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50 解けた誤解
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はあぁぁぁ、と大きすぎるため息が、ミーティアの口から発せられる。
そんな彼女の隣では、「マジかよ……」と呟きながら、頭を抱えるフェルの姿。
「どうしたの? 二人とも。今の話で……何か落ち込むようなところでもあった?」
単に私は二人に聞かれた通り、レスターとの婚約破棄の件について、今すすんでいる段階までの話を正直にしただけなのだけれど。あまりにも二人の反応が予想とは違っていたため、若干戸惑ってしまっていた。
「おかしなところがあったっていうか……ねぇ?」
と言うミーティアに、
「俺、コーラル侯爵令息のこと、ちょっと誤解してたかもしれねぇわ……」
と言い出すフェル。
「いつもうちの親父が、『仲裁に入る時はちゃんと両方の話を聞くようにしろ。決して片方の話だけを聞いて決断を下すな』って言うんだけどさ、まさにその通りだなって実感したっつーか……」
「なにそれ⁉︎ それってつまり、私の方が悪いっていうこと⁉︎」
驚いて聞き返せば、「そういう意味じゃない」と言った後、フェルは私に言葉の意味を説明してくれた。
「ユリアに話を聞いてからさ、俺なりにコーラル侯爵令息のこと調べたんだけど……まぁ、なんていうか、表面上だけ聞いたら、間違いなくアイツは最低の部類に入る男で。だから俺もさり気に攻撃したっていうか、嫌味を言ったりもしてたんだけどさ……」
「何それ知らない! 攻撃ってなに⁉︎ 嫌味ってなに⁉︎ あんた何勝手なことしてんのよ!」
怒ったミーティアがフェルの胸ぐらを掴んでガクガク揺さぶるも、フェル自身悪いことをしたという自覚があるのか、特に抵抗することはない。それどころか、両手を上げて『降参』の意を示している。
「まぁ俺はユリアじゃないし、アイツの言動と行動のせいで、どんだけ辛い思いをしたかなんて分かってやることはできねぇけど、今回のユリアの話を聞く限り、アイツはアイツなりにユリアを守ろうとしてたってことだろ? やり方は滅茶苦茶間違ってるし、たとえ虐めには遭わなくても、ユリアが変な渾名を付けられちまってる時点で、どっちが良かったか……なんて、それこそ分かんねぇけどさ」
「距離を置く前に、それをちゃんと言うべきだったのよね……」
フェルの胸ぐらから手を離し、ミーティアも彼の言葉に同意するように頷く。
「だから私は、今後もそんな風だったら夫婦としてはやっていけないと思って、私になんの相談もなく、一人でなんでも決めてしまうレスターには付いていけないと思ったから、婚約破棄しようと思ったの。それに、婚約破棄の話し合いの時だって、理由も言わずにすっぽかされたし……」
そういえば、あの時どうして話し合いをすっぽかされたのか、私はまだレスターに聞いていない。
聞くのを忘れていたのもあるけれど、今更になって改めて聞くのも躊躇われて。
「あの時はただ、レスターも私との婚約を破棄したいから、わざと話し合いをすっぽかしたんじゃないかって思ったんだけど、実際はどうだったのかな……」
わざわざすっぽかさなくても、ちゃんと話し合いに参加して、婚約を破棄したいと言えばそれで良かったはず。なのにどうして彼は理由も言わずにすっぽかしたのか、それがどうしても分からなくて。
呟くように言えば、それにはフェルがいつもの軽い調子で答えた。
「それな、どうやらそっちも王太子殿下のやらかしのせいだったらしいぜ?」
「殿下のやらかし?」
意味が分からず問い返せば、
「そう。ユリア達の話し合いの日付けと時間を知ってた殿下が、先に手を回してコーラル侯爵令息を招集し、故意に夜まで帰らせなかった……ってぇのが真相だってさ」
と、アッサリ教えてくれた。
「どうしてフェルがそんなこと知ってるの? その情報って本当に正しいの? もしかしてあの男を庇おうとしてるんじゃないでしょうね?」
疑いのまなこをフェルに向け、矢継ぎ早に質問を浴びせかけるミーティア。
私もどうして彼がそんなことを知っているのか疑問に思ったけれど、それについては最初から隠す気はなかったようで、「同じように召集されたパルマークに聞いたから間違いない」と得意気な顔をされた。
「パルマークの言葉によると、あの日コーラル侯爵令息は落ち込んじまって訓練どころじゃなかったそうだぜ。だけど本人や周りが殿下に何を言っても帰らせてもらえず、結果、解放されたのは陽が沈んで大分経ってからだったらしい。本当にあのクソ野郎、悪質極まりないよな」
クソ野郎というのは、もしかして王太子殿下のことだろうか?
聞くのが怖いから敢えて聞かないけれど、絶対にそうなんだろうなと思う。
どこに王家の影が潜んでいるか分からないのに、フェルはあまりにも無敵すぎやしないだろうか。それとも、オリエル公爵家の令息だから、大丈夫だったりするんだろうか?
「まぁとにかく、そういうわけだからさ、もうちょっと婚約破棄の件……考えてやっても良いんじゃないか? と俺は思う……」
「えーーっ! どうしたの、フェル? 何か変なものでも食べた? ついさっきユリアにプロポーズしたばっかりなのに!」
茶化すミーティアにフェルは、
「だからあれは言ってみただけだって! プロポーズなんて大層なもんじゃない! 消えかけた黒歴史を掘り返すな!」
なんて言って怒鳴っている。
それから、何かを思い出したかのように私の方を見ると、
「あ、そうそう。これもパルマークから聞いたんだけど、休日や夜に時間がなくてコーラル侯爵令息がユリアに手紙すら書くことができなかったのも、全部クソ野郎の企みだってさ。俺は最初、そんなのただの言い訳だって思っちまったんだけど……上司にあんだけ集中攻撃されてたら、精神的にもヤバかっただろうし、仕方なかったんかなって。ほんとマジ悪いことしちまったわ……」
フェルがレスターに何をしたのかは知らないけれど、それを聞いて初めて私は、今まで何度レスターに手紙を出しても「忙しい」としか返事を貰えなかった理由を知った。
「結局私も、自分のことしか考えていなかったってことなのね……」
自分ばかりが辛い目に遭っていると考えて、レスターの気持ちを知ろうともしていなかったことに、今更ながら気付かされた。
彼に何かを言われたわけでもないのに、彼の気持ちを勝手に決めつけ、身を引こうとしていた。もっと周りをよく見れば、若しくはレスターと話せなくとも、コーラル侯爵にでも相談していれば、こうなる前に彼の本意に気付けたかもしれないのに。
「……ねぇユリア、誤解が解けたから、婚約破棄はやっぱりやめる?」
ミーティアに尋ねられ、私は暫く考えた後──諦めたように微笑った。
そんな彼女の隣では、「マジかよ……」と呟きながら、頭を抱えるフェルの姿。
「どうしたの? 二人とも。今の話で……何か落ち込むようなところでもあった?」
単に私は二人に聞かれた通り、レスターとの婚約破棄の件について、今すすんでいる段階までの話を正直にしただけなのだけれど。あまりにも二人の反応が予想とは違っていたため、若干戸惑ってしまっていた。
「おかしなところがあったっていうか……ねぇ?」
と言うミーティアに、
「俺、コーラル侯爵令息のこと、ちょっと誤解してたかもしれねぇわ……」
と言い出すフェル。
「いつもうちの親父が、『仲裁に入る時はちゃんと両方の話を聞くようにしろ。決して片方の話だけを聞いて決断を下すな』って言うんだけどさ、まさにその通りだなって実感したっつーか……」
「なにそれ⁉︎ それってつまり、私の方が悪いっていうこと⁉︎」
驚いて聞き返せば、「そういう意味じゃない」と言った後、フェルは私に言葉の意味を説明してくれた。
「ユリアに話を聞いてからさ、俺なりにコーラル侯爵令息のこと調べたんだけど……まぁ、なんていうか、表面上だけ聞いたら、間違いなくアイツは最低の部類に入る男で。だから俺もさり気に攻撃したっていうか、嫌味を言ったりもしてたんだけどさ……」
「何それ知らない! 攻撃ってなに⁉︎ 嫌味ってなに⁉︎ あんた何勝手なことしてんのよ!」
怒ったミーティアがフェルの胸ぐらを掴んでガクガク揺さぶるも、フェル自身悪いことをしたという自覚があるのか、特に抵抗することはない。それどころか、両手を上げて『降参』の意を示している。
「まぁ俺はユリアじゃないし、アイツの言動と行動のせいで、どんだけ辛い思いをしたかなんて分かってやることはできねぇけど、今回のユリアの話を聞く限り、アイツはアイツなりにユリアを守ろうとしてたってことだろ? やり方は滅茶苦茶間違ってるし、たとえ虐めには遭わなくても、ユリアが変な渾名を付けられちまってる時点で、どっちが良かったか……なんて、それこそ分かんねぇけどさ」
「距離を置く前に、それをちゃんと言うべきだったのよね……」
フェルの胸ぐらから手を離し、ミーティアも彼の言葉に同意するように頷く。
「だから私は、今後もそんな風だったら夫婦としてはやっていけないと思って、私になんの相談もなく、一人でなんでも決めてしまうレスターには付いていけないと思ったから、婚約破棄しようと思ったの。それに、婚約破棄の話し合いの時だって、理由も言わずにすっぽかされたし……」
そういえば、あの時どうして話し合いをすっぽかされたのか、私はまだレスターに聞いていない。
聞くのを忘れていたのもあるけれど、今更になって改めて聞くのも躊躇われて。
「あの時はただ、レスターも私との婚約を破棄したいから、わざと話し合いをすっぽかしたんじゃないかって思ったんだけど、実際はどうだったのかな……」
わざわざすっぽかさなくても、ちゃんと話し合いに参加して、婚約を破棄したいと言えばそれで良かったはず。なのにどうして彼は理由も言わずにすっぽかしたのか、それがどうしても分からなくて。
呟くように言えば、それにはフェルがいつもの軽い調子で答えた。
「それな、どうやらそっちも王太子殿下のやらかしのせいだったらしいぜ?」
「殿下のやらかし?」
意味が分からず問い返せば、
「そう。ユリア達の話し合いの日付けと時間を知ってた殿下が、先に手を回してコーラル侯爵令息を招集し、故意に夜まで帰らせなかった……ってぇのが真相だってさ」
と、アッサリ教えてくれた。
「どうしてフェルがそんなこと知ってるの? その情報って本当に正しいの? もしかしてあの男を庇おうとしてるんじゃないでしょうね?」
疑いのまなこをフェルに向け、矢継ぎ早に質問を浴びせかけるミーティア。
私もどうして彼がそんなことを知っているのか疑問に思ったけれど、それについては最初から隠す気はなかったようで、「同じように召集されたパルマークに聞いたから間違いない」と得意気な顔をされた。
「パルマークの言葉によると、あの日コーラル侯爵令息は落ち込んじまって訓練どころじゃなかったそうだぜ。だけど本人や周りが殿下に何を言っても帰らせてもらえず、結果、解放されたのは陽が沈んで大分経ってからだったらしい。本当にあのクソ野郎、悪質極まりないよな」
クソ野郎というのは、もしかして王太子殿下のことだろうか?
聞くのが怖いから敢えて聞かないけれど、絶対にそうなんだろうなと思う。
どこに王家の影が潜んでいるか分からないのに、フェルはあまりにも無敵すぎやしないだろうか。それとも、オリエル公爵家の令息だから、大丈夫だったりするんだろうか?
「まぁとにかく、そういうわけだからさ、もうちょっと婚約破棄の件……考えてやっても良いんじゃないか? と俺は思う……」
「えーーっ! どうしたの、フェル? 何か変なものでも食べた? ついさっきユリアにプロポーズしたばっかりなのに!」
茶化すミーティアにフェルは、
「だからあれは言ってみただけだって! プロポーズなんて大層なもんじゃない! 消えかけた黒歴史を掘り返すな!」
なんて言って怒鳴っている。
それから、何かを思い出したかのように私の方を見ると、
「あ、そうそう。これもパルマークから聞いたんだけど、休日や夜に時間がなくてコーラル侯爵令息がユリアに手紙すら書くことができなかったのも、全部クソ野郎の企みだってさ。俺は最初、そんなのただの言い訳だって思っちまったんだけど……上司にあんだけ集中攻撃されてたら、精神的にもヤバかっただろうし、仕方なかったんかなって。ほんとマジ悪いことしちまったわ……」
フェルがレスターに何をしたのかは知らないけれど、それを聞いて初めて私は、今まで何度レスターに手紙を出しても「忙しい」としか返事を貰えなかった理由を知った。
「結局私も、自分のことしか考えていなかったってことなのね……」
自分ばかりが辛い目に遭っていると考えて、レスターの気持ちを知ろうともしていなかったことに、今更ながら気付かされた。
彼に何かを言われたわけでもないのに、彼の気持ちを勝手に決めつけ、身を引こうとしていた。もっと周りをよく見れば、若しくはレスターと話せなくとも、コーラル侯爵にでも相談していれば、こうなる前に彼の本意に気付けたかもしれないのに。
「……ねぇユリア、誤解が解けたから、婚約破棄はやっぱりやめる?」
ミーティアに尋ねられ、私は暫く考えた後──諦めたように微笑った。
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