【完結】私の初恋の人に屈辱と絶望を与えたのは、大好きなお姉様でした

迦陵 れん

文字の大きさ
84 / 84
第七章 旦那様の幸せ

エピローグ

しおりを挟む
 一年後──。

 私は今も、ヘマタイト公爵夫人としてリーゲル様と仲睦まじく暮らしている。

 あの離縁騒動の後、ご自分の不甲斐なさをアンジェラお姉様に懇々と諭されたリーゲル様は、現状を打破するべく一念発起して人間関係の改善に努めた。

「先ずは、ありとあらゆる夜会に出席するところからだな」

 そう言って、開催される夜会には大なり小なり全て赴き、やり過ぎと思える程に人前で私との仲睦まじさをアピールした。そうして、私以外の女性は目に入らないとばかりに、他のご令嬢達のことは完全無視を決め込んだのだ。

 それでも、やっかみからか、私に対する悪口や噂話はそこかしこで耳にしたけれど、その度にリーゲル様は口さがない相手に苦言を呈し、それでも収まらなければ権力を行使するなどして、持てる力の全てを使って私を周囲の悪評から守ってくれた。

 その甲斐あって、三ヶ月もする頃にはリーゲル様の容赦ない態度と、私への溺愛ぶりが社交界に広く知れ渡ることとなり、気付けば私の悪口を言う人はいなくなっていた。

 それどころか『人嫌いの筆頭公爵家当主に溺愛される妻』として有名になり、私の機嫌をとろうと近付いてくる人達までもが現れるようになったのだ。お姉様の身代わりだと思われていた頃との人々の対応の違いに、私はただただ驚くしかなかった。

「グラディス、支度はできたか?」

 寝室へと続く扉から、リーゲル様が声を掛けてくる。

 離縁の危機を乗り越えてからというもの、私の部屋は夫婦の寝室を挟んでリーゲル様の部屋と隣同士の場所へ移動となり、毎日一緒に眠るようになった。

 だから必然的に、お互いの部屋の行き来も寝室を通してするようになり、一年の間に私達の心と身体の距離は急速に近付いたのだ。結婚直後からの何もなかった半年間と比べると、天と地ほどの違いである。

「奥様のお支度はできております。どうぞお入り下さい」

 ポルテが扉を開け、リーゲル様を室内へと招き入れる。

 微笑みを湛えて入室してきたリーゲル様は、私を見るなり破顔して両手を広げた。

「綺麗だグラディス。……おいで」

 近付いた私を優しく抱きしめ、顔中にキスの雨を降らせてくれる。

 リーゲル様がキス魔だったのには驚いたけれど、私にとっては恥ずかしくも嬉しい誤算だ。

「……お二人とも仲睦まじいのは宜しいのですが、そろそろお出にならなければ遅刻してしまいますよ」

 ここ最近恒例化しているマーシャルの言葉に、私達は顔を見合わせ、頷き合った。

 それからリーゲル様は、私を抱き上げて歩き出す。

「まさか王女殿下とエルンスト様が結婚されるなんて、夢にも思わなかったわ」

 ある日突然邸に届いた結婚式の招待状。差出人の名前を見て驚いた事は、まだ記憶に新しい。

「アダマン侯爵も大分抵抗したようだが……いくら後継でないとはいえ、王族の純潔を奪ったとあっては責任を取らざるをえなかったんだろう」
「奪ったというより、無理やり奪わされた──いいえ、寧ろ奪われたのはエルンスト様のような気がしてならないけれどね」
「まあ、王女殿下に惚れられたのが運の尽き、だったな」

 王女殿下はエルンスト様に捕まった後、彼の仕事っぷりや人柄、よく見たら見た目も好みであったらしく、大人しくなった振りをしつつ彼を籠絡する機会をずっと窺っていたらしい。

 エルンスト様は王女殿下を他国へ連れて行くつもりだったようだけど、その隙に襲われて純潔を奪った──強制的に捧げられた?──のだとか。

 幸いなことにエルンスト様は婚約者も恋人もおらず、王女殿下と婚姻する為の障害が何もなかったことから、周囲にトントン拍子で結婚へと進められてしまったらしい。

 本人曰く、まだもう暫く独り身で色々とやりたい事があるから婚姻は勘弁してくれと、違う事でならどんな形でも責任を取るからと懇願したそうだけど、王族相手なのだから婚姻一択だと突っぱねられてしまったみたい。

 ジュジュに聞いた話では、

「エルンスト様が本気で抵抗すれば何とかなった筈ですが、まぁなんと言いますか、精神と身体は別物……という事でしょうかね。要は年齢相応に興味をお持ちだったということですよ。ある意味自業自得です」

 ということらしい。

 その興味というのは一体何に? と聞いたら、怪しい笑みを浮かべるだけで答えてはくれなかった。

 結婚後、エルンスト様と王女殿下は、二人で隣国へと行くのですって。エルンスト様の仕事の都合らしいけど、王女殿下は王女教育の一環で隣国の言語も習得しているから、ついて行くことにしたんだとか。

 最初は嫌がっていたエルンスト様も、最近では諦めたように王女殿下を親し気にお名前で呼ぶようになった。その度に殿下が喜びに瞳をキラキラさせて抱き付くのだけど、エルンスト様はそれを突っぱねることもやめ、素直に受け止めるようになっている。表情が若干引き攣っているように見えるのは、私の気のせいでしょうね。

「グラディス、リーゲル、遅いわよ!」

 玄関で待っていたお姉様に、顔を合わせた途端、大きな声で怒られた。

「すまない。グラディスがあまりに綺麗で、見惚れた為に時間がかかってしまった」

 恥ずかし気もなく言うリーゲル様の声に、重なったのは王太子殿下の声。

「本当は、私のものになる筈だったのに……」

 ボソリと呟いた王太子殿下の耳を、隣にいたオニキス侯爵令嬢が引っ張った。

「いたたたたたた!」
「シーヴァイス様? 今なにか仰いまして?」
「わ、私は何も言っていない。痛いから耳を引っ張るな!」
「ごめんあそばせ。シーヴァイス様が馬に蹴られて死んでしまっては困りますので、不埒な言動につい手が出てしまいましたわ」

 オホホホと笑うオニキス侯爵令嬢と王太子殿下であるシーヴァイス様は、来年の春に婚姻予定だ。

 それでも、王太子殿下は未だにあの手この手を使ってオニキス侯爵令嬢との婚約を破棄しようと目論んでいるみたいで、アンジェラお姉様はそれを阻止するべくオニキス侯爵令嬢の侍女として王宮で働いている。

 いっそのことエルンスト様のように既成事実を作ってしまおうかと、この前ジュジュと二人で話しているのを耳にしてしまった。王太子殿下、もう観念した方が身の為ですよ……。

「それにしても、家の中を歩くのでさえ抱き上げて歩いているの? 少し過保護にし過ぎなのではなくて?」

 私を抱き上げたまま下ろそうとしないリーゲル様に、お姉様が顔を顰める。

 けれどリーゲル様は、その言葉にゆっくりと首を横に振った。

「何を言うんだ。グラディスのお腹には、私達待望の天使が宿ったばかりなんだぞ。今が一番大事な時なんだ。過保護にしてし過ぎるということはない」
「な、なにっ!? お前達、いつの間に……」

 王太子殿下が、愕然となってペタリとその場に座り込む。

「あら? もしかして知らなかったの? この二人は人目も憚らず夜会の会場でイチャつくほど愛し合っているのだから、子供が出来るのは当然でしょう?」
「し、しかしリーゲルは……し、白い結婚だと言っていたのに……」
「一体いつの話をしてるんだ? 俺達は一年前から身も心も愛し合ってるんだ。残念だったな」

 真っ白な灰と化す王太子殿下を置いて、リーゲル様は颯爽と馬車へと乗り込んでしまう。

「アンジェラ様、ワタクシ達も参りましょう」

 同じく王太子殿下を無視して、二台目の場所に乗り込むオニキス侯爵令嬢とアンジェラお姉様。

「失礼ながら、馬車のご用意は二台しかしてございませんが、王太子殿下は会場まで歩いて行かれるおつもりで?」
「へ?」
 
 マーシャルの言葉に、慌てて背後を振り返る王太子殿下。

 今まさに閉ざされようとする扉を見ると、顔色を変えて走り出した!

「待て! 待ってくれ! この私を置いて行くなど……お前ら正気か!?」
「いつまでも過去の想いを引きずっているような人と、同じ馬車で結婚式に向かいたくありません」

 リーゲルとグラディスの乗った馬車は既に出発してしまったが、アンジェラ達が乗ってきた馬車は、一応まだ留まっている──扉は固く閉ざされているが。

「わ、悪かった! もう過去のことは口に出さない! 君だけを想うと誓うから! 私も馬車に乗せてはくれないか?」
「本当ですか?」
「本当だ!」
「絶対ですか?」
「絶対だ!」
「では、帰ったら婚前交渉をしていただいても?」
「こんっ……ぜん……!?」

 目を大きく見開き、動きを止める王太子殿下。

「それではワタクシ達はお先に──」
「わわわ、分かった! 婚前交渉でも何でもするから! 馬車に乗せてくれ! 王太子の面子にかけて遅刻はできない!」
「分かりましたわ」

 馬車内で黒い笑みを浮かべ、微笑み合うアンジェラとオニキス侯爵令嬢。

 そこへ王太子殿下が乗り込むと、馬車は扉が閉まるが早いか猛スピードで走り出した。前を走っていたリーゲル達の馬車を追い抜いて。

「まあ……あんなにスピードを出して、危なくはないのかしら」
「ここは街中でもないし、大丈夫だろう。私達は気にせず自分達の速度で向かえば良い」
「ふふ……そうですね」

 微笑んだ私に、リーゲル様のキスが落ちる。

 そのまま馬車内で盛り上がってしまい、結婚式に遅刻しそうになってしまったのは、絶対に秘密だ。

 エルンスト様と王女殿下の寄り添い合う姿を見ながら、私はまた、リーゲル様とキスを交わしたのだった──。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


これにて完結となります!

ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました!

いいね やエール、感想など、すごくすごく嬉しかったです!

読んでいただき、本当にありがとうございましたーーーm(_ _)m



しおりを挟む
感想 9

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(9件)

ほたる
2024.07.08 ほたる
ネタバレ含む
2024.07.08 迦陵 れん

感想ありがとうございます!!

王女については、ギリギリまでどうしようか悩んだのですが……よく考えたら、お兄ちゃんである王太子の被害者だしなぁと思って、あのような形になりました⭐︎

グラディスにちょっと気持ちのあったエルンストも幸せにしてあげたかったので(*´-`)

王太子はですね、尻に敷かれるのが一番!と思いました。今後はオニキス嬢とお姉様とに教育されていくでしょう( ̄▽ ̄)

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!

新作が思いついたら投稿しますので、その時にまた読んでもらえたらなって思いますm(_ _)m

何度も感想書いていただき、嬉しかったです(^-^)

本当にありがとうございました!

解除
ほたる
2024.07.03 ほたる

やっと王太子のことが片付いたのに…(>_<)

リーゲルさん、言葉選び悪すぎやしませんかね?

やっと両思いになったのに!

ハラハラしながら更新待ってます(;´゚д゚)ゞ

2024.07.03 迦陵 れん

感想ありがとうございます~!

二人が真実のハッピーエンドを迎える為に、全ての問題解決が必要ですからねっ(^_^;)

しかしリーゲルは…うん、リーゲルは言葉選びが…乙です。

ここから挽回してくれるはず!

挽回してくれると信じてお待ち下さい!

解除
まっちゃ
2024.07.03 まっちゃ

え…リーゲル馬鹿すぎる…
これじゃあ心抉られてボロボロだよ(涙)
ようやく結ばれたのになぁ
ハッピエンドまで先は長そうだな…!

2024.07.03 迦陵 れん

感想ありがとうございます!

そうなんです…結ばれたと思ってからの落下。

グラディス可哀想と思いつつ、私も書いておりました(汗

ハッピーエンドを迎えるまでに、片付けなきゃいけない問題が多過ぎるのが問題です( ̄▽ ̄;)

ゴールへは確実に近付いてるので楽しみにお待ち下さい!

解除

あなたにおすすめの小説

婚姻契約には愛情は含まれていません。 旦那様には愛人がいるのですから十分でしょう?

すもも
恋愛
伯爵令嬢エーファの最も嫌いなものは善人……そう思っていた。 人を救う事に生き甲斐を感じていた両親が、陥った罠によって借金まみれとなった我が家。 これでは領民が冬を越せない!! 善良で善人で、人に尽くすのが好きな両親は何の迷いもなくこう言った。 『エーファ、君の結婚が決まったんだよ!! 君が嫁ぐなら、お金をくれるそうだ!! 領民のために尽くすのは領主として当然の事。 多くの命が救えるなんて最高の幸福だろう。 それに公爵家に嫁げばお前も幸福になるに違いない。 これは全員が幸福になれる機会なんだ、当然嫁いでくれるよな?』 と……。 そして、夫となる男の屋敷にいたのは……三人の愛人だった。

断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる

葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。 アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。 アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。 市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。

お飾りの侯爵夫人

悠木矢彩
恋愛
今宵もあの方は帰ってきてくださらない… フリーアイコン あままつ様のを使用させて頂いています。

【完結】もう一度あなたと結婚するくらいなら、初恋の騎士様を選びます。

恋愛
「価値のない君を愛してあげられるのは僕だけだよ?」 気弱な伯爵令嬢カトレアは両親や親友に勧められるまま幼なじみと結婚する。しかし彼は束縛や暴言で彼女をコントロールするモラハラ男だった。 ある日カトレアは夫の愛人である親友に毒殺されてしまう。裏切られた彼女が目を覚ますと、そこは婚約を結ぶきっかけとなった8年前に逆行していた。 このままではまた地獄の生活が始まってしまう……! 焦ったカトレアの前に現れたのは、当時少しだけ恋心を抱いていたコワモテの騎士だった。 もし人生やり直しが出来るなら、諦めた初恋の騎士様を選んでもいいの……よね? 逆行したヒロインが初恋の騎士と人生リスタートするお話。 ざまぁ必須、基本ヒロイン愛されています。 ※誤字脱字にご注意ください。 ※作者は更新頻度にムラがあります。どうぞ寛大なお心でお楽しみ下さい。 ※ご都合主義のファンタジー要素あり。

本日、貴方を愛するのをやめます~王妃と不倫した貴方が悪いのですよ?~

なか
恋愛
 私は本日、貴方と離婚します。  愛するのは、終わりだ。    ◇◇◇  アーシアの夫––レジェスは王妃の護衛騎士の任についた途端、妻である彼女を冷遇する。  初めは優しくしてくれていた彼の変貌ぶりに、アーシアは戸惑いつつも、再び振り向いてもらうため献身的に尽くした。  しかし、玄関先に置かれていた見知らぬ本に、謎の日本語が書かれているのを見つける。  それを読んだ瞬間、前世の記憶を思い出し……彼女は知った。  この世界が、前世の記憶で読んだ小説であること。   レジェスとの結婚は、彼が愛する王妃と密通を交わすためのものであり……アーシアは王妃暗殺を目論んだ悪女というキャラで、このままでは断罪される宿命にあると。    全てを思い出したアーシアは覚悟を決める。  彼と離婚するため三年間の準備を整えて、断罪の未来から逃れてみせると……  この物語は、彼女の決意から三年が経ち。  離婚する日から始まっていく  戻ってこいと言われても、彼女に戻る気はなかった。  ◇◇◇  設定は甘めです。  読んでくださると嬉しいです。

【完結】殿下、自由にさせていただきます。

なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」  その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。  アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。  髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。  見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。  私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。  初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?  恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。  しかし、正騎士団は女人禁制。  故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。  晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。     身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。    そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。  これは、私の初恋が終わり。  僕として新たな人生を歩みだした話。  

将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです

きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」 5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。 その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?

この婚約は白い結婚に繋がっていたはずですが? 〜深窓の令嬢は赤獅子騎士団長に溺愛される〜

氷雨そら
恋愛
 婚約相手のいない婚約式。  通常であれば、この上なく惨めであろうその場所に、辺境伯令嬢ルナシェは、美しいベールをなびかせて、毅然とした姿で立っていた。  ベールから、こぼれ落ちるような髪は白銀にも見える。プラチナブロンドが、日差しに輝いて神々しい。  さすがは、白薔薇姫との呼び名高い辺境伯令嬢だという周囲の感嘆。  けれど、ルナシェの内心は、実はそれどころではなかった。 (まさかのやり直し……?)  先ほど確かに、ルナシェは断頭台に露と消えたのだ。しかし、この場所は確かに、あの日経験した、たった一人の婚約式だった。  ルナシェは、人生を変えるため、婚約式に現れなかった婚約者に、婚約破棄を告げるため、激戦の地へと足を向けるのだった。 小説家になろう様にも投稿しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。