婚約者に突き飛ばされて前世を思い出しました

天宮有

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第7話

ルドノス視点

 婚約者のミレナを断崖から突き飛ばし、俺は邪魔者が消えたことを喜んでいた。

 これはミレナのイルノーク伯爵家も納得していることで、隣にいるキサラに話しかける。

「予定通り、ミレナを消すことができたな」

「はい! これからは見た目が同じでミレナなんかと間違われることがなく、ルドノス様と婚約もできます!!」

 姉を崖から突き飛ばしたことで悲しんでいるのか不安だったが、嬉しそうな姿を眺めて安堵する。
 ミレナの回復魔法によって病が治ったキサラだが、どうやら自力で治したらしい。
 それは学園に通えるようになり、ミレナより遥かに優秀だったことから間違いないだろう。

「ミレナは妹より劣っていることが嫌になり、崖から飛び降りたことにする」

「学園の人達は納得しますし、悲しんだルドノス様を私が励まして好きになり婚約したことにできますね」

「実際は最初からキサラの方が好きだったが、大衆にはそう思われていた方がいいだろう」

 俺達は邪魔なミレナを排除した後、その死を利用しようと目論んでいる。
 父上の国王も納得しているし、ミレナを消した後の手続きは順調に進むはずだ。

■◇■◇■◇■◇■

 ミレナを突き飛ばしてから1ヶ月が経ち、俺はキサラと婚約する。
 手続きは問題なく進み、話題になっている内に更なる行動を起こしていた。

「私は聖女の生まれ変わりだと、神託がありました」

 婚約者となったキサラが聖女の生まれ変わりと公表して、価値を高めようとする。
 実際に聖なる魔法を扱い膨大な魔力を宿していたから、結果を出しているキサラの発言を疑う者はいなかった。

 ランアス国は安泰だと言われるほどで、俺は部屋にキサラを呼ぶ。
 ミレナがいなくなってから全て上手くいっているが、気になることがあり俺はキサラに尋ねる。

「神託があったと言っていたが、神託なんて本当にあるのか?」

「何もありませんけど、私の発言なら信じてくれると確信していました」

「確かにそうだな。結果を出しているキサラの発言を、疑う方がおかしいというものだ」

 聖女の生まれ変わりなど、普通なら不敬と糾弾されるだろう。
 今まで結果を出しているから問題なくて、キサラにはそれだけの魔力があった。

「学園で注目されていた私は、これで国内の方々に注目されることとなりますね」

 今まで病弱で家の中にいたからか、キサラは皆から注目されたいらしい。
 これからは聖女として活躍することで他国でも噂になり、世界中の人から注目されたいようだ。

 そうなれば婚約者の俺も評判が上がるから、キサラの目論見に賛同している。
 聖女の生まれ変わりはやり過ぎではないかと不安になるが、キサラの機嫌を損ねるわけにはいかなかった。

 ミレナを排除してから今までが順調だったから、何も問題は起きないと考えてしまう。
 そして数ヶ月が経ち、俺は強く後悔することとなる。

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