拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~

志位斗 茂家波

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森での生活

#13 協力を得たのデス

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SIDEシアン

【‥‥‥メイド怖いメイド怖いメイド怖いメイド怖い】

「‥‥‥ワゼ、後で説教決定ね」
「面目ないと言いたいですが、後悔はしていないのデス」


 気絶から目が覚め、状況を把握したらしいアラクネの彼女。

 ただ、そこから現在1時間は経過しており、自身が生み出す糸で素早く繭みたいなものを作ったかと思うと、そこに引きこもってそうぶつぶつと言い続けていた。

 

 どうも就寝中にワゼによって強襲されたことがトラウマのようだ。

 いやまぁ、何と言うか…‥‥本当にすまない。





 とりあえず、僕はワゼにちょっと離れておくように命じ、アラクネの繭に近づいた。

「えっと‥‥‥大丈夫?」
【メイド怖いメイド怖い…‥‥いや、大丈夫なわけないですよ!!】

 つぶやいていたところ、止まったかと思うと涙声でそう彼女は叫んだ。


【いや本当に、私はここに来るまで色々散々な目に遭って来たのに、さらにトドメを刺されたようなものですよ!!安心していたところに不意打ちはひどいですよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!】

 おーいおいおいっと涙が繭の外に溢れ出し、号泣しているらしいアラクネ。

「なんかすごい苦労してきたというか、うちのメイドが済まなかったというか…‥‥本当にごめん」

 何かこう、色々とあったように聞こえるので、申し訳なく感じて来て心が痛い……




 とにもかくにも、こうなったらもう洗いざらい喋ってもらった方が良さそうである。

 なんかもう、ため込んでいた物をこの機会に全部出してもらって楽になってもらおうと思い、僕がそう尋ねて見ると、泣きながらも彼女は話してくれた。





……いわく、彼女はアラクネのある群れの中に生まれた個体なのだが、他のアラクネに比べて色々と異なっていたらしい。

 群れの仲間は残虐さを好み、血に飢え得ていたのに対し、彼女はそう言ったことは好まず、お花畑で花の冠を作ったり、樹液を探して吸ったり、糸を器用に扱って一人人形劇を楽しんだりしていたのだとか。

 争いは好まず、皆よりも気性は穏やか過ぎたのだが、それでも群れの中で単なる変わり者であるという認識程度で仲間外れにされるような事はなかった。



 だがそんなある日、彼女達の群れにある人間たちがやって来た。

 何の目的なのかと思っていると、突然攻撃を仕掛けられたらしい。


 というのも、その人間たちはどうやら「冒険者」と呼ばれる職業の者たちらしく、彼女達の討伐を目的にしていたようだ。

 …‥‥なぜならば、目の前の彼女はほとんど関わっていないのだが、群れの皆がある日とある集落を襲い、男を根こそぎ奪って……色々とやらかしていたようなのだ。

 その報復というべきか、討伐依頼が出たらしくて、その冒険者たちはアラクネの群れを蹂躙したのである。



 反撃を皆で行ったが、相手の方が強く、一体、また一体と倒れてしまった。

 偶然というか、彼女だけは他の個体とは異なっていたせいか、強さもけた違いだったので無傷であったが…‥‥それでも、皆やられてしまい、最後に残すのは彼女だけであった。

……が、残りは彼女だけだったのだが、何やら冒険者たちが話し合っていたかと思うと、突然殴り合いのけんかを始めた。

 何でかは不明だが、その隙に彼女は逃亡した。




【そこからは、色々大変でした…‥‥】

 群れで暮らしていた時は平和でのほほんと暮らせていたのだが、いざ単体で暮らすとなると生活は大変だったそうだ。

 というのも、彼女自身は自覚は薄いがかなりの美女で有り、そう言ったものを好むオークには追われ、容姿を狙う人間たちからも追われまくり、捕まりそうになったりして何とか逃げに逃げ延びまくって、そしてこのハルディアの森にたどり着いた。

 この森に来た理由としては…‥‥神獣であるフェンリルの庇護を受けるためだったらしい。

 この森にはフェンリルたちによって結界がはられており、悪しき者たちは入れないようになっているので、その結界を利用して一人安心して暮らそうとして‥‥‥‥

【その矢先に、昨晩寝床に突撃されて、ボロボロになったんですよぉぉぉぉぉぉ!!】


 うわーんと再び泣き始めるアラクネの彼女。

 気が付けば、いつの間にか繭は解けており、姿をあらわにしていた。

「‥‥‥よしよし、すまなかったなぁ」

 号泣するその姿に、僕はいたたまれなくてその頭を気休めに撫でてあげる。

【えぐっ、ひぐっ…‥‥うわぁぁぁぁぁん!!】
がしぃっ!!
「ぐえっ!」

 ちょっと泣き止んだかと思うと、アラクネの彼女は僕を持居っきり抱きしめてきた。

 なんというか、そのたわわなものがすごい感じるのですが…‥‥というか、ちょっと待って。

めきききききききき・・・・・
【うわぁぁぁん!!うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!】
「ちょ、ぎ、ギブ、なんかきしんで‥‥‥」

 ギリギリと締め上げられ、全身がものすごく悲鳴を上げてきたんだけど。

 彼女、細腕なのにすごい力なんだけど。柔らかいものを感じさせながら殺しに来て……

「な、何をやっているのですかァァァァァァァァ!!」


びっしぃぃぃん!!
【あふん!】

 僕の意識が薄れてきたところで、ワゼが腕をハリセンのような物に変形させ、アラクネの彼女にツッコミを入れた。

 なんというか、死にかけた…‥‥ワゼ、ありがとう。









【ううっ、すいませんでした……話を聞いてくれて、撫でて慰めてくれたことに嬉しくなって、つい……】

 頭にできたでかいたんこぶをさすりながら、アラクネの彼女は何とか泣き止んで、そう話してくれた。

「いや、こっちも一応メイドが迷惑をかけちゃったし、これで相殺ということで良いよ」

 いやまぁ、彼女にとってはマイナスが多いから相殺し切ってないかもしれないが…‥‥


「と言うかワゼ、彼女を連れて来てどうするつもりだったんだよ」
「ああ、そういえば忘れてましタ。実は‥‥‥‥」




【…‥‥馬車の部品に必要な布を作ってほしかったのですか。って、最初から普通に頼んでくれたら作ってましたよ!!】

 かくかくしかじかとワゼが説明すると、アラクネの彼女はそう叫んだ。

 うん、なんかもう、本当にごめん。うちのメイド、問答無用で成し遂げようとして、本当にごめん。



【‥‥‥でも、作らなかったら何かするのでしょうか?】
「少なくとも、徒労に終わらせたということで、麻痺弾を爆散し、」
【喜んで作らせていただきます!】

 ワゼの言葉が言い終わる前に、素早くアラクネの彼女は糸を吐き出し、大きな布を作り上げた。

 綺麗なというか、着色していないから純白の大きな布が出来上がる。


「おお、これならちょうど良いデス」
【ふぅ‥‥‥いや本当に、何ですかこの人…‥‥恐怖しか与えられなくて……怖いですよ】

 そう言いながら、ワゼから距離を取るように彼女は僕にぴとっとくっついた。

【えっと、貴方があの恐怖物体の主でいいんですよね?】
「一応、そうだけど‥‥‥‥」
【でしたら、あの恐怖物体から逃れるためにも、私を貴方の元に置かせてください。野良でいると確実にまた入用でボロボロにされそうなので、いっその事あなたの近くにいた方が良いです】
「‥‥‥ワゼも近くにいることになるんだけど、いいのか?」
【良いのですよ。奇襲されるよりも、わかっている方が気が楽ですからね‥‥‥‥】


 はぁっ、と溜息を吐きつつ、何処か諦めたような目で彼女はそう答えた。



…‥‥この日、僕の家にメイドだけではなく、新たな住人としてアラクネが増えた。

 名前は無いそうなので、とりあえず「ハクロ」と呼ぶことにしたら、彼女は喜んでくれた。

 そして、ワゼに奇襲された件から少々怯えつつも、野良でいるよりも安全と割り切って、共に過ごすことになったのであった‥‥‥‥




―――――――――――――――――――――――――――
SIDE???

「う”、う”~ん…‥‥おや?こごはどごでぶ?」

 ふと、その男が目を覚ますと、底は真っ暗な広い部屋であった。

 先ほどまではごちそうをたらふく食べ、眠くなったので寝ていたのだが…‥‥どうも部屋は異なるらしい。


ギシッ

「ん?…‥‥動けないでぶ!?」


 何かきしむ音が聞こえたかと思うと、男は状況を理解した。

 どうやら裸にされているようで、膨張して手足が見にくくなっているが、男の手足は鎖によって縛られており、自由がない状態。

 しかもよく見れば、網目状の床で‥‥‥‥いや、バーベキューをやる時のような、焼く機械のような物が‥‥‥‥

 そして、床の奥の方が‥‥‥‥徐々に、まるで炭火で赤くなっているかのようになってきた。



 そこでふと、その男は悟った。

 バーベキューを「やるような」ではなく、バーベキューを「される側」ではないかと。

 逃れようにも身動きが取れず、徐々に熱がしたから‥‥‥‥

「ぎ、ぎやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


 徐々に上がって伝わってくる熱に対して、その男はすさまじい恐怖の悲鳴をあげるしかできないのであった‥‥‥‥
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