48 / 61
王の条件、英雄の条件3
しおりを挟む
◆
元々、晃の謀反について話をする場だったため、あの部屋の外にいた人間も劉祜にごく近しい人間ばかりだった。
悪い暴虐王とその伴侶はこの世から消し去られる。
それだけの事だった。
劉祜は慌ただしくあの地下室の少女の術を管理している人間達を呼び寄せ今後について打ち合わせているらしい。
レオニードは、真の意味で彼のただ一人あるユーリィを目の前にしてなんと切り出そうか悩んでいた。
それこそ、初めて戦場で敵を目の前にした時の様だと思う。
ユーリィは何故自分が呼ばれたのか分かっておらず首をかしげる。
彼はレオニードのために故郷を離れさせてしまったのだ。
その彼を置いていかなければならない事実は、腹のあたりがじくじくと痛む様だ。
けれど彼を連れて行く訳にもいかない。
晃は「殺すのが上のもんの務めやなあ。」と言ったけれど、それだけはしてはならない事位レオニードでも分かる。
自分たちが去った後殺させることも絶対にあってはならない。
穏やかに彼が暮らせる方法。
他の全てを投げだすレオニードの唯一の気がかりだった。
「まず、今日ここで話す全ては一生他言無用で頼む。」
きょとんとしていたユーリィの表情が曇る。
話せることと、話せない事がある。
処刑されたことにすればいいと言った言葉通り、二人は処刑されたことになるらしい。
他の提案はかなりの部分に訂正が入ったそうだが、処刑された事にするという部分についてはそのまま採用された。
けれどその話をユーリィにそのままする訳にはいかない。
彼にとって、レオニードと劉祜はもうすぐ死ぬ人間なのだ。
だからその後の身のふり方を、話さねばならない。
「ユーリィは、俺では無くて別のひとの世話して欲しいんだ。」
へ? とユーリィは素っ頓狂な声を上げる。
「何故? とお聞きしてよろしいでしょうか?」
ユーリィは静かに言う。
レオニードは「答えられない。」と伝えた。
嘘は付きたくないというのは偽善だろうか。
「ユーリィには呪いをかけられていた少女の従者になって欲しいんだ。」
地下にいた少女には話を付けた。
面白そうに笑って、彼女は「私の命のある限り、その子の事はお任せください。」と言った。
レオニードの曖昧な言葉にユーリィはこちらを黙って見返す。
「それで、あなたはどうするんですか。」
人質として一人これからどうするんですか? と聞いていることはレオニードにも分かっている。
「頼む……。」
ユーリィからの問いかけに説明を返すことはできなかった。
頭を下げたレオニードに、ユーリィは「や、やめてくださいっ!」と叫ぶ様に言った。
「――分かりました。」
レオニード様が望むのであれば、それに従います。
ユーリィは静かにそう言った。
思い残すことはもうなかった。
元々、晃の謀反について話をする場だったため、あの部屋の外にいた人間も劉祜にごく近しい人間ばかりだった。
悪い暴虐王とその伴侶はこの世から消し去られる。
それだけの事だった。
劉祜は慌ただしくあの地下室の少女の術を管理している人間達を呼び寄せ今後について打ち合わせているらしい。
レオニードは、真の意味で彼のただ一人あるユーリィを目の前にしてなんと切り出そうか悩んでいた。
それこそ、初めて戦場で敵を目の前にした時の様だと思う。
ユーリィは何故自分が呼ばれたのか分かっておらず首をかしげる。
彼はレオニードのために故郷を離れさせてしまったのだ。
その彼を置いていかなければならない事実は、腹のあたりがじくじくと痛む様だ。
けれど彼を連れて行く訳にもいかない。
晃は「殺すのが上のもんの務めやなあ。」と言ったけれど、それだけはしてはならない事位レオニードでも分かる。
自分たちが去った後殺させることも絶対にあってはならない。
穏やかに彼が暮らせる方法。
他の全てを投げだすレオニードの唯一の気がかりだった。
「まず、今日ここで話す全ては一生他言無用で頼む。」
きょとんとしていたユーリィの表情が曇る。
話せることと、話せない事がある。
処刑されたことにすればいいと言った言葉通り、二人は処刑されたことになるらしい。
他の提案はかなりの部分に訂正が入ったそうだが、処刑された事にするという部分についてはそのまま採用された。
けれどその話をユーリィにそのままする訳にはいかない。
彼にとって、レオニードと劉祜はもうすぐ死ぬ人間なのだ。
だからその後の身のふり方を、話さねばならない。
「ユーリィは、俺では無くて別のひとの世話して欲しいんだ。」
へ? とユーリィは素っ頓狂な声を上げる。
「何故? とお聞きしてよろしいでしょうか?」
ユーリィは静かに言う。
レオニードは「答えられない。」と伝えた。
嘘は付きたくないというのは偽善だろうか。
「ユーリィには呪いをかけられていた少女の従者になって欲しいんだ。」
地下にいた少女には話を付けた。
面白そうに笑って、彼女は「私の命のある限り、その子の事はお任せください。」と言った。
レオニードの曖昧な言葉にユーリィはこちらを黙って見返す。
「それで、あなたはどうするんですか。」
人質として一人これからどうするんですか? と聞いていることはレオニードにも分かっている。
「頼む……。」
ユーリィからの問いかけに説明を返すことはできなかった。
頭を下げたレオニードに、ユーリィは「や、やめてくださいっ!」と叫ぶ様に言った。
「――分かりました。」
レオニード様が望むのであれば、それに従います。
ユーリィは静かにそう言った。
思い残すことはもうなかった。
35
あなたにおすすめの小説
みにくい凶王は帝王の鳥籠【ハレム】で溺愛される
志麻友紀
BL
帝国の美しい銀獅子と呼ばれる若き帝王×呪いにより醜く生まれた不死の凶王。
帝国の属国であったウラキュアの凶王ラドゥが叛逆の罪によって、帝国に囚われた。帝都を引き回され、その包帯で顔をおおわれた醜い姿に人々は血濡れの不死の凶王と顔をしかめるのだった。
だが、宮殿の奥の地下牢に幽閉されるはずだった身は、帝国に伝わる呪われたドマの鏡によって、なぜか美姫と見まごうばかりの美しい姿にされ、そのうえハレムにて若き帝王アジーズの唯一の寵愛を受けることになる。
なぜアジーズがこんなことをするのかわからず混乱するラドゥだったが、ときおり見る過去の夢に忘れているなにかがあることに気づく。
そして陰謀うずくまくハレムでは前母后サフィエの魔の手がラドゥへと迫り……。
かな~り殺伐としてますが、主人公達は幸せになりますのでご安心ください。絶対ハッピーエンドです。
レンレンは可愛い(*´×`*)四十路のおじさん♡Ωに覚醒しました!〜とにかく元気なおバカちゃん♡たぁくん爆誕です〜
志村研
BL
あるところに、高生さんという駄目なおじさんがおりました♡
このおじさん、四方八方に怒られてます。
でもちっとも懲りません。
自分らしさ炸裂にしか生きられなくて、分かっちゃいるけどやめられないんです。
でも、そんな人生だってソコソコ満喫してました。
\\\\٩( 'ω' )و ////
…何だけど、やっぱりね。
色々もの足りなくて、淋しくて。
…愛されたくて、たまらなかったんです。
そんな時、Ωに覚醒♡
高生さんの国では正斎子といいます。
これに成っちゃうと不幸になりがちです。
そんな訳で。
ろくな事をしない割に憎めないおじさんは、心配されてます。
だけど本人は気づきもせずに、ボケっとしてました。
そんなんだから、やらかしました。
そんな時に限って、不運を重ねました。
そんなこんなで、囚われました。
人生、終わった!
もう、何もかもドン底だ!
。・゜・(ノД`)・゜・。
いや、ここからですよ♡
とにかく元気なおバカちゃん♡
中欧のΩおじさん、たぁくん♡爆誕です!
\\\٩(๑`^´๑)۶////
塔の上のカミーユ~幽囚の王子は亜人の国で愛される~【本編完結】
蕾白
BL
国境近くにあるその白い石の塔には一人の美しい姫君が幽閉されている。
けれど、幽閉されていたのはある事情から王女として育てられたカミーユ王子だった。彼は父王の罪によって十三年間を塔の中で過ごしてきた。
そんな彼の前に一人の男、冒険者のアレクが現れる。
自分の世界を変えてくれるアレクにカミーユは心惹かれていくけれど、彼の不安定な立場を危うくする事態が近づいてきていた……というお話になります。
2024/4/22 完結しました。ありがとうございました。
触手生物に溺愛されていたら、氷の騎士様(天然)の心を掴んでしまいました?
雪 いつき
BL
仕事帰りにマンホールに落ちた森川 碧葉(もりかわ あおば)は、気付けばヌメヌメの触手生物に宙吊りにされていた。
「ちょっとそこのお兄さん! 助けて!」
通りすがりの銀髪美青年に助けを求めたことから、回らなくてもいい運命の歯車が回り始めてしまう。
異世界からきた聖女……ではなく聖者として、神聖力を目覚めさせるためにドラゴン討伐へと向かうことに。王様は胡散臭い。討伐仲間の騎士様たちはいい奴。そして触手生物には、愛されすぎて喘がされる日々。
どうしてこんなに触手生物に愛されるのか。ピィピィ鳴いて懐く触手が、ちょっと可愛い……?
更には国家的に深刻な問題まで起こってしまって……。異世界に来たなら悠々自適に過ごしたかったのに!
異色の触手と氷の(天然)騎士様に溺愛されすぎる生活が、今、始まる―――
※昔書いていたものを加筆修正して、小説家になろうサイト様にも上げているお話です。
【本編完結】おもてなしに性接待はアリですか?
チョロケロ
BL
旅人など滅多に来ない超ド田舎な村にモンスターが現れた。慌てふためいた村民たちはギルドに依頼し冒険者を手配した。数日後、村にやって来た冒険者があまりにも男前なので度肝を抜かれる村民たち。
モンスターを討伐するには数日かかるらしい。それまで冒険者はこの村に滞在してくれる。
こんなド田舎な村にわざわざ来てくれた冒険者に感謝し、おもてなしがしたいと思った村民たち。
ワシらに出来ることはなにかないだろうか? と考えた。そこで村民たちは、性接待を思い付いたのだ!性接待を行うのは、村で唯一の若者、ネリル。本当は若いおなごの方がよいのかもしれんが、まあ仕方ないな。などと思いながらすぐに実行に移す。はたして冒険者は村民渾身の性接待を喜んでくれるのだろうか?
※不定期更新です。
※ムーンライトノベルズ様でも投稿しています。
※よろしくお願いします。
白金の花嫁は将軍の希望の花
葉咲透織
BL
義妹の身代わりでボルカノ王国に嫁ぐことになったレイナール。女好きのボルカノ王は、男である彼を受け入れず、そのまま若き将軍・ジョシュアに下げ渡す。彼の屋敷で過ごすうちに、ジョシュアに惹かれていくレイナールには、ある秘密があった。
※個人ブログにも投稿済みです。
仮面の王子と優雅な従者
emanon
BL
国土は小さいながらも豊かな国、ライデン王国。
平和なこの国の第一王子は、人前に出る時は必ず仮面を付けている。
おまけに病弱で無能、醜男と専らの噂だ。
しかしそれは世を忍ぶ仮の姿だった──。
これは仮面の王子とその従者が暗躍する物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる