英雄の条件

渡辺 佐倉

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王の条件、英雄の条件2

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「あなたが王でありたいと願っているのに、思い付きでこんなことを言ってすみません。」

レオニードは劉祜に向って頭を下げた。

劉祜は、部屋の隅で晃とレオニードの様子を見ていたのに、一歩また一歩二人の元に近づいてくる。

多分、あの時と一緒だ。世界のルールを知らない餓鬼の戯言の様な物なのかもしれない。

だけど、決まりに縛られて友を手にかける以外の道以外残されていない今の状況よりはまだマシな提案だと思った。

劉祜はレオニードの髪に触れる。

それから「それで、レオニードの母国はどうする?」と聞いた。

「それは、次の皇帝が上手く取り計らってくれるものと存じます。」

その前提だ。
現状でもレオニードが人質になっている見返りが大してある訳ではない。

レオニードは自分の故郷が好きだった。

けれど、自分の人質としても価値も知っている。

レオニードが死んだことになっても世界は変わらない。
極端な話劉祜が気まぐれで、レオニードを殺したとしても世界はそのまま歩みを止めないのだ。


殺そうとした側と殺されようとした側。
近くで一緒に生きていけるものだとはレオニードにはどうしても思えなかった。

激情に任せて劉祜が晃を殺していなかったとしても、もう背中を預けられるとは思えなかったのだ。

「レオニードは俺が玉座を手放すと?」

劉祜は王としてではなく、一人の男として問いかけているのだと思った。

「そこは大した問題じゃないさ。」

石で少女の代わりになるのか、本当に劉祜がいなくなったこの国は、同盟国は安定して存在するのか。そちらの方がよほど問題だ。

劉祜は瞼を閉じてしばらくの間逡巡している様だった。


それから、レオニードを見る。
切ない様な、瞳だった。

それは愛を二人で確かめ合った時の様な瞳だった。

「レオニードは俺のためにすべてを捨ててくれる。ということか?」
「まあ、あなたが王をやめるのであれば、そこが最低限の誠意でしょう。」

レオニードは笑顔を浮かべた。

「あんさん、こいつのために一度命を投げうったもんなあ」

晃に言われておレオニードはちらりと視線をそちらに投げる。
けれどすぐに劉祜に視線を戻した。

「命、はもういらない。」

あんな思いは二度とごめんだと劉祜が言う。

それから、「そうだな。それもいいな。」と答えた。
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