魅了魔法が効かない私は処刑されて、時間が戻ったようです

第７話

　レインの提案を聞き、普通に生活するようになって半年が経っていた。

　昔を思い出して行動しているから、半年間は何も問題なく過ごせているはず。

　１週間に１度ぐらいの頻度でレインは私の部屋に来て、現状を報告してくれる。

　どうやらレインの魔法なら、誰にも知られることなく屋敷に侵入することができるようだ。

　掟は大丈夫なのかと思ったけど、私が拒んでいないから問題ないらしい。

　なにもかも同じ日常を送り、退屈だったけど……レインと話をしている時だけは楽しかった。

　現状の報告から、異界にいたレイン話や私の話をする。

　今日もそうなると思っていたけど――今日のレインは真剣な表情で、私を眺めて話す。

「準備が完了した。もうベネサから離れても、数ヶ月後には魅了魔法が使えなくなる」

「ようやくね……これからレインと、国外に行けるの？」

　報告を聞いて、私は尋ねる。
　レインと話をする以外同じ内容だった退屈な日々が、ようやく終わりそう。

　そう思っていたけど、レインは困惑していた。

「……リーゼは貴族としての生活を捨ててまで、俺と一緒にいてくれるのか？」

「はい。私も早く屋敷から出て、レインと暮らしたいと思っているわ」

「そ、そうか……そうだな。すぐに出るとしよう！」

　最初は不安そうにしていたレインだけど、私の発言を聞いて笑顔になる。

　準備は出来ていたからすぐに屋敷を出て、私は家を捨てた。

　そして――レインとの新しい生活が、はじまろうとしていた。