婚約者に突き飛ばされて前世を思い出しました

天宮有

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第32話

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ルドノス視点

 宰相が用意した呪いの魔法道具を使い、キサラは意識を失い倒れている。
 目覚めることはないようで、膨大な魔力が必要だから宰相と俺の魔力で呪いをかけていた。

 キサラに呪いをかけたことは、誰にも知られるわけにはいかない。
 そのため宰相と俺が呪いをかけ、他に知っているのは国王だけだ。

 玉座のある部屋で国王に報告を終えて、宰相が今後の行動について話す。

「呪いで意識不明となったキサラ様ですが、彼女をミレナ様ということにします」

「それは……どういうことだ?」

 まずはキサラに呪いをかける必要があり、その後のことは何も聞いていない。
 前に俺が全てミレナのせいにできないか話し、無理だと言われたことを思い出す。
 ミレナの存在は公表していたから、それを宰相は利用するつもりのようだ。

「双子なのは事実ですし、キサラ様をミレナ様と公表しても問題ありません」

「そうなると、キサラがどこにいったのか追求されるだろう」

 俺が崖から突き飛ばしたミレナは、実は城で暮らしていたことにするらしい。
 見た目が同じだから、王家の俺達が公表すればキサラはミレナになるだろう。

 今後の行動について、宰相の話が続く。

「そして仮面の聖女をキサラ様ということにします。報告を聞くに、聖女の生まれ変わりとして問題ない実力がありますからね」

「それは……仮面の聖女が正体を明かし、キサラではないと証明されたら終わりだろう?」

「はい。仮面の聖女が仮面を外せなければキサラ様となりますし、正体を明かせばそこから懐柔していきます」

 仮面を外せないのなら、仮面の聖女をキサラにしてランアス国に連れ戻す。
 もし仮面を外してきた場合は、その正体を調べて懐柔していくつもりのようだ。

 現状は打つ手がないから、仮面の聖女について調べるため行動を起こそうとしている。
 この時の俺達は、本当にミレナが生きていることを想定できなかった。
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