、この本は?」
「預言書です。これからルゴアス国では、大変なことになります」
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信じられない代物だが、俺はメリタのことを信じている。
「父上に伝えても、何度か予言通りの出来事が起きなければ信じないだろう。これがあれば、ルーミエとの婚約を破棄できるのか?」
「破棄できます。婚約者で王子という立場のバハムス殿下が命令すれば、ルーミエは逆らえません」
ルーミエはメリタが俺に迫っていても、幼馴染みだからと許していた。
人を疑わないルーミエは、預言書に書かれているどんな過酷な問題でも対処してくれるだろう。
「このままではルゴアス国は終わりです……ルーミエは婚約者として利用するだけ利用して、最後に切り捨てましょう!」
「なんだと……メリタは、何を言っている?」
「預言書の最後に記載されているドラゴンの襲撃ですが、生贄を捧げる儀式をすれば日時を決められます」
メリタがそう言ってページをめくり、俺は十年後に起こるドラゴンの襲撃の内容を見る。
この問題に関しては、儀式を行う場合に限り発生するタイミングを決められるようだ。
「問題を全て対処した後、ルーミエはドラゴンの生贄にしましょう!」
「ああ。ルーミエは俺の命令には絶対に従う! これで俺はメリタと婚約できるだろう!」
預言書の内容は信じられないが、俺はメリタを信じたい。
婚約者のルーミエは問題を全て対処させた後、ドラゴンの生贄となって消えればいい。
メリタの話を聞いて俺は賛同し、ルーミエを消そうと目論んでいた。
■◇■◇■◇■◇■
預言書通りになって、最初の問題であるモンスターの大群が発生した。
ルーミエは俺の命令に従い、モンスターの大群を撃退する。
王子の婚約者なら当然だと強い口調で言えば、ルーミエは全力で問題を対処していた。
報告を聞いた翌日、俺はメリタを城に呼ぶ。
ルーミエは大変な目にあっていそうだが、俺達には関係ないことだ。
部屋で現状を話ながら、俺は預言書を眺めていた。
「預言書通りに問題が発生しても、ルーミエは普通に対処できたようだ」
「はい! ルーミエはバハムス殿下が脅せばこれからも命令を聞きます。何も問題ありません!」
そして最終的には、ドラゴンの生贄とする。
普通なら、メリタの言うとおりになっていた。
今のルーミエとジトアが時間を戻しているなんて、俺達は想定していなかった。
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