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1章
3-2
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「何しに来た、帰れ。さも無くば除隊する」
足と腕を組みソファにふんぞり返る、不機嫌丸出しの色男。
「また今日も無茶苦茶言うんすねぇ……。いや、俺だって団長のお楽しみを邪魔したいわけじゃないんですけど、ジェイスさんに怒られるんで」
ハニーブラウンのフワフワ髪、イーサンと似たような軍服を着た青年が、困り散らかしながら身振り手振りでどうにか彼を説得している。
「ハンッ、無能共。俺が居なくて回らない隊など潰れてしまえ」
「いや、団長が何言ってるんですかぁ~」
部下であろう青年は、今にも泣き出しそうに眉を下げている。
「とりあえず、お茶でもどうぞ」
彼らを待合室に座らせた俺は、2人の間に置いた小さな丸テーブルへ冷えたお茶を2つ置いた。
「ありがとうございます。あ、えっと……」
人懐っこそうな笑顔の部下につられて、俺の頬も緩んでしまう。
「あぁ、俺はア……」
「お前に名乗る名前なんて無い、キーファ」
「は?」
いや、名乗らせろ。別にいいだろ俺が自己紹介しても。
反論しようとイーサンの方を向けば、そのお顔には「超絶不機嫌」と書いてある。
……そう、その顔だよ、君のデフォは。なんだろう、この実家に帰ったような安心感。
それまで見た事のないキラキラした表情を浴びせられ続け追い付かなかった俺の心が、ここで漸く落ち着きを取り戻した。
「アオはここに座れ」
お盆を手に立ったままだった俺の腕を、イーサンが強い力でグイッと引っ張る。
「ちょ、あぶな……! もう、危ないよ」
体勢を崩しそのまま彼の隣にちょこんと座ってしまった。そしてあろうことかイーサンは、流れるように俺の肩へ腕を回してきたのだった。
「「!? !?」」
俺はともかく、向かいにいるキーファと呼ばれた青年もこの光景にフリーズしている。
――わかる、わかるよ気持ちは。
鬼がデレたんですもん。ええ、衝撃ですよね。
「アノ、ナニシテルンデスカ」
堅いソファの上で石の如く固まった俺は、口を動かすのが精一杯。そんな様子にお構い無しのイーサンは、回した手で今度は俺の頬をスリッと撫で始めた。
「何って、お前さっき俺のものになるって言っただろ?」
「言ってませんね」
何、週刊誌もびっくりな捏造をサラッと言ってのけてんの!? 怖、怖すぎる……!!
ちょっとでも距離を取ろうと身体を捩ると、更に強い力でそれを制され、結果としてイーサンに寄り添う形となってしまった。
ほんとにさぁ、非力にも程があるだろこのモブ野郎の身体。
項垂れる俺と真逆、いつの間にかご満悦になった表情の彼は、俺の頭に頬を擦り寄せている。
「じゃ、じゃぁ、その恋人さんと一緒なら本部に戻ってきてくれますか?」
キーファは無邪気な顔でそう言ってのける。
「は?いや何言って……てか誰が恋人」
「まぁ、それなら良いだろう」
慌てて否定しようとする俺の言葉は、イーサンの強い声に掻き消されてしまった。
「イーサン? 何言ってんの?ねぇ」
「やったー! これでジェイスさんに怒られないで済む~」
いや、何勝手に話進めてるんだよ。誰が行くかよ。そして誰が恋人だよ。
平和主義で有名だった俺だけれど、さすがにこれは怒っていいだろ。
「行きません! 俺だって仕事があります。はい、もう2人とも帰ってください」
そう言って大声を上げた俺に、目が点になっている2人を診療所から追い出した。
>>>
「……はぁ、……疲れた」
バタンと閉じられたドアに凭れかかったまま、その場にズルズルとへたり込む。
なんなんだよイーサンのあの態度。あんなグイグイ来る俺様キャラだったか?塩対応カンストだったろ……しかもなんで対・俺なんだよ。ホントにシステムバグじゃねーかアイツ。
「仕事……か」
深い深い溜め息を付いて上げた顔の先には、相変わらず無人の空間。
今更、自分で言った言葉にダメージを負ってしまう。
「……魔法とやらを、練習してみるか」
その日俺はついに、重い腰を上げた。
足と腕を組みソファにふんぞり返る、不機嫌丸出しの色男。
「また今日も無茶苦茶言うんすねぇ……。いや、俺だって団長のお楽しみを邪魔したいわけじゃないんですけど、ジェイスさんに怒られるんで」
ハニーブラウンのフワフワ髪、イーサンと似たような軍服を着た青年が、困り散らかしながら身振り手振りでどうにか彼を説得している。
「ハンッ、無能共。俺が居なくて回らない隊など潰れてしまえ」
「いや、団長が何言ってるんですかぁ~」
部下であろう青年は、今にも泣き出しそうに眉を下げている。
「とりあえず、お茶でもどうぞ」
彼らを待合室に座らせた俺は、2人の間に置いた小さな丸テーブルへ冷えたお茶を2つ置いた。
「ありがとうございます。あ、えっと……」
人懐っこそうな笑顔の部下につられて、俺の頬も緩んでしまう。
「あぁ、俺はア……」
「お前に名乗る名前なんて無い、キーファ」
「は?」
いや、名乗らせろ。別にいいだろ俺が自己紹介しても。
反論しようとイーサンの方を向けば、そのお顔には「超絶不機嫌」と書いてある。
……そう、その顔だよ、君のデフォは。なんだろう、この実家に帰ったような安心感。
それまで見た事のないキラキラした表情を浴びせられ続け追い付かなかった俺の心が、ここで漸く落ち着きを取り戻した。
「アオはここに座れ」
お盆を手に立ったままだった俺の腕を、イーサンが強い力でグイッと引っ張る。
「ちょ、あぶな……! もう、危ないよ」
体勢を崩しそのまま彼の隣にちょこんと座ってしまった。そしてあろうことかイーサンは、流れるように俺の肩へ腕を回してきたのだった。
「「!? !?」」
俺はともかく、向かいにいるキーファと呼ばれた青年もこの光景にフリーズしている。
――わかる、わかるよ気持ちは。
鬼がデレたんですもん。ええ、衝撃ですよね。
「アノ、ナニシテルンデスカ」
堅いソファの上で石の如く固まった俺は、口を動かすのが精一杯。そんな様子にお構い無しのイーサンは、回した手で今度は俺の頬をスリッと撫で始めた。
「何って、お前さっき俺のものになるって言っただろ?」
「言ってませんね」
何、週刊誌もびっくりな捏造をサラッと言ってのけてんの!? 怖、怖すぎる……!!
ちょっとでも距離を取ろうと身体を捩ると、更に強い力でそれを制され、結果としてイーサンに寄り添う形となってしまった。
ほんとにさぁ、非力にも程があるだろこのモブ野郎の身体。
項垂れる俺と真逆、いつの間にかご満悦になった表情の彼は、俺の頭に頬を擦り寄せている。
「じゃ、じゃぁ、その恋人さんと一緒なら本部に戻ってきてくれますか?」
キーファは無邪気な顔でそう言ってのける。
「は?いや何言って……てか誰が恋人」
「まぁ、それなら良いだろう」
慌てて否定しようとする俺の言葉は、イーサンの強い声に掻き消されてしまった。
「イーサン? 何言ってんの?ねぇ」
「やったー! これでジェイスさんに怒られないで済む~」
いや、何勝手に話進めてるんだよ。誰が行くかよ。そして誰が恋人だよ。
平和主義で有名だった俺だけれど、さすがにこれは怒っていいだろ。
「行きません! 俺だって仕事があります。はい、もう2人とも帰ってください」
そう言って大声を上げた俺に、目が点になっている2人を診療所から追い出した。
>>>
「……はぁ、……疲れた」
バタンと閉じられたドアに凭れかかったまま、その場にズルズルとへたり込む。
なんなんだよイーサンのあの態度。あんなグイグイ来る俺様キャラだったか?塩対応カンストだったろ……しかもなんで対・俺なんだよ。ホントにシステムバグじゃねーかアイツ。
「仕事……か」
深い深い溜め息を付いて上げた顔の先には、相変わらず無人の空間。
今更、自分で言った言葉にダメージを負ってしまう。
「……魔法とやらを、練習してみるか」
その日俺はついに、重い腰を上げた。
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