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1章
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瞼を刺激する白光で、俺は目を覚ました。
「ん、……あ、さ……?」
静かな部屋の中、俺はゆっくりと身体を起こす。素肌にシーツが触れる感触の心地よさと言ったら。
あれ、何で裸。
腰に残る鈍い痛みが、昨日の情事を全て思い出させた。
「俺、イーサンと……その」
確か昨夜、イーサンと繋がったはず。だがこの手狭な部屋には誰もいる気配はないし、身体だけでなくシーツも何事も無かったかのように綺麗になっている。
「もしかして夢だった?」
そうだとしたら、欲求不満にも程がある。
取り敢えず起き上がり、水でも飲もうとベッドから立ち上がった。
フラフラしながらふと、昨日イーサンの手料理を食べたテーブルに、1枚の紙と布が掛けられた何かが置かれていることに気が付いた。
『騎士団から呼び出しがあった。朝飯作っておいたから、ちゃんと食べろよ』
綺麗な字で書かれたそのメモを持ったまま、テーブルの上の布を取り払う。そこには美味しそうな卵料理とサラダ、ハムとパン。おまけに昨日とは違うスープまで用意されていた。
「うそ、だろ」
思いもしない展開に、本当に頭がついていかない。
「聞いてないよ、イーサンがこんな優しいって……」
片手に持ったままのメモを、そっと胸に押し当てる。
何年ぶりだろうか。誰かに朝食を作ってもらったのなんて。
服を着てパンとスープを温め、前世でやっていたように食前に両手を合わせてそれらに口を付ける。
「……おいしい」
その日の朝食は、世界でいちばん暖かくて美味しくて。
――身体も心も、全て満たされた気がした。
>>>
「なんであんなことになったんだろ」
腹を満たし、そのまま動くのが億劫になった俺はソファで横になった。
俺が前世を思い出してから。ここが、ゲームの世界だって気付いてから。
――イーサン・ガイ・クライヴに出会ってから。
色々な事が目まぐるしく過ぎ去り、気持ちも頭も置いてきぼりになっている。
仰向けになれば、蘇る彼の……色っぽい声と顔。
『可愛い、アオ』
幻聴が聞こえた気がして、慌てて身体を横に直す。何が厄介って、全くもって嫌じゃなかった昨夜の行為。それに今日の……暖かで美味しい朝食。
――俺、脊髄で恋するタイプだった?
たった1回……身体を重ねただけで。
「……ダメだろ。イーサンは攻略対象なんだって」
口ではそう言いながらも、脳裏に残る彼の姿が消える事はない。
「逞しい身体だったよな、流石騎士。腹筋バッキバキに割れてたし、なんか……滅茶苦茶上手かったし」
「何が」とは言わないが。
まだ腹部に、彼の熱が残っているような気がして。そっと手のひらでそこを撫でてしまう。
「いや、だから……何考えてるの俺」
興奮が冷めやまない様子の自分に呆れ、どうにか思考を正気に戻そうと「少し外の空気でも吸うか」と、重い体を起こした。
着替えようとクローゼットに向かう途中、ベッドの下で何かが光った気がした。
「なんだろう。何か光ったよね」
おそるおそる屈んで手を伸ばすと、そこにあるのは1本の短剣。
「これ、イーサンの?」
真っ黒の短剣は、鞘と柄の部分にイーサンの瞳と同じ色の宝石があしらわれ、金色の細かい装飾が施されている。
「うーん、身に覚えはないし。もしかしたら、モブが護身用か何かに持っていた可能性が無くはない……けど」
豪華絢爛の主張が激しい剣は、その持ち主を、を彷彿とさせるようだった。
「無いと仕事に差し支えるんじゃないか?」
騎士団団長が一体どんな仕事をしているか、想像すらつかないが、武器は騎士の命とも呼べる代物じゃないか。無くて良いものではない気がする……とはいえ、彼の連絡先など知るはずも無い。
「……散歩がてら届けに行くか」
一旦その短剣をテーブルの上に置き、当初の目的であった着替えを済ますこととした。
「ん、……あ、さ……?」
静かな部屋の中、俺はゆっくりと身体を起こす。素肌にシーツが触れる感触の心地よさと言ったら。
あれ、何で裸。
腰に残る鈍い痛みが、昨日の情事を全て思い出させた。
「俺、イーサンと……その」
確か昨夜、イーサンと繋がったはず。だがこの手狭な部屋には誰もいる気配はないし、身体だけでなくシーツも何事も無かったかのように綺麗になっている。
「もしかして夢だった?」
そうだとしたら、欲求不満にも程がある。
取り敢えず起き上がり、水でも飲もうとベッドから立ち上がった。
フラフラしながらふと、昨日イーサンの手料理を食べたテーブルに、1枚の紙と布が掛けられた何かが置かれていることに気が付いた。
『騎士団から呼び出しがあった。朝飯作っておいたから、ちゃんと食べろよ』
綺麗な字で書かれたそのメモを持ったまま、テーブルの上の布を取り払う。そこには美味しそうな卵料理とサラダ、ハムとパン。おまけに昨日とは違うスープまで用意されていた。
「うそ、だろ」
思いもしない展開に、本当に頭がついていかない。
「聞いてないよ、イーサンがこんな優しいって……」
片手に持ったままのメモを、そっと胸に押し当てる。
何年ぶりだろうか。誰かに朝食を作ってもらったのなんて。
服を着てパンとスープを温め、前世でやっていたように食前に両手を合わせてそれらに口を付ける。
「……おいしい」
その日の朝食は、世界でいちばん暖かくて美味しくて。
――身体も心も、全て満たされた気がした。
>>>
「なんであんなことになったんだろ」
腹を満たし、そのまま動くのが億劫になった俺はソファで横になった。
俺が前世を思い出してから。ここが、ゲームの世界だって気付いてから。
――イーサン・ガイ・クライヴに出会ってから。
色々な事が目まぐるしく過ぎ去り、気持ちも頭も置いてきぼりになっている。
仰向けになれば、蘇る彼の……色っぽい声と顔。
『可愛い、アオ』
幻聴が聞こえた気がして、慌てて身体を横に直す。何が厄介って、全くもって嫌じゃなかった昨夜の行為。それに今日の……暖かで美味しい朝食。
――俺、脊髄で恋するタイプだった?
たった1回……身体を重ねただけで。
「……ダメだろ。イーサンは攻略対象なんだって」
口ではそう言いながらも、脳裏に残る彼の姿が消える事はない。
「逞しい身体だったよな、流石騎士。腹筋バッキバキに割れてたし、なんか……滅茶苦茶上手かったし」
「何が」とは言わないが。
まだ腹部に、彼の熱が残っているような気がして。そっと手のひらでそこを撫でてしまう。
「いや、だから……何考えてるの俺」
興奮が冷めやまない様子の自分に呆れ、どうにか思考を正気に戻そうと「少し外の空気でも吸うか」と、重い体を起こした。
着替えようとクローゼットに向かう途中、ベッドの下で何かが光った気がした。
「なんだろう。何か光ったよね」
おそるおそる屈んで手を伸ばすと、そこにあるのは1本の短剣。
「これ、イーサンの?」
真っ黒の短剣は、鞘と柄の部分にイーサンの瞳と同じ色の宝石があしらわれ、金色の細かい装飾が施されている。
「うーん、身に覚えはないし。もしかしたら、モブが護身用か何かに持っていた可能性が無くはない……けど」
豪華絢爛の主張が激しい剣は、その持ち主を、を彷彿とさせるようだった。
「無いと仕事に差し支えるんじゃないか?」
騎士団団長が一体どんな仕事をしているか、想像すらつかないが、武器は騎士の命とも呼べる代物じゃないか。無くて良いものではない気がする……とはいえ、彼の連絡先など知るはずも無い。
「……散歩がてら届けに行くか」
一旦その短剣をテーブルの上に置き、当初の目的であった着替えを済ますこととした。
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