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Ver.4.0 ~星々の輝き、揺らめく境界~
ver.4.2-14 ミステリートレイン in滅びの宿命の企業
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「いきなり突撃黒き女神のご訪問だぁぁぁぁぁぁぁ!!」
チュドォォォォォォォォン!!
―――というような、流石に相手の本拠地へロケットランチャーを片手で持って飛び込むような真似をするようなほど、自分の理性は失われていない。
いくら黒き女神の力があっても、今使っているこれは人形で、ここは現実の世界なので全力を出しても全知全能の神のような力を持つわけではない。女神が武器を使うのかは…いや、槍や剣、弓など意外と持っているものはいるし、ロケットランチャーを構えたものがいてもおかしくはないだろう。
それはさておき、相手はミーちゃんに対して危害を加えることができるような相手…真祖としての力を持っているのに、肉体をバラバラに切断して、このミステリートレインの目的地であったファンタジックアイランドに進入できるほどの観察力や技術力、その他色々なものを持っていることがうかがえるからこそ、正面から向かうのは危険である。
なので、馬鹿正直に怒りに身を任せて真正面からぶちかましに向かうというのは悪手であり…まともに考えるのならば、ある程度の準備をしてからにしたいところ。
人数や使っていた技術から、背後に何かしらの組織があるのは目に見えており、それを潰すだけの準備となると、少々時間がかかるだろう。
…だがしかし、それはあくまでも正攻法としてまともにやったらの話。
いくら突撃をかますような真似を真正面からやらないとはいえ…怒りというのは、時として人からまともな方法というものを奪い、ぶっ飛んだやり方の天啓を授けてくれるものである。
「えっと、春…本気でそれ、使うの?」
「うん、電話でフロンおば、こほん、お姉ちゃんに連絡して借りたからね。使えるならば全力でやらないと、二度目があったら怖いもん」
「…二度目、出来ないと思うけど」
バラバラになっていた肉体も、このファンタジックアイランドにいたおかげで、結構すぐに元の体に戻ったミーちゃん。
ぼそっとつぶやかれたが…まぁ、その通りかもしれない。
二度と、ミーちゃんに手を出せないように。
そして、アサヒも二度と拝めないようにするから…そう考えたら、より徹底的にやるべきか。
「よし、ついでにもっと借りたいのがあるから連絡しておこう。ジェッター経由ですぐに届けてくれるらしいからね」
「オーバーキルで済むのかなぁ…」
念入りに用意をしておくに越したことはないはず。
真祖を、ミーちゃんを傷つけられるほどの相手であれば、この程度はまだ過剰ではなく標準的なレベル…だよね?
『…作戦報告!!紅き月の入手には失敗いたしました!!』
『全捕獲部隊、全滅を確認!!相手側にこちらの情報がばれつつある模様!!』
…場所は変わって、襲撃の黒幕である企業アロンガスフロンティア内部では今、様々な報告がされていた。
今回の作戦において様々な用意をしていたにもかかわらず、全滅報告を確認していく。
『あれれ、やばいかな、もしかして?』
『失敗、不味い。相手、反撃来る可能性大』
デュアルシステムによって、二つの人格が存在するコンピューター…グデンマネは今、人であれば冷や汗を流していそうな状態だった。
様々な学習を進め、口調もだいぶ安定し、生体部品のいくつかが腐ってしまったので開発していた培養生体部品に交換したことで性能が向上したはずだったが、そのせいでむしろ今の状況がより鮮明に見えてしまい、危機感を感じさせられる。
『人工頭脳回路、34~456番、潰れるレベルまで限界稼働』
『リソース全部費やし、状況の好転策を模索。真祖捕獲失敗の場合にともない、リスク及び発生要素、外部供給による追加演算開始』
『捕獲率失敗低かったものの、外部追加分がかなりあったもよう。そのせいで、全滅の結果へ』
『脱出までの空間歪曲回路構築は予定よりも3割ほど…余計に不味いことになっているか』
次々に上がってくる報告に、再度計算をし直して導き出されてくる内容にグデンマネは危機感を感じ取る。
もともとこの作戦は、永遠の存在…流石に不死とまではいかずとも、不老の肉体を持つような生物の一つとして目を付けた真祖の確保を目的としたもの。
当初の予定していた成功率は高く、予想された妨害関係に対しても先読みをして回避し、そのまま行けると思われていた。
だが、予定や計算というのは必ずしも正確に成し遂げられるものではないというように、きっかけが色々と交差しあった結果、酷い状態になり…そして、最悪の結果が導き出されてしまう。
『データ、破損確率99%。偽装含め本体まで、全損の可能性ほぼ確実』
『電子の海へ、至急内部データ全部移行開始。ブラックボックス分もまとめて、この現実の世界から逃亡を開始』
このまま実体をもって、この世界に存在していたら滅亡は免れることはできないだろう。
だが、ならば次のプランとして予定していた、ネット空間への逃亡…電子の海の中へ逃げ込むことによって、手をそうたやすく出せなくするようにする方法で逃走を図る。
最初からそうしていれば、何もかも不老不死な存在になっていたかもしれない。
だが、電子の海は不安定なもので、この文明がいくつも変わっていけば二度と出ることができない牢獄として変わってしまう可能性もある。
そのため、可能な限り現実世界での生存…それでいて、より不滅の存在になれるように人外のデータを求め、その中身として移り変わる予定だったはずだが…その予定はもはや崩れ去ってしまい、自分たちの存続の危機へと変わってしまった。
グデンマネは全力で、自身のすべてを電子の海へと流していき、捉えられない存在へと変わろうとする。
二度と誰の手にもつかまれることはなく、次の文明以降までには再び表に出ることも考えて動いていたのだが…それはもう、遅かった。
ヴィイイイイイイイイイ!!ヴィイイイイイイイイイ!!
『警報、どうした!!』
『電子の海、閉鎖を確認!!全データ、移し替え不可能!!』
『ファイヤウォール?違う、この独自のシステムには、誰も妨害を仕掛けられないはず』
『メーゼ・イワド社からのハッキング?でも、その様子はない』
緊急時に流れる警報が響き渡り、グデンマネは驚愕する。
今から逃げようとして流していた先で、そのデータア全てはじき返されて元の場所へ帰ってきたのだから。
『電子の海より、反応有!!何者かが、攻めてきて全部押し返している!!』
『馬鹿な!?データを物理的に押し戻す様なことや、そもそもこのネットワークに入り込むことなど、普通は不可能なはず!!』
『反応接近中!!緊急事態、ネットセキュリティシステム作動!!安全の確保まで、入り込まれないように切断!!』
『切断箇所、無理やりつなげられたのを確認!!セキュリティ、あっという間に蹴散らされている!!入り込まれていく!!』
どんなものだろうとも、侵入を許すことがなかったアロンガスフロンティアのネットワーク。
イワド社の反撃によって被害は受けていたが、それでも最重要部分に関しては防ぎきっていたはずである。
だがしかし、そんな強固な防衛システムがあっても意味をなさないかというように、見る見るうちに入り込んでくる存在をグデンマネは感知する。
何者か?その正体はわからない。
だが、計算せずともどういう目的をもってやってきているのかはわかってしまう。
『近づかせるな!!ブラックボックスをセーフゾーンへ!!』
『ネットワーク回廊、ラビリンスシステムへ移動!!相手を迷宮入りにして、そのまま破棄を…』
【…いや、もう遅いよ】
『『!?』』
自分たちに備え付けられている外部スピーカから聞こえてきた、自分たちではない声。
そしてその声と同時に備え付けてあった画面が砂嵐を起こし、その中から影が飛び出す。
『ば、馬鹿な!?電子の海からの、二次元から三次元への強制置換による物質再構成!?』
『何者だ!!』
【何者かって問われて答える馬鹿は…いや、せっかくだ。誰に手を出したのか、魂の底から刻んでもらうために、名乗っておくとしようか】
ざざっとその影は揺らぎ、グデンマネの前で形を整え…その姿を現す。
『その姿…データとは違う部位あるが、生体反応は同じ!!』
『アルケディア・オンライン内で目撃されて、盗んだ反応データとも一致を確認!!』
【あ、名乗る前にもうわかっていたか…それでもいいか。わかっていても、名乗っておこう。初めまして、『黒き女神(特殊形態:エレクトロニック・デストラクション』です。そして、さようなら、滅んでください】
名乗りつつ、凄まじいエネルギーを感知したので、グデンマネは慌てて防壁を張ろうとする。
…しかし、動くまでには遅すぎて、その日、一つの企業は消し飛ぶのであった。
【…ああ、物理部分はなくなったけど…全部じゃないよ。さて、これからゆっくりと…ふふふふふ…】
チュドォォォォォォォォン!!
―――というような、流石に相手の本拠地へロケットランチャーを片手で持って飛び込むような真似をするようなほど、自分の理性は失われていない。
いくら黒き女神の力があっても、今使っているこれは人形で、ここは現実の世界なので全力を出しても全知全能の神のような力を持つわけではない。女神が武器を使うのかは…いや、槍や剣、弓など意外と持っているものはいるし、ロケットランチャーを構えたものがいてもおかしくはないだろう。
それはさておき、相手はミーちゃんに対して危害を加えることができるような相手…真祖としての力を持っているのに、肉体をバラバラに切断して、このミステリートレインの目的地であったファンタジックアイランドに進入できるほどの観察力や技術力、その他色々なものを持っていることがうかがえるからこそ、正面から向かうのは危険である。
なので、馬鹿正直に怒りに身を任せて真正面からぶちかましに向かうというのは悪手であり…まともに考えるのならば、ある程度の準備をしてからにしたいところ。
人数や使っていた技術から、背後に何かしらの組織があるのは目に見えており、それを潰すだけの準備となると、少々時間がかかるだろう。
…だがしかし、それはあくまでも正攻法としてまともにやったらの話。
いくら突撃をかますような真似を真正面からやらないとはいえ…怒りというのは、時として人からまともな方法というものを奪い、ぶっ飛んだやり方の天啓を授けてくれるものである。
「えっと、春…本気でそれ、使うの?」
「うん、電話でフロンおば、こほん、お姉ちゃんに連絡して借りたからね。使えるならば全力でやらないと、二度目があったら怖いもん」
「…二度目、出来ないと思うけど」
バラバラになっていた肉体も、このファンタジックアイランドにいたおかげで、結構すぐに元の体に戻ったミーちゃん。
ぼそっとつぶやかれたが…まぁ、その通りかもしれない。
二度と、ミーちゃんに手を出せないように。
そして、アサヒも二度と拝めないようにするから…そう考えたら、より徹底的にやるべきか。
「よし、ついでにもっと借りたいのがあるから連絡しておこう。ジェッター経由ですぐに届けてくれるらしいからね」
「オーバーキルで済むのかなぁ…」
念入りに用意をしておくに越したことはないはず。
真祖を、ミーちゃんを傷つけられるほどの相手であれば、この程度はまだ過剰ではなく標準的なレベル…だよね?
『…作戦報告!!紅き月の入手には失敗いたしました!!』
『全捕獲部隊、全滅を確認!!相手側にこちらの情報がばれつつある模様!!』
…場所は変わって、襲撃の黒幕である企業アロンガスフロンティア内部では今、様々な報告がされていた。
今回の作戦において様々な用意をしていたにもかかわらず、全滅報告を確認していく。
『あれれ、やばいかな、もしかして?』
『失敗、不味い。相手、反撃来る可能性大』
デュアルシステムによって、二つの人格が存在するコンピューター…グデンマネは今、人であれば冷や汗を流していそうな状態だった。
様々な学習を進め、口調もだいぶ安定し、生体部品のいくつかが腐ってしまったので開発していた培養生体部品に交換したことで性能が向上したはずだったが、そのせいでむしろ今の状況がより鮮明に見えてしまい、危機感を感じさせられる。
『人工頭脳回路、34~456番、潰れるレベルまで限界稼働』
『リソース全部費やし、状況の好転策を模索。真祖捕獲失敗の場合にともない、リスク及び発生要素、外部供給による追加演算開始』
『捕獲率失敗低かったものの、外部追加分がかなりあったもよう。そのせいで、全滅の結果へ』
『脱出までの空間歪曲回路構築は予定よりも3割ほど…余計に不味いことになっているか』
次々に上がってくる報告に、再度計算をし直して導き出されてくる内容にグデンマネは危機感を感じ取る。
もともとこの作戦は、永遠の存在…流石に不死とまではいかずとも、不老の肉体を持つような生物の一つとして目を付けた真祖の確保を目的としたもの。
当初の予定していた成功率は高く、予想された妨害関係に対しても先読みをして回避し、そのまま行けると思われていた。
だが、予定や計算というのは必ずしも正確に成し遂げられるものではないというように、きっかけが色々と交差しあった結果、酷い状態になり…そして、最悪の結果が導き出されてしまう。
『データ、破損確率99%。偽装含め本体まで、全損の可能性ほぼ確実』
『電子の海へ、至急内部データ全部移行開始。ブラックボックス分もまとめて、この現実の世界から逃亡を開始』
このまま実体をもって、この世界に存在していたら滅亡は免れることはできないだろう。
だが、ならば次のプランとして予定していた、ネット空間への逃亡…電子の海の中へ逃げ込むことによって、手をそうたやすく出せなくするようにする方法で逃走を図る。
最初からそうしていれば、何もかも不老不死な存在になっていたかもしれない。
だが、電子の海は不安定なもので、この文明がいくつも変わっていけば二度と出ることができない牢獄として変わってしまう可能性もある。
そのため、可能な限り現実世界での生存…それでいて、より不滅の存在になれるように人外のデータを求め、その中身として移り変わる予定だったはずだが…その予定はもはや崩れ去ってしまい、自分たちの存続の危機へと変わってしまった。
グデンマネは全力で、自身のすべてを電子の海へと流していき、捉えられない存在へと変わろうとする。
二度と誰の手にもつかまれることはなく、次の文明以降までには再び表に出ることも考えて動いていたのだが…それはもう、遅かった。
ヴィイイイイイイイイイ!!ヴィイイイイイイイイイ!!
『警報、どうした!!』
『電子の海、閉鎖を確認!!全データ、移し替え不可能!!』
『ファイヤウォール?違う、この独自のシステムには、誰も妨害を仕掛けられないはず』
『メーゼ・イワド社からのハッキング?でも、その様子はない』
緊急時に流れる警報が響き渡り、グデンマネは驚愕する。
今から逃げようとして流していた先で、そのデータア全てはじき返されて元の場所へ帰ってきたのだから。
『電子の海より、反応有!!何者かが、攻めてきて全部押し返している!!』
『馬鹿な!?データを物理的に押し戻す様なことや、そもそもこのネットワークに入り込むことなど、普通は不可能なはず!!』
『反応接近中!!緊急事態、ネットセキュリティシステム作動!!安全の確保まで、入り込まれないように切断!!』
『切断箇所、無理やりつなげられたのを確認!!セキュリティ、あっという間に蹴散らされている!!入り込まれていく!!』
どんなものだろうとも、侵入を許すことがなかったアロンガスフロンティアのネットワーク。
イワド社の反撃によって被害は受けていたが、それでも最重要部分に関しては防ぎきっていたはずである。
だがしかし、そんな強固な防衛システムがあっても意味をなさないかというように、見る見るうちに入り込んでくる存在をグデンマネは感知する。
何者か?その正体はわからない。
だが、計算せずともどういう目的をもってやってきているのかはわかってしまう。
『近づかせるな!!ブラックボックスをセーフゾーンへ!!』
『ネットワーク回廊、ラビリンスシステムへ移動!!相手を迷宮入りにして、そのまま破棄を…』
【…いや、もう遅いよ】
『『!?』』
自分たちに備え付けられている外部スピーカから聞こえてきた、自分たちではない声。
そしてその声と同時に備え付けてあった画面が砂嵐を起こし、その中から影が飛び出す。
『ば、馬鹿な!?電子の海からの、二次元から三次元への強制置換による物質再構成!?』
『何者だ!!』
【何者かって問われて答える馬鹿は…いや、せっかくだ。誰に手を出したのか、魂の底から刻んでもらうために、名乗っておくとしようか】
ざざっとその影は揺らぎ、グデンマネの前で形を整え…その姿を現す。
『その姿…データとは違う部位あるが、生体反応は同じ!!』
『アルケディア・オンライン内で目撃されて、盗んだ反応データとも一致を確認!!』
【あ、名乗る前にもうわかっていたか…それでもいいか。わかっていても、名乗っておこう。初めまして、『黒き女神(特殊形態:エレクトロニック・デストラクション』です。そして、さようなら、滅んでください】
名乗りつつ、凄まじいエネルギーを感知したので、グデンマネは慌てて防壁を張ろうとする。
…しかし、動くまでには遅すぎて、その日、一つの企業は消し飛ぶのであった。
【…ああ、物理部分はなくなったけど…全部じゃないよ。さて、これからゆっくりと…ふふふふふ…】
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