アルケディア・オンライン ~のんびりしたいけど好奇心が勝ってしまうのです~

志位斗 茂家波

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Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~

ver.4.2-13 ミステリートレイン in--------?

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―――っ…あれ、私は…

『紅い月、意識の覚醒を確認。対真祖用強力麻酔の効果が切れた模様』
『対処、変りなし。ここからの脱出へ向け、厳重保管のままにしておけ』

(…厳重保管?いや、どういう状況…?)

 目を覚まし、外から聞こえてきた音に対して疑問を抱くミント。
 確か、さっきまではトイレでいったん用を足してから勝負の2回戦へ動こうとしていたはずだが…そのあたりからの記憶がない。

 何者かに襲われたか?
 怪しい気配は確かに少し感じていたが、そうすぐに手が出せるような場所にはなかった。
 警戒はしていたが、直接やってくるまでには時間がかかるだろうとは思っていたのだが…油断していたのかもしれない。

 いや、今はそんなことよりもどうなっているのか確認を行う必要がある。
 意識は戻ったが、体が動かず、周囲が真っ暗な状態…違うな。

(なるほど…首から下の感覚がない。麻酔を打たれてまだ覚醒していないというよりも頭だけで運ばれている状態か)

 自身の体はどこに行ったのかは不明だが、感覚から生首の状態で運ばれている可能性がある。
 常人ならば切断されている時点で死亡しただろうが、真祖ゆえに死亡には至らず…それを利用して、何か小さな箱のようなものに入れられて運ばれている気配がする。

 一人分をまとめて運ぶより、分割して運ぶ気なのだろうか。
 そんな切断する労力があるならまとめてやった方が楽だとは思うのだが…相手としては、こうやってバラバラにして運んだほうが利点があるのかもしれない。

(しかし、まいったな。これじゃ、何もできないや)

 気が付いたが、頭だけになっても油断しないようにしているのか、周囲を覆うのは吸血鬼やその他闇夜に住まう者たちが苦手としている素材…聖水やら銀やら色々と詰め込んでいるようで、容易く動くことができない状態。
 頭だけにされて暴れようとしても、暴れられない状態になっている。

『このまま輸送続行。目を潜り抜け、全体そろって脱出できるようにせよ』
『優先順位として頭を確実に運べ。その他の部位が撃墜されても、生き残っていけ』
(人の体が撃墜とか、そんな話はやめてほしいんだけど!!)

 さらっとやばいことを言われたので思わずツッコミを入れるが、残念ながらその声は届かない。
 
 このままだと、運んでいる相手の目的は不明だが、その行先にたどり着く前に全部なくなってしまう可能性もあってシャレにならない事態になるだろう。

 そもそもの話、何故自身ミントを狙うのか?
 真祖を狙って何がしたいのか…相手の目的が見えてこない。


 吸血鬼以上の強大な存在を討ち取ることによる、名声を求めてか?
 人ならざる存在ゆえに、何かの研究材料として求めているのか?
 
 他にも様々な理由が考えられるが、そんなことを考えていても状況が好転するわけではない。

(ああ、どうしてこんなことになったのか…とりあえず、目的地とやらにたどり着けばわかることなのかな…)
『ファンタジックアイランドとやらのセキュリティフル稼働を確認!!現在凄まじい数の追跡が行われているようです!!』
『各部隊消息を次々絶っています!!』
『ちぃ、想定以上に早く…いや、ここに入ってくるまでの時点でわかっていたことだが、それでもつらいところだ』
『場合によっては、頭だけを無理やり射出装置に組み込んで砲撃しなければ…』
(人の頭を砲弾代わりにするなぁぁぁぁぁぁぁ!!)

 物騒すぎる方法で運ばれかねない状況。
 相手の目的が自分だとしても、そんな乱暴すぎるやり方はやめてほしい。

(誰か、頭が吹っ飛ばされる前に助けてぇぇぇぇ!!)

 自身の頭が大砲の玉のように吹っ飛ばされる未来を想像し、ミントがそう叫んだ…その瞬間だった。

『緊急伝達!!頭輸送部隊へ!!』
『どうした!!』
『先ほど、島外より飛翔したものが着地した地点から、高速で接近するものがあり!!』
『詳細は!!』
『不明ですが、セキュリティシステム外のもののようで、そのままそちらに着弾予定です!!』

『姿を確認!!超音速移動によるブレで目測しにくいものの…アレは!!不味い!!緊急事態コード【ダークネス】です!!』
『な、』

チュドォォォォォォォォォォォォォォン!!
『『『ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?』』』

 何かを示しているのか、そのコード名が流れてすぐに、何かが着弾したかのような轟音と悲鳴が響き渡る。

(うわぁぁぁぁぁ!?)

 ミントが入れられているらしい箱も宙を舞ったようで、ぐるぐると回転する感覚を味わされる。

ぼすっ
「っと…事情はもう分かっているけど…この中かな」
(…この声は)

 何かに受け止められて、聞こえる声。
 箱のふたが開かれて、姿が見えたのは…

「は、春…いや、黒き女神の姿!?というかそれって!!」
「ああ、そうだよミーちゃん。前にも使った『ゴッドアバタードール』!!もう事情はこれを運んできてくれたジェッターに聞いているから、何が起きているのかわかっているよ」

 小さい人形のような、それでいて前にも見た姿。

 そう、その姿は…黒き女神。しかも、使用されているこのサイズのものは、以前の騒ぎにも目にしたことがあるものだ。

「把握したけれども…実際にこうして目にすると…ミーちゃんをばらしたのか、あいつらは…」

 ミントの今の姿は生首状態だが、それをすでに把握していたのか驚くことはない様子。
 だが、彼女は見た。その人形の目の奥底で、燃え上がる怒りの炎の姿を。

「…ミーちゃん、勝負中だったけど一旦中断させてね。楽しいミステリートレインのツアーだったのに…その邪魔をして、その上ミーちゃんをこんな目に遭わせたやつらを…許せないから」
「は、春…」

 心配してくれたのは嬉しくは思う。けれども、その中から見える怒りが強すぎる。
 平静を装っているように見えて、彼の中身は今、凄くぶち切れている状態だ。
 
(これは…相手、終わったかも)

 自身をばらばらにしてきた相手に同情する気はないのだが、ここまで彼を激怒させてしまったのは、相手にとって最悪の愚策だっただろう。
 彼らは知らないのだ。彼が、本気で怒ったときのことを。

 今まで喧嘩等で怒ったことはあったが、それもまだ常識の範囲内の事。

 その常識の枠を超えるようなことになれば…ああ、本当に相手は詰んだのかもしれない。

「とりあえず、今は他の体もつなげるかわかんないけど…全部取り返してからにしようか」
「えっと、できるの?」
「うん、アルケディア・オンライン内ほどの性能はないはずだけど…不思議と今なら、第3形態レベルまで全力で引き出せそうな感覚があるから…それも、超えそうなほど…」

 これは本当に、相手の人生は終了したのかもしれない。
 触れてはいけない逆鱗に触れ、彼らは眠れる龍を起こしてしまった。
 
 バラバラにされて感覚がないはずなのだが、不思議と物凄い冷や汗が背中から流れていそうなほど、圧倒的な威圧感にミントは何も言えなくなってしまうのであった…

「さてと…それじゃ、返してもらおうか。ミーちゃんの体。そして、やらかしてくれた相手は…うん、ただ消すだけじゃダメだね…はははははははは」

…黒き女神の姿で笑うと、普通は綺麗とか美しいと言われるかもしれない。
 でも今だけは、本気で世界を滅ぼしかねない邪神のような雰囲気を纏っているような気がしなくもない…







 
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