拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波

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森での生活

#14 ようやく馬車が完成デス

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SIDEシアン

…‥‥ハクロが新たにこの家の住人に加わった翌日、ついにワゼは馬車を完成させた。

「出来たのデ――――ス!!」

 ぐっとこぶしを突き上げて、完成の喜びを体で表現するワゼ。

 ハクロが生成する強靭な糸を各所に使用し、ようやく満足いくものに仕上がったらしい。


「あとは、試乗してもらうだけなのデス」
「おお、なんかすごいなこれは」
【でも、なんかおかしな形をしていませんかね?】

 立派な馬車だったが、ハクロの言う通り一部が変な形状となっていた。

 なんというか、牽引させる馬をつなぐ部分が、ぐねぐねと曲げられており、馬の横幅以上の大きさなような気がするのだ。

 というかむしろ、何かの形に合うようにしているような…‥‥

「ほぼ木製と糸で出来ていますが、燃えにくく、雨漏りもしないように防火・防水加工をしているのデス。個人的にはもう少し、座席にゆったりとした感触を出したかったのですが…‥‥まぁ、材料不足なのもありますし、これが最初の初号機なので許容範囲デス」
「暴走とかはしないよね?」
「馬車がするわけないデス。何故そんな質問ヲ?」
「いや、何となくね」



 何にせよ、これでようやく馬車が完成し、遠出も可能になった。

「あとは、試乗だけなのですが…‥‥その牽引する馬役の者がどうも遅れるようでして、あと3日は乗れないことを、先にお詫び申し上げておきマス」
「いや、別に良いよ。そのぐらいなら大丈夫だし、まだ細かな調整とかも必要そうだしね」
【でもすごいですね…‥‥人間が使うような馬車って普通良く分からないのに、よくここまで作り込んでいますよ】

 ワゼが謝ったが、彼女には非はないし、その馬役とやらが何か気になるが、別に急いでいるわけでもないからどうでもいい。

 ハクロは素直に感心しつつ、馬車の周りをぐるぐると廻り、ふと足を止めた。


【あれ?内部の天井に、何か赤いボタンがありますが?】
「ああ、自爆装置デス」
「へぇ、自爆装置…‥‥ん?」
【え?】

「【自爆装置!?】」

 何で馬車にそんなものを付けているんだよ!!

 たかが馬車、去れども馬車だが、ワゼが自ら思案し、技術を詰め込んでみた最初の馬車。

 そんな馬車が万が一強奪された際に、その構造の機密を守るために自爆装置を作ったそうなのだ。


「とは言っても、それはまだ中身が無いのデス。肝心の爆破材料の火薬が、少々気に入ったものが無いので、完全に無用の長物ですし、お望みならば外しマス」
「うん、絶対に要らないから外して」

 とにもかくにも、自爆装置なんて物騒なものは付けてほしくないので、僕はワゼにそうお願いするのであった。

【あれ?でもそんなことができるということは、もしかして他にも何か仕掛けがあるのですか?】
「ありマス。とはいえ、別に大したものではありませんし、殲滅時にしか使用しまセン」

……どうしよう、乗るのがすごい不安になって来たんだけど。

 安全のためにとか言っているけれども、これむしろこの馬車を襲うかもしれない盗賊とかを逃がすような装置が必要なのではなかろうか…‥‥‥骨すら残らないことにならないように、ほどほどにしてもらおう。

 無くすとか入ってないけどね。一応、防犯対策は必要なのが分かっているからね…‥‥この世界だと、普通に盗賊とかいるからなぁ。前世のように、運転していても何事もないような事はないんだよね。

 しかし、自爆装置だけはやり過ぎなような気もするが‥‥‥‥うん、ワゼの思考回路ってどうなっているのか本当に疑問である。

 絶対にいつか、彼女の製作者を見つけて問い詰めてやろうと、シアンは心に誓うのであった。



―――――――――――――――――――――――――
SIDE???


 じっくりと特注の金網の上で焼かれていたものは、脂肪が溶けたのか元の大きさよりもだいぶ小さくなり、火が消されて皿に移し替えられた。

 
 そして、ある部屋へと運ばれていく中…‥‥驚くべきことに、なんとまだその焼けた者は生きていたのか、意識を吹き返したのである。

「ぐがっ、がっはぁ……」

 しかし、全体が焼けたときに出た蒸気やら熱気で喉も焼けており、まともに超えだすこともできない。

 自分がどこへ運ばれているのか、その焼けた者は何とかまだ見える目を使って確認していく。


 そして、ある部屋の扉が開かれ、そこに運び込まれる。




(こ、ここはどこだ……)

 そう思っていると、部屋の扉がすぐにしまわれ…‥‥あたりは闇に覆われた。

 何も見えない、そして何も感じない、静寂が続いたかと思うと…‥‥



がぶりんちょ
「ぐがっ!!」

 妙な音が聞こえ、激痛が襲った。

 なまじ意識があるだけに、自分がどんどん食べられていく感覚を、身をもって知っていく。

 抵抗できず、それでいて闇に覆われて見えない中で、焼けた者は何に喰われたのかは分からないままに、不幸なことに最後まで意識を保ったままその生を終えたのであった…‥‥





「‥‥‥いかがでしたでしょうか、今回の料理は。素材は屑中の屑の中でも、味がまだ良さそうなものを厳選し、少々薬剤で味付けと肉体改造を施しました」

 骨も残さずに、綺麗になった皿を別のもたちが運ぶ中で、その少女は焼けた者を喰ったある方に問いかけた。

「ふむ…‥魂まで食べてみたが、屑さはおいしかったとはいえ‥‥‥60点ってところだろうか」
「減点の理由は?」
「素材の意識が残っていた。脂肪が多かったせいか焼く段階で溶けていた。レア風にしたけれどもちょっと血抜きをしておくべきだった、後不細工だったかな?」
「なかなか厳しい事ですね。ですが、これで…‥」
「ああ、絶対に屑しか手を付けぬ代わりに、予言を久々に行う契約であったな。しかし、何故この時期に行うのだ?まだ政治的にも安定しておるし、腐れ貴族とか少々おいしそうに育って居る者たちがおるとはいえ、予言が必要な気もしないのだが…‥‥」

 首を傾げ、その人物は少女に疑問を問いかけた。

「それが、そういう訳にもいかなくて…‥‥」


 かくかくしがじかと少女は事情を話し、その人物は理解した。

「なるほど…‥‥それならば、確かに必要であろう。まぁ、こちらとしては腐った魂を持つ馬鹿を食せるのであれば、文句はないし、そちらとしてもそんなものを処分できるうえに予言で知りたいことを知りえるのだからまぁ良いか。‥‥‥では、これより予言をするためにちょっと精神集中するから三日は待て」
「はい」

 その人物は踵を返し、予言のための精神集中の場へ向かおうとして…‥‥


つるっ

「「あ」」

びったぁぁぁぁぁぁぁん!!


……ちょっと食べ残しというか、飛び散った液体で見事に足を滑らし、盛大にこけるのであった…‥‥‥


「いったぁぁぁ!!顔面打ったぁぁぁぁぁ!!」
「鼻血出ていますよ!!誰か、血止めを!!」


 
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