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第二章
ルカを守るために
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王都に滞在中は、ユリウスは王都にあるモント領主邸で毎年過ごす。モント領主邸は、王宮周りの、貴族宅が立ち並ぶ一角にある。二階建ての白亜の建物で、普段は空き家だ。前任のモント領主達は、妻子をここに住まわせていたようだ。モント領は、北の辺境の地だ。貴族である領主の妻たちが王都を離れるのを嫌がったため、とも言われるし、隣国と国境線を接する危険な地であるため、大事をとって王都に住まわせていたとも言われる。
が、現在独身であるモント領主にとって、王都のモント領主邸は、もっぱら王都滞在中の宿泊先として利用されるのみだ。騎士団員を連れての大所帯だが、一階は騎士団員たち、二階をユリウスやカレルらが使用しても十分な広さだ。
今日の王都での予定はない。あとは明日の参内に向けて、書類の確認と体を休めるだけだ。
二階の自室に入ったユリウスの後を、ルカは当然のようにくっついて入ってくる。二階には火急の時以外、騎士団員が上がってくることはない。いつもの慣れた屋敷の面々のみだ。早速書類の確認をはじめたユリウスの隣に、ルカは邪魔にならぬよう隣の椅子に腰掛けた。
屋敷について早々にアントンが焼いたクッキーをつまんでいる。
「なぁ、ルカ」
「ん?」
ルカはクッキーを持ったまま、ユリウスの方を見上げた。口元にクッキーの欠片がついている。ユリウスはそれを取ってやりながら、ルカの様子を慎重に観察した。
「さっきのエメレンスの話、どう思った? 正直なところを聞かせてくれないか」
馬車に乗り込んできたエメレンスの話は、ルカの今後のことについての提案だった。
今後、王宮騎士団の追及を避けるためにも、ルカをユリウスの奴隷として正式に登録してはどうか。というのがエメレンスの提案だった。
というのもエメレンスが言うには、ルカは正式に王宮奴隷としての登録はされていないらしい。しかもルカを探して地方にまで出張ってきていた王宮騎士団のほとんどはルカの顔を知らない。そのため未登録の奴隷を重点的に取り調べる形となっているのが現状だ。
裏を返せば、正式な登録があれば、王宮騎士団の追及を受けないことになる。
奴隷登録は人事官の管轄だ。本来は奴隷商から仕入れた際に発行される仕入れ証明書を人事官に提出し、奴隷登録が完了する。ルカには仕入れ証明書がないが、そこはエメレンスが口利きで直接人事官に取り合って、奴隷登録をおこなってくれるという。晴れて奴隷登録証が発行され、それを持っていればルカは王宮騎士団の追及を受けることはなくなる。
実はこの方法は、ユリウスも考えていた。
なんとかして王都滞在中に、仕入れ証明書を手に入れ、ルカを自分の奴隷として登録してしまえないか。王宮騎士団の追及をかわすための一つの手として考えていた。
カレルには前もって相談していたが、カレルでは力になれないとも言われていた。買い上げてもいない奴隷の、仕入れ証明書を手に入れる方法が考えつかないと。
それはユリウスも同じだったが、ルカのことは伏せ、王弟であるエメレンスに相談してみようと思っていた。
それを向こうから提案してくれたのだからラッキーと言えば、そう言えなくもない。けれど、あれほど親密な二人の様子を見せられては、エメレンスに頼りたくないような。いや、そんな私心など捨ててルカのために動くべきだとも。ユリウスの中で、制御し難い感情が渦巻く。
けれどここへ来て、ユリウスは最も肝心なことを確認していなかったことに思い至った。ルカを守る手段として、奴隷登録をするための方策ばかりに考えがいって、ユリウスの奴隷として登録されることをルカがどう思うのか。ルカの気持ちをきくことをおろそかにしていた。
ユリウスがルカに尋ねると、ルカは「いいよ、別に」とあっさり返してくる。
「いいのか?」
「うん。だってユリウスの奴隷だよね。それならいい」
「そうか。本当に?」
「うん。別に奴隷登録しても、お尻に入れたりしないでしょ?」
「ぶはっ」
ユリウスは飲みかけていた水を噴き出した。
「汚いなぁ、ユリウス」
ルカは立っていってタオルを取ってくるとユリウスの濡れた口元や服を拭いてくれる。その手をユリウスは取ると、そのまま膝の上にルカを抱き寄せた。
「なぁ、エメレンスとはいつもああだったのか? 距離が近いというか、なんというか。体も、あんなふうに触らせていたのか?」
「そういえば触ってたかな。小さい時からあんな感じだから気にしたこともないよ」
「第一おまえ、エメレンスがライニール王の弟だと知っていたのか?」
「それは知ってたよ。エメレンスが自分でそう言ってたから」
もう何も言うまい。ユリウスが考えていた以上に、エメレンスとルカは親しかったということだろう。
なんとなく、いやかなりおもしろくない。項垂れるユリウスの唇を、ルカがいきなり指でふにっとつついた。
「どうした?」
「ねぇ、ユリウス。やってみたいことがあるんだけど、いいかな」
「なんだ?」
「えっとね、ユリウスは口を開いてそのままでいて」
何のことやらわからぬままに、ユリウスはルカの言われた通り、少し唇を開いて待った。ルカはユリウスの首に両腕を伸ばして引き寄せると顔を近づけてきた。何をしようとしているのか、ルカは。これではまるで。
ユリウスの予感通り、ルカの少し開いた薄いピンクの唇がユリウスの唇に重なった。続いてルカの小さな舌が入ってきて、ユリウスは仰天した。
「おい、ルカ」
ユリウスは思わずルカを引き剥がした。途中で止められたルカは、あれ?というように小首を傾げた。
「ユリウス、もしかして嫌だった?」
「嫌ではない」
むしろ望むところでもあるのだが。そんなことよりも気になることがある。
「ルカ、こんなことどこで覚えた?」
「どこって。ディックとフォリスがしてた。なんかすごくいいなぁと思って。ユリウスとしてみたいと思った。やっぱりだめだった?」
あの男。ルカの前で何をやっているんだ。領内に来たら、ディックに説教だ。
「あのな、ルカ。だめでも嫌でもないぞ。ないがそれはな、好きな者同士ですることなんだ」
このままルカの望むままにルカの唇を貪りたい。貪りたいが、ユリウスはぐっとこらえた。本人の自覚もないままに、ルカの唇を奪うわけにはいかない。
けれど、ルカはそんなユリウスの忍耐を試すように笑った。
「だったらしてもよくない? だってわたしはユリウスが好きだし、ユリウスもわたしのこと好きだよね。それともルカのこと嫌い?」
好きな女にここまで言われて耐えられる男がいるなら教えてほしい。ルカの言う好きは、親愛の好きに過ぎないことはわかっていた。わかっていたが、もう我慢できなかった。
「ルカ、好きだ」
ユリウスはルカの細い体を抱きしめ、ルカのあごをつまんで上向かせた。開いた薄い唇に、ユリウスは口づけた。ルカが嬉しそうにユリウスに唇を寄せてくる。おずおずと差し出された舌に舌先をあて、時折離してはしばらくは様子をうかがうようにルカの下唇をはんだり、軽く口蓋をつついた。ルカが怖がったり嫌がっている様子はない。
ユリウスはルカの舌をとらえ舌を吸った。一瞬、ルカは驚いたようにこちらを見たが、ユリウスは舌を絡めると深く口付け、何度も角度を変えてルカを貪った。
「……んっ、ユリウス…。くるし……」
ルカの声にユリウスははっと我に返り、慌ててルカから唇を離した。
「悪い。やりすぎた」
ルカは顔を赤くしながらも首を振る。
「大丈夫。ユリウスの舌、気持ちよかった」
「そうか」
ルカに気づかれぬよう、そっと深く息を吐き出す。そんなことを言われて、平静でいろと言う方が無理がある。無防備にこうも素直に返されると、たまらない。今のキスでしっかり反応した自身の体に気づかれぬよう、ユリウスはそっとルカを膝から下ろした。
「あのな、ルカ」
今すぐにも浴室に飛び込んで欲を吐き出したい衝動に駆られたが、ユリウスはこれだけはと思い、ルカに向き合った。
「エメレンスとはするなよ」
明日から数日、ルカをエメレンスのところに預ける手筈になっていた。ルカは今回、リサの親類のアリシアとして王都入りした。明日はアリシアとして、表向きは行儀見習い先である貴族の屋敷に発つことになっている。そして数日後、奴隷登録が終わった時点で、今度は希少種の奴隷ルカとして戻ってくる。
そういう手筈になっていた。他の者の目を誤魔化すためにも、奴隷登録の終わる数日間(エメレンスが手続きに必要だと主張した)、ルカはエメレンスのところで過ごすことになった。
ルカを手元から離すことを、ユリウスはもちろん反対した。したが、仕入れ証明書を手に入れたり、奴隷登録するためには本人が絶対に必要だと言われれば、それらに対して何ら打つ手のないユリウスとしては引き下がるしかない。ルカもエメレンスのところなら行くと言うし、仕方あるまい。
けれどこうも腰にくるキスを交わしたあととなっては、別のことが心配になってくる。今日の様子からすると、好きな者同士だと言って、ルカはエメレンスともキスをしかねない。それだけは阻止したい。
「わかった。ユリウスがそう言うなら、エメレンスとはしない。それに、なんだろ。エメレンスとはしたいと思わないし」
「そうかそうか」
それを聞いて、ユリウスは心の内でにんまりしてしまった。それもまた致し方あるまい。
が、現在独身であるモント領主にとって、王都のモント領主邸は、もっぱら王都滞在中の宿泊先として利用されるのみだ。騎士団員を連れての大所帯だが、一階は騎士団員たち、二階をユリウスやカレルらが使用しても十分な広さだ。
今日の王都での予定はない。あとは明日の参内に向けて、書類の確認と体を休めるだけだ。
二階の自室に入ったユリウスの後を、ルカは当然のようにくっついて入ってくる。二階には火急の時以外、騎士団員が上がってくることはない。いつもの慣れた屋敷の面々のみだ。早速書類の確認をはじめたユリウスの隣に、ルカは邪魔にならぬよう隣の椅子に腰掛けた。
屋敷について早々にアントンが焼いたクッキーをつまんでいる。
「なぁ、ルカ」
「ん?」
ルカはクッキーを持ったまま、ユリウスの方を見上げた。口元にクッキーの欠片がついている。ユリウスはそれを取ってやりながら、ルカの様子を慎重に観察した。
「さっきのエメレンスの話、どう思った? 正直なところを聞かせてくれないか」
馬車に乗り込んできたエメレンスの話は、ルカの今後のことについての提案だった。
今後、王宮騎士団の追及を避けるためにも、ルカをユリウスの奴隷として正式に登録してはどうか。というのがエメレンスの提案だった。
というのもエメレンスが言うには、ルカは正式に王宮奴隷としての登録はされていないらしい。しかもルカを探して地方にまで出張ってきていた王宮騎士団のほとんどはルカの顔を知らない。そのため未登録の奴隷を重点的に取り調べる形となっているのが現状だ。
裏を返せば、正式な登録があれば、王宮騎士団の追及を受けないことになる。
奴隷登録は人事官の管轄だ。本来は奴隷商から仕入れた際に発行される仕入れ証明書を人事官に提出し、奴隷登録が完了する。ルカには仕入れ証明書がないが、そこはエメレンスが口利きで直接人事官に取り合って、奴隷登録をおこなってくれるという。晴れて奴隷登録証が発行され、それを持っていればルカは王宮騎士団の追及を受けることはなくなる。
実はこの方法は、ユリウスも考えていた。
なんとかして王都滞在中に、仕入れ証明書を手に入れ、ルカを自分の奴隷として登録してしまえないか。王宮騎士団の追及をかわすための一つの手として考えていた。
カレルには前もって相談していたが、カレルでは力になれないとも言われていた。買い上げてもいない奴隷の、仕入れ証明書を手に入れる方法が考えつかないと。
それはユリウスも同じだったが、ルカのことは伏せ、王弟であるエメレンスに相談してみようと思っていた。
それを向こうから提案してくれたのだからラッキーと言えば、そう言えなくもない。けれど、あれほど親密な二人の様子を見せられては、エメレンスに頼りたくないような。いや、そんな私心など捨ててルカのために動くべきだとも。ユリウスの中で、制御し難い感情が渦巻く。
けれどここへ来て、ユリウスは最も肝心なことを確認していなかったことに思い至った。ルカを守る手段として、奴隷登録をするための方策ばかりに考えがいって、ユリウスの奴隷として登録されることをルカがどう思うのか。ルカの気持ちをきくことをおろそかにしていた。
ユリウスがルカに尋ねると、ルカは「いいよ、別に」とあっさり返してくる。
「いいのか?」
「うん。だってユリウスの奴隷だよね。それならいい」
「そうか。本当に?」
「うん。別に奴隷登録しても、お尻に入れたりしないでしょ?」
「ぶはっ」
ユリウスは飲みかけていた水を噴き出した。
「汚いなぁ、ユリウス」
ルカは立っていってタオルを取ってくるとユリウスの濡れた口元や服を拭いてくれる。その手をユリウスは取ると、そのまま膝の上にルカを抱き寄せた。
「なぁ、エメレンスとはいつもああだったのか? 距離が近いというか、なんというか。体も、あんなふうに触らせていたのか?」
「そういえば触ってたかな。小さい時からあんな感じだから気にしたこともないよ」
「第一おまえ、エメレンスがライニール王の弟だと知っていたのか?」
「それは知ってたよ。エメレンスが自分でそう言ってたから」
もう何も言うまい。ユリウスが考えていた以上に、エメレンスとルカは親しかったということだろう。
なんとなく、いやかなりおもしろくない。項垂れるユリウスの唇を、ルカがいきなり指でふにっとつついた。
「どうした?」
「ねぇ、ユリウス。やってみたいことがあるんだけど、いいかな」
「なんだ?」
「えっとね、ユリウスは口を開いてそのままでいて」
何のことやらわからぬままに、ユリウスはルカの言われた通り、少し唇を開いて待った。ルカはユリウスの首に両腕を伸ばして引き寄せると顔を近づけてきた。何をしようとしているのか、ルカは。これではまるで。
ユリウスの予感通り、ルカの少し開いた薄いピンクの唇がユリウスの唇に重なった。続いてルカの小さな舌が入ってきて、ユリウスは仰天した。
「おい、ルカ」
ユリウスは思わずルカを引き剥がした。途中で止められたルカは、あれ?というように小首を傾げた。
「ユリウス、もしかして嫌だった?」
「嫌ではない」
むしろ望むところでもあるのだが。そんなことよりも気になることがある。
「ルカ、こんなことどこで覚えた?」
「どこって。ディックとフォリスがしてた。なんかすごくいいなぁと思って。ユリウスとしてみたいと思った。やっぱりだめだった?」
あの男。ルカの前で何をやっているんだ。領内に来たら、ディックに説教だ。
「あのな、ルカ。だめでも嫌でもないぞ。ないがそれはな、好きな者同士ですることなんだ」
このままルカの望むままにルカの唇を貪りたい。貪りたいが、ユリウスはぐっとこらえた。本人の自覚もないままに、ルカの唇を奪うわけにはいかない。
けれど、ルカはそんなユリウスの忍耐を試すように笑った。
「だったらしてもよくない? だってわたしはユリウスが好きだし、ユリウスもわたしのこと好きだよね。それともルカのこと嫌い?」
好きな女にここまで言われて耐えられる男がいるなら教えてほしい。ルカの言う好きは、親愛の好きに過ぎないことはわかっていた。わかっていたが、もう我慢できなかった。
「ルカ、好きだ」
ユリウスはルカの細い体を抱きしめ、ルカのあごをつまんで上向かせた。開いた薄い唇に、ユリウスは口づけた。ルカが嬉しそうにユリウスに唇を寄せてくる。おずおずと差し出された舌に舌先をあて、時折離してはしばらくは様子をうかがうようにルカの下唇をはんだり、軽く口蓋をつついた。ルカが怖がったり嫌がっている様子はない。
ユリウスはルカの舌をとらえ舌を吸った。一瞬、ルカは驚いたようにこちらを見たが、ユリウスは舌を絡めると深く口付け、何度も角度を変えてルカを貪った。
「……んっ、ユリウス…。くるし……」
ルカの声にユリウスははっと我に返り、慌ててルカから唇を離した。
「悪い。やりすぎた」
ルカは顔を赤くしながらも首を振る。
「大丈夫。ユリウスの舌、気持ちよかった」
「そうか」
ルカに気づかれぬよう、そっと深く息を吐き出す。そんなことを言われて、平静でいろと言う方が無理がある。無防備にこうも素直に返されると、たまらない。今のキスでしっかり反応した自身の体に気づかれぬよう、ユリウスはそっとルカを膝から下ろした。
「あのな、ルカ」
今すぐにも浴室に飛び込んで欲を吐き出したい衝動に駆られたが、ユリウスはこれだけはと思い、ルカに向き合った。
「エメレンスとはするなよ」
明日から数日、ルカをエメレンスのところに預ける手筈になっていた。ルカは今回、リサの親類のアリシアとして王都入りした。明日はアリシアとして、表向きは行儀見習い先である貴族の屋敷に発つことになっている。そして数日後、奴隷登録が終わった時点で、今度は希少種の奴隷ルカとして戻ってくる。
そういう手筈になっていた。他の者の目を誤魔化すためにも、奴隷登録の終わる数日間(エメレンスが手続きに必要だと主張した)、ルカはエメレンスのところで過ごすことになった。
ルカを手元から離すことを、ユリウスはもちろん反対した。したが、仕入れ証明書を手に入れたり、奴隷登録するためには本人が絶対に必要だと言われれば、それらに対して何ら打つ手のないユリウスとしては引き下がるしかない。ルカもエメレンスのところなら行くと言うし、仕方あるまい。
けれどこうも腰にくるキスを交わしたあととなっては、別のことが心配になってくる。今日の様子からすると、好きな者同士だと言って、ルカはエメレンスともキスをしかねない。それだけは阻止したい。
「わかった。ユリウスがそう言うなら、エメレンスとはしない。それに、なんだろ。エメレンスとはしたいと思わないし」
「そうかそうか」
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