婚約者に突き飛ばされて前世を思い出しました

天宮有

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第8話

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ルドノス視点

 ミレナが亡くなったことにして、キサラと婚約してから1週間が経過した。

 聖女の生まれ変わりと公表してから、キサラは人々のために回復魔法を使っていく。
 他国にも協力すると約束したことでキサラの名は広まり、聖女として活動することができていた。

 これは注目されたいキサラが望んだことで、婚約者の俺も評価が上がっている。
 ミレナを崖から突き飛ばして正解だったと思っていたのに……今日は、キサラの様子がおかしかった。

 早朝から慌てた様子で、キサラが俺の部屋にやって来た。
 聖女として活動するから城で暮らしていたが、キサラの発言に俺は驚くこととなる。

「ルドノス様! 眠ったのに魔力が回復しません!!」

「……なんだと?」

 普通なら、安眠により魔力は全快する。
 それなのに魔力が回復しないと言い出したことが、俺には理解できなかった。

「聖なる魔法も使えなくなってしまいました……魔法が使えるようになってから、はじめて使えなくなりました!」

 取り乱している辺り、キサラにも何が起きたのか理解できていない。
 原因を調査するしかなくて、真っ先に思いついたのは聖女の生まれ変わりと嘘を公表したことだ。

「キサラが聖女の生まれ変わりと公表して、数日後に魔法が使えなくなるとはな」

「そ、それは……関係ないでしょう! 私が聖女と公表したせいだというのですか!?」

「それ以外に考えられない! 恐らく聖女として魔法を使い過ぎたせいだ! ゆっくり休めば魔力は回復するに決まっている!!」

 激高したキサラに対して、現状を受け入れたくない俺も叫んでしまう。
 
 聖女を偽ったから天罰が下った可能性もあるが、言ってもキサラは信じない。
 それなら聖なる魔法を使いすぎたせいだと推測して、こちらの方が納得できた。

 魔法の酷使によって魔力が回復しない状態になった場合は、魔法を使わず休むしかない。
 これは魔法学園の授業で聞いていたことだから、俺の推測を聞きキサラは冷静になっている。

「なるほど……確かに、ルドノス様の言う通りです!」

「学業と聖女の仕事で疲弊したことにすれば、父上も納得する……今はゆっくり休み、キサラは魔力を回復に専念すればいい」

「そうですね。ルドノス様に相談して正解でした」

 安堵してキサラが部屋から出て行くが、今話したことは全て俺の推測だ。

 聖女の生まれ変わりと公表したのだから、聖女と同じ活躍を期待されてしまう。
 俺は自分の推測が当たっていることを祈るが、実際は今までミレナの魔力をキサラに与えていただけだ。

 この時点ではミレナがキサラを支えていたことを知らない俺は、まだ問題ないと考えてしまう。
 いつになってもキサラの魔力が戻ることはなくて、俺達は追い詰められることとなる。
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