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2章
38-1
――
「……ん……あさ……?」
白い光が瞼を刺激し、その眩しさからゆっくりと目を開いてまず飛び込んで来るのは茶色の天井。
横からは規則正しい寝息が聞こえる。どうやら俺を抱き締めたままの彼は、まだ夢の中のようだ。
「おはよう、イーサン」と気持ち良さそうに眠る彼の頬を撫で、陽の差し込む部屋を見回す。
「……いま何日……? どれくらい時間経ったんだろ……」
現代日本形式のナンパを受けたあの日から、イーサンは本当に俺を部屋に閉じ込めた。
――そして、愛し続けた……正直どのくらいの時間が経ったのか分からない程に。
「……っ、ん……」
ゆっくりと起き上がると、下腹部に違和感を感じる。まだ彼自身が俺の中に居るような……けれど実際そこは彼の為に拡がった穴があるだけで、何も入ってはいない。
「……なんか、繋がってないと寂しいな……」
前回目が覚めた時、そこには彼のソレが嵌ったままだった。「い、入れたまま寝ちゃった……!?」と人生初の体験に焦っていると、 目を覚ましたイーサンが「なんだ……目覚めたばかりなのに気持ちいいな」なんて言葉を掠れた声で呟きながら、まだ気怠げな俺の身体を早々に貪り始めた。
「……寝ぼけ眼の絶頂は……エグい程良かったです、ハイ」
まだ彼の意識がないのをいい事に、そんな恥ずかしい本音をポツりと呟いた。
「そういえばお腹空いたな」
致してばかりいたこの数日。
部屋の冷蔵庫に予め用意してあった簡単なパンやスープを、イーサンと分け合うどころか一緒に食べたり食べさせあったりしただけなので、充分に食事を摂ったとは言える筈もない。
……正直、もうイーサンが居ればそれだけで全てが満たされたので、空腹を感じる事は無かったのだが
「確か飲み物もなくなっちゃってたし……起きたらイーサン、水欲しがるよね」
食事は後で食べに行くとしても、水分は欲しいだろう。なにより、水分不足は身体に良くない。
「買いに行くか」と呟き、艶やかな頬に口付けると、ベッドを降りた先にある窓辺へと足を向けた。
「綺麗な景色だなぁ。とてもじゃないけど魔境の街だとは思えないよ」
青い空、そして眩しいばかりの太陽を照り返すキラキラ輝く水面。その美しさについ視線を奪われてしまう。
コバルトブルーの海を背景に、オレンジ色の屋根に白壁の家々が立ち並ぶ様子はリゾート地さながら。実際、バカンスを楽しむ貴族たちの姿がそこかしこに存在する。
「少しだけでもいいから、イーサンと海に行ってみようかな」
「いいぞ、連れてってやる」
ふわっと、まるでベールでも纏ったかのように俺の身体が甘い香りに包まれる。
その心地良さに目を細めながら、背中からぎゅっと包み込んでくれる彼の方を振り向いた。
「おはよ、イーサン。起こしちゃったかな? ごめんね」
「ん、おはようアオ。いや、起きてたから問題ない」
ちゅっと目覚めのキスを受け取りながら、同時に彼が発した言葉にハッとした。
「……起きてた、って……いつ、から……」
まって、俺……イーサン寝てると思って普段ではお聞かせ出来ないあれやこれ等の独り言呟いた、よね?
サァァっと血の気が引いていく俺の顔を見るや、イーサンはこの世の愉悦とばかりに極上の笑みを浮かべる。
「安心しろよ、夜にまた……入れてやるから」
「……っっ!! お願い、忘れて、頼むからぁ……」
いつも以上に眉を下げて懇願する俺を、彼は「はははっ」と楽しそうに笑っていた。
>>>
「わぁぁ!! すごい……綺麗ッッ」
白い砂浜、真っ青な空、そしてどこまでも美しく広がる透き通った海。
そんな大自然の美しさを、全身で感じる心地良さと言ったら。
「マクスマイザは危険な地であると同時に、世界有数のリゾート地でもあるんだ」
両手を大きく上げ、澄んだ空気をその身に受けているとすぐ隣に立つイーサンが俺の腰に腕を回す。
「へぇ、そうなんだ……だから観光客っぽい人多いんだね」
辺りを見回すと、浜辺を歩く人達が大勢といる。そして決まって彼らは護衛と言わんばかりの屈強な男達を従えている……間違いなく富裕層の観光客なのだろう。
老若男女皆、水着やラフな姿でこの楽園を楽しんでいるのだが……当然、俺に絡み付くように立つ隣の男も然り。
「あぁ、貴族の間では人気の観光スポットだな……ん? 何がおかしい」
「いや、めちゃくちゃ似合ってるなぁって……その格好」
ネイビーのゆったりとしたシャツにベージュのハーフパンツ。少し大きめのサングラスを付けたその装いは、どこからどう見てもお忍びでバカンスに来た有名人。
「そうか? アオも最高に可愛いぞ」
俺も俺で、再び赤茶色へと戻した髪色にイーサンと色違いのピンクと白のコーデ、ついでにこれまた大きなサングラスを掛けている。
「俺らもバカンス中の貴族ってかんじ?」
「ハネムーン中の新婚夫婦でもいいぞ」
「ばっ、か……気が早いって」
「そうか? 俺の方はいつでも貰い受ける準備は出来ているが」
そう言ってイーサンは俺の左手を握り、薬指に嵌めた指輪を愛おしそうに指でなぞる。
彼から貰った愛の証を慈しむ仕草は、まるで俺の心を撫でるかのようで……思わず擽ったそうに微笑む。
「……じゃぁ無事アトランティウムに帰れたら……とか?」
「そうだな、約束だ」
赤い顔でそう呟く俺の反応にイーサンは満足したのだろう、それ迄撫でていた左手を持ち上げ、手の甲に約束の口付けを落とした。
「……ん……あさ……?」
白い光が瞼を刺激し、その眩しさからゆっくりと目を開いてまず飛び込んで来るのは茶色の天井。
横からは規則正しい寝息が聞こえる。どうやら俺を抱き締めたままの彼は、まだ夢の中のようだ。
「おはよう、イーサン」と気持ち良さそうに眠る彼の頬を撫で、陽の差し込む部屋を見回す。
「……いま何日……? どれくらい時間経ったんだろ……」
現代日本形式のナンパを受けたあの日から、イーサンは本当に俺を部屋に閉じ込めた。
――そして、愛し続けた……正直どのくらいの時間が経ったのか分からない程に。
「……っ、ん……」
ゆっくりと起き上がると、下腹部に違和感を感じる。まだ彼自身が俺の中に居るような……けれど実際そこは彼の為に拡がった穴があるだけで、何も入ってはいない。
「……なんか、繋がってないと寂しいな……」
前回目が覚めた時、そこには彼のソレが嵌ったままだった。「い、入れたまま寝ちゃった……!?」と人生初の体験に焦っていると、 目を覚ましたイーサンが「なんだ……目覚めたばかりなのに気持ちいいな」なんて言葉を掠れた声で呟きながら、まだ気怠げな俺の身体を早々に貪り始めた。
「……寝ぼけ眼の絶頂は……エグい程良かったです、ハイ」
まだ彼の意識がないのをいい事に、そんな恥ずかしい本音をポツりと呟いた。
「そういえばお腹空いたな」
致してばかりいたこの数日。
部屋の冷蔵庫に予め用意してあった簡単なパンやスープを、イーサンと分け合うどころか一緒に食べたり食べさせあったりしただけなので、充分に食事を摂ったとは言える筈もない。
……正直、もうイーサンが居ればそれだけで全てが満たされたので、空腹を感じる事は無かったのだが
「確か飲み物もなくなっちゃってたし……起きたらイーサン、水欲しがるよね」
食事は後で食べに行くとしても、水分は欲しいだろう。なにより、水分不足は身体に良くない。
「買いに行くか」と呟き、艶やかな頬に口付けると、ベッドを降りた先にある窓辺へと足を向けた。
「綺麗な景色だなぁ。とてもじゃないけど魔境の街だとは思えないよ」
青い空、そして眩しいばかりの太陽を照り返すキラキラ輝く水面。その美しさについ視線を奪われてしまう。
コバルトブルーの海を背景に、オレンジ色の屋根に白壁の家々が立ち並ぶ様子はリゾート地さながら。実際、バカンスを楽しむ貴族たちの姿がそこかしこに存在する。
「少しだけでもいいから、イーサンと海に行ってみようかな」
「いいぞ、連れてってやる」
ふわっと、まるでベールでも纏ったかのように俺の身体が甘い香りに包まれる。
その心地良さに目を細めながら、背中からぎゅっと包み込んでくれる彼の方を振り向いた。
「おはよ、イーサン。起こしちゃったかな? ごめんね」
「ん、おはようアオ。いや、起きてたから問題ない」
ちゅっと目覚めのキスを受け取りながら、同時に彼が発した言葉にハッとした。
「……起きてた、って……いつ、から……」
まって、俺……イーサン寝てると思って普段ではお聞かせ出来ないあれやこれ等の独り言呟いた、よね?
サァァっと血の気が引いていく俺の顔を見るや、イーサンはこの世の愉悦とばかりに極上の笑みを浮かべる。
「安心しろよ、夜にまた……入れてやるから」
「……っっ!! お願い、忘れて、頼むからぁ……」
いつも以上に眉を下げて懇願する俺を、彼は「はははっ」と楽しそうに笑っていた。
>>>
「わぁぁ!! すごい……綺麗ッッ」
白い砂浜、真っ青な空、そしてどこまでも美しく広がる透き通った海。
そんな大自然の美しさを、全身で感じる心地良さと言ったら。
「マクスマイザは危険な地であると同時に、世界有数のリゾート地でもあるんだ」
両手を大きく上げ、澄んだ空気をその身に受けているとすぐ隣に立つイーサンが俺の腰に腕を回す。
「へぇ、そうなんだ……だから観光客っぽい人多いんだね」
辺りを見回すと、浜辺を歩く人達が大勢といる。そして決まって彼らは護衛と言わんばかりの屈強な男達を従えている……間違いなく富裕層の観光客なのだろう。
老若男女皆、水着やラフな姿でこの楽園を楽しんでいるのだが……当然、俺に絡み付くように立つ隣の男も然り。
「あぁ、貴族の間では人気の観光スポットだな……ん? 何がおかしい」
「いや、めちゃくちゃ似合ってるなぁって……その格好」
ネイビーのゆったりとしたシャツにベージュのハーフパンツ。少し大きめのサングラスを付けたその装いは、どこからどう見てもお忍びでバカンスに来た有名人。
「そうか? アオも最高に可愛いぞ」
俺も俺で、再び赤茶色へと戻した髪色にイーサンと色違いのピンクと白のコーデ、ついでにこれまた大きなサングラスを掛けている。
「俺らもバカンス中の貴族ってかんじ?」
「ハネムーン中の新婚夫婦でもいいぞ」
「ばっ、か……気が早いって」
「そうか? 俺の方はいつでも貰い受ける準備は出来ているが」
そう言ってイーサンは俺の左手を握り、薬指に嵌めた指輪を愛おしそうに指でなぞる。
彼から貰った愛の証を慈しむ仕草は、まるで俺の心を撫でるかのようで……思わず擽ったそうに微笑む。
「……じゃぁ無事アトランティウムに帰れたら……とか?」
「そうだな、約束だ」
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