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第二章
ルカの選択は
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「ここで一緒に暮らさねぇか」
ディックは切り出した。
「見ての通り、俺たちはみんな希少種だ。ここにいるのは、飼われてた貴族から逃げ出してきた奴らばっかりだ。そんな奴らで集まって暮らしてる。ルカもここの一員にならないか?」
ディックは続ける。
「ここでは俺たちは自由だ。何にも縛られることはない。貴族共からぶんどった荷で、食いたいもんは食えるし、着たい服だって自由に選べる。暮らしもわるかない」
それならば今のルカだってそうだ。
同じならユリウスの側がいい。
即座に断りの言葉を言おうとすると、フォリスが割って入った。
「だめだよ、ディック。そんな言葉じゃルカはこっちに来てくれないよ。もっとちゃんと説明しなきゃ」
フォリスに言われ、ディックはぐっと言葉に詰まり、「わかったよ」と息をつく。
「大抵の希少種は、そう言やこっちにつくからな。実はな、ルカ。頼みがあるんだ」
「頼み?」
ルカは首を傾げた。会って間もないルカにできることなどあるのだろうか。
今思い返してみると、ディックたちは初めからルカを狙っていた。今日は一日、ルカは馬車から降りなかった。あの馬車にルカが乗っていることを知る機会は、朝に宿を出て馬車に乗り込んだときだけだ。それならばディックは朝からルカをつけ、接触する機会を狙っていたことになる。
ルカを希少種とわかってのことだろう。
ここにいる希少種をざっと見たところ、男か両性だけで、女の希少種はいない。あえてルカを狙ったのなら、その辺りに理由があるのかもしれない。
ルカはそう見当をつけディックとフォリスに言うと、フォリスは目を見開いた。
「ルカ、君聡いんだね。驚いたよ。その通りだよ」
「でも、それで何の頼み?」
「そこはわからないんだね」
フォリスは苦笑した。
「僕達はね、ここで家族を作りたいと思っているんだ。つまり子供が欲しい。知っての通り、僕達希少種は生まれたときから奴隷で、自由を手にしようと思えば命懸けだ。そんな希少種の境遇に、僕達はささやかな抵抗をしたいと思ってる。ここで家族を作るんだ。希少種だけの家族だ。ここで子を育て、いつかもっとたくさん、自由な希少種を増やして、僕達の世代では無理でも、いつか未来に、希少種だけの国ができればいい。そう思ってるんだよ」
もしもそれが実現できるなら、これ以上の夢はないだろう。
希少種の誰もが自由を欲している。思うままに思うように生きていくことを切望している。それが実現できる世界を作れるなら夢のようだ。誰からも頭を抑えつけられることのない毎日を、ルカも何度夢見たことだろう。
その第一歩としてまずは子供が欲しいというフォリスの考えもわかる。生まれたときから奴隷ではない子供。その子はきっと自由の象徴になる。自ずとフォリスの頼みも理解できた。
つまり、ここで女のルカに希少種の子を産んでほしいということなのだろう、きっと。家族を増やすためには子が必要だ。
両性は子ができにくいと聞いたことがある。
女のルカをディックたちが狙ったのはそういうことだったのだ。
「でも、わたしは」
ここで子を産んで育てる自分を想像できない。フォリスの考えは壮大で、もし実現すれば素敵だと思うけれど…。
困ったようにフォリスを見ると、フォリスは言った。
「ルカが今のご主人様と離れがたいのはわかるよ。君のご主人はとても優しい人みたいだからね。でもね、考えてもみなよ、ルカ。君のご主人がいくら優しい人でも、君はご主人様と一緒にいる限り、どこまでいっても奴隷だ。対等な関係は築けない。君のご主人様は今はまだ独身だろう? でもいつかご主人様は奥方を娶るだろう。子が生まれるかもしれない。それでも君は奴隷のまま、ご主人様の側に居続けるんだ。そういうこと、ちゃんと考えてる?」
ユリウスに奥方と子供……。
ありえない未来ではない。伯爵位を持つユリウスが、後継者を残すことを考えないわけがない。むしろ、領主として、ユリウスに奥方と子がいても当たり前だ。
でもなんでだろう。まだ見ぬ女性が、ユリウスの側にいることを想像するだけで胸が苦しい。その場所はわたしの居場所だ。他の誰にも渡したくない。
「おい、ディック」
部屋の扉が開いた。別の希少種の男が入ってきてディックに耳打ちする。
「わかった、すぐおりる。―――ルカのご主人様が来たみたいだ。ほんとに来るとは思わなかったぜ」
ディックは入ってきた男に返し、ルカに言った。
ユリウスが来たと聞いて、ルカはすぐにもユリウスのもとへ駆け寄りたいと踵を返そうとした。
が、フォリスに言われたことが頭の隅に引っかかり、ルカの足を止めさせた。
フォリスは立ち上がり、そんなルカの肩にそっと手を置いた。
「決めるのはルカだよ。僕達は何でも無理強いされることに慣れてきたからね。他の誰かに強制はしたくないんだ。ルカが決めるといい。さぁ、どうする? ルカ。ご主人様と行く道を選んでも、ここに残っても、僕達はルカの決めたことを尊重するよ」
***
指定された小屋はすぐにわかった。十時きっかりに小屋の扉を叩くと、中から黒髪黒目の希少種の男が出てきた。黒毛の馬に乗った男ではない。別の希少種だ。ユリウスの腰の剣を鞘ごと奪い取ると、小屋の中へ導いた。
「んんんっ!」
入ってすぐの藁の上にリサが後ろ手に縛られて座っていた。口に猿轡として布をかまされている。リサは何か言いたげに声を出したが、くぐもった音にしかならない。
ユリウスは小屋内をざっと見渡した。黒髪黒目の希少種の男ばかりが十二人。いや、やけに体つきのほっそりした者も三人。両性なのかもしれない。ルカの姿がない。
「もう一人の人質はどうした?」
ユリウスはぐるりを見回して聞いたが誰も答えない。そこへ、小屋内の階段から黒毛の馬に乗っていた希少種の男がおりてきた。
「もう一人の人質はどうした?」
ユリウスは同じ質問を黒毛の馬の男に繰り返した。
男は「上だよ」と階段の上に並ぶ扉を顎で示す。
「ただし、おりてくるかはわからない。決めるのはルカだからな」
「どういうことだ?」
黒毛の馬の男はディックと名乗り、ルカにここにいるよう誘ったと言った。
「おまえたち、希少種の者たちだけで暮らしているのか?」
「ああ。ここでなら俺たちは自由だ。ルカもきっとここにいることを選ぶさ。あんた、優しいご主人様なんだろ? ルカが言ってたぞ。ずいぶん信頼されているんだな。ルカかどんな選択をしても、優しいあんたは笑って受け入れなきゃならん、そうだろ?」
「なるほどな」
ルカが狙われた理由はそこにあるようだ。
ここには女の希少種がいない。ここにいる者たちは女の希少種が欲しかった。そういうことだろう。
ユリウス一人を呼んだのは、ユリウスがここに来ることはないと見越してのことだろう。金貨百枚は本来の目的ではないはずだ。ユリウスに身代金をふっかけ、ルカを捨てさせるためだ。そうやって捨てられたと失望したルカにユリウスを断ち切らせ、自分たちの側へ取り込む。
ルカは確かにここでなら自由に暮らせるかもしれない。しかし危うい橋だ。盗賊を続けていれば、足がつかないよう頻繁にアジトを変え、常に警戒しながらの生活になる。ひとたび領内の私設騎士団の掃討を受ければひとたまりもないだろう。
幼いようでいて聡いところもあるルカが、ここにいたいと望むとは思えない。
しかしこの者たちの気持ちはわかるつもりだ。
おそらく元はみな奴隷だったはずだ。逃げ出した者たちで徒党を組んで暮らすのは賢い遣り方だ。自分たちだけの暮らし。奴隷ではない自分たちだけの子供。その子供を産める女の希少種。望むものも目指す先も想像がつく。
「提案なんだがおまえたち、盗賊はやめて働いてはどうだ? 俺の領内に来れば、仕事はあるぞ」
唐突なユリウスの提案に、ディックは「なっ…」と言ったきり言葉を失った。
「盗賊をしながらの生活が、危ういものであることは皆わかっているのだろう? 子が欲しいと望むなら、生活の基盤はしっかりとしておくべきだ。盗賊家業では心許ない」
「そんな甘い話にだまされはしないぞ。そう言って俺たちをまた奴隷の身に落とすつもりだろ」
「俺と雇用契約は結んでもらうことにはなるが、それは奴隷ではないだろう? 俺の領地は北のモント領だが、国境線に近い場所に林がある。その林で植林と伐採をしつつ、隣国の動きを見張る者たちが欲しいと思っていたんだ。どうだ? 悪くない話だろう」
ディックの頭の中は目まぐるしく動いているのだろう。ユリウスを警戒しつつも、この話に乗るべきか、何か落とし穴はないかと思考を巡らせている。
「ああ、そうだった」
ユリウスは思い出して懐から金貨の入った革袋を取り出し、ディックに放った。
「それは俺の領内へ来るまでの路銀にすればいい。これだけあれば、北のモント領まで来れるだろう? 来たら真っ先に俺の屋敷を訪ねてくれ。ただしばらくは俺は王都に滞在するから、来るなら一月後だ」
「おまえ、馬鹿なのか?」
「これでも領内はそれなりに豊かだ。心配するな。おまえたちの面倒ぐらい、どうとでもなる」
そういえば、コーバスにはいちいち希少種を助けていたら屋敷が希少種だらけになると言われたな。あながち冗談で終わらないかもしれない。
ユリウスがそんなことを思い出していると、階段からルカがおりてきた。
ディックは切り出した。
「見ての通り、俺たちはみんな希少種だ。ここにいるのは、飼われてた貴族から逃げ出してきた奴らばっかりだ。そんな奴らで集まって暮らしてる。ルカもここの一員にならないか?」
ディックは続ける。
「ここでは俺たちは自由だ。何にも縛られることはない。貴族共からぶんどった荷で、食いたいもんは食えるし、着たい服だって自由に選べる。暮らしもわるかない」
それならば今のルカだってそうだ。
同じならユリウスの側がいい。
即座に断りの言葉を言おうとすると、フォリスが割って入った。
「だめだよ、ディック。そんな言葉じゃルカはこっちに来てくれないよ。もっとちゃんと説明しなきゃ」
フォリスに言われ、ディックはぐっと言葉に詰まり、「わかったよ」と息をつく。
「大抵の希少種は、そう言やこっちにつくからな。実はな、ルカ。頼みがあるんだ」
「頼み?」
ルカは首を傾げた。会って間もないルカにできることなどあるのだろうか。
今思い返してみると、ディックたちは初めからルカを狙っていた。今日は一日、ルカは馬車から降りなかった。あの馬車にルカが乗っていることを知る機会は、朝に宿を出て馬車に乗り込んだときだけだ。それならばディックは朝からルカをつけ、接触する機会を狙っていたことになる。
ルカを希少種とわかってのことだろう。
ここにいる希少種をざっと見たところ、男か両性だけで、女の希少種はいない。あえてルカを狙ったのなら、その辺りに理由があるのかもしれない。
ルカはそう見当をつけディックとフォリスに言うと、フォリスは目を見開いた。
「ルカ、君聡いんだね。驚いたよ。その通りだよ」
「でも、それで何の頼み?」
「そこはわからないんだね」
フォリスは苦笑した。
「僕達はね、ここで家族を作りたいと思っているんだ。つまり子供が欲しい。知っての通り、僕達希少種は生まれたときから奴隷で、自由を手にしようと思えば命懸けだ。そんな希少種の境遇に、僕達はささやかな抵抗をしたいと思ってる。ここで家族を作るんだ。希少種だけの家族だ。ここで子を育て、いつかもっとたくさん、自由な希少種を増やして、僕達の世代では無理でも、いつか未来に、希少種だけの国ができればいい。そう思ってるんだよ」
もしもそれが実現できるなら、これ以上の夢はないだろう。
希少種の誰もが自由を欲している。思うままに思うように生きていくことを切望している。それが実現できる世界を作れるなら夢のようだ。誰からも頭を抑えつけられることのない毎日を、ルカも何度夢見たことだろう。
その第一歩としてまずは子供が欲しいというフォリスの考えもわかる。生まれたときから奴隷ではない子供。その子はきっと自由の象徴になる。自ずとフォリスの頼みも理解できた。
つまり、ここで女のルカに希少種の子を産んでほしいということなのだろう、きっと。家族を増やすためには子が必要だ。
両性は子ができにくいと聞いたことがある。
女のルカをディックたちが狙ったのはそういうことだったのだ。
「でも、わたしは」
ここで子を産んで育てる自分を想像できない。フォリスの考えは壮大で、もし実現すれば素敵だと思うけれど…。
困ったようにフォリスを見ると、フォリスは言った。
「ルカが今のご主人様と離れがたいのはわかるよ。君のご主人はとても優しい人みたいだからね。でもね、考えてもみなよ、ルカ。君のご主人がいくら優しい人でも、君はご主人様と一緒にいる限り、どこまでいっても奴隷だ。対等な関係は築けない。君のご主人様は今はまだ独身だろう? でもいつかご主人様は奥方を娶るだろう。子が生まれるかもしれない。それでも君は奴隷のまま、ご主人様の側に居続けるんだ。そういうこと、ちゃんと考えてる?」
ユリウスに奥方と子供……。
ありえない未来ではない。伯爵位を持つユリウスが、後継者を残すことを考えないわけがない。むしろ、領主として、ユリウスに奥方と子がいても当たり前だ。
でもなんでだろう。まだ見ぬ女性が、ユリウスの側にいることを想像するだけで胸が苦しい。その場所はわたしの居場所だ。他の誰にも渡したくない。
「おい、ディック」
部屋の扉が開いた。別の希少種の男が入ってきてディックに耳打ちする。
「わかった、すぐおりる。―――ルカのご主人様が来たみたいだ。ほんとに来るとは思わなかったぜ」
ディックは入ってきた男に返し、ルカに言った。
ユリウスが来たと聞いて、ルカはすぐにもユリウスのもとへ駆け寄りたいと踵を返そうとした。
が、フォリスに言われたことが頭の隅に引っかかり、ルカの足を止めさせた。
フォリスは立ち上がり、そんなルカの肩にそっと手を置いた。
「決めるのはルカだよ。僕達は何でも無理強いされることに慣れてきたからね。他の誰かに強制はしたくないんだ。ルカが決めるといい。さぁ、どうする? ルカ。ご主人様と行く道を選んでも、ここに残っても、僕達はルカの決めたことを尊重するよ」
***
指定された小屋はすぐにわかった。十時きっかりに小屋の扉を叩くと、中から黒髪黒目の希少種の男が出てきた。黒毛の馬に乗った男ではない。別の希少種だ。ユリウスの腰の剣を鞘ごと奪い取ると、小屋の中へ導いた。
「んんんっ!」
入ってすぐの藁の上にリサが後ろ手に縛られて座っていた。口に猿轡として布をかまされている。リサは何か言いたげに声を出したが、くぐもった音にしかならない。
ユリウスは小屋内をざっと見渡した。黒髪黒目の希少種の男ばかりが十二人。いや、やけに体つきのほっそりした者も三人。両性なのかもしれない。ルカの姿がない。
「もう一人の人質はどうした?」
ユリウスはぐるりを見回して聞いたが誰も答えない。そこへ、小屋内の階段から黒毛の馬に乗っていた希少種の男がおりてきた。
「もう一人の人質はどうした?」
ユリウスは同じ質問を黒毛の馬の男に繰り返した。
男は「上だよ」と階段の上に並ぶ扉を顎で示す。
「ただし、おりてくるかはわからない。決めるのはルカだからな」
「どういうことだ?」
黒毛の馬の男はディックと名乗り、ルカにここにいるよう誘ったと言った。
「おまえたち、希少種の者たちだけで暮らしているのか?」
「ああ。ここでなら俺たちは自由だ。ルカもきっとここにいることを選ぶさ。あんた、優しいご主人様なんだろ? ルカが言ってたぞ。ずいぶん信頼されているんだな。ルカかどんな選択をしても、優しいあんたは笑って受け入れなきゃならん、そうだろ?」
「なるほどな」
ルカが狙われた理由はそこにあるようだ。
ここには女の希少種がいない。ここにいる者たちは女の希少種が欲しかった。そういうことだろう。
ユリウス一人を呼んだのは、ユリウスがここに来ることはないと見越してのことだろう。金貨百枚は本来の目的ではないはずだ。ユリウスに身代金をふっかけ、ルカを捨てさせるためだ。そうやって捨てられたと失望したルカにユリウスを断ち切らせ、自分たちの側へ取り込む。
ルカは確かにここでなら自由に暮らせるかもしれない。しかし危うい橋だ。盗賊を続けていれば、足がつかないよう頻繁にアジトを変え、常に警戒しながらの生活になる。ひとたび領内の私設騎士団の掃討を受ければひとたまりもないだろう。
幼いようでいて聡いところもあるルカが、ここにいたいと望むとは思えない。
しかしこの者たちの気持ちはわかるつもりだ。
おそらく元はみな奴隷だったはずだ。逃げ出した者たちで徒党を組んで暮らすのは賢い遣り方だ。自分たちだけの暮らし。奴隷ではない自分たちだけの子供。その子供を産める女の希少種。望むものも目指す先も想像がつく。
「提案なんだがおまえたち、盗賊はやめて働いてはどうだ? 俺の領内に来れば、仕事はあるぞ」
唐突なユリウスの提案に、ディックは「なっ…」と言ったきり言葉を失った。
「盗賊をしながらの生活が、危ういものであることは皆わかっているのだろう? 子が欲しいと望むなら、生活の基盤はしっかりとしておくべきだ。盗賊家業では心許ない」
「そんな甘い話にだまされはしないぞ。そう言って俺たちをまた奴隷の身に落とすつもりだろ」
「俺と雇用契約は結んでもらうことにはなるが、それは奴隷ではないだろう? 俺の領地は北のモント領だが、国境線に近い場所に林がある。その林で植林と伐採をしつつ、隣国の動きを見張る者たちが欲しいと思っていたんだ。どうだ? 悪くない話だろう」
ディックの頭の中は目まぐるしく動いているのだろう。ユリウスを警戒しつつも、この話に乗るべきか、何か落とし穴はないかと思考を巡らせている。
「ああ、そうだった」
ユリウスは思い出して懐から金貨の入った革袋を取り出し、ディックに放った。
「それは俺の領内へ来るまでの路銀にすればいい。これだけあれば、北のモント領まで来れるだろう? 来たら真っ先に俺の屋敷を訪ねてくれ。ただしばらくは俺は王都に滞在するから、来るなら一月後だ」
「おまえ、馬鹿なのか?」
「これでも領内はそれなりに豊かだ。心配するな。おまえたちの面倒ぐらい、どうとでもなる」
そういえば、コーバスにはいちいち希少種を助けていたら屋敷が希少種だらけになると言われたな。あながち冗談で終わらないかもしれない。
ユリウスがそんなことを思い出していると、階段からルカがおりてきた。
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