難攻不落の異名を持つ乙女ゲーム攻略対象騎士が選んだのは、モブ医者転生者の俺でした。

一火

文字の大きさ
77 / 92
2章

37-4

しおりを挟む
「てかさ……いつまでこの姿のままなの?」

 宿屋の部屋に戻っても、イーサンは魔法を解こうとはしない。
 ……いや、ワンピースさ……膝上で、なんなら結構ミニ丈で……スースーするんだよね。
 ベッドに座り、モジモジと内股を擦り合わせている俺の事を、腕を組んだイーサンが絵に書いたような極上の笑みで見下ろしている。

「似合うじゃないか。その辺の公爵令嬢なんかより余っ程綺麗だ」
「いやその辺のって……」
「アオ以外の人間なんて、全て有象無象だ」
 ダメだろそんな高貴な人達を雑に扱っちゃ……
 眉を下げアタフタする俺の目の前で、イーサンは急に腰を落とし、その場に跪いた。
 そして流れるような所作で俺の右手を取り、その手の甲に唇を当てる。
「ちょ、……ちょっと何やって……」
「何って? 美しいご令嬢への挨拶だが」
 「ちゅっ」と音を立て離れた唇が、綺麗に弧を描く。
 その姿を直視出来ず、長い髪で火照る顔を隠す。
 そりゃ、彼は名門公爵家の次男。こんな行為は当たり前なのだろうけど……
 ……ん? 当たり前……?
 その瞬間、モヤッとした影が産声を上げる。

「……こういう挨拶、するの……?」

 ふと、何処ぞの令嬢に挨拶をするイーサンの姿を思い浮かべてしまう。
 しない方がおかしいよな……だって彼は貴族だし。
 モブには無縁の、そんな華やかな世界のしきたりなんて本や映画でしか見た事は無いけれど……こんな美丈夫にそんな事されたら、誰でも恋に落ちちゃうよな。
 こちらを見上げる紺碧の瞳が大きく見開いたのは、そこに映る俺の顔が、今にも泣き出しそうにしているからだろうか。
「はっ……気になるか?」
 薄ら笑いを浮かべたイーサンが、今度は緩く巻かれた銀髪を長い指で掬い取り、紅色の口付けを落とす。
「べ、別にこういう訳じゃ……」
 色っぽいそんな仕草に、高鳴る鼓動。
 当然ながら直視する事が出来なくて……思わず顔を背けた俺の隣が、グッと沈み込んだ。
「嫌か? ……俺の唇が、誰かに触れるのは」
 隣に座ったイーサンが俺の肩を抱き、甘い声でそう囁く。
 その官能的な声色に、反射で身体がビクッと震え……背けたままの顔を小さく縦に振った。
「……いや、だ」
 手元にあるスカートの裾をキュッと握ると、耳に「ふふっ」と吐息が掛かる。

「安心しろよ。こういう挨拶は基本、唇は付けないから」

「そ、そうなの!?」
 思わず振り向き目を丸くしていると、隣から押し殺した笑いが聞こえてくる。
「本当に分かりやすくて、可愛いなお前……」
 彼の顔が「常識だろ」と語っている。
 し、知らないって! 貴族の事なんてさぁ……こちとら庶民からのモブ転生なんだぞ……!?
 赤い顔でアタフタする俺を「くっくっく」と漏れる笑い声を隠そうともしない。
 そんなイーサンをじっとりと睨み付けていると、ふと……ある日の事が思い出される。

「……あれ? でもアレフさんと初めて会った時、ちゃんと唇当ててたよな……」

 ボソッとそんな事を呟いた瞬間……部屋の中に凄まじい閃光が走った。


 ――

「……やぁ、……ね、イーサン……これ恥ずかしい、やだぁ……」
「恥ずかしいのが好きな癖に、何を言っているんだか」

 手触りの良いシルク製のシーツの上で、イーサンの股の間に収まった俺の胸元には、先程から彼の手がしつこく絡み付いている。
 胸を弄られる愛撫は慣れている……が、後ろから抱かれ、くしゅっとしたシャーリングの胸元に手を突っ込まれるのは話が別。
 あくまで俺のイメージだけど……これ、女の子が胸を揉まれてるみたいで……めちゃくちゃ恥ずかしいんだがッ……!!

「せ、せめて服脱がせて……」
 潤む瞳でそう訴え掛けるも、見上げた先のイーサンはニヤニヤが止まらないご様子。
「着てるのがイイんだろ? スカートが盛り上がる所なんて、滅多にお目にかかれるもんじゃないしな」
 下の方を覗き込む彼の視線に合わせて、俺も視線を下ろしてみると……そこには鮮やかな緑色の布を押し上げる、が存在していた。

「……ッッ!! ね、ほんと無理……恥ずかしすぎるからぁ」
 ぎゅっ目を閉じ、フルフルと銀色の長い髪を横に揺らすも、イーサンは全く聞く耳を持とうとしない。
「シミまで作って悦んでるけどな? アオのアレは……」
 服の中で胸元を弄る指が胸の突起を捉え、それをキュッと摘み上げると、ほんのりと色付いていたスカートの1部が、ジワっと濃い色に変わる。
「いっ、イーサンがこんな下着履かせるから……」
「別に無理強いはしていないだろ? 折角なら履いたらどうだと言っただけだ」
 カリカリと爪で乳首を引っ掻きながら、空いた手でペロッとスカートと捲ると……
 そこには、何も守れない程の小さな布が、腹に付きそうなほど勃ち上がった俺の欲棒に押し上げられている。
 薄ピンクのレース素材のソレは、先走りの液でぐっしょりと濡れ……受け止めきれない液体がスカート部へと漏れ出ていたのだ。

 履きました、ええ……確かに着替えの時に「まぁ、折角なら」と、割とノリノリで履きましたよ、女物の紐パンを……っっ!!

 半ばやけくそになって、心の中でそう叫ぶ。

「こ、このままヤるなんて思わないじゃんっ……」
 布の上から彼の手の平が先端をグリっと撫でれば、思わずビクッと身体が大きく跳ね上がる。
「俺はその気だったが? 女装したお前とするのも悪くないだろ」
 胸の突起を指で潰すかのように転がし、局部を布ごと握ったイーサンの大きな手に扱かれると、ドクンッとそこが強く脈打ち始める。

「は、はふ……んぁっ……おっ、女は好かんって言ってたくせに……!!」
「あぁ、女には勃たんな。だが、同じ女の姿でも……アオだとこうなる」
 イーサンが腰を大きく動かせば、俺の腰にグリっと硬い何かが押し付けられる。
「くっ……」
 それが興奮しきっている彼のアレだということを……わからないピュアさはもう、とうの昔に捨て置いてきた。
 布越しにでも分かる、彼の熱くて硬いソレがグリグリと押し当てられれば、否応にも腰が揺れるのを止めることが出来ない。
「なぁアオ……諦めて、堕ちろよ」
「いっ、言い方ぁ……ひぃっ、ぁっん……」
 次の瞬間それまで局部を扱いていた手が、既に熟れ始めている秘部をゆるっと撫でる。

「何だかんだ言って、準備万端になっているが?」
 た、確かにその……いつもと違う感じに、興奮してないと言えば嘘になるけど……
 入口を円を描くように何度も慣れた指先が、ップっとナカに侵入すれば、その待ち望んでいた刺激に、スカートをはしたなく捲り上げ足を大きく拡げてしまう。

 熱に犯された顔へと張り付く、艶やかな長い銀髪がふと視界に入ると……ずっと俺の中にあったモヤッとした部分が、つい、口から零れ落ちた。

「……ね、イーサン。……ちゃんとを抱いてよ……」

 
 確かに、顔も声も俺に変わりはないのだけれど……長い髪と服装で雰囲気が大きく変わってしまった俺を、別の誰かと思って抱いてないかなって……拗らした恋心がここに来て、面倒な感情を生み出していた。

「当たり前だろ」

 それまで入口で燻っていた指が抜かれ、腰を掴まれ身体が浮いたかと思えば、俺のナカにあの熱くて大きくて……大好きな彼の、愛の塊が一気に押し込められる。
「んぁっ……!! ぁあっ、あ゙っぁあ゙……」
 その安心感さえ覚える感触が、俺の中で暴れ狂う。
 後ろから抱き締められたまま、ばちゅっぶちゅっと派手な音を立てながら、遠慮なく腰を突き上げる彼の腕にしがみつき、思わずギリっと爪を立てた。

「俺に馴染んだ尻穴、何度抱かれても締め付けの強い粘膜、こじ開け慣れた結腸……コレがアオ以外の誰だって言うんだよ」

 ゴリゴリと凝りを先端の張った部分が抉ると、ビュルッと局部から白濁した液が舞い飛ぶ。
「ひっ……んっ、ぉぐっ……ぁあああぁあ!!」
 同時に腹の奥がズクっと疼き、きゅぅっと硬いソレを締め付けると、ドビュッと熱いモノが体内へと注がれる。

「俺はこの身体以外、生涯抱く気はないし抱けないな」
「は、はふ……なら、いい……」
 頭の上に荒い息を感じながら、汗ばむ身体にぐったりともたれ掛かる。

「アオは」
 グルっと身体が反転し、目の前へ飢えた獣の様な彼が現れると、それだけでドキッと心臓が張り裂けそうな程に大きな音を立てる。
「っ……、え?」
 首を傾げ、問いの続きを待つ唇が、彼の吐息に包まれる。
 後頭部を掴まれ、激しく舌を絡ませ合う最中、彼が一際大きく腰を大きく突き上げた。

「コレ以外、もう喰えないだろ?」

 離れた唇は銀糸で繋がり合い、それを拭う事もなく俺を全身で抱き締めたイーサンが、彼だけが触れることを許された最奥の壁を、ガンガンと容赦なく打ち付ける。
「あ゙ッ……ぁあ゙っん、ぁあ……むり、イーサンじゃなきゃ……やだぁ……」
「ははっ、ならいい」
 涙の滲む瞳に、「ふっ」と優しく微笑む彼の顔が映ると……その色気に充てられ、ビクビクッと内部が強く痙攣を始めた。
「も、もっ……イっ、く……んぁぁあぁあ……ッッ!!」

 彼にしがみつきながら、大きく背を反らし……俺はその強すぎる快楽に意識を飛ばした。


 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

最強推し活!!推しの為に転生して(生まれて)きました!!

藤雪たすく
BL
異世界から転移してきた勇者様と聖女様がこの世界に残した大きな功績……魔王討伐?人間族と魔族の和解?いや……【推し】という文化。 【推し】という存在が与えてくれる力は強大で【推し活】の為に転生まで成し遂げた、そんな一人の男の推し活物語。

転生悪役弟、元恋人の冷然騎士に激重執着されています

柚吉猫
BL
生前の記憶は彼にとって悪夢のようだった。 酷い別れ方を引きずったまま転生した先は悪役令嬢がヒロインの乙女ゲームの世界だった。 性悪聖ヒロインの弟に生まれ変わって、過去の呪縛から逃れようと必死に生きてきた。 そんな彼の前に現れた竜王の化身である騎士団長。 離れたいのに、皆に愛されている騎士様は離してくれない。 姿形が違っても、魂でお互いは繋がっている。 冷然竜王騎士団長×過去の呪縛を背負う悪役弟 今度こそ、本当の恋をしよう。

異世界で聖男と呼ばれる僕、助けた小さな君は宰相になっていた

k-ing /きんぐ★商業5作品
BL
 病院に勤めている橘湊は夜勤明けに家へ帰ると、傷ついた少年が玄関で倒れていた。  言葉も話せず、身寄りもわからない少年を一時的に保護することにした。  小さく甘えん坊な少年との穏やかな日々は、湊にとってかけがえのない時間となる。  しかし、ある日突然、少年は「ありがとう」とだけ告げて異世界へ帰ってしまう。  湊の生活は以前のような日に戻った。  一カ月後に少年は再び湊の前に現れた。  ただ、明らかに成長スピードが早い。  どうやら違う世界から来ているようで、時間軸が異なっているらしい。  弟のように可愛がっていたのに、急に成長する少年に戸惑う湊。  お互いに少しずつ気持ちに気づいた途端、少年は遊びに来なくなってしまう。  あの時、気持ちだけでも伝えれば良かった。  後悔した湊は彼が口ずさむ不思議な呪文を口にする。  気づけば少年の住む異世界に来ていた。  二つの世界を越えた、純情な淡い両片思いの恋物語。  序盤は幼い宰相との現実世界での物語、その後異世界への物語と話は続いていきます。

強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。 自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。 ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。 とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。 恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。 ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。 落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!? 最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。 12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生

性技Lv.99、努力Lv.10000、執着Lv.10000の勇者が攻めてきた!

モト
BL
異世界転生したら弱い悪魔になっていました。でも、異世界転生あるあるのスキル表を見る事が出来た俺は、自分にはとんでもない天性資質が備わっている事を知る。 その天性資質を使って、エルフちゃんと結婚したい。その為に旅に出て、強い魔物を退治していくうちに何故か魔王になってしまった。 魔王城で仕方なく引きこもり生活を送っていると、ある日勇者が攻めてきた。 その勇者のスキルは……え!? 性技Lv.99、努力Lv.10000、執着Lv.10000、愛情Max~~!?!?!?!?!?! ムーンライトノベルズにも投稿しておりすがアルファ版のほうが長編になります。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新! Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

のほほんオメガは、同期アルファの執着に気付いていませんでした

こたま
BL
オメガの品川拓海(しながわ たくみ)は、現在祖母宅で祖母と飼い猫とのほほんと暮らしている社会人のオメガだ。雇用機会均等法以来門戸の開かれたオメガ枠で某企業に就職している。同期のアルファで営業の高輪響矢(たかなわ きょうや)とは彼の営業サポートとして共に働いている。同期社会人同士のオメガバース、ハッピーエンドです。両片想い、後両想い。攻の愛が重めです。

猫になった俺、王子様の飼い猫になる

あまみ
BL
 車に轢かれそうになった猫を助けて死んでしまった少年、天音(あまね)は転生したら猫になっていた!?  猫の自分を受け入れるしかないと腹を括ったはいいが、人間とキスをすると人間に戻ってしまう特異体質になってしまった。  転生した先は平和なファンタジーの世界。人間の姿に戻るため方法を模索していくと決めたはいいがこの国の王子に捕まってしまい猫として可愛がられる日々。しかも王子は人間嫌いで──!?   *性描写は※ついています。 *いつも読んでくださりありがとうございます。お気に入り、しおり登録大変励みになっております。 これからも応援していただけると幸いです。 11/6完結しました。

処理中です...