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1章
35-2
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「……えっ……?」
その言葉を最後に、2人はそこから跡形もなく消え去ってしまった。
「おい、お前ら!!」
慌ててギルバートが駆け寄るも、時すでに遅し。何事も無かったかのように、そこには堅い石の床と背丈の短くなった蝋燭が燃えているだけであった。
「団長、アオさん!!」
ジェイスが部屋に飛び込み、少し遅れてアレフがその場に合流した。
「……何があった」
俺とイーサン、そしてギルバートのただならぬ表情に、部屋に入るなりアレフが怪訝そうに眉を寄せた。
「……フタバの正体は、アーク第2王子だった。気付いてたんだろう、兄貴」
俺を腕に抱いたまま、2人が消え去った場所を見つめイーサンが口を開く。
「やはり、そうだったか……」
顎に手を当て目線を下に向けるアレフは、何かを考えているるのか言葉を詰まらせる。そんな彼に、ギルバートはズカズカと近寄ると胸ぐらを掴み詰め寄った。
「やっぱりって、どういう事だよアレフ!! お前何か知って……」
「あの、グスタフという人。あの人を俺……知っています」
決して良いとは言えない雰囲気の中、手の中の腕輪をぎゅっと握りながら、震える声で俺は呟いた。
「アオ……?」
そんな俺の言葉に驚きを隠せないイーサンは、今まで以上に目を開いてこちらを見つめている。
「レオン・ブラッド。……プロの殺し屋です」
「はぁ!? っもう、何が何だか訳わかんねー」
アレフを解放したギルバートは、その手でぐしゃぐしゃと自分の頭を搔く。
「……残念ですが、ここで悠長にしている暇は無いようです」
開けたままになっていた扉の向こうを、先程から気に掛けていたジェイスが、慌てた様子で走ってくるキーファの姿を見つけ俺たちにそう告げる。「はぁ、はぁ……」と息を切らしながら部屋に駆け込んで来たキーファの姿に、俺たちの視線は一斉に集まった。
「建物周囲に防護壁を張っておいたんですが……敵が……狂信者達が……もう持たないっす」
「どういう事だ? 敵は来る道中、全て屠ったはずだろう」
イーサンの一際厳しい声が、彼に飛ぶ。
俺が来た道には、誰も居なかったはずなのに。
戦えない俺が間違いなくここに辿り着けるよう、全て奴らの計算だったのか。
今更敵の術中に、まんまと嵌った事に気が付き、ギリッと拳を握る所作に力が入る。
「それが……狂信者と化した人間や、魔法で召喚されたアンデッド系の騎士が綺麗に全てまるっと復活したみたいで、囲まれてんすよぉ」
泣きそうな声で放たれた言葉は、全員に重い影を落とした。
「そん、な……」
一体外は、どうなっているんだ。もしかしなくても、かなりヤバい状況なんじゃないか。
そんな俺の不安を助長するかのように、アレフが深いため息を付く。
「一先ず此処を離れるしかないな……」
それにはそこに居る誰もが、首を縦に降った。そんな中キーファが、申し訳なさそうに項垂れる。
「道中での戦闘と大規模防護壁の展開で、全員が脱出出来る程の召喚獣をすぐ出すには、魔力が足らないっす……」
「それはいい。また全てを斬りながら、前に進めばいいだけだ」
そう言ってスっと立ち上がったイーサンの手には真っ青な剣がしっかり握られていた。
「まっ、脳筋戦法は俺らの十八番だからね~がんばりますか」
「ははっ」と彼らしい軽い笑いを浮かべたギルバートが肩を竦めながら槍を手にし、襟を正したアレフもグッと大剣を握り混んだ。
「だからその脳筋戦法を止めるよう、俺がいつも戦略を立ててたんですけどね。……緊急事態の今は、それに乗っかるとしましょう」
そう言いながらキーファに近寄ったジェイスは「いつまでそうしてる。しっかりしろ!」と彼の背中を叩き活を入れていた。
つられて立ち上がった俺の手を、イーサンはぎゅっと強く握ってくれる。
「アオ、お前のことは俺が絶対に守る。だから何があっても傍を離れるな」
これまで以上の真剣な表情に、俺は強く頷く。
大丈夫。
こんな心強い仲間がいるんだ、絶対に切り抜けられる。
自分を奮い立たせるように、自らもグッとイーサンの手を握り返した。
「ピッピーー」
肩にピーちゃんが乗った所で、準備は万全。
「よし。行くぞォお前ら!! 死ぬ気で斬り倒せ!!」
イーサンの勇ましい声と共に、一気に外への脱出が始まる。
――知らない、俺は。こんな場面。
それは不安か武者震いか。
小刻みに震える俺を、イーサンが一際強く自分の方へと引き寄せた。
その言葉を最後に、2人はそこから跡形もなく消え去ってしまった。
「おい、お前ら!!」
慌ててギルバートが駆け寄るも、時すでに遅し。何事も無かったかのように、そこには堅い石の床と背丈の短くなった蝋燭が燃えているだけであった。
「団長、アオさん!!」
ジェイスが部屋に飛び込み、少し遅れてアレフがその場に合流した。
「……何があった」
俺とイーサン、そしてギルバートのただならぬ表情に、部屋に入るなりアレフが怪訝そうに眉を寄せた。
「……フタバの正体は、アーク第2王子だった。気付いてたんだろう、兄貴」
俺を腕に抱いたまま、2人が消え去った場所を見つめイーサンが口を開く。
「やはり、そうだったか……」
顎に手を当て目線を下に向けるアレフは、何かを考えているるのか言葉を詰まらせる。そんな彼に、ギルバートはズカズカと近寄ると胸ぐらを掴み詰め寄った。
「やっぱりって、どういう事だよアレフ!! お前何か知って……」
「あの、グスタフという人。あの人を俺……知っています」
決して良いとは言えない雰囲気の中、手の中の腕輪をぎゅっと握りながら、震える声で俺は呟いた。
「アオ……?」
そんな俺の言葉に驚きを隠せないイーサンは、今まで以上に目を開いてこちらを見つめている。
「レオン・ブラッド。……プロの殺し屋です」
「はぁ!? っもう、何が何だか訳わかんねー」
アレフを解放したギルバートは、その手でぐしゃぐしゃと自分の頭を搔く。
「……残念ですが、ここで悠長にしている暇は無いようです」
開けたままになっていた扉の向こうを、先程から気に掛けていたジェイスが、慌てた様子で走ってくるキーファの姿を見つけ俺たちにそう告げる。「はぁ、はぁ……」と息を切らしながら部屋に駆け込んで来たキーファの姿に、俺たちの視線は一斉に集まった。
「建物周囲に防護壁を張っておいたんですが……敵が……狂信者達が……もう持たないっす」
「どういう事だ? 敵は来る道中、全て屠ったはずだろう」
イーサンの一際厳しい声が、彼に飛ぶ。
俺が来た道には、誰も居なかったはずなのに。
戦えない俺が間違いなくここに辿り着けるよう、全て奴らの計算だったのか。
今更敵の術中に、まんまと嵌った事に気が付き、ギリッと拳を握る所作に力が入る。
「それが……狂信者と化した人間や、魔法で召喚されたアンデッド系の騎士が綺麗に全てまるっと復活したみたいで、囲まれてんすよぉ」
泣きそうな声で放たれた言葉は、全員に重い影を落とした。
「そん、な……」
一体外は、どうなっているんだ。もしかしなくても、かなりヤバい状況なんじゃないか。
そんな俺の不安を助長するかのように、アレフが深いため息を付く。
「一先ず此処を離れるしかないな……」
それにはそこに居る誰もが、首を縦に降った。そんな中キーファが、申し訳なさそうに項垂れる。
「道中での戦闘と大規模防護壁の展開で、全員が脱出出来る程の召喚獣をすぐ出すには、魔力が足らないっす……」
「それはいい。また全てを斬りながら、前に進めばいいだけだ」
そう言ってスっと立ち上がったイーサンの手には真っ青な剣がしっかり握られていた。
「まっ、脳筋戦法は俺らの十八番だからね~がんばりますか」
「ははっ」と彼らしい軽い笑いを浮かべたギルバートが肩を竦めながら槍を手にし、襟を正したアレフもグッと大剣を握り混んだ。
「だからその脳筋戦法を止めるよう、俺がいつも戦略を立ててたんですけどね。……緊急事態の今は、それに乗っかるとしましょう」
そう言いながらキーファに近寄ったジェイスは「いつまでそうしてる。しっかりしろ!」と彼の背中を叩き活を入れていた。
つられて立ち上がった俺の手を、イーサンはぎゅっと強く握ってくれる。
「アオ、お前のことは俺が絶対に守る。だから何があっても傍を離れるな」
これまで以上の真剣な表情に、俺は強く頷く。
大丈夫。
こんな心強い仲間がいるんだ、絶対に切り抜けられる。
自分を奮い立たせるように、自らもグッとイーサンの手を握り返した。
「ピッピーー」
肩にピーちゃんが乗った所で、準備は万全。
「よし。行くぞォお前ら!! 死ぬ気で斬り倒せ!!」
イーサンの勇ましい声と共に、一気に外への脱出が始まる。
――知らない、俺は。こんな場面。
それは不安か武者震いか。
小刻みに震える俺を、イーサンが一際強く自分の方へと引き寄せた。
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